特定調停

特定調停が不成立になる理由と成立させるコツとは?

特定調停は、弁護士や司法書士といった専門家の力を借りないで債務(借金)を整理できます。しかし、債権者(借金相手)との交渉がうまくいかずに不成立になることもあるのです。

当記事では、特定調停が不成立になる理由を徹底解説します。さらに調停を成立させるコツもお教えします。

特定調停を検討している人は必見です。

目次

特定調停が不成立になる理由とは?

特定調停が不成立になる理由をいくつかあげさせてもらいます。

現在、特定調停を利用する人は徐々に減っているとされています。

※特定調停の申し立て件数は2004年には約38万件でした。しかし2008年には約10万件と急減し、2010年にはさらに約3万件まで減少しています。

こちらをチェックすることで、なぜ特定調停ではなく任意整理や個人再生を選ぶ人が増えているワケが分かるはずです。

申立人自体に債務整理の知識がない

特定調停は、弁護士などの専門家の力を借りることなく自分の力で行うものです。書類も自分で集めなければなりません。書類の作成もしなければなりませんし、調停委員との話し合いも自分でおこなわなければならないのです。

申立人自体に、債務整理の知識や交渉の経験があれば問題がないかもしれません。しかし、ほとんどの人に専門的な債務整理の知識はありません。交渉の経験がある人も少ないでしょう。

つまり、調停で自分に有利な条件で交渉を進められない可能性が高いのです。一方の貸金業者はしたたかです。「申立人には返済能力がある」といった趣旨の指摘をして、調停案を拒否してくる事も十分に考えられるのです。

調停委員に問題がある

特定調停では調停委員が、申立人と債権者(借金相手)の調整を行います。つまり、特定調停は調停委員の能力に結果を大きく左右されるわけです。

調停委員が借金問題について深い知識があり、交渉の経験も豊富であれば問題ありません。しかし借金問題に疎(うと)く、交渉の経験もほとんどない調停委員が担当になってしまう可能性も捨てきれないのです。

本来であれば、調停委員には味方になってもらわなければなりません。しかし借金問題に深い見識がない調停委員に当たってしまうと、負担の重い返済計画を立てられてしまう可能性もあります。

貸金業者が調停には応じない方針である

こちらのケースに該当すると、どうしようもありません。特定調停は、交渉をして双方が納得したうえで合意するものです。よって貸金業者が調停に応じなければ、調停案は合意されません。

一部の業者は現実的な返済計画案を示しても、強硬な姿勢を崩しません。要するに、手詰まり状態になってしまうことも珍しくないのです。

特定調停の不成立を防ぐコツ3つ

特定調停は不成立になる可能性も十分にあります。そこで注目すべきは、どうしたら不成立を防げるのか、という部分です。

こちらでは特定調停を成立させるためには、どのようなことが必要なのかを明らかにします。

明確な数字を出す

返済計画に説得力を持たせることが肝心です。例えば、毎月の返済額を3万円にしてもらうとします。なぜ3万円であれば支払えるのかを、明確に説明できるようにしておきましょう。

あなたの収入額と支出額を明らかにできる書類を用意し、さらに保有資産額も明らかにしましょう。そのうえで最低生活費を算出し、月々の支払える範囲内の返済額を指定してください。

特定調停の合意をもらうために、無理に限界ギリギリの返済額を指定する必要はありません。無理なく生活できる範囲内の返済計画を建てましょう。

焦らないこと

1回目の交渉で、合意しなければならないわけではありません。2回目や3回目にずれ込んでも良いのです。

特定調停を成立させるためには、粘り強く交渉を続けることも大事です。あなたの希望と債権者(借金相手)の希望を徐々に擦(す)り寄せていけば、いずれは合意に至ります。

少し時間はかかってしまいますが、不成立になるよりはマシでしょう。焦って、すぐに結果を出そうとしないでください。

相手方の態度を硬化させないように、柔軟な対応を見せることも肝心です。

返済方式をステップアップ方式にしてもらう

特定調停では、3年間から5年間を目安として返済します。設定された返済期間ですが、毎月一定額の支払いをしなければならないわけではありません。

つまり12回(1年目)は毎月8,000円、12回(2年目)は毎月12,000円、12回(3年目)は毎月15,000円といったステップアップ方式による返済設定もできるのです。

時間が経つごとに、借金が徐々に整理され資金に余裕が出てくることもあります。返済額を少しずつアップさせる、との条件を出して貸金業者側の態度が軟化するか試してみましょう。

調停委員と良好な関係を保つ

調停委員が協力的とは限りません。裁判所が選んだ人材だからといって、100%信頼できるとは限らないのです。

中には、申立人に対し高圧的な態度をとってくる調停委員もいます。返済能力を超えるような返済計画を、勧められる可能性もゼロではありません。

あなたの人生に関わることなので、希望する返済方法や返済額を主張してください。しかし強固に主張を通そうとすると調停委員が納得してくれず、不成立に陥る可能性もあります。よって、折れるべきところは折れる必要もあります。

申立人は調停委員を選べません。調停委員との関係には、気を使わなければならないのです。

特定調停が不成立になった時の対処法

特定調停が不成立になってしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

こちらでは、特定調停が成立しなかった時の対処法についてお伝えします。

17条決定

特定調停の話し合いに債権者が参加しているが、どうしても同意してくれない時に裁判官が17条決定を下すことがあります。調停委員の意見を聞き、裁判官が返済計画などを承認するわけです。

17条決定が出されると、調停に代わる決定書と呼ばれるものが裁判所で作成されます。決定書は、特定調停が成立した時に作成される「調停調書」と同様の効力を持ちます。

ただし、17条の決定は破棄される可能性もあります。17条決定から2週間以内に貸金業者側から異議申し立てをされると、効力を失ってしまうのです。

任意整理または個人再生をおこなう

特定調停以外の債務整理を選択する道もあります。任意整理や個人再生は借金額を減らすものであり、特定調停と大きな差はありません。

さらに専門家である弁護士や司法書士に依頼するものなので、債務整理の知識がなかったとしても問題はありません。裁判所に対する対応や貸金業者との交渉も代行してくれます。

問題はコストでしょう。特定調停は低コストで行なえますが(数千円程度)、専門家に依頼する任意整理や個人再生は数万円から数十万円の費用がかかるのです。そこでおすすめしたいのが、法テラスです。

法テラスには民事法律扶助制度と呼ばれるものがあり、専門家費用を立て替えてもらえます。法テラスに対する支払いは、月5,000円程度です。しかも着手金や報酬金を結果として安くしてもらえます。

※民事法律扶助制度の利用には、所得などの条件があります。

特定調停のメリット・デメリット

特定調停には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット6つ!

  • 費用が安い
  • 調停相手を選べる
  • 強制執行を防げる
  • 資格制限なし
  • ギャンブル目的の借金も整理可能
  • 官報に載らない

特定調停の最大のメリットはコストです。調停相手が多かったとしても、数千円で申し立てができます。あとは交通費程度しかかかりません。

特定調停は、調停する相手を選べます。たとえば、住宅ローンや自動車ローンを除外して資産を守ることも可能です。

調停期間中は、強制執行されません。給与の差し押さえなどの強制執行をストップできる力も、特定調停にはあるのです。

※特定調停を中止させるためには、申し立ての際に「執行停止の申し立て」を提出する必要があります。

特定調停は仕事に全く影響を与えません。自己破産のように、資格停止処分を受けることもないので、どのような仕事でも続けられます。

競馬やパチンコといったギャンブルなどの浪費が原因で借金を重ねた場合でも、特定調停は利用可能です。風俗利用目的の借金でも、問題はありません。

特定調停はあくまで話し合いによる解決なので、官報(国の機関紙)に掲載されることはありません。周囲に特定調停した事実が知られることは、基本的にはありえないのです。

デメリット6つ!

  • 督促の停止まで時間がかかる
  • 手続きが複雑である
  • 過払い金請求が同時にできない
  • 不調に終わることもある
  • ブラックリストに載る
  • 不利な条件で調停が成立してしまうこともある

任意整理や個人再生の場合は、専門家に依頼した場面で貸金業者に受任通知が送られます。早急に取り立てをストップできるのです。しかし特定調停の場合は、書類を用意し申し立てをして裁判所に受理されてから督促がストップします。他の債務整理に比べて、特定調停の場合は督促が長く行われる可能性が高いのです。

特定調停は自分で書類を集め、自分で書類を作成しなければなりません。調停期日に裁判所に出頭しなければならないなど、他の債務整理と比較して手間がかかります。

特定調停の場合は、借金の整理と過払い金の請求は個別で行わなければなりません。つまり過払い金がある場合には、別途請求する必要があるわけです。

不調に終わることがあるのも、特定調停のデメリットです。交渉による和解を目指すのが特定調停であるため、貸金業者側が和解に応じない場合には不成立になるのです。

「官報に載らないのであれば、ブラックリストに載らないのでは?」と思っている人もいるかも知れません。しかし特定調停をした場合も、ブラックリスト入りします。つまり、一定期間(5年から8年程度)はローンやクレジットカードが利用できません。

調停委員の力量不足で、不利な条件で成立してしまうこともあります。不利な返済計画が決定してしまい、大きな負担を強いられる可能性があるのも特定調停のデメリットです。

特定調停の不成立を防ぐのは難しい!任意整理や個人再生も検討しよう!

特定調停が不成立になる理由、および成立させるコツをお伝えしました。

特定調停が不成立になる理由としては、申立人自体に債務整理の知識がない、交渉経験がない、などがあります。他にも、調停委員の力量不足や債権者の態度があります。

特定調停を成立させるためには、明確な返済計画の希望を伝えること、焦らずに柔軟な対応をする、などがあります。

ただ、特定調停を成立させるコツを実践したとしても、非協力的な調停委員や債権者に当たってしまったらどうしようもありません。成立が難しいと判断できる場合は、任意整理や特定調停を検討しましょう。

任意整理や特定調停であれば、専門家である弁護士や司法書士に手続きと対応をお願いできます。専門家が対応してくれるため、希望通りに借金が減額される可能性は極めて高いです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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