特定調停

特定調停による給与の差し押さえと強制執行を停止する手順とは?

借金の返済に遅れていると、電話や書類などで督促が行われます。

そして、その督促を無視し続ければ、指定された期日までに延滞を解消できない場合などは、債権者が裁判所に対して給与などの差し押さえを求める申し立てをするでしょう。

そうなれば、給与は差し押さえられることになるのです。

ただ、特定調停の申し立てをすれば、給与の差し押さえを回避できる可能性があります。

どうすれば、特定調停で給与の差し押さえを止めることができるのでしょうか?

特定調停によって給与の差し押さえを停止する方法、手続きをしても強制執行されてしまうケースについて説明していきます。

目次

特定調停をすると給与の差し押さえはされる?

特定調停は簡易裁判所の仲裁によって、債権者と債務の返済条件などを交渉する債務整理の方法です。

裁判所から特定調停の通知があると、債権者は過去の取引履歴を開示します。

そして、利息制限法による引き直し計算を行い、計算後の元金を原則3年間の分割で返済していくことになるのです。

特定調停には、提案した返済計画に債権者が同意する必要があります。ですが、手続き後の債務を完済することができれば、それ以上の返済を要求されることはありません。

特定調停によって給与が差し押さえられることはない

特定調停は、裁判所に対して申し立てをしますが、これによって給与の差し押さえが行われることはないです。

差し押さえは給与のみとは限りません。

自宅などの不動産、現金や家財などの動産も差し押さえられる可能性があります。

ただし、借金の返済に困っている場合、差し押さえられるような不動産、動産を持っていないことが多いです。

また、差し押さえてもお金に変えるのは容易ではないでしょう。

給与であれば借金の返済に充てやすく、働いている限り、安定して差し押さえることができます。

特定調停の開始後の取立は法律で禁止されている

特定調停をすると、裁判所は債権者に対して申し立てがあった旨を通知します。

その通知を債権者が受け取った後は、債務者に対して直接督促をすることはできません。

そのため、特定調停をすることで、給与などの差し押さえだけでなく、取立を止めることもできるのです。

これは法律によって決められていることなので、違反した場合には行政処分の対象になります。

業務停止などの命令が出される可能性もあるため、対象となる債権者である金融機関が法律を破ってまで取立を継続することはないでしょう。

すでに行われている給与の差し押さえには「執行停止の申立」が必要

特定調停をすることで、給与の差し押さえを回避することはできます。

しかし、すでに行われている差し押さえは、特定調停をするだけでは止めることができません。

回避することができるのは、これから行われるかもしれない差し押さえだけなのです。

すでに行われている差し押さえについては、特定調停とは別に、強制執行を停止するための申し立てをする必要があります。

強制執行停止を申し立てる手順

特定調停の申し立てだけでは、すでに行われている差し押さえは止まりません。

必ず、強制執行停止の申し立ても行う必要があるのです。

必要な書類を揃えて裁判所に提出することで強制執行停止の申し立てができます。

ただし、書類を提出して申し立てをすれば、100%の確率で強制執行が停止になるわけではないので注意してください。

あくまでも「申し立て」なので、その後、裁判所によって認められる必要があるのです。

強制執行の停止が決定されて、ようやく差し押さえが停止されるという流れになります。

特定調停で給与の差し押さえを停止にできる理由

特定調停は返済条件について協議した後、借金を返していく必要があります。

そのため、差し押さえが行われていると、今よりも一層生活が厳しくなることが予想され、特定調停をしても計画通りに返済ができなくなる可能性が高いです。

そのようなことがないように、特定調停には強制執行の停止制度があり、別途、申し立てをすることで差し押さえを中断できるのです。

この申し立ては特定調停の手続き中の差し押さえを一時的に停止するものですが、調停が成立すれば正式に取り消されます。

特定調停とは違い任意整理では強制執行の停止はできない

特定調停と似た内容の債務整理に任意整理がありますが、この任意整理ではすでに行われている強制執行を停止することはできません。

特定調停と任意整理の違いは裁判所を通すかどうかになります。

任意整理では裁判所を通さずに債務者からの依頼を受けた弁護士などの専門家と債権者が和解に向けて交渉をします。

協議をして和解を目指すという点は一緒ですが、任意整理は裁判所を通さない手続きなので差し押さえを停止することはできないのです。

ただし、任意整理では債権者に受任通知が発送されるため、通知を受け取った後に取立をすることはできません。

正式な依頼を弁護士にするとすぐに受任通知を発送してくれるので、督促が止まるまでのスピードは任意整理の方が早くなるでしょう。

特定調停後の返済が滞ると給与の差し押さえの可能性がある

特定調停では、減額後の債務を原則3年間で返済することになります。

調停によって同意を得ていた計画通りに返済ができなかった場合には、給与などの差し押さえが行われる可能性が高いので注意が必要です。

特定調停によって作成される調停調書は債務名義になる

特定調では裁判所の仲裁のもとで協議を行い、調停調書という書類が作成されます。

そして、この調停調書は債務名義になるため、その後の返済に遅れが出た場合には強制執行されてしまうのです。

債務名義とは債務があることやその金額などを証明する公的な書類になります。

そのため、裁判で出た判決と同様の効力が調停調書にはあるのです。

差し押さえられる給与は手取りの1/4まで

給与の差し押さえがされるといっても、全額を没収されるわけではありません。

もし差し押さえが行われても、生活がまったくできなくなるようなことはないのです。

法律によって、給与の差し押さえは手取り額の1/4までとなっています。

次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。

1. 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
2. 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権

(引用:民事執行法 第152条

法律では給与の3/4は差し押さえできないとなっており、つまり、残りの1/4が差し押さえの対象になるということです。

また、この給与は所得税、住民税、社会保険料などを含まない手取りを指します。

それらが天引きになっている場合、毎月振り込まれている金額の1/4が差し押さえられると考えれば良いでしょう。

給与の差し押さえが行われると職場に借金がばれる

督促の方法については法律によって規制があるため、債権者が職場にまで電話をかけてきたり、訪問したりということは基本的にありません。

そのため、通常の督促であれば借金が職場にばれるということはないでしょう。

しかし、給与の差し押さえが行われた場合には、当然、職場には借金がばれるので注意してください。

借金がある、滞納しているという理由で職場を解雇されることはありませんが、職場に居づらくなるということは考えられます。

特定調停をしても給与が差し押さえられてしまうケース

特定調停後の返済が滞るという以外にも次のようなケースでは、給与の差し押さえが行われる可能性があります。

【特定調停をしても給与が差し押さえられてしまうケース】

  • 税金などを滞納している場合
  • 特定調停で債権者の同意を得られなかった場合

税金などを滞納している場合

特定調停だけでなく、他の債務整理の方法でも滞納している税金については、減額してもらったり、支払いを免除してもらったりはできません。

税金を対象に特定調停をするということがそもそもできないため、別の方法で解決を図る必要があるのです。

税金を滞納している場合、督促状や催告書が自宅に届くことになります。

催告書は最終通告になるため、その書類に記載された期限までに納付できなければ差し押さえが実施される可能性が高いです。

相手が金融機関であるケースでは、差し押さえを裁判所に申し立てる必要がありますが、税金の滞納に関しては裁判所の判断を待たずに差し押さえをすることができます。

このような差し押さえの方法を「滞納処分」といいます。

特定調停と強制執行の停止を申し立てることで通常の差し押さえであれば止めることができますが、この滞納処分については停止できないので注意してください。

税金の滞納については納付先の窓口などで分割払いの相談をしましょう。

特定調停で債権者の同意を得られなかった場合

特定調停の手続きでは、債務者と調停委員が話し合いをして債権者に提案する返済計画を作成していきます。

その後、実際の調停に入るとその返済計画をもとに債権者との協議を行います。

無事に債権者から同意を得ることができれば調停調書が作成されますが、すべての債権者が同意してくれるとは限りません。

返済条件の折り合いがつかずに調停が失敗に終わった場合には、債権者は差し押さえを申し立てることが可能です。

裁判所の仲裁があるからといって、確実に債権者との協議が上手くいくわけではないので覚えておきましょう。

また、手続きをしても債務を返すことができないだろうと調停委員が判断した場合には、委員から申し立ての取り下げを勧められるケースもあります。

債務整理の方法は特定調停だけではありませんので、別の手段で解決できないかを考えてください。

任意整理でも解決できない可能性が高いため、基本的には個人再生、または自己破産をすることになるでしょう。

どの方法が適切かは人によって異なるため、専門家にアドバイスを貰うことをおすすめします。

債務整理に関する相談は無料で受け付けている法律事務所も多いです。

相談は直接事務所に行かなくても、公式ホームページのメールフォームや電話でもできます。

専門家に依頼をするとその費用も別途必要になるので、手続きに総額いくらかかるのかについても確認しておくと良いでしょう。

特定調停は給与の差し押さえの停止が可能!強制執行停止の申し立てもしよう

特定調停の手続きに入ると、債権者は債務者に対して取り立てや差し押さえをすることができなくなります。

また、すでに行われている差し押さえも、強制執行停止の申し立てをあわせてすることで手続き中の効力を止めることも可能です。

申し立てが認められる必要があるため絶対ではありませんが、給与などが差し押さえられており、債務整理に影響があるという方は強制執行停止の申し立ても行いましょう。

ただし、特定調停後の返済が滞ってしまった場合、そもそも調停が上手く行かなかった場合、税金の滞納がある場合には手続きをしても給与などの差し押さえが行われる可能性があります。

特定調停での解決が難しいケースは、個人再生や自己破産など別の債務整理も検討する必要があるのです。

どの債務整理が自身の状況にあっているかは、法律事務所の無料相談を利用して確認することをおすすめします。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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