特定調停

特定調停の方法と手続きの流れとは?

返しても、返してもなかなか減らない借金があるなら、特定調停によって解決できないかを検討してみましょう。

特定調停は数種類ある債務整理の方法の中でもかかる費用が少額で済み、自分だけで申し立てがしやすいため、高額な弁護士費用を捻出するのが困難な人に向いている手続きです。

ただ、自分で申し立ての準備をするわけですから、書類を作成したり、裁判所に出廷したりする労力や時間は必要になります。

それでは、どのような流れで特定調停は進んでいくのでしょうか?

特定調停の方法を、手続きの流れにそって解説していきます。

目次

特定調停とはどんな債務整理の方法?

自己破産や個人再生といった債務整理の方法は自分一人でも行えますが、専門的な知識が必要だったり、債権者との交渉が必要だったりするため、基本的には弁護士などの専門家に依頼することになります。

弁護士は代理人として債務整理の手続きを進めてくれるので、自分自身は申し立ての準備に必要な書類を弁護士に提出するくらいで、債務者本人の負担がとても軽くて済むのです。

ただし、専門家に依頼する場合には、裁判所に支払う費用に加えて、弁護士への報酬の支払いも必要になります。

そのため、費用を準備できない人は、弁護士に債務整理を依頼することはできません。

そこで、弁護士に依頼をしなくても手続きしやすいのが特定調停という債務整理の方法です。

弁護士に依頼をして手続きしてもらうことも不可能ではありませんが、特定調停は専門的な知識がなくても手続きできるように裁判所が仲裁してくれる債務整理の方法です。

専門家に特定調停を依頼する意味はあまりないので、基本的には自分一人で債務整理を進められるでしょう。

一方で、特定調停の手続きは、申し立ての準備をしっかりと行わないとスムーズに進みません。

専門家に依頼した場合とは異なり、弁護士に任せておけば良いというものではないのです。

次章で特定調停の申し立てをするにあたって準備しなければいけない点をまとめているので参考にしてください。

失敗しない特定調停を自分で進めるための方法

特定調停で失敗しないためには、しっかりと準備することが重要です。

特定調停をする方法の説明に入る前に次の4つを確認しておきましょう。

【特定調停の前に確認すること】

  • 特定調停の対象かどうかを確認する
  • 特定調停の申立先を調べる
  • 特定調停の申し立てに必要な書類を準備する
  • 特定調停の申し立てに必要な費用を用意する

それぞれについて以下で説明していきます。

特定調停の対象かどうかを確認する

特定調停をするためにはいくつか条件があります。

特定調停の対象にならない場合には、申し立てをしても手続きが認められないので注意してください。

まず、特定調停をするには「特定債務者」でなければいけません。

簡単にいえば、特定債務者とは払えない額の借金を滞納している人のことをいいます。

十分に返済できる金額であれば特定債務者ということはできないでしょう。

また、特定調停では原則3年間で債務を返済していきます。

そのため、特定調停をしても3年間で完済できない金額であったり、そもそも返済能力がなく支払いを継続できなかったりすると申し立ては認められない可能性が高いです。

特定調停の申立先を調べる

裁判所ウェブサイトの資料によれば全国の簡易裁判所の数は438庁だそうです。

特定調停は簡易裁判所に申し立てをしますが、どこの裁判所でも良いわけではありません。

特定調停をする場合、債権者の所在地などを管轄する簡易裁判所が申し立て先になります。

例えば、債権者が東京23区内にいるケースでは、東京簡易裁判所に対して申し立てをすることになるのです。

ただし、特定調停では債権者が複数いることもあるでしょう。

そのような場合には、債権者の一部の所在地や住所などがその簡易裁判所の管轄になくても手続きを進められる場合もあります。

どの簡易裁判所で申し立てをすれば良いのかの判断が難しいケースも多いと思いますので、まずは最寄りの簡易裁判所で相談をすると良いでしょう。

特定調停の申し立てに必要な書類を準備する

特定調停をするためには手続きに必要な書類を揃えて、簡易裁判所に対して申し立てを行います。

特定調停の手続きで最初の難関が書類の準備になるでしょう。

簡易裁判所の受付窓口に行けば申立書などを入手することが可能です。

特定調停の申し立てで必要な書類については後述しているのでそちらも参考にしてください。

特定調停の申し立てに必要な費用を用意する

弁護士の力を借りずに特定調停をするなら、専門家への依頼費用は不要ですが、裁判所に対して手続き費用を支払う必要はあります。

特定調停で必要なのは、申立手数料(収入印紙)と手続費用(郵便切手)の2つです。

管轄の裁判所によって必要な費用は異なるため、今回は東京簡易裁判所を例に説明します。

①申立手数料(収入印紙)

個人が特定調停の申し立てをする場合、申立手数料として債権者一人(一社)に対して500円分の収入印紙が必要になります。

例えば、特定調停の相手が一人だけなら500円ですが、2人なら1,000円、3人なら1,500円となるのです。

②手続費用(予納郵便切手)

特定調停では債権者に対して書類を郵送します。

そのためのお金が手続費用としてかかり、債権者一人(一社)に対して430円分の切手が必要になるのです。

この手続費用に関しては実費になるため、手続き内容によっては、後日、追加で費用がかかることもあるので覚えておきましょう。

ケースバイケースにはなりますが、特定調停は債権者一人(一社)につき1,000円程度のお金がかかることになります。

特定調停の必要書類を用意する方法

債務整理を弁護士に依頼する場合であれば、弁護士などの専門家から準備する書類の一覧表を貰えるでしょう。

しかし、特定調停では、自分自身で必要書類を調べて、申立書などを準備しなければいけません。

申し立て先の簡易裁判所によって提出する書類は異なりますが、東京簡易裁判所の場合には次の書類が必要です。

【特定調停の申し立てで必要な書類】

  • 特定調停申立書 2部(正本・副本)
  • 特定債務者の資料など 1部
  • 関係権利者一覧表 1部
  • 資格証明書 1部

特定調停申立書

特定調停の申し立てをするための書類になります。

インターネットから雛形をダウンロードすることもできますし、調停受付の窓口で交付してもらうことも可能です。

インターネットでは、特定調停申立書の記入例も確認できます。

記入する内容や注意事項についても説明書きがあるので、記入例を見ながら申立書を作成すれば迷うことはないでしょう。

鉛筆やシャープペンシルなどの簡単に消せるものでの記入は不可なので、必ずボールペンなどで記入してください。

特定債務者の資料など

記事の前半でも説明しましたが特定調停の手続きができるのは、特定債務者に限られます。

そのため、特定調停の申し立てをする人の家計や資産の状況を申告するのです。

特定調停申立書と同様に東京簡易裁判所の記入例をインターネットで確認することができます。

特定調停をしても返済の見込みが立たない場合、反対に十分支払いができるだけの返済能力がある場合などには手続きが認められないでしょう。

ただし、裁判所に対して嘘の情報を申告することは絶対にしてはいけません。

正確な情報を記入して、裁判所の調査や聞き取りには誠実に対応してください。

関係権利者一覧表

特定調停の手続きをするにあたり債権者の一覧表を裁判所に提出します。

相手方の住所や、いつ、いくらを借りて残高がどのくらいあるのかなどを記入します。

特定調停は返済計画に関して話し合いをする債権者を選択できますが、債権者一覧表にはすべての債権者を記入するようにしてください。

特定調停の対象にしない債権者についても、債権者一覧表には記載しましょう。

資格証明書

特定調停をする相手が法人の場合には資格証明書も必要になります。

資格証明書とは、法人の名称や本店所在地、代表者の氏名が記載されている書類で、法務局で入手することが可能です。

資格証明書には現在事項全部証明書と代表者事項証明書の2種類がありますが、裁判所に対して提出するものはどちらでも構いません。

また、相手が法人であっても資格証明書の提出が不要なケースもあります。

多くの場合、債権者に法人が含まれると思いますので、調停受付の窓口で確認してください。

特定調停の方法を手続きの流れ順に解説

それでは、実際に特定調停をする方法について見ていきましょう。

特定調停は次のような流れで進んでいきます。

【特定調停の手続きの流れ】

  • ①特定調停の申し立てをする(債務者)
  • ②特定調停の申し立てが受け付けられる(裁判所)
  • ③債権者に特定調停の申し立てがあった旨を通知する(裁判所)
  • ④調査期日(債務者・裁判所)
  • ⑤調停期日(債権者・裁判所)
  • ⑥特定調停の成立・調停調書の作成(裁判所)
  • ⑦調停調書にもとづき返済をする(債務者)

①特定調停の申し立てをする(債務者)

特定調停の申立書などの必要書類、収入印紙、予納郵便切手の準備ができたら、管轄の簡易裁判所で申し立てをします。

申し立ての段階で書類に不備があれば出直さないといけません。

裁判所で相談しながら必要な書類の準備をして、申し立てをした方がスムーズに進むでしょう。

②特定調停の申し立てが受け付けられる(裁判所)

必要書類、および申立手数料と手続費用を提出したら、特定調停の申し立てが受け付けられます。

受け付けが行われたときに、特定調停の手続きができると判断されれば、今後の調査期日や調停期日のスケジュール調整も行われます。

ただし、すぐに判断できない場合などは、債務者と裁判所が話し合いをする調査期日だけを決定することもあるようです。

運用や事案によって異なるので裁判所の指示に従ってください。

③債権者に特定調停の申し立てがあった旨を通知する(裁判所)

特定調停の申し立てが受け付けられてから数日で裁判所は債権者に対して書類を送ります。

この書類は特定調停の申し立てがあった旨を通知するもので、この通知を受け取った債権者は債務者に対して取り立てをすることができなくなります。

つまり、この段階で督促が止まるということです。

また、裁判所は金融機関に対して債務者の取引履歴などの提出も請求します。

④調査期日(債務者・裁判所)

調査期日では債務者と裁判所が話し合いをして、特定調停によって借金問題を解決できるか、調停後の返済方法はどうするのかなどを協議します。

事情聴取期日と呼ぶこともあるようですが、基本的な協議内容は一緒でしょう。

特定調停では裁判官1名と調停委員2名の計3名からなる調停委員会が結成され、調査期日では調停委員と話し合いをすることになるのです。

調査期日の前に作成した資料などをもとに自身の家計や債務の状況をしっかりと把握しておくようにしてください。

⑤調停期日(債権者・裁判所)

調停期日では裁判所と債権者が返済条件の調整をします。

債務者本人も出廷しますが、協議は調査委員と債権者が主に進めてくれます。

そのため、債務者と債権者が直接協議をするという場面は少ないでしょう。

調査期日から調停期日まではおよそ1ヶ月で、調停が成立するまでには2回〜4回程度の協議が必要です。

また、債権者が調停に出席しないケースもあり、その場合には電話で調停委員と債権者が話し合いを行います。

⑥特定調停の成立・調停調書の作成(裁判所)

債権者との協議がまとまれば特定調停が成立となります。

調停が成立すると裁判所で調停調書が作成され、この書類には裁判で出た判決と同様の効力があります。

一方で、協議がまとまらなければ調停は不成立です。

特定調停の手続きが終了になるので、別の方法による債務整理を検討した方が良いでしょう。

⑦調停調書にもとづき返済をする(債務者)

調停後は作成された調停調書にもとづいて返済をします。

原則3年間で債務を返済しますが、協議の結果によっては5年間での支払いが認められるケースもあります。

債務を完済する前に返済が滞ってしまうと債権者は給与などの差し押さえが実行されてしまうので注意してください。

前述の通り、調停調書には裁判の判決と同様の効力があるため、差し押さえの申し立てをしなくても債権者は強制執行できるのです。

どうしても返済が難しいという場合には、弁護士などの専門家に債務整理の相談をすると良いでしょう。

特定調停以外の債務整理の方法が向いている人とは?

特定調停は、費用を抑えて行える債務整理の方法ですが、中には別の手続きが向いている人もいます。

この記事でも、説明したように特定調停は原則3年間で債務を完済しないといけません。

そのため、3年間で完済できない金額の債務を抱えている人は特定調停での解決は期待できないでしょう。

一定の収入はあるものの、債務が高額な場合には個人再生、そもそも返済能力がないという場合には自己破産などが適当です。

また、特定調停は債務者本人が申し立ての準備をして、調停などのために数回、裁判所に出廷します。

出廷するのは基本的に平日になるため、仕事をしている場合にはその度に休みを貰ったり、早退したりなどの調整が必要です。

手続きのために十分な時間が取れない方は特定調停が難しいといえます。

特定調停自体は弁護士に依頼せずに進められますが、自身の状況にあった債務整理の方法については法律事務所で相談しても良いでしょう。

特定調停は自分で行える債務整理の方法!手続きの流れを確認してから申し立てを

特定調停は裁判所が債権者との協議を取り持ってくれるので、弁護士などの専門家に依頼をしなくても手続きができます。

弁護士などへの報酬がいらないため、債務整理の中でも手続きにかかる費用が少額で済むのも特徴の1つです。

ただし、申立書類の作成、裁判所との話し合いなどは債務者本人が行わないといけません。

弁護士を代理人としない分、手続きには手間がかかるので注意してください。

どのような流れで特定調停が進むのかを確認した上で、申し立てをすることが重要です。

最寄りの簡易裁判所に行けば、特定調停の説明や、申し立てに必要な書類も交付してもらえます。

分からないことは簡易裁判所で確認しながら手続きを進めてください。

また、特定調停をすべきか判断がつかないという人は、一度、法律事務所の無料相談を利用して専門家からアドバイスを貰っても良いでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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