民事再生(個人再生)

個人再生と自己破産との性格の違いとは?

個人再生も自己破産も法律に基づく債務整理です。そのため債務カットに踏み込む高い効果があります。その反面、官報に載るなどのデメリットも無視できません。

個人再生は住宅ローンを残しつつ債務整理ができるので、生活の基盤を崩しません。これに対し、自己破産は自分の財産も債務も全てリセットして人生再出発ができます。このような違いがあるため、どちらがいいかはなかなか判断できません。債務整理の経験豊富な弁護士への相談と依頼が必要です。

目次

個人再生とは

個人再生とは、民事再生法という法律に基づいて行う債務整理です。民事再生法は、企業を対象にするイメージがありますが個人の方も使えます。個人再生の主な特徴として、次の3点が挙げられるでしょう。

  • 債権カットに踏み込む
  • カット後の債務を3年程度で返済する
  • 住宅ローンを維持したまま債務整理ができる

自宅を維持しつつ、債務カットに踏み込む債務整理ができる点は大きなメリットです。

最大9割の債務カットが可能

個人再生は債務カットに踏み込む債務整理です。そのため、自分の返済額が大幅に減ります。個人再生で返済しなければいけない金額は債務の額によって決まっています。つまり債務カットの金額は債務残高によって決まるのです。

最大の減額幅となる債務総額3千万から5千万の場合は、カット率は9割にもなります。利用者が多いと思われる500万から1500万の場合も、カット率は8割です。

任意整理は元本を全額返済する必要があります。そのため、収入と債務残額の割合によっては選択できません。しかし、個人再生なら任意整理と違い、債務カットができるので選択できます。

住宅ローンを除外できる

個人再生を選ぶ最大の理由として、住宅ローンを除外できる点を挙げる人が多いです。任意整理や特定調停も、債務選択ができるので住宅ローンを除外できます。しかし、元本カットがされるか否かという違いは思いのほか大きいです。債務を減らし、かつ住宅ローンを除外することで自宅を保持することができます。安心して、債務整理をすることができるのではないでしょうか。

個人再生を選択すれば、自宅に住みつつ、返済できないほどの債務も完済を目指せます。このメリットは他の債務整理はない大きな違いです。

債務整理に陥った理由は問われない

個人再生の大きなメリットに、債務整理に陥った理由を問われないことも挙げられます。巨額の借金を背負うことになった理由は人それぞれでしょう。家族に告白しても問題がないような理由もあるかもしれません。しかし、家族に言えないギャンブルなどが理由であることもあります。

自己破産は、こうした借金の理由を問われるのです。場合によっては自己破産による免責が許可されないこともあります。個人再生との大きな違いです。個人再生は理由を問われないので、他人に言いにくい理由の借金があっても踏み切れます。

自己破産とは

自己破産とは、破産法という法律に基づき、自ら裁判所に破産申立をする債務整理です。破産の申立が認められると自分が背負っている借金の全てが免責されます。つまり返済義務が消滅するのです。

もちろんその反面、自分の財産をすべて売却し、債権者に返済する必要があります。しかし、自己破産を申し立てる人のほとんどは財産がありません。事実上、債務の免責を受けて自己破産の手続は終了するのです。

他の債務整理は個人再生も含め、全ての借金が消滅することはありません。自己破産と他の債務整理の大きな違いです。

すべての債務がなくなる

自己破産の申立をすると、裁判所は内容をチェックし、申立者に対し免責をします。この瞬間全ての借金が消滅するのです。他の債務整理と違い、返済残額が残らないのは大きなメリットと言えます。

自己破産を選択する人は、一生かかっても返済できない借金がある人もいるでしょう。しかし、一生かかっても返済できない借金を返済させることに意味があるでしょうか。また、収入がないため返済できない人もいらっしゃるかもしれません。

それなら、自己破産により債務を全て消滅させ、人生再出発を図らせる方が現実的です。すべての債務を消滅させるのはこのような理由があります。

定型的な処理なので比較的早く終わる

自己破産をするためには非常に多くの書類と証拠資料が必要です。ただ、処理自体はある程度定型化されています。そのため、思ったより早く終わることが多いです。

弁護士に自己破産を依頼すると、裁判所によっては早期処理をしています。もっとも、逆に裁判所の人が自己破産の手続を教えていることもあるようです。この場合は、かなり時間がかかるでしょう。

もちろん、財産を持っていて売却の必要があれば、自己破産には時間がかかります。しかし、財産がない人なら3か月程度で終わることも珍しくありません。

人生再出発したい人にお勧め

このように自己破産は他の債務整理と違って債務の全てが消滅します。返済しきれないほどの借金は、ただただ返済をするだけの生活を招いてしまうでしょう。しかし、自己破産をすることで、そのような状態から脱出できます。

自己破産するほどの借金を背負った人には、それなりの理由があるでしょう。しかし過去のことを引きずっていても何も改善しません。他の債務整理と違い、自己破産は自分の過去をリセットできます。人生再出発を果たせるのです。

個人再生のデメリット

個人再生は任意整理では手に負えない債務を背負った人が選択することが多いです。

債務カットをしつつ、住宅ローンも残せるので、都合がいい債務整理と言えます。しかし、個人再生にもデメリットが隠れていることを忘れてはいけません。個人再生を任意整理の拡大版に過ぎないと思い込んでいると、慌てることになります。

個人再生と他の債務整理の違いを知る事は大切です。でも、どの債務整理を選択するかは自分だけでは無理があります。このようなデメリットをできるだけ回避するためには弁護士への相談が欠かせません。

資産が多いと返済額が大きくなる

個人再生は債務カットに踏み込む債務整理です。しかし、強制的に元本カットを強いられる貸金業者は、黙っていません。当然最大限の返済を要求しますし、返済できなければ資産を売れと要求するでしょう。

個人再生のデメリットに、資産が多いと返済額が大きくなることが挙げられます。つまり、「価値のある資産があるなら売り払って返済しなさい」というわけです。これは住宅も同じであり、ローン残額より住宅価値が高ければ貸金業者は納得しません。

個人再生は他の債務整理と違い、価値のある資産が多いと返済額が増えるのです。

返済が前提のため無収入の人は使えない

個人再生は自己破産と違い、返済が前提です。確かに債務カットは最大9割まで実現します。しかし、返済が免除されるわけではありません。そのため、返済原資がある人でなければ個人再生を選択できないのです。

また、返済原資があってもカット後の債務を3年から5年で返済する必要があります。10年も20年もかけて返済することを前提にしていません。

返済原資は個人事業の方であれば売上見込みなどでも構いません。また、勤務先にもよりますが、サラリーマンの方であれば更に理想的です。ただ、無収入の人は個人再生を使えません。

債権者との交渉が難航しがち

個人再生は、自己破産と違い交渉が必要です。また、その交渉は元本カットを伴うため難航します。自己破産は、これと違い、全ての債務がなくなるので交渉の余地がありません。

なお、任意整理や特定調停は元本を返済するので、個人再生と交渉の内容は違います。この差が債務整理に要する期間の違いにつながります。個人再生は半年以上かかることも珍しくありません。しかし、任意整理や特定調停は2か月から3か月程度で終わります。個人再生は債権者との交渉が難航することが多く、時間がかかってしまうのです。

自己破産のデメリット

自己破産は債務の全てが消滅するため、債務整理の中では一番と言われるようです。しかし、債務の全てが消滅する代償は意外と大きくなります。

自己破産の前提として、自分の財産を全て差し出すことで債務を帳消しにします。他の債務整理との最大の違いでしょう。しかし、裏を返せば財産がある人は自己破産を選択しにくいです。それなら財産を売却して返済した方が現実的でしょう。

また、自己破産は他の債務整理と違い理由を問われます。借金が膨れ上がった理由によっては免責されないこともあり得るのです。

更に、自己破産は他の債務整理と違い職業制限や郵便物の転送があります。自己破産を申立てた人が就くことができない仕事があるのです。また、自己破産をすると自分あての郵便物は全て破産管財人に転送されます。自己破産の免責確後は転送されなくなりますが、一時的にそうなってしまうのです。

最低限の財産しか手元に残せない

自己破産をすると、自分の着ている服まで取られるのかと思われるかもしれません。さすがにそこまでひどいことはありません。生活に必要な最低限の財産は残すことができます。

ただし、新車のように売却価値がある資産を持っていれば売却しなければいけません。また、預金なども残額合計が20万円を超えていると没収されます。

もっとも、アパート住まいで車を持っていないような人は問題ないでしょう。ただ、隠し預金などがあると破産免責後でも問題になりえます。弁護士などに相談する際には正直に言わなければいけません。

返済できなくなった理由によっては許可されないかも

自己破産は他の債務整理と違い、借金返済できなくなった理由によっては許可されません。債務を消滅させるためには「やむを得ない理由」がなければ認めないということです。

不許可の理由として、ギャンブル・ブランド品の買い過ぎのような浪費が挙げられます。このような場合に自己破産を認めると債務者が逃げ得のようになるからです。

もっとも、実際には本人が反省していたりすれば不許可になることは少ないです。ただ、この判断は裁判官がするものですから、自分や弁護士で決めることはできません。

職業制限や郵送物の転送がある

自己破産の申立てをすると、自宅に自分あての郵便物が一切届かなくなります。郵便物は全て破産管財人に転送されるのです。

通常、破産管財人は自分が自己破産を依頼した弁護士になります。そのため、定期的に法律事務所に郵便物を取りに行く必要があるでしょう。なお、弁護士は郵便物の内容をすべてチェックしています。不正がないかどうか確認するためです。

また、自己破産をすると他の債務整理と違い、仕事が制限されます。仕事によっては「業法」と呼ばれる法律に基づいて行うことがあるでしょう。この「業法」に破産者は就くことができないと決められていることがあるのです。

どんな仕事が該当するかはいろいろあるので一概に言えません。弁護士に相談する必要があるのはこんな理由もあるのです。

個人再生と自己破産の違いからどちらを選ぶか

個人再生と自己破産には違いがあります。見た目の違いだけでなく、自分の将来に渡って影響する違いもあるでしょう。どちらがいいかは人によって違いがあります。

見た目で判断すると、債務が全てなくなる自己破産の方がよく見えるかもしれません。しかし、資産を全て取られる危険性があります。ローンが残っていても住宅があれば取られてしまうのです。もちろん住み続けることができないため追い出されます。

また、住宅があるからと個人再生を検討しても返済額が大きすぎることもあるでしょう。

どの方法が自分にとってベストの債務整理かは人によって違います。選択は慎重にすべきでしょう。

持ち家の方は個人再生を検討しよう

自宅を所有している人が債務整理をする際、まず任意整理を検討します。しかし、債務が大きすぎると任意整理は現実的ではありません。そうなると次に個人再生か自己破産かの選択になります。

この場合、個人再生を検討することになるでしょう。なぜなら、自己破産と違い住宅ローンを除いて債務整理ができるためです。もっとも、個人再生は債務が消滅するわけではありません。必ずしも適用できるとは限りません。しかし、持ち家の方はまず個人再生を検討するのが定石です。

アパート住まいで資産がなければ自己破産か?

自己破産は個人再生と違って返済が継続しません。免責されればその瞬間に債務が消滅します。今まで苦しめられ続けた返済から解放されるのです。

もっとも、自己破産をすると資産を残すことができないデメリットがあります。しかし、アパート暮らしの人で自動車を持っていなければ問題ありません。このような人は自己破産を選んだ方がいいことが多いでしょう。

個人再生と自己破産の違いに信用情報機関に登録される期間が挙げられます。個人再生の場合、完済を条件に元本カットをするため完済時から5年間登録されるのです。つまり、返済期間が3年なら8年間登録され続けます。5年では済まないのです。

これに対し、自己破産は免責を受けたらすぐ登録され、かつ確定します。そのため、免責から5年間しか登録されません。ある意味、自己破産のアドバンテージと言えるのではないでしょうか。

官報に載ることはお忘れなく

個人再生も自己破産も官報に掲載されます。官報に掲載されると、それを見た詐欺師やヤミ金がダイレクトメールを送るでしょう。また、自宅にこれらの人々が訪問することもあります。

官報を見る人はほとんどいませんが、最近の官報はデジタル官報です。将来、自分の個人再生や自己破産の事実がどこで知られるかわかりません。一生、このリスクを背負い続ける必要があります。個人再生や自己破産をすると官報に載ることはお忘れなく。

個人再生と自己破産の選択は弁護士に任せよう

個人再生と自己破産には違いがあります。調べればある程度の違いはわかるでしょう。ただ、それは表面上のメリットとデメリットだけの違いが分かるに過ぎません。そのメリットやデメリットの違いが自分に該当するかは別問題です。実際に自分が個人再生や自己破産をした結果は自分だけでは予測できません。

このような問題は、債務整理を専門としている弁護士に尋ねる必要があります。自分の思い込みで弁護士に相談しても、弁護士と意見が違うことがあるのです。強硬に自分の意見を通そうとしても、決していい結果には結びつきません。

人によってメリットやデメリットが違う

一般論として、個人再生は自宅がある人、自己破産はアパート住まいの人と言われます。しかし、それがすべての人に該当するとは限りません。

自宅があっても債務が5千万を超えていたら個人再生は使えません。アパート住まいでも新車を買ったばかりの人は、自己破産を使いにくいでしょう。人によって置かれた事情が違うので、一概に一般論では判断できません。

また、弁護士によっては若い人に個人再生や自己破産を勧めないという人もいます。官報に一生載るリスクにより何が起きるのかは、弁護士でも判断できません。

人によって個人再生や自己破産のメリットやデメリットは違うのです。

財産価値の算定は困難

また、個人再生をする際には住宅ローン特例を使うことが多いでしょう。この際、住宅の価値が個人再生を成功させるかどうかを決します。住宅価値が高すぎると別の方法を検討する必要があるかもしれないのです。

しかし、住宅価値の判断は一般の人にはできません。隣の家が最近売りに出ていたとしても住宅の価値は「一品物」なので評価は困難です。弁護士に依頼することで、正式な評価を出せます。そのような証拠があるから個人再生の交渉ができるのです。

弁護士への相談が必要

個人再生も自己破産も素人だけの判断でできるものではありません。メリットもあればデメリットもあります。プロが判断しなければ怖くてできないのです。

裁判所の職員が指導してもらい、自己破産の書類を作る人もいます。しかし、その後に起きるリスクのことまで裁判所の職員は判断してくれません。すべて自己責任です。

そのようなリスクを避け、メリットとデメリットを正確に指摘できるのは弁護士だけです。個人再生や自己破産の選択をどうするかは弁護士への相談が欠かせないでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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