特定調停

特定調停で相手に同意してもらうために必要なこととは?

特定調停で借金相手(債権者)に同意をしてもらうことは、極めて重要です。同意を貰えないと、調停を何度もしなければなりません。時間がかかってしまい、決着がつくまでに半年以上かかることも珍しくないのです。

特定調停をスムーズに行うためには、まずは調停委員に協力してもらうことです。自分の理解者になってもらうことで、債務者側に積極的に働きかけてくれるかもしれません。有利な調停案を作成してくれることも考えられるわけです。

当記事では、債務者に同意してもらいやすくするための申立書の書き方をお伝えします。さらに、調停案に合意してもらえなかった時の対応策についても解説します。

ぜひじっくり読んでみてください。

目次

特定調停の申立書の書き方とは?

特定調停を成功させるためには、調停委員に味方になってもらうことが必要です。では味方になってもらうためには、どうしたら良いのでしょうか。

まずは、正確な情報を伝えることからはじめましょう。

相手方の情報を正確に記載すること

特定調停の申立書には、自分だけの情報を掲載するわけではありません。債権者側(借金相手)の情報も掲載しなければならないのです。もちろん正確な情報を記さなければなりません。いい加減な情報であると、裁判所からの通知が相手先に届かない可能性もあるので要注意です。

債権者側の情報で申立書に記す内容としては、

  • 氏名または名称
  • 住所または所在地
  • 連絡先
  • 送達場所

以上の4つがあります。

会社の名称だけではなく、本店の電話番号やFAX番号、さらに会社代表者の氏名を記す必要もあるのです。貸金業者であれば、明細書に住所や電話番号などの情報が掲載されているでしょう。

会社代表者の氏名に関しては、貸金業者のホームページなどを確認してください。より正確な情報を集めたいのであれば、該当する会社の「現在事項証明書」を取り寄せてましょう。現在事項証明書の取り寄せは、オンラインからも出来ます。

支店で取引していた場合には、支店の住所や郵便番号、更には電話番号やFAX番号も必要になるので注意してくださいね。

債務の種類を正確に記載すること

申立書には、債務の種類を記載する場所もあります。

  • 借受金債務
  • 保証債務
  • 立替金
  • その他

以上の4つの選択肢があり、基本的には「借受金債務」を選択します。借受金債務は、自分の借金を指しているからです。

保証債務は、借金の保証人となっているケースに選択します。立替金は、クレジットカードでショッピング利用をしたものの支払いを指しています。

その他は、上記に該当しない場合に選択します。買掛金の支払いであるとか、慰謝料が該当します。

印紙の貼付を忘れずに

特定調停するためには一定の手数料が発生します。申立書には手数料としての収入印紙の添付が必須です。さらに「予納郵便切手」も貼り付けておかなければなりません。

特定調停の価額ですが、10万円に固定されています。よって手数料は500円ということになり、申立書の「貼用印紙欄」に500円の収入印紙を貼り付けてください。

「予納郵便切手」は、裁判所によって価格が異なります。東京簡易裁判所の場合は1,450円であり、債権者が1名増えるごとに250円が追加されます。

用意しなければならないその他の種類

申立書だけではなく、その他の書類もあわせて提出します。

  • 申立人に関する書類・・・本人確認書類(免許証やパスポートなど)
  • 相手方に関する書類・・・相手が会社であれば登記簿謄本(現在事項証明書)
  • 紛争の要点に関する書類・・・契約書、領収書、取引履歴など
  • 資産等に関する書類・・・不動産の登記簿謄本,固定資産評価証明書、車検証、査定書、通帳のコピー、保険証券など
  • 生活状況に関する書類・・・3か月程度の給与明細、源泉徴収票、課税証明書など

以上の書類はすべて特定調停に関わるものです。調停委員の判断材料にもなるので、欠けることなく用意できる書類はすべて提出してください。

特定調停手続きの流れ

特定調停の申立てから、相手方に同意をもらい調停が成立するまでの流れを解説します。

申立書類の作成と各書類の準備

申し立てるためには書類の作成と準備が必要です。特定調停申立書だけではなく、関係者の一覧表、さらには財産の状況を示す明細書などを作成したり準備したりします。

特定調停の申立て

債権者の所在地を管轄する簡易裁判所に、特定調停を申し立てます。用意した書類を全部提出することになるのです。

事件受付票の交付および調査期日の指定

特定調停の申し立てを実行し、書類が全部揃っている場合には、当日中に事件受付票の交付を受けます。必要書類が足りなかった場合には、簡易裁判所に再度訪れ受付を行います。

調査期日は、事件受付票の交付を受ける時に指定されます。

この場面で、裁判所から債権者側に通知が送られます。通知を送られた貸金業者等は督促(取り立て)をストップしなければなりません。

裁判所では、調停委員の専任が実施され調査期日に備えます。

裁判所で調査

調停委員による聞き取りが裁判所で行われます。この時は、債権者は出廷しません。申立人のみが裁判所に訪れ、調停委員から様々な質問を受けることになります。

では、どのような質問を調停委員から受けるのでしょうか。

  • 調停委員から申立書の内容の確認
  • 債務(借金)状況の確認
  • 支払能力の有無
  • 援助の有無
  • 今後の生活の見込み

あなたのことをしっかりと理解してもらうためにも、正直に現状を伝えてください。誤った情報を伝えると、あなたの返済能力に適さない返済計画が立てられてしまう可能性もあります。

1回目の調停期日

調査期日の約1ヶ月後に、第1回目の調停期日が設けられます。今回は、申立人だけではなく債権者も出廷します(債権者は出廷せずに電話のみで対応するケースが多い)。作成された返済計画案をもとに、調整が実施されるのです。

返済計画案に債権者が同意したら、調停調書が作成されます。

債権者が同意しなかった場合には、2回目以降の調停期日が設けられ、協議を続けていきます。

調停案に合意してもらえなかったらどうなるの?

問題となるのが、作成された返済計画案に債権者が合意をしてくれないケースです。返済計画案に納得してくれないと、調停成立までの期間も伸びてしまいます。申立人の生活再建も、その分だけ遅れてしまいます(特定調停中は返済しないでOK)。

こちらでは、債権者が調停案に同意してくれなかった場合の対処法をお教えします。

同意されなかった場合は17条決定が実施される

17条決定は、双方の利益を考慮された返済計画が裁判所によってまとめられることを指しています。当事者のいずれかから要望があった場合であるか、調停の成立が難しい場合に17条決定が下されるわけです。

17条決定は、調停成立と同じ効力を持ちます。よって、調停に代わる決定とも呼ばれているのです。

ただ17条決定は拒否できます。つまり、債権者側から異議申し立てをされる恐れもあります。17条決定から2週間以内であれば、異議申し立てが認められています。異議申し立てをされると失効してしまうのです。

同意してもらえず17条決定も無効にされた場合の対処法

個人再生か自己破産などの、他の債務整理手続きを検討しましょう。個人再生と自己破産は特定調停とは大きく異る部分があります。それは、弁護士や司法書士の存在です。

個人再生や自己破産は、弁護士や司法書士などの借金問題の専門家が関わります。つまり、手続きや債権者とのやり取りを代行してくれるわけです。さらに裁判所の決定には強い効力があり、特定調停のように貸金業者側に異議申し立てをされる心配もありません。

特定調停を申し立てる管轄裁判所は合意があれば選べるってホント?

本当です。債権者に合意してもらえたのであれば、債権者の所在地以外の裁判所に申し立てられます。

特定調停のハードルになるのが、簡易裁判所の場所です。特に、地方に住んでいる人にとって特定調停は選択しにくい、といった事情があります。

特定調停をするためには、債権者の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てなければなりません。一般的に、大手貸金業者の多くは東京を所在地としています。つまり地方に住んでいる人は、東京までいかなければならない可能性が高いのです。

申立人と相手方の双方の合意があれば、地方の簡易裁判所に申し立てることも可能です。しかし書類が必要になります。

管轄合意書が必須

申し立てる裁判所を管轄外にするためには、債務者(借金をしている側)と債権者が交渉をします。その結果として、管轄合意書を作成しなければなりません。

裁判所に管轄合意書を提出することで、管轄外の簡易裁判所による特定調停の申立てが可能になります。

地方の簡易裁判所で特定調停するメリット

通いやすいだけがメリットではありません。特定調停の期間が短くなる可能性もあります。

東京の簡易裁判所は、取り扱い件数が極めて多いです。よって調停に時間がかかりやすく、半年以上かかってしまうこともあります。しかし地方であれば、3ヶ月や4ヶ月で調停が終わることも珍しくありません。

短期間で特定調停を終えたい人にも、地方の簡易裁判所はおすすめなのです。

特定調停で相手に同意してもらうためには書類が大事!

特定調停を債権者側に同意してもらうための方法、および同意してもらえなかった時の対処法をお教えしました。

債権者に同意してもらうためには、まず調停委員を味方につけることが大事です。書類をしっかりと揃え、その上で正直に状況を伝えてください。書類とあなたの説明から、あなたに適した調停案を調停委員が作成してくれるはずです。

せっかく作成した調停案を、拒否してくる債権者もいます。拒否されても17条決定で成立させられます。17条決定に異議申し立てされてしまったら、個人再生や自己破産も計画しましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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