民事再生(個人再生)

民事再生と個人再生の違いは何?

民事再生と個人再生。よく似た言葉ではありますが、この2つの言葉にはもちろん違いがあります。はたして民事再生と個人再生には、どのような違いがあるのでしょうか。

そして個人再生を考えている人にとっては、民事再生以外にも借金を減額できる手段があります。はたして個人再生以外の債務整理手段とは、どのようなものがあるのでしょうか。民事再生と個人再生の違いを知りたい人、これから個人再生を考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

目次

民事再生手続きの種類と違い

民事再生と個人再生は、まったく違うものではありません。民事再生とは民事再生法という法律にのっとっておこなわれる裁定で、経済的に厳しい債務者の事業または経済生活の再生を目的としています。

そのため民事再生という言葉だけだと法人も個人も対象になります。しかし法人と個人では手続きが異なるので、便宜的に法人向けの手続きを民事再生、個人向けの手続きを個人再生と呼びます。個人再生は民事再生手続きの中の一つということです。

個人再生は民事再生手続きを簡略化しており、裁判所の対応方法も違います。しかし民事再生にせよ個人再生にせよ、裁判所の判断の元、経済的再生を図る点は同じです。

法人向け民事再生について

それでは具体的に民事再生と個人再生では、どのような違いがあるのでしょうか。

民事再生と個人再生の主な違いは以下の通りです。

  • 金額の制限(住宅ローンを除く)
    個人再生:5,000万円未満 民事再生:金額の制限なし
  • 再生委員の着任
    個人再生:裁判所の判断によってなくなることがある 民事再生:必ずつく
  • 再生委員に対する報酬
    個人再生:約15万円~20万円 民事再生:約200万円~

個人と法人ではかかる手間がまったく違うため、裁判所の対応もまったく異なります。

民事再生の場合中小企業から上場企業までさまざまな会社が民事再生をおこなっており、そごうや平成電電といった上場企業も民事再生をしています。

会社が倒産するときには会社更生法か民事再生のどちらかの手続きが用いられますが、民事再生では経営陣の刷新が法律上必須ではありません。

また現行の民事再生法では、「破産手続開始の原因の生ずるおそれ」または「事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を弁済できないこと」が手続き開始の要因とされています。

そのため破産が確定していない状態でも民事再生法を利用して、会社の再生を目指せます。法人向けの民事再生は会社が倒産しそうなときに適用するので、多くの人は自分ごとよりもニュースで言葉を聞くことが多いでしょう。倒産しそうな会社を再生させるための手続きなので、労力やお金もたくさんかかるということですね。

個人向け民事再生を個人再生と言う

一方民事再生の手続きを個人に反映させた手続きを、個人再生と言います。個人再生は債務整理の一種とされており、個人の債務整理方法には他にも任意整理・特定調停・自己破産があります。

その中で個人再生には

  • 住宅ローンを残した状態で他の借金が減額できる
  • 自己破産にある免責不許可事由がない
  • 職業制限を受けない

といったメリットがあります。自己破産の場合、住宅や車といった財産を持っていると、財産を売却して債権者に売却しなければなりません。しかし個人再生であれば住宅ローン特則という制度を利用して、住宅ローンはそのままで他の借金だけ減額するという手続きがとれます。

そのため住宅ローンを組んでいる人は、自己破産ではなく個人再生を選択することがあります。

ただし個人再生は民事再生の手続きをもとにしているので、再生案の提出など手続きや記入する書類が多い点がデメリットです。

個人だけですべての手続きをしようとすると、かなりの労力がかかりますよ。そのため個人再生手続きをするときには、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することが多いですね。

個人再生には小規模個人再生と給料所得者等再生の2種類がある

個人再生には小規模個人再生と給料所得者等再生という2種類の手続き方法があります。

小規模個人再生と給料所得者等再生の主な違いは、以下の通りです。

  • 給料の変動幅が少ない人は給与所得者等再生が選べる
  • 給与所得者等再生は債権者の同意が不要
  • 給与所得者等再生の方が弁済額は高く設定されることが多い

給料所得者等再生は小規模個人再生の特則の一つで、収入が安定している会社員や年金受給者に限られた手続きです。小規模個人再生の場合、再生案の内容に対して過半数以上の債権者の反対、または反対した債権者の債権額の総額が借金の半額を上回るとき、再生計画案が適用されません。

給料所得者等再生の場合は債権者がたとえ反対しても、裁判所が個人再生を認めれば個人再生が認められます。一方で給料所得者等再生の場合、弁済額が小規模個人再生に比べて高くなるというデメリットがあります。どのくらい高くなるかは人によって異なりますが、弁済額が数百万円違うことも珍しくありません。

そのため個人再生の場合、小規模個人再生を利用する人が多いです。平成30年の司法統計データでも、平成30年に申立があった小規模個人再生は11,473件に対して、給与所得者等再生は813件。実に14倍もの差があります。どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分にあった手続き方法を選びましょう。

民事再生(個人再生)以外に個人が利用できる手続きとは

ここまで民事再生と個人再生の違いについて解説してきましたが、個人で借金の返済が難しくなったときの方法は、個人再生だけではありません。

個人で借金の減額をする手続きを債務整理と言い、債務整理には任意整理・特定調停・個人再生・自己破産という4種類があります。

先ほど説明したように個人再生は住宅ローンを残したまま借金が減額できるので、住宅ローンを組んでいる人に特にメリットがある債務整理方法です。

それでは住宅ローンを組んでいない人は、どの債務整理方法を選べばよいのでしょうか。ここからは個人再生以外の債務整理方法について解説していきます。

金融機関に交渉する任意整理と特定調停

債務整理方法として用いられることが多い手続きが、任意整理です。任意整理は多重債務に陥ってしまった人が、金融機関に対して利息カットや借金の減額を交渉する手続きです。個人再生とは違い裁判所を介さず、個人と金融機関が直接交渉する点が特徴ですね。

また個人で金融機関と交渉するときに裁判所を間に介する手続きを、特定調停と呼びます。特定調停では調停員という裁判所から任命された人が間に立って、双方の言い分を聞いてくれます。

任意整理も特定調停もお互いの折り合いがつくところで、返済スケジュールを組むことが目的ですね。任意整理と特定調停を選ぶメリットとしては、交渉する相手を選べる点です。債務整理をすると債務整理の対象となったクレジットカードやカードローンは使えなくなりますが、任意整理と特定調停ではすべての相手に交渉しなくても大丈夫です。そのため特定のクレジットカードだけは交渉せず、そのクレジットカードを使い続けるという選択肢がとれます。

デメリットとしては個人再生や自己破産に比べると、借金の減額が見込めない点です。個人再生と自己破産は裁判所の決定で借金が減額されるので、決定に強制力があります。一方任意整理と特定調停はあくまで個人と金融機関のやりとりなので、大幅な借金の減額は見込めません。そのため任意整理と特定調停は、特定の相手に対しては返済を続けたい人におすすめの手続きです。

借金を帳消しにできる自己破産

債務整理をしない人でも名前は聞いたことがある自己破産。

ドラマや映画の世界でよく耳にする自己破産ですが、平成30年の司法統計データによると、1年以内に認められた自己破産件数は9,385件。つまり単純計算で1日25件ほどの自己破産が認められています。

自己破産をする最大のメリットとしては、借金が帳消しになる点。他の債務整理方法では債務整理が成立しても、借金は残ってしまいます。減額効果の大きな個人再生でも3年で完済することを目安にするので、3年間は借金の返済が続きます。

自己破産の場合は借金がなくなるので、生活の立て直しが1番早くできます。ただ、自己破産のデメリットとしては、一部を除いて財産が残せない点です。自己破産は99万円以下の預貯金など一部の財産以外は、すべての財産を売却して債権者に分配しなければなりません。そのため車や不動産といった財産を持っている人は、自己破産の手続きが進めにくいです。

自己破産は借金がなくなるという大きなメリットがある一方で、デメリットも大きいです。今後の生活を早く再生したいのであれば、自己破産の選択も頭に入れておきましょう。

どの債務整理方法を選ぶのかは今後の生活を見据えて考えよう

ここまで債務整理の方法を紹介しましたが、どの債務整理方法を選ぶのかはその人次第。現状の生活はもちろんなのですが、今後の生活を見据えて考えることが大切です。債務整理方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを把握したうえで、自分にとっていいと思う債務整理方法を選択しましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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