民事再生(個人再生)

個人再生の要件とは?小規模個人再生に必要な要件って?

個人再生は給与所得者等再生と小規模個人再生に分かれますが、このページでは特に、小規模個人再生にフォーカスしてお伝えします。

小規模個人再生を利用するには「民事再生に共通の開始要件」「民事再生に共通の認可要件」「小規模個人再生の開始要件」「小規模個人再生の認可要件」を満たす必要があります。

どのようなケースで小規模個人再生を利用できるのか、その要件と内容について解説します。

目次

小規模個人再生には開始決定と認可決定の要件がある

小規模個人再生の要件を大きく分けると以下の2つになります。

  • 再生手続開始の要件
  • 再生計画認可の要件

難しい言葉に思われるかもしれませんが、「まずは手続きを開始するための要件が必要」で、その後に「個人再生の計画が認められるための要件が必要」ということです。

個人再生は裁判所に申し立てて始まる手続きですが、その際に開始要件があるわけですね。

さらに開始決定が出されても、再生計画が認可されなければ借金は減額されないので、認可要件もクリアする必要があります。

つまり、「開始と認可の両方の要件を満たす必要がある」ということですね。

任意整理や過払い金返還請求と比べて複雑なのが個人再生ですし、同じく裁判所に申し立てる自己破産よりも煩雑かもしれません。必要書類は個人再生の方が多い、という見解もあります。

特に「自分が要件をクリアできるかどうか?」には細心の注意が必要ですから、信頼できる弁護士・個人再生が得意な法律事務所と打ち合わせを行いながら進めると良いでしょう。

開始決定の要件も2つある

小規模個人再生を利用するには、民事再生手続に共通の開始要件と、小規模個人再生特有の開始要件の2つを満たす必要があります。

民事再生に共通の開始要件

民事再生に共通の開始要件は以下です。

  • 再生手続開始の原因があること
  • 再生手続開始の申立棄却事由がないこと

再生手続を開始する原因がなければ、個人再生は開始できません。

再生手続を開始する原因とは、「債務の支払いが不能な状態、または支払い不能のおそれがある状態」を言います。

一時的に滞納すれば返済を再開できる状態ではなく、「借金を返せない」「今後返せない恐れがある」といった要件を満たす必要があります。

  • 今月からリボ払いのキャッシングが返せない
  • 来月から銀行系カードローンが返せない

そのような状況は「再生手続開始の原因」と言えるでしょう。

他にも個人事業主なら、事業に必要不可欠な財産を処分しなければ、借金返済ができない状況が該当します。

逆に、「あと1週間待てば普通に返済できる」という状況なら、再生手続き開始の原因に当たらない、ということです。

小規模個人再生の開始要件

次に小規模個人再生の開始要件として以下があります。

  • 債務者(個人再生を行う本人)が法人ではなく個人であること
  • 債務者が将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがあること(利用適格要件と言います)
  • 負債総額が5000万円を超えていないこと

「個人再生」という名称の通り、手続きを利用できるのは個人だけで、株式会社のような法人は利用できません。

小規模個人再生も給与所得者等再生も、個人を対象にした手続きになります。

先ほどお話ししたような個人事業主も個人再生を利用できます。あくまでも「法人」ではなく「個人」だからですね。

また、個人再生は自己破産と違って、認可後も返済が継続する手続きです。

そのためには「将来における継続的な収入、または反復して収入を得る見込み」が必要になります。収入を得る見込みがなければ、返済の継続は困難ですからね。

そして「負債総額が5000万円以下」という要件があります。負債には、カードローン、キャッシング、消費者金融のような借金を含みます。

ただし住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンの金額は除かれることになります。

住宅ローン特則を簡単に言うと、「住宅ローン返済中のマイホームを維持できる個人再生の制度」ですね。

住宅ローンの金額自体は減らせませんが(返済期間の延長は可能です)、それ以外の借金は大きく減らせますから、その後の返済は楽になるでしょう。

そのように、住宅ローン特則を小規模個人再生で利用する際は、「住宅ローンの金額を負債総額に含めなくて良い」ということです。

個人再生計画の認可決定の要件

個人再生の「不認可事由」に該当すると、再生計画は認可されません。

「不認可事由」とは「認可されない事由(理由)」ですね。

つまり、認可されない要件があらかじめ決まっていて、「それに該当すると個人再生は認められませんよ」ということです。

自己破産にも「免責不許可事由」というものがありますが、同じようなイメージですね。

個人再生の「不認可事由」も、民事再生共通と小規模個人再生特有に分かれます。

民事再生に共通の不認可事由

民事再生に共通の不認可事由は以下です。

  • 再生手続や再生計画に補正できない重大な法律違反があり、その不備も補正できないこと
  • 再生計画が遂行される見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものであること
  • 再生計画の決議が債権者の一般の利益に反すること

言葉に馴染みはなくても、内容的にイメージしやすいのではないでしょうか。

「重大な法律違反」や「不正の方法」など、常識的に考えて認められない事柄ですね。

債権者というのは、つまり借入れ先です。銀行系カードローンを利用していれば銀行、カードキャッシングを利用していればカード会社になります。

そのような債権者の利益に反することがあれば、個人再生の認可は認められませんよ、ということです。

小規模個人再生の不認可要件

次は小規模個人再生の不認可要件です。給与所得者等再生とも共通している不認可要件は以下になります。

  • 債務者が将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがないこと
  • 負債総額が5000万円を超えること
  • 弁済総額が最低弁済基準を下回っていること

「債務者が将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがないこと」は開始決定の要件にもありましたね。

開始決定の方は、「または反復して収入を得る見込みが『ある』こと」という肯定表現でしたが、今回は不認可要件ですから、「または反復して収入を得る見込みが『ない』こと」になっています。

つまり、開始決定時に継続的な収入があっても、認可決定時に収入が無ければ不認可になる、ということです。

たとえば、「個人再生の開始時は仕事をしていたけれども、途中でリストラされて再就職も難しく、収入を得る見込みがない」という状況になれば、不認可事由に該当するでしょう(詳しくは弁護士に相談して下さい)。

次の「負債総額が5000万円を超えること」も開始決定の要件にありましたが、同じ意味合いです。

認可決定時に5000万円を超えていると分かれば、やはり個人再生は認められません。

最後の「弁済総額が最低弁済基準を下回っていること」における最低弁済基準とは、個人再生後に返済する金額です。

個人再生が認められれば、住宅ローン以外の債務を大きく減らせますが、それでも最低限弁済しなければならない金額は決まっています。

  • 借金総額が100万円未満の場合は「100万円」
  • 借金総額が100万円以上500万円未満の場合は「100万円」
  • 借金総額が500万円以上1500万円未満の場合は「5分の1」
  • 借金総額が1500万円以上の場合は「300万円」
  • 借金総額が3000万円以上5000万円以下の場合は「10分の1」

さらに小規模個人再生に特有の不認可事由がありますので、見ていきましょう。

小規模個人再生特有の不認可要件

小規模個人再生に特有の不認可要件は以下です。

「再生計画に同意していない債権者数が総債権者の半数以上いること、または同意していない債権者の債権額合計が総債権額の過半数であること」

分かりづらい一文ですが、要するに「半分以上の債権者が反対すれば駄目ですよ」というのが前半部分です。

たとえば消費者金融や信販会社など、計6社からお金を借りているとして、「6社のうち3社(半数)が反対すれば小規模個人再生は認められません」ということです。

後半部分の「または同意していない債権者の債権額合計が総債権額の過半数であること」は以下のような意味合いと言えるでしょう。

「6社のうち1社だけ反対した場合でも、その1社が過半数を超えるお金を貸していたら認められないよ」

たとえば総額400万円の借金があるとして、6社のうち5社はそれぞれ30万円ずつの貸付(5社×30万円=150万円)とします。

この場合、残り1社の貸付金額は250万円と過半数を超えていますから、他の5社が小規模個人再生に賛成しても、その1社が反対すれば認められない、ということです。

このような規定は小規模個人再生特有のものです(給与所得者等再生にはありません)。

給与所得者等再生よりも小規模個人再生の方が有利な部分があるため、不認可事由が厳しいのではないでしょうか。

小規模個人再生の要件の注意点

小規模個人再生は会社員も利用できますが、その場合、収入の安定性は問題ないかもしれません。

しかし個人事業主の中には、収入の波が激しいこともあるでしょう。

たとえばインターネットのショッピングサイトで開業しても、毎月順調に売上が上がるとは限りません。

アクセスが集まるまで苦労して、集まった後も苦労して、売上が順調に増えても、googleのアルゴリズム変動でアクセスが減ったり、逆にSNS施策が当たったりして売上が伸びることもあるでしょう。

その場合、「継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者であること」という要件に該当しないことも考えられるのです。

そのため、自分では「個人再生が合っている」と思っても、弁護士や司法書士のような専門家への相談から初めて下さい。

個人再生ではなく自己破産が必要なケースもあれば、任意整理で復活できることもありますからね。

まとめ

小規模個人再生の要件は、開始と認可に分かれます。

さらに開始要件は「民事再生に共通の開始要件」「小規模個人再生の開始要件」に分かれますし、認可要件は「民事再生に共通の認可要件」「小規模個人再生の認可要件」に分かれます。

全ての要件が大切ですが、特に「債務者が将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがあること」という開始時の要件、そして小規模個人再生特有の「債権者の消極的な同意が必要」という要件が重要かもしれません。

詳しくは個人再生に詳しい弁護士事務所に相談すると良いでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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