特定調停

特定調停で代理人を立てるメリット・デメリットとは?

特定調停は債務整理の一つとされており、借金の解決法の一つです。しかし、詳しい内容まで知っている人はごく少数にとどまっています。

当記事では、特定調停とはどのようなものなのか、さらには本人以外が裁判所に出廷できるのか(代理人が立てられるのか)を明らかにします。特定調停のメリットとデメリットにも迫るので、借金問題で悩んでいる人は必見です。

目次

特定調停とは?借金はどれくらい減るの?

特定調停とは、裁判所を介して借金の返済額を減らす制度の一つです。借金している側の申し立てにより、簡易裁判所が債権者(融資側)を仲裁します。

主に返済条件の緩和などが、裁判所の仲介により話し合われます。債務整理は、借金をしている側の負担を軽減させるのが目的です。

ただし特定調停を利用するためには一定の条件もあります。

特定調停の条件

  • 調停後3年程度に返済できること
  • 継続的な収入が得られる見込みがあること

以上の2つの条件を満たさなければなりません。特定調停は自己破産とは異なり、借金をゼロにするわけではありません。一定の返済額が残るので、返済能力を有している人でなければ利用できないのです。

現状で無職であり、すぐに就職先が見つかるあてがない場合には利用できません。

どのくらい借金が減るのか?

まず過払い金がある場合には、減額してもらえます。過払い金とは、支払いすぎた利息金のことを指しています。2010年の法改正以前の借金については、過払い金が発生している可能性が高いです。

過払い金には、時効があるので注意してください。過払い金は、完済してから10年で時効を迎え請求できなくなります。

過払い金以外の返済額の減額は交渉次第です。債権者(融資側)が納得しなければ、減額してもらえないこともあるのが特定調停なのです。

特定調停は代理人を立てられるのか?

特定調停は、個人で行う債務整理のことを指しています。つまり、弁護士や司法書士などの借金問題の専門家を利用しません。一般的に代理人を用いないのが特定調停なのです。

特定調停の場合は、借金をしている側と債権者(融資側)の間に裁判所が入ります。裁判所が双方の要望を取りまとめ、和解へと導いてくれるわけです。

ただし、裁判所への出頭に関しては代理人を立てられます。特定調停の場合は、裁判所へ指定された期日に出頭しなければなりません。基本的には弁護士や司法書士を利用しないのが特定調停なので、自らが出向かなければなりません。

でも仕事があったり、どうしても外せない用事ができてしまったりすることもありますよね。そこで「代理人許可申請書」というものを出して、自分の代わりに代理人に出頭してもらうのです。

民事調停規則にも、以下のように記載されています。

(本人の出頭義務)
第八条 調停委員会の呼出しを受けた当事者は、自ら出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
出典:民事調停規則 第8条

代理人の条件とは?

個人の特定調停である場合には、家族を代理人として立てられます。会社である場合には、従業員を代理人として立てられます。

特定調停の代理人の基本的な考え方は、債務問題(借金問題)の実情に詳しい人であれば代理がつとまる、というものです。よって個人であれば家族、会社であれば従業員を代理に裁判所への出頭が認められているわけです。

「債務問題(借金問題)の実情に詳しい人であれば代理がつとまる」のであれば、弁護士や司法書士を代理人にしても良いのでは、と思う人もいるでしょう。実は、代わりに弁護士や司法書士に出頭してもらうことも可能です。

民事調停規則第8条には、以下のように記載されています。

民事調停規則第八条

2 次に掲げる者以外の者を前項の代理人とするには、調停委員会の許可を受けなければならない。
一 弁護士
二 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第二項に規定する司法書士(同条第一項第六号ニに掲げる手続に係る事件に限る。)
3 調停委員会は、いつでも、前項の許可を取り消すことができる。
出典:特定調停規則 第8条 第2項および第3項

つまり借金問題を弁護士や司法書士に相談していたのであれば、事情に詳しいので出頭が認められます。しかも、調停委員会の許可を受ける必要もありません。特定調停規則にも明記されているので、弁護士や司法書士の利用は全く問題ないことなのです。

しかし、一般的に弁護士や司法書士を利用しない人が多数です。その理由は、簡易裁判所の調停員が本人と貸金業者の間を仲介してくれるからです。特定調停で弁護士や司法書士を利用する場合には、相談や代理で出頭してもらうだけ、となってしまうことも多く、結果として高く付いてしまいます。よって、弁護士や司法書士を利用しないで特定調停する人が多いのです。

代理人許可申請書とは?

自身のかわりに裁判所に出頭してもらうためには、必ず「代理人許可申請書」を提出しなければなりません。書類については、裁判所のホームページよりダウンロード可能です。記載例もホームページ上に掲載されているので、確かめた上で記入しましょう。

特定調停のメリット・デメリット

債務整理には、特定調停以外にも自己破産や任意整理、そして個人再生があります。他の債務整理と比較して、特定調停にはどのようなメリットとデメリットが有るのでしょうか。

メリット5つ

  • 費用が安く済む
  • 官報に載らない
  • 職業制限なし
  • 整理対象ローンを選べる
  • 債権者との直接交渉が不要

特定調停の最大のメリットは費用が安く済む、という部分です。手続きを自分で行うため、弁護士や司法書士にかかる費用をカットできます。他の債務整理で専門家を利用すると、数十万円の報酬を支払わなければならないこともあります。

特定調停は、印紙代と郵便切手代が実費としてかかってくるのみです。1社につき500円程度で済むことも珍しくありません。

自己破産や個人再生の場合は、名前が官報(国の機関紙)に載ります。しかし特定調停をしても官報に名前が載ることはないので、周囲に債務整理をしたことがバレません。

特定調停後も仕事を続けられます。資格制限が一切ないのも特定調停のメリットであり、自己破産のように士業や警備員、保険外交員としての資格を停止されることもないのです。

特定調停では、債務整理先のローンを選べます。つまり住宅ローンや自動車ローンを除外することで、財産を守れます。また、連帯保証人がいる借金だけを特定調停から外すことも可能です。

特定調停は、裁判所が仲介してくれるので直接債権者(借金相手)と交渉する必要はありません。裁判所が双方の要望を聞き、調停委員の主導で解決案を作成していきます。よって借金相手と口論になることもありません。

デメリット5つ

  • 自分で手続きしなければならない
  • 督促のストップまで時間がかかる
  • 借金を思ったほど減額してもらえない可能性あり
  • 裁判手続きは平日に実施される
  • 不調に終わることも

特定調停のデメリットには、手続きがあります。他の債務整理は、弁護士等の専門家に依頼しますが、基本的に特定調停は個人で行います。つまり面倒な書類の作成も自分で行わなければなりません。

督促のストップまでに時間がかかる点も、特定調停のデメリットです。他の債務整理の場合、弁護士や司法書士に依頼し受任された時点で督促がストップします。しかし特定調停の場合は、裁判所への申し立てが完了するまで督促が続いてしまうのです。

思ったほど、返済額が減らない可能性があるのも特定調停のデメリットです。あくまで交渉であり、裁判所側があなたに高い返済能力がある、と判断すると大きな減額を認めてくれないことも考えられるわけです。

特定調停では裁判所への出頭が必要ですが(代理人も可)、平日のみです。最低でも2回出廷が命じられ、しかも調停の相手が増えれば増えるほど出廷回数が増える可能性まであります。平日に仕事をしている人にとっては、大きな負担になりかねません。

裁判所を介しても和解が成立しないことはあります。債権者(借金相手)には、拒否する権利が認められているからです。弁護士や司法書士に依頼する他の債務整理であると、専門家が対応するので有利な条件で交渉も進められます。しかし特定調停に関しては、債権者側も強く出てくるケースが多く、結果として不調に終わることも珍しくありません。

特定調停は専門家の代理人を立てないので難易度が高い

特定調停は、弁護士や司法書士といった専門家を代理人として立てないのが一般的です。特定調停は、書類の作成や手続きも自分で行わなければなりません。つまり債務整理の中でも、極めて難易度の高いのです。

もちろんコストが安い、というメリットはあります。1社あたり数百円の実費で済むこともあり、低コストで借金問題を解決したい人には一つの選択肢になるでしょう。

ただ特定調停が不調に終わることも珍しくないのは確かであり、和解を成立させるためにはかなりの労力がかかり、知識も必要です。まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。その上で特定調停を選ぶのか、それとも自己破産・任意整理・個人再生を選ぶのかを決めるべきです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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