民事再生(個人再生)

目次

民事再生って何?どんな債務整理方法なのか?

民事再生は民事再生方法に基づく裁判手続きとなり、債権の返済が困難な債権者を再生させるための手続きです。個人の債務者が行う場合には「個人再生」と呼ばれますが、経営が苦しくなった企業が行う場合には「民事再生」と呼ばれます。

民事再生は破産手続きのように会社を倒産させることが目的ではなく、民事再生によって会社を再建させることが目的となります。経営難に陥ったものの会社を倒産させたくない場合、民事再生を利用することで事業を継続することができるのです。もちろん再建の過程で組織改革や規模の縮小などを伴う可能性はあるものの、経営を継続できるので経営者や従業員、取引先も甚大な被害を受けることなく済むという点が大きなメリットでしょう。

破産手続きをしてしまえば全ての財産や資産は換価されてしまい、会社自体が消滅してしまうことになります。現在の業務を継続しながら再生計画案を立てることができ、再生計画案が認可されれば業務を継続しながら弁済をしていくので、業務への支障も少なく済みます。しかも、経営者を交代させなければいけないという制約もないので、これまで同様に事業経営を行うことができるのです。

この再生計画は会社債権者などの利害関係者の多数の同意のもとに策定され、利害を適切に調整しながら事業再建が図られます。そのため、債権者からの同意は必須であり、同意を得られなければ再生計画案は認められません。

債務に関しては一部は免除され、最大10年の弁済期間延長も可能です。民事再生とよく似た会社更生という手続きもありますが、会社更生では経営者は退任する必要があり、時間をかけて再建していくことになります。ただし、会社更生は大企業で適用されるケースが多いので、中小企業では民事再生が選択されるケースが多くなっています。

つまり、民事再生は中小企業が経営難から再建するための方法の1種で、会社を存続させたまま圧縮された債権を弁済していく手続きです。

民事再生が向いている会社とは

経営難に陥った企業であれば民事再生を申し立てることはできますが、必ずしもどの企業も民事再生が向いているとは限りません。

要件を満たしていなければ再生計画案は認可されませんし、民事再生したからといって会社が絶対に立ち直るというわけでもないのです。

どういった会社が民事再生申立に向いているのか見ていきましょう。

1.民事再生をすることで事業継続が可能か

民事再生手続きは、申立て後も事業は継続されます。民事再生をしても事業を継続できるかどうかは民事再生申立てにあたって、非常に大きな問題です。民事再生開始決定前の債権は弁済が停止されますが、そもそも営業利益が黒字でなければ事業継続をしていくことは難しいものです。民事再生は取引会社などの耳にも入るので、売上が大きく落ち込む可能性は高いでしょう。そういった背景も考えた上で事業継続が可能かどうかを判断して申立てを行わなくてはいけません。

2.申立てに必要な費用準備ができるか

民事再生の申立てを行うには、さまざまな費用が必要となります。まず、裁判所へ支払う予納金は負債額に応じて異なり、5000万円未満の負債で200万円、5000万円~1億円の負債で300万円(大阪地方裁判所運用)といったような形式になります。そこに弁護士費用や当面の事業運転資金も必要となるので、事前に資金の確保が必要となります。

3.再生計画案を立案できるか

民事再生では、事業を継続することで利益を上げて債務の支払いを行っていくことが目的となります。そのため、再生計画案が履行できる事業計画を立案しなければならないのです。

4.再生計画案に同意が得られるか

再生計画案には債権者の過半数が同意し、債権総額の半額以上を有する債権者の同意を得る必要があります。もちろん破産するよりも配当率が高いという債権者のメリットも高い民事再生ですが、企業を存続させる意味があるということを債権者に理解と同意してもらわなくてはいけません。

経営が悪化した会社が採るべき方法とは

経営の悪化した会社が支払うべき債務などを弁済できなくなった場合に取るべき方法として挙げられるのが、「清算型」か「再建型」の2種類のどちらかの方法です。

清算型の場合、債務も資産もどちらも清算することになるので、事業は廃止されて倒産状態になります。一方で、再建型の場合は一定の資産を残しながら事業は継続させられるので、新たに会社を再生させることが目的となる方法です。

会社を再生させたいと考える場合には、裁判所を介して手続きを進める「民事再生」を選ぶことができます。そして、民事再生における再生計画には以下の3つの方法があります。

  • 自力再建型
  • 清算型
  • スポンサー型

まず自力再建型は、将来得られる事業の収益から債権を弁済して自力で再建をするという計画です。次に、清算型では営業の全てもしくは一部を受け皿会社に移管し、これまでの会社を清算する方法です。

この営業譲渡代金によって債権を弁済することになります。そして、スポンサー型はスポンサーに資金援助を受けて再建を図る方法ですが、早期再建するためには「プレパッケージ型」と呼ばれる手法を選ぶこともできます。

プレパッケージ型では、民事再生の申立て前にスポンサーを決めておき、申立てと同時に公表をするのです。スポンサー公表により倒産というイメージの信用低下を補え、取引先や従業員を安心させることができます。しかも、スポンサー企業に営業譲渡をすれば債権者に一括弁済も可能となるので、早期に会社を再建させられるのです。

会社を出来る限り早く再建したいと考える人は多いですが、民事再生手続きにはある程度の時間が必要です。裁判所に申立てて再生計画を認可されるまでの期間は、6ヶ月前後が目安となります。

民事再生は比較的認可までが比較的早い手続きではありますが、この申立て期間も含めて再生に向けた計画を事前に建てる必要があります。そのためにも、民事再生の手続きと流れを知っておきましょう。

1.申し立て・保全処分決定

民事再生手続きは複雑ですので、弁護士の依頼・相談が必須でしょう。弁護士と契約を締結させれば、申立て準備を行います。申立てに必要な書類や申立て費用の工面、プレパッケージ型の場合にはスポンサーを獲得しなくてはなりません。

裁判所へ申立書を提出すれば、即時に裁判所より弁済禁止の保全処分決定が下され、債権の弁済が禁止されます。

2.監督委員の選任と監督命令

申立てと同時に裁判所より監督委員が選任され、再生債務者は監督委員の指示に従います。

3.民事再生手続開始決定

民事再生手続きが開始されれば、事業の再建や再生計画案策定に向けて準備をしていきます。収益改善のための事業見直しや、スポンサー選定などを行います。

4.債権届出・財産評定、財産状況の報告

再生計画案を策定するために、債権者へ債権届出を提出して再生債権の金額を確認します。また、再生債務者の資産を確定するための財産評定の手続やによって財産状況を報告します。

5.債権認否書・債権調査期間

債権届出に基いて債務者側が債権認否書を作成し、債権を会社が認めるか判断します。その後、疑義のある債権があるかどうか調査が行われ、判断されてから債権が確定されます。

6.再生計画案の作成・決議と認可・遂行

確定した債権は財産評定の素で再生計画案を策定して裁判所へ提出します。監督委員が内容を確認して裁判所へ履行への意見を述べ、裁判所が決定を下せば債権者による決議が行われます。決議の上、認可要件を満たせば再生計画案は認可されて弁済が始まります。

民事再生のメリットとは

民事再生の最大のメリットは、「事業の継続」です。会社を倒産させることなく、会社を存続させることができます。民事再生はあくまでも会社を再建させることが目的なので、数年にわたって弁済が続くものの会社が消滅することを防げます。

債権総額も減額されるだけでなく、弁済期間も最大10年に延ばすことができるので、弁済しながら会社を徐々に再建へと導くことができるでしょう。会社を維持したいと考える経営者にとっては最大のメリットになりますし、会社のブランド力を使って再建したい場合にも強みになるでしょう。

また、経営陣を維持できるという点も民事再生のメリットです。民事再生では経営陣の交代などの制約がないので、経営陣は引き続き会社経営を行うことができます。

そのため、経営陣の退陣などもなく、比較的短時間で会社を再建できる可能性が高まります。ただし、監督委員がいるので経営陣の権限は以前より弱まることは免れません。

また、民事再生では資金を手元に残しておくことができることもメリットです。民事再生を行っているという通知によって金融機関は口座預金への相殺は出来なくなるので、資金を再建に活用することもできます。

民事再生のデメリットとは

民事再生は会社の再建が目的とはいえ、倒産手続きというネガティブなイメージから社会的な信頼の低下は避けられないでしょう。また、民事再生では経営陣の維持がメリットではあるものの、このことが逆効果になるケースもあります。

経営陣が経営難を招いたという印象を与えることで、債権者が再生計画に同意しない可能性もあるのです。もし会社の財産を担保にしている場合には、財産が取られてしまう可能性があることもデメリットの1つです。

担保付き債券は権利行使が可能なので、注意が必要です。

民事再生においてどれくらい費用は必要か?

民事再生を行うにはある程度の費用が必要となり、費用が準備出来なければ手続きを行うことが出来ません。そのため、民事再生においてどれくらいの費用を準備しておくべきか事前に知っておくことが大切です。

まずは、民事再生を裁判所に申し立てるために裁判所へ支払う予納金が必要です。予納金金額は裁判所によって設定が異なるだけではなく、債務総額によっても変動がありますが、数百万円~数千万円の間の金額となります。

また、民事再生では複雑な手続きになることから弁護士への依頼は欠かすことが出来ません。弁護士費用は弁護士事務所によって異なるので、報酬基準が明確な事務所を選べば追加費用などの心配もないでしょう。

財産評定で公認会計士や税理士の協力を得る場合には、また別途費用が発生します。そして、手続きにかかる費用だけではなく、手続き中の会社の経営を続けるための資金も準備しておかなくてはなりません。

手続きが開始されれば銀行からの貸し付けを得ることは難しいですし、仕入れ代金や光熱費など全てが後日決済から現金支払いに代わります。そのため、多額の現金が必要となり、事前準備が欠かせません。運転資金に加え、従業員のリストラや退職に備えて退職金の用意もしておく必要があります。

これらの費用を全て準備ができるかどうか、民事再生を進める前に確認しておきましょう。

民事再生手続きと会社更生法の違いとは

会社更生法も民事再生と同様、会社の再建を目的としているので混同されがちです。しかし、会社更生法では経営陣が経営に係わることができなくなり、裁判所に選任された管財人が再建をおこなっていきます。

また、担保付き債券を債権者に権利行使されることもないので、担保付き債券が多い場合には民事再生よりも会社更生法の方が向いていると言えるでしょう。

ただし、会社更生法が利用できるのは株式会社のみです。そのため、中小企業は会社更生法が適用されることが少ないことが現状であり、大手企業でない場合には民事再生手続きを利用することとなります。

民事再生手続きと破産手続きの違いとは

企業が行う債務整理は倒産手続き(倒産法)と呼ばれ、「清算型」と「再建型」の2種類があります。

倒産という名前が付くことから会社が消滅してしまうというイメージを持たれがちですが、倒産手続きで必ずしも会社が消滅するわけではありません。

「清算型」と呼ばれるものは破産手続きにあたり、債務者の資産と負債が全て清算することが目的とされます。つまり、資産も負債も全て無くなることから会社も消滅してしまいます。

一方で、「再建型」は民事再生法に基づく民事再生手続きと会社更生手続きがあります。どちらも会社を再建させることが目的となるので、清算型と異なる点は<会社を存続させるか否か>という点です。

民事再生では破産手続きのように債務が免除されるわけではありませんが、事業を維持しながら圧縮された債務を弁済していくことができます。

ただし、再生計画案によって会社の再建を策定し、債権者からの同意が得られなければ民事再生は認可されません。

破産によって社員や会社の全てを失うということに躊躇する経営者は多く、民事再生で維持させながら再建したいと考えるものです。

しかし、債権者からの同意や協力など民事再生には満たすべき要件があるので、要件を満たした上で民事再生によって再建できるという確証がある場合に向いている手続きであると言えます。

民事再生によって会社を維持することができても会社の信用の低下は免れることができないので、民事再生後においては再建と信用回復が大きなカギになると言えるでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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