特定調停

特定調停の真実|債権者との借金減額交渉は誰がするのか?

特定調停とは裁判所に仲介をしてもらい、債権者(借金相手)との交渉により借金減額の目指すものです。つまり債権者と話し合いをして、その上で借金の減額を認めてもらえなければ調停は成立しません(17条決定という方法もある)。

そこで気になってくるのが、債権者との交渉は誰が行うのか、という部分です。自分で行うとなると、精神的にも大きな負担になるでしょう。債権者はお金を貸してくれた相手であり、自分は約束した返済ができなくなってしまったわけです。立場的には、かなり弱いことになります。

当記事では、特定調停における借金相手との交渉に焦点を当てます。自分で交渉しなければならないのでしょうか。特定調停における債権者の選択についても徹底解説します。

目次

特定調停では債権者と交渉しなければならないの?

特定調停の場合、債権者(借金相手)と直接交渉することは基本的にありません。

特定調停といえば、代理人に弁護士や司法書士を利用しません。基本的に特定調停を申し立てた人が、ほとんどの手続きを自分で行います。よって、「債権者との話し合いも自分でしなければならないのでは?」と思われていることも事実です。

しかし特定調停で債権者と話し合いを行うのは、裁判所から専任された調停委員です。

※調停委員とは・・・弁護士資格を持っている人、民事や家事の紛争の解決に必要な専門的な知識を持っている人(司法書士資格を持っている人など)の中から選ばれます。

調停委員は、まず特定調停の申立人の意見や事情を伺います。さらに債権者側とも交渉をして、双方の納得の行く調停案を作成していくわけです。

要は、申立人と債権者との橋渡しをしてくれる存在であり、交渉を代行してくれるのです。

調停委員と債権者との交渉の中身

もう少し具体的なお話をすると、調停の第1回目の期日では申立人に対する事情聴取が調停委員によって行われます。つまり第1回目の期日については、債権者は裁判所には訪れません。債権者と顔を合わせることすらないのです。

問題となるのが、2回目以降の調停です。2回目以降は、債権者も交えて話し合いが行われます。共に裁判所に出頭するわけですが、この時も交渉することはありません。

2回目以降は、申立人も債権者も調停委員と話し合いを行うわけですが、交互に行われます。同時に調停委員に聴取されるわけではありません。たとえば、申立人が調停委員と話し合っている時は、別室で債権者は待機しています。債権者が調停委員と話し合っている時は、申立人が別室で待機しています。以上のように、2回目以降の調停でも話し合うことはありません。

特定調停をした場合は、債権者と直接的に交渉する必要がないことがわかりました。では、次に気になってくるのが、債権者との顔合わせでしょう。特定調停をするうえで、債権者と会うことはあるのでしょうか。

債権者と顔を合わせることはあるの?

債権者と顔をあわせないことが一般的です。

債権者と申立人は、交渉はしませんが顔を合わせる可能性はゼロではありません。調停案が成立すると、双方が呼ばれて案に合意するわけです。つまり合意した場合のみ、債権者と顔を合わせることになります。

しかし、貸金業者に関しては一般的に裁判所に出頭しません。調停案に関する話し合いは電話で行うことが多いので、その場に債権者の関係者が来る可能性は極めて低いわけです。

以上のように、特定調停を行ったとしても債権者と交渉する必要はありません。さらに、顔を合わせる確率も極めて低いのです。

一部の債権者だけ特定調停しない?調停相手って選べるの?

特定調停では、調停する債権者(借金相手)を選べます。例えば、担保があるローンのみを調停から外すこともできるわけです。住宅ローンであるとか、自動車ローンを特定調停から外し、財産を守ることも可能です。

担保があるローン以外でも、調停から除外を検討すべき借り入れがあります。たとえば、連帯保証人が設定されている借り入れです。

連帯保証人が設定されている借り入れを特定調停してしまうと、請求が保証人にされてしまします。保証人になってくれた人に迷惑をかけることになるので、連帯保証人がついているローンを特定調停から外す人も多いのです。

しかし一部の借金だけを特定調停から除外するのは、あまりおすすめではありません。一部の借金だけ除外することで、調停から除外されなかった債権者が不平等に感じてしまう恐れがあるからです。調停に応じてくれにくくなることもありえるので、一部の債権者を除外する場合には理由を明確にしなければなりません。

特定調停で一部の債権者を除外する際の注意点

  • 特定調停できたとしても返済状況が改善しない可能性あり
  • 一部の債権者を除外した事実を裁判所に伝えること

特定調停で一部の債権者を除外すると、借金の減額割合が低くなります。つまり特定調停したとしても、借金の返済額が大きく減るわけではありません。特定調停に成功したとしても、思ったような効果が得られない可能性が出てきてしまうのです。

特に住宅ローンのような大きなローンを除外すると、毎月10万円を超える返済が残ることもあるでしょう。一部の債権者を特定調停から除外することで、生活再建が難しくなることもあるのです。

特定調停手続きの際に、一部の債権者を調停から除外した事実は必ず裁判所に伝えてください。つまり申立書の添付書類に記載する必要がある、ということです。

書類によって除外した債権者の事実を伝えないと、裁判所としても状況を把握できません。特定調停の手続が混乱をしてしまい、調停成立までに時間がかかってしまう恐れもあるのです。裁判所や調停委員に不信感を持たれるかもしれません。

特定調停から一部の債権者を除外するのであれば、事実を正直に伝えましょう。

特定調停のやり方|手続きの流れとは

特定調停は、弁護士や司法書士に依頼せずに自分で手続きする債務整理です。こちらでは、特定調停のやり方について簡単に説明します。

簡易裁判所へ行き書類を受け取る

最初に行うべきは、申し立てを予定している簡易裁判所の窓口へ行く、というものです。債権者(借金相手)の所在地を管轄している簡易裁判所へ向かってください。

簡易裁判所へ行ったら、特定調停の申立書を受け取ってください。さらに窓口の係員に、必要になる書類や費用なども教えてもらいましょう。

書類の準備

特定調停の申立書を完成させましょう。書き方などが示されていると思うので、指示通りに記載してください。

申立書には、所有している財産の明細書や債権者の一覧表を添付する必要があります。それなりの時間がかかるので、余裕を持って作成してください。

申立書以外にも、住民票の写しなどの書類の準備も同時に進めましょう。

特定調停の申し立て

書類が全て揃ったら、簡易裁判所へ行き提出します。提出した書類が受理されると、特定調停の申立てが完了したことになります。この時点で、貸金業者に対し通知が送られます。通知が送られた貸金業者は、取り立てが禁止されます。

申し立てのときですが、書類以外にも提出しなければならないものがあります。

  • 収入印紙
  • 郵便切手

以上の2つです。裁判所によって金額が異なっているので、事前に確認しておきましょう。

第1回の調停期日

申立人のみが裁判所へ呼び出されます。調停委員との話し合いが実施され、借金の状況や返済計画を話し合います。

第2回の調停期日

申立人だけではなく、債権者も裁判所に出頭を要請されます。

申立人と債権者が個別に調停委員と話し合いを行い、それぞれ意見などを求められます。ただ、貸金業者側は通常出頭しません。貸金業者側は、電話で調停委員と交渉します。

早ければ、2回目の調停期日で調停案が成立します。しかし双方が合意しなければ、3回目や4回目、と続いて実施されます。

調停証書の作成または17条決定

話し合いがまとまったら、裁判所が調停証書を作成します。調書に記載された内容に従って返済します。

話し合いがまとまらなかった場合は、それまでの交渉に基づき17条決定を下します。17条決定とは、調停証書と同じような効力を持っているものです。異議申し立てがされなければ、17条決定の内容で返済していけば良いのです。ただし異議申し立てされると、17条決定は効力を失います。

債権者に返済しないでOK?特定調停の時効とは?

借金には時効があります。5年間返済せずに裁判も起こされていなければ、借金の返済義務は消滅します。5年を超えて請求された場合は、返済しなくても問題ありません。

そこで気になるのが、特定調停における時効です。特定調停は、借金は減額されるものの返済をしなければなりません。こちらでは、特定調停における時効についてお伝えします。

特定調停の時効とは?

10年です。特定調停をしたものの返済ができずに、10年経過した場合には時効が成立し、支払う必要はなくなります。

通常の借金の時効(5年)よりも長く設定されているのです。

特定調停をおこなうと時効はリセットされるの?

リセットされます。

通常の借金の時効は5年です。「3年返済できずに特定調停した場合は、調停後2年返済しなければ時効になるのでは?」と思っている人もいるでしょう。

特定調停をすると、時効はリセットされます。よって時効を迎えるのは、特定調停を行ってから10年後、となってしまうわけです。

特定調停後の時効を成立するために必要なこと

特定調停後の時効は、債権者(借金相手)に時効の成立を主張しなければ適用されません。貸金業者側に内容証明郵便を送り、時効を迎えたことを伝えなければならないのです。

特定調停は債権者と交渉しないで済むが手続きは自分でやる必要あり

特定調停は、債権者(借金相手)と交渉する必要は一切ありません。特定調停の申立人と調停委員が作成した返済計画は、調停委員によって債権者に伝えられます。そして債権者の意見も聞いた上で、調停が成立するかが決まるわけです。

消費者金融等の貸金業者の多くは、基本的に裁判所へ出頭することもありません。よって債権者と裁判所で偶然に鉢合わせしてしまう、といったこともないのです。

特定調停では債権者と顔合わせすることさえ基本的にありませんが、手続きの大半は自分で行わなければなりません。用意しなければならない書類も多く、大きな負担になることも確かです。

まずは弁護士や司法書士に相談し、特定調停以外の債務整理も検討しましょう。自身にとってより良い借金解決方法を探った上で、特定調停を選択するか決定すべきです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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