民事再生(個人再生)

民事再生法とは?企業にどんなメリット・デメリットがあるのか?

会社の経営が傾き、返済が困難になった場合は倒産をするだけが手段ではありません。「民事再生法」と利用することで、会社を倒産させずに再建することが期待できます。民事再生とはどのような手続きなのでしょうか?

民事再生は会社を倒産から救えるというメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。民事再生法の仕組みを知り、民事再生におけるメリット・デメリットの理解を深めていきましょう。

目次

民事再生法とは?どんな法律?

会社の経営が傾けば、借金の返済が困難になってしまいます。

そうした場合に解決策として考えられるものが、「民事再生」なのです。

民事再生法という法律によって規定されている手続きなのですが、破産とは異なったものになします。民事再生法とはどういったものなのでしょうか?

民事再生法とは

民事再生法とは、そのまま放っておけば破綻してしまう恐れのある企業を破綻させずに再建しようという目的で制定されているものです。経営が傾いた企業が民事再生法を利用することで、会社を回復させることができるのです。

企業の倒産手続きというと、会社が倒産して消滅してしまうというイメージがあるかもしれません。破産では会社の債務を消滅させることができますが、会社も倒産してしまいます。しかし、民事再生では会社を維持しながら、会社の回復を目指すことができるのです。

民事再生法制定の背景

これまで日本には倒産五法と呼ばれる倒産法があり、長い期間に渡って企業の破産をサポートしてきていました。しかし、日本経済の低迷が続き、企業の倒産が相次ぐようになったことから政府が法律の見直しを行うようになったのです。

そして、民事再生法は2000年から施行されることとなり、相次いで倒産していた企業を倒産前に再建させるための手続きが立法化することになりました。

これにより、会社が突然倒産してしまうという事態は減少し、会社を立て直せる機会が得られるようになったのです。

民事再生の種類とは

民事再生は、裁判所に再生計画案を提出して、認可されることで会社の再建に向けて動き出すことができます。ただし、民事再生と一言でいっても全てが同じような方法で再建されるわけではありません。

民事再生には3つの方法があり、それぞれ適した方法で再建が図られることとなります。3つの方法は、「自力再建型」「プレパッケージ型」「スポンサー型」の3種類です。

自力再建型

自力再生型は、民事再生の種類の中でも基本型とされるものです。

民事再生後、外部からの力を借りずに自力で再建を図る方法です。

自社の利益のみで借金返済を行うので、不良債権を処理することで、収益を上げ続けられるようなケースに選択することができます。

プレパッケージ型

プレパッケージ型では、民事再生を行う前にスポンサー企業を見つけて再生計画の同意を得ます。その合意の基で、再生手続きの申し立てが行われるのです。

事前にスポンサー企業が決まっていることで企業再生は容易になり、円滑に業務を進めることができるというメリットがあります。また、民事再生の申し立てと同時にスポンサーを公表するので、企業イメージを保持したまま再建することができます。

スポンサー型

スポンサー型では、民事再生申し立ての後にスポンサー企業を探します。

そして、スポンサー企業と交渉して再生計画に組み込んでいきますが、プレパッケージ型と比較すればスポンサー企業から同意を得られるのに時間がかかります。

しかも、スポンサー企業がなかなか見つからないというケースも少なくないので、再生計画を進めるのに期間を必要とします。

民事再生を行うメリットとは?

民事再生というと企業によってネガティブなイメージがあるかもしれません。

しかし、民事再生法を利用することで経営が困難になっている企業にとってはメリットをたくさん得られます。

経営難の企業が民事再生法を利用するメリットとはどんなものが挙げられるのでしょうか?

倒産させずに事業を継続できる

民事再生法を利用する最大のメリットは、事業を継続することができる点です。

会社が倒産すれば会社自体が消滅することになるので、事業を続けることができずに従業員にも影響を与えることになります。

しかし、民事再生法は会社を倒産させることなく再建することが目的となっています。そのため、事業を継続させながら経営回復をめざすことができるため、会社にとっては大きなメリットがあると言えるでしょう。

債務が大幅に減額され、弁済期間も延長できる

民事再生が認められれば、大幅に債務を減額することができることも民事再生の特徴です。

再生計画では、担保権のない債権の支払い義務は無くなり、最低弁済額も設定がありません。そのため、大幅に債務が免除されることになります。

ただし、再生計画案の認可には債権者の同意が必要となります。あまりに大幅に債務を減額すれば債権者の同意が得られない可能性もあるので、注意が必要です。

また、民事再生では弁済期間を最大10年間延長することが可能になります。

従来の経営者が退陣する必要がない

会社更生法に基づいた破産手続きでは、経営者は経営権を維持することは出来ません。一定の条件を満たしていれば経営権は維持できるものの、管財人が取締役となって運用が行われるようになっています。

しかし、民事再生では従来の経営者が退陣する必要はなく、経営権を維持したまま事業の継続が可能となります。

民事再生は会社を継続させることで返済を行っていく手続きなので、経営者の退陣によって返済が不可能になることを避けるためにも、経営者の退任は規定していません。

債権者の半数以上の賛成で認可される

民事再生が認可されるためには、債権者の同意を得なければなりません。ただし、債権者全員の同意が必要というわけではなく、債権者集会の参加者において過半数かつ総議決権の過半数があれば認可されることとなります。

債権者の多くは金融機関になるので、再生計画案に無理がなければ民事再生法が認可される可能性は高まります。他の倒産法では債権者すべての同意が必要となるので、民事再生の方が企業にとっても利用しやすいと言えるでしょう。

迅速に再スタートできる

民事再生は、迅速に債務整理できることも特徴の1つです。

民事再生を申立ててから再生計画案が認可されるまでは、おおよそ半年ほどになります。

その半年間で会社の再建計画を描いて、スタートさせることができるようになるので、迅速な対応ができることは企業にとって大きなメリットであると言えます。

民事再生法におけるデメリットとは?

民事再生法は会社を立ち直したいと考える企業にとってメリットが大きいと感じられるものですが、メリットだけではなくデメリットもあります。

民事再生法におけるデメリットはどういったものがあるのでしょうか?

どんなデメリットがあるのかを知り、民事再生をするにあたってデメリットがメリットを超えないかどうか検討することが大切です。

民事再生には費用が必要

民事再生をするには、裁判所に申立てを行います。

申立てを行うにあたって弁護士への依頼費用だけではなく、裁判所へ手続きをする予納金も必要になるのです。

予納金は負債額に応じた金額となっており、最低でも200万円は必要になります。弁護士への依頼料を合わせれば高額な費用が必要となりますが、この費用を準備できなければ民事再生をすることは出来ません。

会社の信用を失う可能性がある

民事再生は会社の再建を目的とした手続きですが、民事再生をしたということで株主などの信頼を失う可能性があります。

しかも、官報や新聞、ネットニュースなどで民事再生をしたことが報じられれば、取引先などから社会的な信用を失い、ブランドイメージも低下する可能性もあるのです。

ある程度はイメージや信頼が下がってしまうことは仕方のないこととはいえ、信用低下によって取引先などを失ってしまわないように事前に対策をしておくことが必要です。

経営権の維持が逆効果になる可能性もある

民事再生法のメリットは、従来の経営者が経営権を維持できるという点です。

経営者にとっては大きなメリットになりますが、債権者や従業員にとってはデメリットになる可能性もあるのです。

経営者の手腕のせいで民事再生が必要となるまで経営悪化を招いたというイメージを持たれる可能性があり、債権者がそのように考えれば再生計画案が通りにくくなってしまいます。

また、民事再生をすることで会社は再建を目指すこととなるので、従業員の給料や人員はカットされるケースもあります。

そうすれば、従業員からの反発を受けることになりますし、不当解雇として紛争が起こる可能性もあります。

こういった紛争は社会的なイメージも良くないので、会社の信用にも影響を与えてしまうかもしれません。

そのため、経営権の維持については事前に経営陣で話し合い、相談しておくことが必要です。

民事再生において注意すべきこと

民事再生法は会社を再建できるというメリットがありながらも、デメリットもあるものです。そして、民事再生法を利用して会社を再建するにあたり、いくつか注意したい点があります。

民事再生を申立てしても、提出した再生計画案通りに再建を目指さなければ、会社を回復させることは難しいものです。

会社を再建させるにあたり、民事再生法で注意すべき点について知っておきましょう。

担保付きの債権は権利を行使されるケースもある

民事再生申し立てを行えば、裁判所より弁済禁止の保全処分が発令されます。

これによって、金融機関は預金などの相殺が出来なくなります。

しかし、民事再生法においては、抵当権などの担保付き債権は権利を行使することが禁止できません。

そのため、債権者が担保権を行使すれば、担保にしていた財産は取り上げられてしまいます。

そうすれば、会社を再建するための財産を失う可能性があるので、再建に支障をきたす可能性があります。

ただし、一定の場合に限っては競売の中止命令や担保権消滅許可制度などを利用して権利の行使を防ぐことができます。担保権のある債権がないか事前に確認しておくことが大切です。

債務免除益課税という税金が発生する

民事再生をすることで債務が免除される代わりに、免除された金額については「債務免除益課税」という税金が発生します。

免除される債務額によって税金額は異なるので、事前に弁護士と相談して確認しておくことが必要です。もし多額の債務が免除されたとしても、債務免除益課税も多額になるということです。

この課税に対策をしていなければ、税金を支払うことができずに再生計画を履行できなくなってしまいます。

債務免除益については、過去7年間の損金と相殺することが可能になっています。

再生計画案が民事再生の認可のポイント

民事再生法では再生計画案を提出して、過半数の債権者の同意を得ることができれば民事再生が認可されます。そのためには、会社が倒産するよりも民事再生した方が債権を回収できると債権者に認識してもらう必要があります。

あまりに無謀な計画であれば、実現が難しいと反対する債権者が多くなってしまうものです。

実現することができるような計画案であり、なおかつ債権者にも配慮のある内容でなければ同意は得られないものです。

そして、再建できるという見込みは、売上の増加やコストカットが組み込まれてなければなりません。どのように売り上げを増加させるのかプランニングをし、コスト削減をするためにも環境の見直しが必要となります。

民事再生をするからには、将来的にどのように立て直しをするのか具体的かつ実現的なプランニングを立てられるということが重要なのです。

会社更生法との違いとは?

会社の再建を目指すという法律であれば、民事再生法だけではなく「会社更生法」という法律もあります。会社の再建が目的という点が同じなので混同されがちですが、全く異なるものになります。

会社更生法と民事再生はどのような違いがあるのでしょうか?

会社更生法と民事再生法の違い

会社更生法は、民事再生と同様に「会社の再建」を目的とした法律です。

ただし、民事再生法とは大きな違いがあり、会社更生法では経営陣は経営に関わることができなくなり、裁判所によって選任された管財人が再建を行っていくことになります。

また、会社更生法を利用できるのは株式会社のみであり、法人や個人は利用することができません。しかも、認可には債権者だけではなく担保権者や株主の同意も必要とするなど手続きの条件においても違いがあるのです。

最も大きな違いは、民事再生法よりも会社更生法の方が時間をかけて再建が行われるという点です。民事再生のように短期間で再建を描くことができないというデメリットがあるのです。

どんな場合に民事再生が向いているのか?

会社更生法では、担保付きの債権は権利を行使することができません。

担保付きの債権者が財産を競売にかけたりすることもできず、他の債権者と同様に配当を受けることとなります。

一方で、民事再生では一定の条件を満たしていなければ民事再生では担保付きの再建は権利を行使されてしまいます。

そのため、民事再生に向いているのは、担保付きの債権が少ないようなケースと言えるでしょう。

また、民事再生では従来の経営人が経営権を維持できるので、経営権をそのままにしたい場合にも民事再生が向いていると言えます。

管財人が置かれることを避け、少しでも早く会社の立て直しをスタートさせたいようなケースに向いているのです。

まとめ

借金の返済が困難になり、経営が破綻してしまう前に、まずは弁護士に相談しましょう。できるだけ早い段階で相談することで、事業を継続して、会社を再生させる可能性を高めることができます。

民事再生法にはメリットばかりではなくデメリットもあるので、まずは会社の経営状況と債権状況から民事再生におけるメリットが大きくなるか判断する必要があります。

弁護士に相談することは敷居が高いと考える人も多いですが、会社を再建させるのであれば一刻も早く行動に移す必要があります。まずは無料相談を利用してご相談ください。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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