民事再生(個人再生)

住宅ローン条項とは?自宅を残せる可能性があるってほんと?

個人再生には住宅ローン条項という「住宅資金貸付債権に関する特則」が定められています。

個人再生を利用するメリットに「住宅ローン返済中の自宅を残したまま、借金を減額できる」がありますが、そのための制度が住宅ローン条項ですね。

自己破産すれば自宅が処分される時も、住宅ローン条項に該当すれば、そのまま残せる可能性があります。

このページでは、そんな住宅ローン条項について詳しく解説します。

目次

住宅ローン条項とは

住宅ローン特別条項(住宅ローン特則とも言います)とは、個人再生計画の一部です。

個人再生には小規模個人再生、給与所得者等再生がありますが、どちらでも利用できる制度ですね。

住宅ローン条項を利用すれば、マイホームという生活の基盤を残しながら、住宅ローン以外の借金を減額することが出来ます。

住宅ローン自体の減額はできませんが、その他の借金(信販会社や消費者金融など)は原則5分の1に減らせますので、経済的な再生を実現しやすい仕組みと言えるでしょう。

そもそも企業向けだった民事再生法が個人にまで及んだ背景にも「住宅ローンに苦しむ債務者の救済目的があった」と言われています。

前述したように、自己破産すれば大抵の財産は処分されますし、住宅ローン返済中の自宅に関しては、抵当権が付いている金融機関(銀行や保証会社など)が競売にかけて売却するでしょう。

しかし住宅ローン条項に該当すれば、自宅に住み続けることが出来るのです。

つまり住宅ローン条項とは、自宅を守り、生活の基盤を維持した上で、経済的な更正を目指せる制度と言えますね。

住宅ローン条項を利用する条件

住宅ローン条項の利用には条件があります。

  • 住宅ローン以外の債務の合計額が5000万円以下であること
  • 個人再生をしなければ自己破産になること
  • 反復継続的な収入の見込みがあること

さらに以下の要件があります

  • 住宅ローンの抵当権(銀行や保証会社など)が設定されていること
  • 住宅ローン以外の抵当権は設定されていないこと
  • 申し立てる本人が居住目的の住宅を所有(共有)していること
  • 住宅の購入やリフォームに必要な住宅ローンであること
  • 保証会社の代位弁済から6ヵ月以上経過していないこと

住宅ローンの抵当権が設定されていること

住宅に保証会社などの抵当権が設定されていることが最初の条件です。

逆に「抵当権が設定されていない」とは、住宅が担保になっていないケースを言います。

この場合は住宅ローン条項を利用できません。

あくまでも住宅ローンの抵当権が設定されている場合にのみ利用できる制度です。

住宅ローン以外の抵当権は設定されていないこと

住宅ローン条項を利用するために「住宅ローンの抵当権」は必須ですが、それ以外の抵当権が設定されている場合は利用できません。

それ以外の抵当権とは、たとえばビジネス目的や事業融資による抵当権ですね。

消費者金融や銀行が「不動産担保ローン」という金融商品を展開していますが、その場合、不動産を担保に取るのが基本です。

つまり、建物や土地に抵当権を設定して融資を行っているわけです。

そのような抵当権を根抵当権と言い、一定範囲を上限にお金の貸し借りを行っています。

根抵当権の特徴に、「新規でお金を貸しても抵当権の設定手続きが必要ない」と、「お金を返済しても抹消手続きの必要がない」がありますが、根抵当権が付いている限り、住宅ローン条項の対象にはならないのです。

逆に言うと、根抵当権が外れれば、住宅ローン条項を利用できるようになります。

その方法として、家族や親戚にお願いして、「根抵当権が付いている借金を返済してもらう」がありますね。

個人再生は偏頗弁済(かたよった債権者への返済)が禁止されていますから、自分で払ってしまうと、再生計画の認可が下りないケースも考えられます。

しかし肩代わりで根抵当権を外すことが出来れば、個人再生で住宅ローン条項を利用できる可能性があるので、考えても良いでしょう。

なお、税金滞納で住宅が差し押さえられている場合も利用できませんが、返済に関する合意があれば利用できるようです。

申し立てる本人が居住目的の住宅を所有(共有)していること

「申し立てる本人が居住目的の住宅を所有(共有)していること」という条件があります。

住宅の所有権を申立人が持っていなければ、住宅ローン条項は利用できません。

自分一人の所有ではなく、夫婦で所有権を共有している場合も、本人の住宅ローンが設定してあれば利用できます。

また「本人の居住目的」という要件があるので、投資目的のマンション、事業目的のビル、別荘、子供のために購入した住宅などは住宅ローン条項に該当しません。

あくまでも、本人が居住に利用している住宅一棟だけが対象になります。

住宅の購入やリフォームに必要な住宅ローンであること

住宅ローン条項の対象になるのは、住宅の購入やリフォームのために借入れたローンです。

住宅ローンの借り換えも対象になりますが、家具や家電などの諸費用ローンは対象にならないケースがあります。

ただし住宅購入や建築に伴う「不動産の仲介手数料」「登記費用」は含まれる可能性が高いです。

保証会社の代位弁済から6ヵ月以上経過していないこと

住宅ローンの滞納が続けば、通常3ヶ月~6ヶ月以内に期限の利益を喪失します。

期限の利益とは、「期日までに返済すればいいですよ」という取り決めのことです。

期限の利益を喪失すれば一括返済が必要になりますが、通常、この段階で債権が銀行から保証会社へ移行し、保証会社が支払いを肩代わりして一括返済を行います。

それが保証会社による代位弁済です。

代位弁済後、本来なら住宅は競売にかけられて売却されますし、売却金額をローンの支払いに充てるのが一般的です。

もちろん自宅が売却されれば、住み続けることも出来ません。

しかし保証会社の代位弁済から6ヶ月以内に個人再生を行えば、住宅ローン条項を利用できる(代位弁済を無かったことに出来る)わけです。

いわゆる住宅ローンの巻き戻しですね。

すでに6ヶ月以上経過していれば、住宅ローン条項は利用できないので注意して下さい。

住宅ローン条項のメリット

住宅ローン条項の最大のメリットは「自宅を手放さずに済むこと」ですが、それ以外にも以下のメリットがあります。

  • 住宅ローンの返済期間を10年まで延長できる
  • 住宅ローンの延滞分も再生計画に含めることが出来る
  • 住宅ローンの負担を軽くできる可能性がある
  • 連帯保証人に迷惑がかからない

住宅ローンの返済期間を10年まで延長できる

住宅ローンの返済が厳しい場合は、最長で10年間、延長することが出来ます。

ただし70歳までの完済が条件なので、たとえば65歳なら5年間、67歳なら3年間の延長に留まります。

もちろん60歳であれば70歳まで住宅ローンの返済を延長できますね。

住宅ローンの延滞分も再生計画に含めることが出来る

住宅ローン条項が適用になると、滞納していたローンを再生計画に含めて分割払いできます。

滞納分の免除や減額はありませんが、他の借金とまとめることで、支払い間違いを防いだり、手間を減らしたりすることが出来るでしょう。

住宅ローンの負担を軽くできる可能性がある

債権者の同意を得ることで、支払いに関する取り決めを変更できます。

あくまでも同意が必要ですが、返済期間を10年以上に伸ばしたり、利息や遅延損害金をカットしたりしてもらえるケースもあるようです。

連帯保証人に迷惑がかからない

「連帯保証人に迷惑がかからない」というメリットもあります。

連帯保証付きで住宅ローンを組んでいる場合、自己破産すれば連帯保証人に請求がいきます。

本人が返済義務を免れても、連帯保証人は関係ないからです。

しかし個人再生の住宅ローン条項を利用すれば、返済を継続できますので、連帯保証人に請求はいきません。

そのようなメリットも大きいでしょう。

住宅ローン条項の注意点

住宅ローンの残高よりも、住宅の時価(現在の住宅の売却価格)が高い場合は注意が必要です。

たとえば住宅ローン残高が800万、時価が1200万円の場合、差額の400万円が資産になります。

この場合、最低でも400万円以上の返済が必要になります。

個人再生で借金が200万円に減額されたとしても、400万円の支払いが必要ということです。

住宅ローン残高が800万、時価900万円だとすれば、差額100万円なので影響ありません。

そのような注意点はありますが、住宅ローン残高よりも時価が下回っていれば問題ないので、その辺りの相談も弁護士事務所に行うと良いでしょう。

住宅ローン条項を考えるなら弁護士へ相談

個人再生で住宅ローン条項を利用するなら、まずは弁護士に相談すると良いです。

一般的に任意整理よりも個人再生の方が手続きは複雑になります。

中には「自分で任意整理を行ってみた」「自分で過払い金の交渉をしてみた」という方もいますが、個人再生を自分で行うのは難しいでしょう。

裁判所に提出する書類が多いですし、住宅ローン条項が絡めば、より様々な角度から個人再生を考えなければなりません。

その点、実績豊富な弁護士なら、安心して任せることが出来るでしょう。

弁護士費用は別途かかりますが、それ以上のメリットを感じられると思いますので、まずは相談から始めてみて下さい。

まとめ

以上、個人再生の住宅ローン条項(住宅資金特別条項)について解説いたしました。

住宅ローン条項とは、あくまでも個人再生の一部で、「自宅を残しながら住宅ローン以外の借金を返済できる」という制度です。

住宅ローン条項を利用するには、「住宅ローンの抵当権が設定されている」「申し立てる本人が居住目的の自宅を所有している」「代位弁済から6ヶ月以内」などの条件があります。

メリットとして、「返済期間を延長できたり、延滞分を再生計画に含められたり、連帯保証人に迷惑が掛からない」という点が挙げられますね。

住宅ローン残高と時価(売却金額)の兼ね合いもありますが、個人再生を利用する最大のメリットとも言える制度ですから、「自宅を残しながら借金を減らしたい」という場合は検討して下さい。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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