特定調停

特定調停の返済方法(期間・金額)とは?

特定調停は自己破産とは異なり、借金がゼロにはなりません。返済ができる可能な範囲内とされる借金が残ることになり、調停後には支払っていかなければならないのです。

当記事では、特定調停の返済方法について徹底解説します。返済期間は、何年程度に設定されるのでしょうか。返済金額はどのようにして決まるのでしょうか。さらに返済計画の適切な立て方についてもお伝えします。

特定調停を計画している人は必見です。

目次

特定調停後の返済方法とは?

特定調停後の返済方法についてお伝えします。返済方法の決定方法や、返済期間、さらには返済金額についても詳しく解説します。

返済方法は申立人・調停委員・債権者の合意で決定される

返済方法の決定方法は、話し合いです。交渉によって、申立人と債権者(借金相手)の希望を調停委員が調停し合意の道を探ります。申立人と債権者の双方が納得したのであれば、調停案が認められたことになり、案に沿って返済が行われることになるのです。

ただ申立人と債権者の意見の隔(へだ)たりが埋まらず、調停案が合意されないこともあります。合意されなかった場合は、裁判所が「調停に代わる決定」という形で解決策が出されます(17条決定)。17条決定に関しては、2週間以内であれば異議申し立てが認められています。異議申し立てされると、17条の決定は破棄されるわけです。

返済は振り込みが多い

申立人と債権者が合意したら特定調停は成立します。特定調停の成立後は、毎月債権者に対し申立人は返済をしなければなりません。気になるのは、返済方法です。

特定調停の返済方法は、合意の内容によります。一般的には、債権者の金融機関口座に対する振り込みが多いです。振り込みにかかる手数料は、申立人が負担することになります。

返済期間は原則3年

特定調停では、返済期間も話し合われます。原則的に返済期間は3年間とされ、例外的に最長5年まで設定してもらえます。3年を超える返済期間を設定してもらうためには、債権者に認めてもらわなければなりません。3年で支払えない理由を明確にしておきましょう。

5年以内に返済しきれない場合は、特定調停を選択できません。つまり10年や20年といった長期の返済でしか返済ができない場合には、他の債務整理を選択して借金をより多く減らすなどの対策を立てるしかないわけです。

特定調停中は返済不要

特定調停中の借金の返済を気にしている人も多いでしょう。特定調停の手続きを開始した時点で、取り立て(督促)はストップします。

厳密には、簡易裁判所に特定調停を申し立てると、裁判所から債権者に対して通知が送られます。その通知が届いた時点で、債権者の取り立ては禁止されるわけです。

個人再生や任意整理、自己破産といった他の債務整理に関しては、弁護士や司法書士に依頼した時点で取り立てがストップします。つまり特定調停に関しては、他の債務整理と比較すると若干ではありますが、取り立てがストップするまでに時間がかかってしまうのです。

特定調停の返済方法を希望通りにするコツ

特定調停では、申立人は少しでも返済金額を少なくしたいものです。一方で、債権者は少しでも多く返済してほしいと考えます。返済期間に関しても、申立人は負担を楽にするために返済期間を少しでも長くしてほしいと考えます。一方で、債権者はなるべく短期間で返済してもらいたいと思っています。

特定調停に対する思惑は、申立人と債権者で大きく異なるのです。こちらでは、申立人が特定調停における返済方法を希望通りにするコツについて徹底解説します。

説明できる返済金額・返済期間を設定する

なぜその返済金額を主張するのか、なぜその返済期間を望むのかを明確に説明できるようにしましょう。申立人の願望だけで、債権者が納得するほど、特定調停は甘いものではありません。調停委員からダメ出しをされる恐れもあります。

返済金額を毎月3万円にしてもらいたいのであれば、毎月の収入額から支出額を引き、余ったものから回せるお金が3万円であることを説明できなければなりません。給与明細書などを用意するのは当たり前です。さらに月々の支出額も説明できるように、家賃や光熱費などの固定費やそれ以外の支出についても領収書などを確保して調停委員に提出しましょう。

返済期間を長くしたいときにも、上記した収入額や支出額の証明が大きく関わってきます。特定調停では、原則3年間での返済を求められます。しかし債権者が認めれば、最長で5年間まで設定してもらえるわけです。

「収入額と支出額はこのくらいなので3年間で返済するのは難しく、5年での長期分割をお願いしたい」と交渉してみましょう。何も証拠も示さずに返済期間の交渉をしても認めてもらえません。

調停委員や債権者の意見にも耳を傾ける

自分の考えに固執しないでください。自分の主張や希望だけを押し通そうとすると、債権者の態度を硬化させる原因を作ることにもなりかねないのです。

調停委員や債権者の意見にも耳を傾け、折れるところは折れましょう。「特定調停は交渉次第」と覚えておくべきです。

粘り強く交渉すること

自分の意見が受け入れてもらえなかったからといって、すぐに諦めないでください。特定調停は、1回目の期日で成立しなければならないわけではありません。2回目や3回目、さららにはそれ以上に渡って話し合いを重ねても良いのです。

交渉を重ねるということは、それだけ長くの時間を特定調停に掛けるになります。しかし無理な返済計画で合意してしまうと、調停後に滞納する恐れもあります。滞納してしまえば強制執行される恐れがあるので、無理な返済計画で合意するのは厳禁です。

返済金額はできるだけギリギリを狙う

明らかに余裕のある返済金額では、調停委員や債権者を納得させられません。返済金額に関しては、あなたの支払い能力のギリギリを狙うべきなのです。

もちろん、「収入額-支出額」で導き出された金額のすべてを返済額にする必要はありません。生活にゆとりが、全くなくなってしまうからです。病気になって病院にかかるなどの臨時支出があったら、返済はできなくなるでしょう。

返済金額の目安に関しては、「収入額-支出額」で導き出された金額の70%が適切、と言われています。もちろん目安なので、必ずしも70%にする必要はありませんが、参考にしてもらえたら幸いです。

特定調停後に返済ができなくなったらどうなるの?

特定調停の成立後も、返済をしなければなりません。しかし計画通りに返済ができなくなることもあります。仕事を失ってしまうこともあるかもしれません。身内の不幸が重なり、出費がかさむこともあるでしょう。

こちらでは、特定調停の返済ができなくなったらどうなるのかを明らかにします。

強制執行させられる可能性あり

特定調停成立で合意した内容は、裁判の判決と同等の効力を持っています。仮に返済が滞ってしまうと、債権者には「強制執行」による債権回収(借金回収)も認められるのです。

つまり申立人の財産の差し押さえであるとか、給与の差し押さえまで出来てしまうのです。給与の差し押さえをされてしまうと職場にも借金が発覚し、さらに返済ができなくなっていることまで知られてしまいます。

強制執行は避けたい!だったら債権者へすぐに連絡すること

返済が出来ない旨を、すぐに債権者に対して伝えてください。連絡が遅れてしまうと印象も悪くなります。

ちなみに1回程度であれば、「返済をうっかり忘れただけ」ということで、大きな問題にされないことも考えられます。もちろん、すぐに返済はしなければなりません。

返済ができないときには、まずは状況を伝え、なぜ返済ができなかったのかを明らかにしましょう。そして、いつまでに返済できるかも同時に伝えてください。

他の債務整理も検討しよう

調停成立後に返済が難しくなったら、他の債務整理も検討すべきです。調停調書や決定書の内容が守られない状況であり、何もしないでいると、より状況は悪化します。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

以上の債務整理を検討しましょう。特に自己破産に関しては、特定調停とは異なり借金がゼロになります。

返済能力がほとんど無いような状況であれば、弁護士などの専門家に相談し、あなたにマッチした債務整理方法を教えてもらいましょう。

特定調停手続きの大まかな流れとは?

特定調停手続きの流れを簡単に解説します。

書類の準備

特定調停には、「特定調停申立書・財産状況等明細書・権利関係者一覧表」を提出しなければなりません。裁判所のホームページからダウンロードできますし、簡易裁判所の窓口にも用意されています。

他にも、以下の書類の提出が求められます。

  • 戸籍謄本・住民票
  • 所得証明書類・・・給与明細書や通帳
  • 借り入れ証明書類・・・契約書や領収書

特定調停の申込み

特定調停の申込みは、簡易裁判所で実施します。債権者の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てるのが一般的です。

特定調停を申し立てると、裁判所が調停委員を選任します。

調停期日の通知

調停委員からの聴取が行われる期日が決定します。裁判所への呼び出し日を記した書類が郵送されてきます。

調停委員からの聴取

申立人が裁判所に出頭し、調停委員から聴取を受けます。債権者は呼び出しされません。

今後の返済計画をねるために、収入状況や支出状況が確認されます。

調停期日

申立人だけではなく債権者も簡易裁判所への出頭を求められます。調停案に対する話し合いが行われるのです。

双方が合意すると、調停調書が作成されます。合意されなければ、また調停期日が設定され話し合いが継続します。

返済の開始

調停調書に沿って返済が行われます。

特定調停後の返済方法を把握した上で返済計画を練ろう

特定調停の返済方法(期間・金額)についてお伝えしました。特定調停後の返済は、振り込みで行われるのが一般的です。返済期間は原則3年間であり、認めてもらえた場合のみ5年程度まで伸ばせます。返済金額の目安は、「収入-支出」の70%程度です。

特定調停をする上で大事になるのが、自分にとって有利な返済条件にすることです。調停委員や債権者を納得できる資料を集め、有利に交渉を進めましょう。しかし特定調停は、弁護士や司法書士に頼らずに自分でおこなう債務整理です。調停委員や債権者との交渉の難易度はかなり高いです。

特定調停をする前に、まずは弁護士や司法書士に相談してみましょう。どんな返済方法が適しているのかを、検討してもらうのもおすすめです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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