民事再生(個人再生)

個人再生手続きの流れはどのように進むのか?流れを具体的に徹底解説

借金の返済が苦しくなった際、債務整理をすることで返済の負担を減らすことができます。個人再生は、住宅を手放すことなく減額された借金を返済していく債務整理方法です。ただし、個人再生をするには裁判所に申立てを行わなくてはなりません。申立てを行うまでにも準備が必要ですし、申立てを行ってからもいくつかのプロセスを経て個人再生の認可の判断が下されます。そこで、個人再生手続きのどのような流れで進んでいき、どういった点に注意しながら進めるべきか詳しく解説していきます。

目次

個人再生手続きの流れとは

個人再生手続きは、裁判所を介して行われる債務整理方法です。裁判所に個人再生申立書を提出することで手続きが開始されますが、手続きの流れや期間は裁判所によって違いがあります。その大きな違いが、「個人再生委員の有無」です。

個人再生委員とは、個人再生認可の可否を裁判所に意見する人物であり、個人再生における重要な役割を担っています。個人再生員は、個人再生を開始してもいいのか債務者の債務状況の調査や面談などを行い、裁判所に意見書を提出します。その意見書を参考に、個人再生の開始決定可否を裁判所が判断するのです。個人再生委員の選任されれば、面談や意見書提出などの期間も合わせ、半年ほどの時間が最低でも必要になります。

東京地方裁判所では必ず個人再生委員の選任が行われるので、半年以上の時間が個人再生手続きには必要であると考えましょう。一方で、他の地方裁判所では個人再生委員の選任がないケースもあります。基本的な手続の流れは東京地方裁判所でもどの裁判所でも同じ流れになりますが、東京以外の地方裁判所では個人再生員の選任がないので手続きの期間は3ヵ月前後と短い期間で認可が決まります。

大阪地方裁判所では弁護士が代理人となって申立てを行えば、個人再生委員が選任されることはありません。また、個人再生の申立てと同時に東京地方裁判所では「積立トレーニング」と呼ばれる弁済のトレーニングが6カ月間行われます。個人再生委員の管理の下で債務者は個人再生後に弁済が可能かどうか実際に毎月支払いをしていくというテストのようなものになります。積立トレーニングの有無も裁判所によって異なり、実施している裁判所は全国で見ると多くはありません。積立トレーニングを行っているのは東京地方裁判所であり、大阪地方裁判所は代わりに積立金制度を用いるという違いもあります。このように、裁判所ごとに手続きの流れには多少の違いがあるので、全体的な流れを把握した上で自身が申立てる裁判所で導入されている制度を確認しましょう。

手続きの流れ~依頼から申立て準備まで

1.弁護士へ個人再生の相談・委任契約

個人再生は誰でも利用できるというものではなく、一定の要件を満たしている必要があります。また、手続きには複雑な部分もあるので自身で最後まで行うことは難しいものです。そのため、まずは個人再生が可能かどうかという点も含めて弁護士に相談することをおすすめします。相談料が発生するようなケースもありますが、多くの弁護士事務所は無料相談を設けているので利用してみましょう。相談の結果、弁護士に個人再生申立を依頼することになれば委任契約を締結します。弁護士に依頼することで、弁護士を代理人として申立てを行うことができます。

2.受任通知の送付・取引履歴の開示請求

弁護士と委任契約を締結をした日に、債権者には受任通知が送付されます。これにより、債権者は債務者と直接連絡を取ることは禁じられ、督促なども止めることができます。また、受任通知と同時に、債権者とのこれまでの取引を確認するために取引履歴の開示の請求も行います。

3.債権調査・過払い金返還請求

債権者から1~3ヵ月以内に債権届が提出されるので、債権額や内容を調査します。開示された取引履歴を基に、引き直し計算をして利息制限法の上限金利(15~20%)に従った債権額を確定します。この際に過払い金が発生している場合には、過払い金の返還請求ができます。過払い金の返還請求は交渉によって行いますが、難しい場合には訴訟によって回収することになります。

4.収支調査

個人再生では継続的もしくは反復した収入があり、再生計画に基づいた弁済を行えることが認可要件です。そのため、債権調査と並行して収支調査を行います。収入や支出を調査するので、収入証明できる給与明細や源泉徴収票などの書類や、支出の分かる家計簿、賃貸借契約書などを提出してもらいます。

5.財産や資産の調査

個人再生では、再生計画における弁済額は清算価値保証原則を充たしていなければなりません。清算価値は保有している財産を現金い換価して清算した場合の価値のことで、自己破産をすれば債権者に分配される金額価値となります。そして、個人再生では清算価値以上の返済をすることが債権者の保障とされ、自己破産よりも多い金額を返済しなければなりません。そのため、財産や資産状況を調査し、清算価値を算定する必要があるのです。財産や資産状況の調査のために、通帳や不動産登記簿謄本、車検証、保険証券など資産に関する資料を提出します。

6.手続きの種類選択

個人再生手続きには、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。小規模個人再生では給与所得者等再生よりも収入要件における安定性は求めらないものの、債権者に再生計画が認められなければなりません。一方で、給与所得者等再生は債権者の同意は必要ないものの、最低弁済額の基準に可処分所得2年分が加わるので、小規模個人再生よりも最終弁済額が高くなってしまう可能性が高いです。どちらの手続を選ぶべきかは、債権・収支・資産調査の結果に基づいて判断しますが、小規模個人再生が選ばれることが多くなっています。また、住宅を手放したくないという場合には、住宅ローン特例の利用を検討しなければなりません。住宅ローン特例が利用できれば、住宅ローンの返済は継続させながら個人再生計画を履行できます。

手続きの流れ~申立から計画案の作成まで

7.申立書の作成

個人再生申立を行うには、裁判所に提出する個人再生の申立書を作成しなければなりません。申立書には小規模個人再生もしくは給与所得者等再生を行うことを求める旨を記載していきます。また、個人再生申立には申立書だけではなく、収支や資産などの分かる書類も添付する必要があります。住宅ローン特例を利用する場合には、住宅や住宅ローンに関する資料も提出する必要があるので、同時に準備していきます。

8.裁判所へ申立て

管轄の地方裁判所に、個人再生の申立書と必要書類を提出します。裁判所へ提出する際には収入印紙で手数料を支払い、郵送切手も添付する必要があります。そして、申立てが受理された後には官報広告の費用を予納します。

9.個人再生委員の選任

申立書が受理されると、裁判所による申立書の審査が行われます。その審査が完了すると同時もしくは、申立が受理されるとすぐに、裁判所によっては個人再生委員が選任されることになります。選任が完了すると、個人再生委員に誰が選任されたか裁判所より通知がきます。その通知の後、選任された個人再生委員に申立書の副本を送付して連絡を取り、面談の日程調整を行います。東京地方裁判所の場合は、個人再生委員による面談を申立から1週間以内に行うことが原則となっています。

10.個人再生委員との面談

個人再生委員との面談は、選任された個人再生委員と債務者本人、再生債務者代理人弁護士による三者面談です。選任される個人再生委員は、基本的に申立てを行った裁判所の管轄地域に所在する個人再生に精通した弁護士であることが多くなっています。そのため、その個人再生員が所属する法律事務所を訪れて面談します。面談では申立書の記載に沿って、債務や収支の確認、今後の弁済についてなど再生計画決定の可否を判断するための質疑応答を行います。面談回数は通常は1回ですが、事情によっては複数回行われることもあります。そして、個人再生員は面談を基に、裁判所に個人再生手続きを開始すべきか意見書を提出するのです。

11.積立トレーニング期間の開始

東京地方裁判所では、申立から1週間以内に積立トレーニング(履行可能性テスト)が開始されます。積立トレーニングは、再生計画を認可した後に本当に弁済が可能であるか判断するためのテスト期間です。個人再生委員の指定する銀行口座に、実際に再生計画が認可された場合と同額の金額を毎月振り込むという内容になっています。トレーニング期間は6ヶ月間となり、一度でも振り込みに滞りがあれば弁済能力を疑われ、個人再生が不認可となる可能性が高まってしまうので注意が必要です。交通事故に遭うなど特殊な事情がある場合は譲歩されますが、基本的にはトレーニング期間を乗り切れない場合には再生計画が不認可になります。また、積立トレーニングによって振り込んだお金は、最終的に個人再生員の報酬を引かれた金額が返還されます。

12.個人再生手続きの開始決定

申立から約1ヶ月ほどで、個人再生手続きを開始すべきかどうかの判断が下されます。個人再生委員との面談と積立トレーニングによる第一回の予納金振込を行った後に、個人再生手続き開始が可能であるか個人再生委員が裁判所に意見書を提出します。その意見書を参考にして、裁判所が手続きの開始決定を決めます。個人再生の再生手続きが決定されれば、弁済の禁止や債権者による強制執行の中止・禁止などの法的効力が発生します。

13.各債権者による債権届出

個人再生手続きが開始されると、各債権者宛に裁判所から個人再生手続きの開始決定を知らせる通知が送られます。その通知と共に債権届出書も送付されるので、各債権者は主張する債権額を裁判所に提出します。債権届出提出期間は、手続き開始決定から約6週間です。債権者から裁判所に提出された債権届出書は、債務者もしくは代理弁護人のもとに送られてきます。

14.債権認否一覧表と報告書の提出

各債権者から提出された債権届出書に記載されている金額をもとにして、再生債権の金額を認めるかどうか判断します。提出期限までに債権認否一覧表に認否を記載し、民事再生法125条1項の報告書書類と一緒に裁判所へ提出します。民亊再生法125条1項の報告書には、申立て時点から財産状況に変更があったかなどの記載を行います。

15.評価申立て(再生債権に異議がある場合)

債権者より提出された届出債権の金額に異議がなければ、そのまま再生計画による弁済を受けることになります。しかし、金額を認められない場合、書面で異議を述べることができます。そうすると、その債権は再生債権として認められるかどうか内容や金額などを評価する「再生債権の評価手続き」が行われることになるのです。異議を述べられた債権の債権者は、再生債権評価の申立てをすることができ、申立がされれば裁判所の選任する個人再生員によって債権調査が行われます。東京地方裁判所では個人再生委員の選任は最初から行われているので、改めて評価手続きのための個人再生委員が選任されるようなことはありません。個人再生委員による債権調査が完了すると、裁判所は個人再生委員の意見をもとにして再生債権の評価を決定します。

16.再生計画案の作成

再生債権額が確定したら、再生計画案を作成します。個人再生では減額された借金を分割払いしていくことを目的としており、借金の減額や返済などは再生計画案が基になっています。つまり、この再生計画案が認可されれば、減額された借金の弁済プランが実現するのです。再生計画案の作成は、債務者自身で行います。ただし、民事再生法により記載する枠組みなどは定められており、文言なども正確に記載することが求められます。各裁判所に書式が用意されているので、それに沿って記載していきますが、弁護士が代理人であれば弁護士のサポートが受けられます。再生計画案の提出期限までに裁判所に提出する必要があり、提出期限が守られない場合には再生手続きが廃止になるので注意しましょう。

手続きの流れ~計画案の提出

17.再生計画案の提出

具体的な再建や弁済方法を再生計画案でまとめたら、裁判所と個人再生員に提出します。再生計画案の提出は期限が指定されているので、必ず提出期限までに提出するようにしましょう。期限が守られない場合には、再生手続きが廃止されてしまいます。また、再生計画案は実際に返済していけることを想定して作成されているものですが、事情によっては返済が計画通りにいかないというようなこともないとは言い切れません。そのため、再生計画における借金の返済期間は原則3年とされていますが、返済期間の延長が認められるようなケースもあります。その場合には2年間の返済期間延長となり、裁判所に特別な事情であることが認められなければなりません。返済期間延長が認められやすい理由としては、「怪我や病気、失業による収入の減少」や「家族の医療費負担」といったやむを得ない事情があるようなケースです。一方で、返済期間延長が認められにくいようなケースは、浪費などが理由で返済が難しくなったというような理由となります。ギャンブルや高額な商品の買い物、交際費などが理由で個人再生計画の延長は認められないので、返済計画が守られるように債務者が努力することが必要です。

手続きの流れ~計画案決議から弁済終了まで

18.再生計画案の決議

提出された再生計画案に対して債権者が不利益を被ることがないように、異議や意見を述べることができます。小規模個人再生では書面決議、給与所得者等再生では意見聴取という形式になります。小規模個人再生の方が債権者の意志が大きく影響されることとなり、債権者の過半数の同意かつ、賛成者が債権総額の半額以上を有していなければなりません。

19.再生計画の認可・不認可決定

債権者の書面決議や意見聴取の結果をふまえて、個人再生委員が再生計画の認可・不認可を裁判所に意見書で提出します。その意見書をもとに、裁判所は再生計画の認可・不認可を決定します。そして、認可決定書もしくは不認可決定書が再生債務者(あるいは代理人)と各債権者に送付されます。

20.再生計画認可・不認可決定の確定

再生計画の認可・不認可が決定されると、決定日から2週間後に個人再生する旨が官報公告されます。更にその2週間後に、再生計画の認可・不認可の決定が確定となります。

21.弁済の開始

再生計画認可決定が確定すれば、個人再生手続きは終了となります。そして、再生計画に基づく弁済が開始されるので、毎月払いの場合は認可決定の確定の翌月から弁済が開始されます。

22.弁済終了

再生計画に基づいて弁済を全て完了すれば、再生計画が終了となります。ただし、返済計画の途中で支払いが滞るようなことが起こると、再生計画が取消しされるようなケースもあるので注意が必要です。

個人再生手続きではどれくらいの期間と費用がかかるのか?

個人再生手続きの流れを紹介してきましたが、個人再生を検討する上で最も気になるのは期間や費用といった部分でしょう。個人再生手続きにおいて、申立から再生計画の認可が得られるまでは約6ヶ月の期間が必要となります。 ただし、この6ヶ月という期間を必要とするのは個人再生委員が選任されるような場合です。個人再生委員を選任しない場合であれば、3ヵ月前後で再生計画の認可を得られます。各裁判所によって個人再生委員の選任の導入は異なりますので、自身が申立てする裁判所の導入状況を確認しましょう。

そして、個人再生にかかる費用は、平均として合計約70万円前後になります。申請手続きの費用に約1万円、官報広告費用が12,000円、個人再生委員への報酬が約15万円~25万円です。そこに弁護士へ依頼する場合は弁護士費用が加わり、事務所によって費用は異なりますが平均で50万円前後となります。弁護士費用は高額に感じられるかもしれませんが、分割払いも可能ですし、弁護士に依頼することでスムーズに手続きを進めることができます。もちろん弁護士への依頼は必須ではありませんが、手続きは複雑な面もあるので自身で全てを進めることは難しいものです。

しかも、個人再生によって借金が大幅に減額されるので、個人再生を成立させるためにも熟知した弁護士に依頼することは解決策の1つと言えるでしょう。

個人再生に必要な書類とは

個人再生を行うにあたり、必要な書類は申立書だけではありません。いくつかの書類が必要となるので、個人再生をするにあたって事前に知っておくとスムーズに書類を準備することが出来るでしょう。必要となる書類は、大きく分けると「申立書」「陳述書」「債権書」「家計簿」「財産目録」の5つです。これらの書類は裁判所より取り寄せることができますが、これらを作成するにあたって給料明細や確定申告書、通帳のコピー、借用書などの書類も必要となります。

特に財産を示すための書類は、所有する不動産、証明書や保険証書、車検証のコピーなど保有する財産が多いほど提出する書類が増えます。戸籍謄本や住民票など取り寄せが必要な書類もあるので、事前に取り寄せておくとスムーズです。

必要書類の記載に関しては、依頼した弁護士が行うので書類記入の手間は省くことが出来ます。提出する書類は裁判所にて厳しく確認されるので、記入漏れや書類不足などがあれば再提出が必要になり、それぞれの書類には提出期限が設けられています。そのため、余裕を持って準備をすることと、記載間違いや漏れがないように弁護士に任せることをおすすめします。

日本弁護士連合会:個人再生手続参考書式

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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