民事再生(個人再生)

個人再生は無職でもできるのか?やっぱり破産するしかないの?

個人再生は無職の人でも利用が可能なのでしょうか?

この記事では、利用の可否も含め、無職の人が個人再生を希望する場合の問題点や注意点を説明していきたいと思います。

最初に言うと、無職であれば個人再生の利用は基本的に厳しいです。

ただし、一口に無職といっても、債務者の年齢、スキル等によって状況はまちまちですので、無職だからといって必ずしも個人再生の利用が否定されるわけではありません。

現在無職であっても、近日中の就労が確実に期待できるなどの場合は、個人再生の手続きを進めることが可能なケースもあります。

目次

無職でも個人再生の利用はできるの?

個人再生は無職の人でも利用できるかという問題があります。

結論からいうと厳しいです。

近い将来就労することが確実であるなどの事情が無い限り、基本的には個人再生の利用は難しいでしょう。

収入の目処が立たないのなら破産手続きを選択するのが通常だと思います。

無職だと個人再生が難しい理由

無職だと個人再生の利用が難しい理由は、返済していくことができないと裁判所から判断される可能性が極めて高いからです。

個人再生の要件を確認してみましょう。

個人再生には小規模個人再生と給与所得等再生の2つの種類がありますが、いずれの利用も条件として安定収入を求められます。

民事再生法上、小規模個人再生の利用には、債務者が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが法律の要件となっていますし、給与所得者等再生の場合は、さらに反復継続収入に加えて、その収入額の変動幅が小さいことが必要になります。

実務上、給与所得者等再生の利用機会はほとんど無く小規模個人再生がメインになるのですが、いずれにしても再生を通すに当たっては、継続的に入ってくる安定収入は必要不可欠です。

つまり、継続的な安定収入が見込めない無職の人は、個人再生の利用に相応しくないと裁判所から判断されてしまうのです。

全く収入の目処が立たないのに個人再生を申し立てても、申し立て却下、門前払いの結果に終わってしまいます。

無職でも個人再生が認められる例

無職の状態では個人再生を利用するのが難しいということは前述の通りです。

しかし、いかなる場合も認められないかといえばそのようなこともなく、利用が認められるケースもあるにはあります。

その人の状況によっては、「無職=個人再生の利用不可」と機械的に決めるのは柔軟性に欠けます。

例えば、現在たまたま休職中だけど、年齢的にもまだ若くそれなりの収入を見込めるスキルのある人であれば、近いうちに就労できる可能性も高いはずです。

そのような人から個人再生の利用の機会を奪い、破産しか道が残されていないという結論は、本人、債権者のためにもならず、現実にそぐわない感じもします。

弁護士に依頼した時点では無職であったとしても、その後、きちんと就職できるのであれば、個人再生利用の可能性は十分に考えられます。

裁判所へ個人再生の手続きを申し立てる前に、就労状態を作ることができるのならば担当弁護士の理解を得られる可能性もそれなりに高いでしょう。

個人再生は依頼してすぐさま裁判所に申し立てるわけではなく、必要書類を揃えたり、事務所への費用の支払いがあったりと、申し立てまでの間には数ヶ月の期間を要するのが通常です。

ですので、その準備期間の間にきちんと就労し安定収入を得られる状態を作ってしまえば、個人再生利用の可能性はぐっと高まります。

もちろん依頼してから相当期間の間に就労が実現しなかった、実現しそうにもないというのであれば、やはり個人再生は諦めざるを得なくなるでしょう。

個人再生の申し立て後に無職になってしまった場合

依頼の時点、裁判所への申し立ての時点では就労の状況にあっても、裁判所に申し立てた後に転職活動、リストラ等によって無職になってしまうことはあり得ます。

このケースもその事実だけで個人再生の認可が得られないということにはならず、すぐさま再就職を決めるなどして、近日中に確実に安定収入を得られるのだということを裁判所に示すことができるのであれば、なお個人再生の認可を得られる可能性は残ります。

とはいえ、個人再生をするうえで無職の状況が好ましくないのは間違いないです。リストラはある程度仕方がないとしても、手続き中の安易な転職は極力避けるべきしょう。

仮に転職による収入UPが期待できるとしても、依頼中の弁護士には必ず事前相談をするべきです。

個人再生は無職でなければいいというものではない

無職の人が個人再生を希望する場合に知っておいて欲しいことがあります。

個人再生をするうえで、就労していることは最低条件であり、働いてさえいればOKということではありません。

個人再生は破産とは違って将来に渡り借金を分割返済していく手続きです。

生活を維持しつつ、毎月決められた一定金額を返済していくことができなれば個人再生の利用は認められないのです。

毎月の返済額は民事再生で定められたルールによって定まりますので、本人が返済額を自由に決めていいわけではありません。

例えば以下のケースだとどうでしょう。

  • 世帯の手取り収入:(債務者本人と妻で)30万
  • 毎月の生活支出:28万円
  • 個人再生後の返済予想額:3万円

返済分と生活支出を合算すると、毎月の家計が赤字になってしまいますね。

つまり、この状況では「個人再生を利用しても返済していくことは困難」と裁判所から判断されてしまうおそれが高いです。

ただ単に安定収入を確保すれば済む問題ではなく、生活を維持しながら借金を返済してけるだけの収入を確保する必要があるのです。

無職の人が仮に就職できたとしても、返済していけるだけの収入を得ることができないのであれば、どのみち個人再生の利用は難しいのです。

無職の人が個人再生を希望する場合は、このあたりのルールも肝に命じておいたほうがいいでしょう。

配偶者の収入や子供の有無にも左右されますが、仮に正社員での採用が決まったとしても手取りが18万円にも満たない、ボーナスも期待できないというのであれば、個人再生の利用は厳しいのではないでしょうか。

なお、個人再生を考えるうえでの収入には事情により親族など本人以外の収入も含めて良いということもあります。しかし、そのあたりの運用は個々の案件ごとに裁判所が最終的に判断しますし、仮に親族の援助を収入に含めるとしても、本人に安定収入があることが前提です。

本人が得る金銭についてそれを収入と扱うかどうかは、家族の援助以外にも下記のものがよく問題になります。

生活保護金

生活保護の保護金も収入ととらえられなくもないです。しかし生活保護金は最低限どの生活をまかなうために支給されるものであり、借金返済に充てるのは筋違いです。生活保護の趣旨に反するため、生活保護受給者は継続的な収入を得ている者に該当しないと考えるのが一般です。

失業保険給付

失業保険は受給期間が限定されているため、個人再生に必要な継続的な収入には当たらないと考えるのが適当です。しかし、前述でも述べた通り、近々再就職が確実に見込める場合には、個人再生利用の可能性が残ります。

年金受給

年金生活者は、一般社会では無職と扱われますが、継続的な実入りが期待できるのは確かですので、個人再生利用の対象になり得ます。

しかしその年金収入で決まった返済がしてけるかどうかの問題は別ですので、そこは注意する必要があります。

無職なのに個人再生にこだわる必要はあるのか?

これはその人が無職か否かにかかわらない問題かもしれませんが、個人再生を希望する人は、あえて個人再生を利用する必要が本当にあるのか?を、弁護士との相談のうえ今一度検討したほうがいいでしょう。

個人再生利用の最も大きな価値・メリットは、住宅を残すことにあると言われます。

破産であれば住宅ローンの残っている建物・土地は手放すことになります。この点、個人再生(住宅資金特別条項付き)は、住宅ローンはこれまで通り払いつつ、つまり住宅は残しつつも、その他の借金を大幅に圧縮できるのです。

しかし、住宅以外の側面に目を向けると、破産と個人再生ではデメリットに大きな違いは生まれないケースがほとんどです。

カードブラック、保証人への請求、未払いのローンの自動車の引き揚げなど、破産で起こりうる障害は個人再生でも同様に起こります。

どうしても住宅を残す必要がある人ならばともかく、賃貸暮らしの人は個人再生を利用するよりも、借金がゼロになり再スタートを切りやすい破産を選ぶほうが合理的とも言えます。

ただ、個人再生と破産では住宅以外にも細かい違いはあることは事実です。個々の状況によっては、住宅を残す必要がなくても個人再生を選んだ良いケースもあります。本人の気持ち的な問題もあるはずです。

いずれにしても両者の選択の判断は弁護士とよく相談して決めたほうがいいでしょう。

無職と個人再生の関係のまとめ

無職の個人再生利用は基本的には難しいです。

現在無職であっても、近日中の就労が確実に期待できるなどの場合は個人再生の手続きを進めることが可能なケースもあります。

しかし、個人再生の認可を得るには単に就労していればいいというものではなく、生活を維持しつつ決まった返済を継続していけるだけの収入金額も必要になります。

無理に個人再生手続きを通すことは、かえって自分の首を絞めることにもなりますので、本当に個人再生を選択することが相応しいか否か、弁護士と相談して決めるのがいいでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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