民事再生(個人再生)

個人再生は裁判所との関係が大切なの?裁判官との面談って必要?

個人再生は裁判所を通した手続きです。

任意整理と違って、債権業者のみならず裁判所も登場人物に含みますので、個人再生を成功させるにあたっては、裁判所からの印象を悪くしないことがとても重要です。

裁判所から個人再生を認めてもらうには、

  • 必要書類を正確に揃えること
  • 言動や立ち振る舞いに注意すること
  • 裁判所への費用を納めること
  • 履行可能トレーニングをクリアすること

以上のことがポイントになってきます。

個人再生はとても複雑な手続きです。

裁判所を相手にする手続きですので、一般の方にとっては慣れない部分もありますが、信頼できる弁護士とコミュニケーションを取り、下手に裁判所からのイメージを損なうようなことをしなければ、それだけ上手くいく可能性も上がるでしょう。

目次

個人再生は正しい必要書類を裁判所に提出するのが基本

個人再生手続きにおいて裁判所からのイメージを良くするには、きちんとした書類を作成することが何よりもまず大事です。

書類が雑なだけで、裁判所の印象低下につながります。

いい加減な書類を提出しても裁判所から再提出を求められてしまいますし、いつまでたっても先に進めません。最悪、それだけで個人再生が失敗に終わってしまいます。

弁護士に依頼すれば、プロとしてそれなりの書類を作成はしてくれます。

しかし、お金を借りたのは手続きする債務者本人なわけで、当事者しか把握していない事実、ポイントがあるのも確かです。

「法律事務所にお金を払ったのだから」という気持ちも理解できなくもないですが、他人事では個人再生手続きが進まないのも事実です。

手続きを通して、本人が過去の事実を受け止め、反省し、2度と借金で失敗しないよう人生の再スタートを切ってもらうのが債務整理手続きの重要部分でもあるからです。

書類を揃えればそれだけで良いというものでもないですが、きちんとした書類を揃えることは個人再生をするうえでの最低条件と言えるでしょう。

必要書類のポイント

個人再生をするうえで必要な書類はたくさんあり、その案件ごとに異なってもきます。そのため必要書類の詳細は依頼先の弁護士の指示に従うことになりますが、ここではポイントとなる部分に限り、簡単に説明したいと思います。

本人名義の通帳の写し

通帳の写しは全ての提出書類のなかで最も基本的な書類と言えます。

通帳の履歴を見ることで過去から現在に到るまでの、お金の流れをうかがい知ることができ、そこから様々な事実を推測することが可能だからです。裁判所も入念にチェックするでしょう。

通帳の出し忘れがあると財産隠しとも取られ兼ねません。

本人名義の通帳であれば、現在使ってないものも対象になります。また、ネット銀行の通帳も含みますので忘れないように注意する必要があります。

通帳の写しについては、裁判所が好むコピーの取り方があったりするのですが、そのあたりはプロである弁護士に任せてしまえばいいでしょう。

収入に関する書類

給与明細が代表的ですが、本業の収入以外にも副業収入、年金収入、児童手当など、とにかく実入りとして入るものは全てチェックの対象になります。

そのうえで、それぞれの収入金額を証明するに足りる書類が必要になります。

退職金見込み額証明書

3年以上勤務経験のある正社員の場合、原則として、勤務先から退職金見込み額証明書を取り寄せる必要があります。

そして、この退職金見込み額証明書は勤務先の経理部や人事部にお願いし、本人が頑張って取り寄せる必要があります。

退職金は多額の金額になるケースが多く、財産のなかでも裁判所が最も気になる部分1つと言えますので、具体的な金額を書類で持ってきちんと裁判所に伝える必要があります。

証明書の取り寄せのポイントなど、退職金見込み額証明書については別記事にして詳細を記載していますので、是非そちらを参考にしてみてください。

再生手続開始の申立てをするに至った事情

「再生手続開始の申立てをするに至った事情」とは、本人が借金返済不能に陥るまでの経緯を時系列で記載したもので、すごく簡単に言ってしまえば、反省文のようなものです。

「再生手続開始の申立てをするに至った事情」は陳述書の1部であり、陳述書自体はその大部分につき弁護士が作成することがほとんどです。

しかし再生に至った事情に限っては本人でしか書けない部分も多く、本人が話した内容を弁護士が文章にするか、あるいは本人が作成した文章を弁護士が整えるかたちで作成されるのが通常です。

文章自体は下手でも弁護士に任せておけば大丈夫です。

ただし、文章のもととなった内容が嘘であれば元も子もありません。嘘を書けば裁判所への虚偽報告に当たりますし、担当弁護士の信頼も失います。

過去を思い返す以上、記憶違いは起こり得ますが、記憶していることはそのまま正直に記載する(伝える)必要があります。

家計簿の作成

個人再生をするには、毎月家計簿をつけることが必要になります。

裁判所への申し立て時に提出する家計簿は2〜3ヶ月で足りますが、担当弁護士や個人再生委員の方針によっては、継続して家計簿をつけることが求められます。基本的にですが、個人再生を検討するのなら依頼から認可まで、家計簿は毎月つけるものだと思ったほうがいいでしょう。

そしてこの家計簿はできる限り正確に作成することが求められます。保険料や賃料であれば引き落としの通帳から確認できますが、食費や雑費などの流動費を計算するには、買い物のたび領収書をとっておくことが必要です。

家計簿は債務者本人の生活状況をダイレクトにあらわすものなので、一見地味ですが、裁判所にとってはとても重要な参考資料になります。また、家計簿作成を習慣化させることにより、無断な支出を自覚させ、借金体質を改善させることも裁判所の目的にあるでしょう。

家計簿は借金ゼロの家庭ですら面倒でつけたがらないものです。毎月きちんとした家計簿をつけることは思った以上に大変でしょう。

しかし、ここは他人ではどうすることもできず、本人の頑張りどころです。

正確かつ無駄な出費の無い家計簿を提出することで、「2度と借金の無い生活をするのだ」という意思を、裁判所に具体的な形で示すこともできます。個人再生手続きを通して家計簿をつける習慣を身につけましょう。

個人再生で注意したい裁判所への態度

必ずではないですが、個人再生では債務者本人が裁判官と面談することもあります。

裁判官も人間です。言葉づかいや立ち振る舞いを含め態度が悪いと、手続きにマイナスの影響を与えることになり兼ねません。

必要以上にかしこまる必要もないのですが、嘘はつかず聞かれたことに対して誠実に対応しましょう。

東京で個人再生を希望する人は、裁判官ではなく個人再生委員と面談することになりますので、個人再生委員への態度に注意すべきと置き換えてもいいかもしれません。

個人再生委員は債務者本人の態度や反省度合いを裁判官へと報告することになっていて、この報告は個人再生の成否に大きな影響を与えます。個人再生委員への印象がそのまま裁判官の印象になると思ってもいいくらいです。

また、一般社会人として不適切な言動を繰り返していると、裁判所どころか依頼している弁護士からの信頼すら失ってしまいます。信頼関係を築けなければ、最悪仕事を辞任されてしまいますので注意しましょう。

個人再生における裁判官との面談

面談は裁判官と直接会うことになるので、一般の人からするとかなり緊張する場面になるでしょう。

しかし、個人再生においては裁判官との面談は必ずしも設けられるとは限りません。むしろ面談無しで手続きが終わってしまうことが多いです。

裁判官との面談のある無しの基準は管轄裁判所や個々の事件ごとに変わりますので、絶対的な基準はありません。しかし個人再生委員が選任される案件では、裁判官との面談は実施されないのが一般です。

併せてチェック!

個人再生委員は第3者の立場から債務者が個人再生するに相応しいか否かをチェックし、その旨を裁判官に報告する専門員のことを指します。個人再生委員が選任されるケースでは、裁判官との面談を経ずとも、裁判所は債務者の状況をよく把握できます。そのため裁判官との面談までは不要と判断される確率が高いのです。

東京にお住いの方は個人再生をすすめるにあたって、裁判官との面談は不要と思って大丈夫です。裁判所や東京地方裁判所立川支部では全ての案件につき個人再生委員が選任されると決まっていて、裁判官との面談も実施されない運用がされているからです。

個人再生で裁判所に支払う費用

個人再生をすすめるためには、法律事務所以外、裁判所へも費用を支払う必要があります。当たり前ですが、決められた費用を納めないことには裁判所から個人再生を認めてもらえません。

裁判所に納める費用は管轄の裁判所によって多少の差がありますが、一般的には以下のようになっています。

  • 印紙収入代:1万円
  • 官報掲載代金:1万2,000円
  • 郵便切手代金:1,600円
  • 個人再生委員への報酬:15万円〜35万円

収入印紙、官報掲載代金、郵便切手代金は必ず必要になります。

個人再生委員への報酬は、個人再生委員が選任された場合に限り必要になります。選任されなければ不要です。報酬金額は管轄裁判所やその事件ごとに幅がありますが、東京では15万円(弁護士をつけず本人で申し立てる場合は25万円)なっています。

個人再生委員の報酬は高額になりますので一括支払いは難しいことが多いのですが、裁判所の許可を得れば分割で支払うことが可能です(東京地方裁判所では下記で説明する、履行可能トレーニングを通して分割支払いするシステムになっています)。

個人再生で裁判所が最も気にするのは履行可能性

個人再生の認可を得るうえで、

  • 必要書類を正確に揃えること
  • 言動や立ち振る舞いに注意すること
  • 裁判所への費用を納めること

以上が大切であることはこれまで説明した通りです。

しかし、どんなに書類が正確で言動や立ち振る舞いが相応しいものであっても、履行可能性が見込めなければ、裁判所の理解を得ることは難しいです。

履行可能性とはつまり、仮に個人再生を認めたとして、その人は本当に借金を返済していけるかどうかです。

性格が真面目であっても、本人が深く反省していても、書類がきちんとしていても、返済していけるであろう客観的な証拠がなければ、裁判所は個人再生を認めてはくれません。返済の目処がなければ破産するのが相応しいからです。

では、返済が可能であるという客観的な証拠はどうやって裁判所に示せばいいのでしょうか?

申し立て書類も客観的な資料の1つにはなりますが、それに加えて、履行可能トレーニングの結果が客観的な証拠の重要部分を担います。

履行可能トレーニングとは、東京地方裁判所を中心に実施されているシステムで、個人再生後に必要となる毎月の返済額を手続き期間中に実際に支払わせる制度です(支払先は個人再生委員の口座)。予行演習みたいなものですね。

東京地方裁判所では履行可能トレーニングの期間は6か月とされていますが、管轄裁判所によってはより短い期間で済むこともあります。

いずれにせよ、この履行可能トレーニングの期間で定められた額を毎月入金することができなければ、個人再生を認めたところでどの道返済していけないだろうという推測が働き、裁判所の評価はきわめて厳しいものになるでしょう。

なお、管轄裁判所によっては、履行可能トレーニングは行われません。その代わりに本人自身に口座を用意させ、そこに毎月一定額を積立させるという方式により、履行可能性をチェックしているところもあるようです。

併せてチェック!

個人再生を裁判所に認めてもらうには?

裁判所から個人再生を認めてもらうには、

  • 必要書類を正確に揃えること
  • 言動や立ち振る舞いに注意すること
  • 裁判所への費用を納めること
  • 履行可能トレーニングをクリアすること

以上のことがポイントになってきます。

個人再生はとても複雑な手続きで、裁判所から認めてもらうまでの道のりは一般の方が想像する以上に大変です。

専門的な部分は弁護士に任せ、毎月の家計簿作成や日々の家計の見直しに集中することが、裁判所からの印象を良くするためには必要不可欠でしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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