特定調停

特定調停をすると完済後5年間は住宅ローンを組めない?

特定調停は、裁判所が仲介役となる債務整理の方法です。なお、特定調停の対象から住宅ローンを外すことができます。そのため、特定調停を実行しても自宅を追い出されるようなことはありません。ただし、特定調停をすると完済から5年間は信用情報機関に登録され続けます。

そのため、新しく住宅ローンを組むことは事実上できません。また、特定調停はタフな交渉が必要なため素人には無理があります。最初から任意整理を選択した方がいいかもしれません。

目次

特定調停って何?

特定調停とは債務整理の一つの方法です。

裁判所が自分と貸金業者の仲介役をしてくれます。弁護士に依頼する場合に比べると費用が安くできる点が大きなメリットです。しかし、仲介役をしてくれる裁判所は自分の代理人ではありません。

そのため、必ずしも自分に有利な結果となる保証はないのです。特定調停にはメリットとデメリットがある点は認識する必要があります。

裁判所が仲介する債務整理です

特定調停は、裁判所が仲介者となり法律的な紛争を解決する手続です。基本的に裁判所側は仲介役に徹するため、交渉で解決することを前提としています。

このことは債務整理である特定調停も変わりません。裁判所は自分の側にも、貸金業者の側にも付かないのです。これに対し、任意整理の場合は弁護士が自分の代理人となり債務整理をしてくれます。弁護士が自分に有利な交渉をしてくれるのは当然です。

しかし、特定調停は自分と貸金業者が話し合いをする必要があります。もちろん裁判所側も法律的な知識がない人を貸金業者と同列には扱いません。ある程度の助け舟は出してくれるでしょう。しかし、両者の力の差は歴然としています。自分が不利になりがちなことは当然です。

調停委員が仲介します

実際に特定調停で仲介役となるのは裁判官ではありません。裁判所が選任した調停委員です。また、調停委員が弁護士などの法曹資格を持った人も限りません。地元の有力者が「名誉職」として選任されている場合もあるのです。

つまり、調停委員が債務整理のプロである保証はありません。弁護士が調停委員であっても債務整理の専門家とも限らないです。むしろ債務整理については専門外である可能性が高いでしょう。もちろんある程度の知識は持っていらっしゃるのでしょうが、不安は残ります。

自分に有利な結果になるとは限らない

裁判所が選任する調停委員は自分が選任したわけではありません。もちろん貸金業者が選任したわけでもないのですが、自分に有利な立場には立ちません。

調停委員にもいろいろな人がいます。「借りたお金は契約通り返済するのは当然」と考える人もいらっしゃるかもしれません。もちろん自分の事情を正直に話すことで自分に有利になるように頑張る人もいます。しかし、自分で選任できない以上は特定調停が自分に有利な結果になるとは限りません。

特定調停と住宅ローンの関係

特定調停を検討している方には、住宅ローンを計画する方もいらっしゃるはずです。しかし、特定調停をすることで住宅ローンの審査に悪影響が及ぶかと心配でしょう。

特定調停をすると、信用情報機関に登録されます。登録されるとブラックリストとして取り扱われるのでローン借入は無理です。事実上、審査で落とされるので借りることができなくなります。

日本には、次の3つの信用情報機関があります。

  • シー・アイ・シー(略称CIC)
  • 日本信用情報機構(略称JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(略称KSC)

貸金業者や銀行は、この3つの信用情報機関に加盟していることがほとんどです。銀行では住宅ローンに限らず、ローンの審査ではこれらの情報を全て照会します。そのため、特定調停を登録されると、住宅ローンの借入審査に通りません。

特定調停をすると信用情報機関に登録される

特定調停をすると貸金業者はその事実を信用情報機関に登録します。一般に「事故情報」と呼ばれる情報ですが、特定調停は業界では「事故」なのです。

この事故情報には種類がいくつかあり、一般的に「ブラックリスト」と呼ばれています。特定調停のような債務整理をすると契約内容が変更になり、これも事故情報なのです。

完済後5年以上は登録が残る

では、ブラックリストとして登録されると一体いつまで登録されるのでしょうか。

特定調停の場合、どの信用情報機関も5年間経たないと削除されないと言われます。ちなみに5年間という期間は特定調停で決まった返済が完了してからスタートです。 特定調停では一般的に3年間で元本返済をする条件で和解をします。つまり、予定通り完済しても3年プラス5年の8年間登録され続けるのです。

特定調停の情報があると住宅ローンは組めない

特定調停をすることで信用情報機関に登録されると、ローンが組めなくなります。貸付を禁止しているわけではないのですが、金融機関の内規で決まっているのです。

つまり、特定調停をすると最低8年間は住宅ローンが組めません。将来、住宅ローンを借りてマイホームが欲しいという人は要注意でしょう。

返済中の住宅ローンに与える影響

特定調停をしようとする人には住宅ローン返済中の方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、特定調停後も住宅に住み続けることができるか不安なはずです。

自己破産の場合は、住宅ローン返済中であっても住宅は没収です。個人再生では住宅ローンを除外する特則があり、住み続けることができます。特定調停ではどうなのでしょうか。

特定調停は対象債務を選択できる

特定調停の特徴として、対象債務を選択できることが挙げられます。いくつかある借金のうち都合の悪い借金は特定調停から外せばいいのです。

もし、住宅ローンを特定調停の対象とすれば、銀行は住宅を差し押さえるでしょう。当然、住宅に住み続けることはできません。しかし、住宅ローンを対象にしなければ影響を受けることはありません。

実際に特定調停をする人で住宅ローンを対象にする人は皆無です。担保がある債務を債務整理しても差し押さえられるだけなので意味がありません。 特定調停をした後も住宅ローンの返済は従来通り続ける必要があります。しかし、特定調停をしたというだけの理由で住宅からは追い出されません。

住宅ローンを除いて特定調停ができる

特定調停は債務を選択することができます。そのため、住宅ローンを借りている人は住宅ローンを除いて特定調停をするのです。

特定調停の交渉では、自分の返済能力を貸金業者に説明する必要があります。そうしないと交渉ができないからです。そのため自分が住宅ローンを借りていたり、他に債務があったりすることはバレます。

しかし、だからと言って特定調停の交渉が止まることは殆どありません。もちろん貸金業者に交渉する気がなければ文句を言うでしょう。しかし、そのような貸金業者は最初から交渉する気がないのです。

そのような貸金業者でなければ、住宅ローンの有無で交渉が止まることはありません。住宅ローンを除いて特別調停をすることは十分可能です。

返済計画の作成の際には住宅ローン返済もお忘れなく

特定調停では自分に不都合な債務を除いて債務整理ができます。これは大きなメリットです。しかし、返済計画を立てる際に住宅ローンなどの返済を忘れないことは注意点でしょう。

弁護士に債務整理を依頼すると、返済計画まで全て立ててくれます。そのため自分で返済資金のことを考える必要はありません。しかし、特定調停では自分で全て考える必要があります。

特定調停の話し合いが終わると和解調書という新しい契約書を作ります。ここには強制執行の条項があり、返済が滞ると訴訟なしに給料の差押が可能です。無理な返済計画は絶対に立てることはできません。今後、自分が住宅ローンを含めた借金返済ができるかどうかの確認は必須です。

困ったら弁護士に相談しよう

特定調停は弁護士を通さないので費用がかからないと言われています。しかし、実際に特定調停で貸金業者と交渉を開始すると、大変なことがわかるでしょう。

もし、特定調停を始めたものの自分だけでは対応できなくなったら迷わず弁護士に相談することをお勧めします。

自分だけで特定調停をするのは難しい

特定調停は裁判所の調停委員が仲介してくれます。しかし、調停委員は自分の味方ではありません。自分の交渉なので自分自身でどのように話をするか考える必要があります。

しかし、これは簡単ではありません。交渉だけでもずいぶんと大変ですが、裁判所に何度か出頭する必要があります。しかも、裁判所は平日の昼間しか開いていません。当然、日時は裁判所から指定されるので、自分の都合に合わせることは難しいでしょう。

自分が出席しないと特定調停は進みません。結果として、途中でギブアップしてしまう人も少なくないのです。もちろん交渉自体も貸金業者が相手なので簡単に進まないことがほとんどでしょう。

実際に自分だけで特定調停を最後まで終わらせることは難しいのです。

早めに弁護士に相談した方が賢明

特定調停は自分だけで最後まで終わらせることは難しいです。法学部出身者の中には「自分は知識があるから」と思っている人もいるかもしれません。しかし、債務整理のプロである弁護士は法律の知識だけで仕事をしていないのです。交渉のテクニックに長けているから債務整理で貸金業者などと交渉をしています。

つまり、とても手に負えないとわかったら、早めに弁護士に相談した方がいいのです。下手に頑張ってしまうと自分の仕事に影響が及びかねません。特定調停で債務返済額を下げても、勤務成績が悪く減給になったら意味がないでしょう。

債務整理を専門とする弁護士は少なくありません。早めの相談が自分の債務を確実に減らします。

最初から任意整理を選択したほうがいいかも

特定調停は素人では手に負えないことがほとんどです。そのため、特定調停を開始後であっても弁護士に相談した方がいいでしょう。住宅ローンなどを返済中の人であってもいいアドバイスを得られるはずです。/p>

しかし、逆に言えば特定調停を最初からすべきではないかもしれません。つまり、最初から弁護士に任意整理を依頼するのです。特定調停も任意整理も最終的な着地点はほとんど変わりません。むしろ特定調停が返済期間を3年としているのに対し、任意整理は5年もありえます。

もちろん、最初から弁護士に依頼して効率的な債務整理ができるメリットもあるでしょう。特定調停より任意整理の方がいい結果に結びつくことが多いのです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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