民事再生(個人再生)

個人再生が認められる条件とは?

「個人再生ってどんな人が認められるの?」

「どんな条件の人が個人再生をすべきなの?」

この記事では、そんな人のために個人再生の条件について解説していきます。

個人再生は申立者全員が認められるわけではなく、認められるために条件があります。その条件をクリアできなければ、個人再生が認められません。

はたして個人再生をするための条件とは、どのようなものなのでしょうか。これから個人再生を考えている人は、個人再生の条件をしっかり理解してから申立をしましょう。

目次

個人再生が認められるための条件とは

個人再生ができる人の条件は、主に以下の2つです。

  • 将来的にも継続して収入を得られる見込みがあるかどうか
  • 借金が5,000万円以下であるかどうか

2つめの条件は、借金が5,000万円以下であるかどうかなので、非常にわかりやすいですね。

それでは1つ目の条件である、将来的にも継続して収入を得られる見込みとはどのような条件なのでしょうか。

個人再生は自己破産と違い、認められた後も借金が残ります。借金の額は5分の1ほどに減額されますが、その後3年を目安に返済をしていかなければなりません。そのため個人再生では、裁判所がその後完済まで支払いを続けられるか審査します。

裁判所も裁判所名義で個人再生を認めるので、その後支払いができなくなってしまっては意味がありません。こうした経緯から、将来的にも継続して収入を得られる見込みがあることが、個人再生の条件に入っています。そのため収入がまったくない無職の人は、個人再生が認められません。個人再生が認められるためには、客観的に収入が証明できなければならないのです。

将来的にも継続して収入を得られる見込みとは

それでは将来的にも継続して収入を得られる見込みとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。個人再生の場合、最低弁済額が決まっています。

  • 借金総額:100万円未満 最低弁済額:借金総額
  • 借金総額:100万円以上500万円未満 最低弁済額:100万円
  • 借金総額:500万円以上1,500万円未満 最低弁済額:借金総額の20%
  • 借金総額:1,500万円以上3,000万円未満 最低弁済額:300万円
  • 借金総額:3,000万円以上5,000万円未満 最低弁済額:借金総額の10%

基本的には最低弁済額になるよう個人再生では申請をして、決められた弁済額を3年目安で返済していきます。

例えば借金が400万円の人であれば、最低弁済額100万円で申請をします。100万円を3年(36カ月)かけて返済するとすれば、月々の返済額は3万円弱。つまり毎月3万円の返済ができるかどうかを、客観的に証明しなければなりません。

個人再生では申立時に個人再生案を提出するのですが、その中で返済できる旨を説明していきます。

先ほどの人であれば収入が毎月30万円、そのうち家賃が8万円、食費が5万円などの出費があり、5万円は毎月自由にできるので、その中から返済しますといった具合ですね。カードローンの審査と似たような形式なのですが、個人再生の場合裁判所が対応するのでよりシビアな判定になります。個人再生が認められるかどうかは再生案が大きく関わってくるので、書類の記載は正確におこないましょう。

債権者の否決によって個人再生が認められないことがある

また個人再生が認められるかどうかは、裁判所の判断だけではありません。個人再生では再生案の内容に対して、過半数以上の債権者の反対、または反対した債権者の債権額の総額が借金の半額を上回るとき、再生計画案が適用されません。つまり債権者の納得が得ることも、個人再生をするための条件と言えますね。

債権者が金融機関であれば弁護士などの専門家に依頼すれば、債権者に認められる可能性が高いでしょう。しかし債権者に個人が多い場合、個人再生を認めてもらうときに骨が折れることがあります。

どうしても債権者の合意が得られない場合、個人再生はできないので自己破産の手続きをすることになります。

自己破産は借金が帳消しになるというメリットがある一方、財産が残せないなどのデメリットがあります。住宅などの財産を持っている場合、個人再生をしたいと思うことは普通だと思うので、債権者にも認めてもらえるような再生案を出しましょう。

個人再生の履行テストをクリアすることも条件

個人再生では債権者と裁判所の認可がとれたあと、履行テストというものがおこなわれることがあります。履行テストとは再生案が、本当に実行できるのか確かめるためのもの。再生案で示した毎月の返済額を、個人再生委員が開設した口座に入金していきます。どのくらいの期間おこなわれるかは裁判所によって異なりますが、東京地方裁判所の場合6カ月に設定されることが多いですね。

履行テストは本当に返済をしていけるかどうかチェックするためのものなので、履行テストをクリアできなければ、個人再生は認められません。つまり履行テストをクリアすることも、個人再生の条件と言えますね。なお履行テストで支払ったお金は、最終的に個人再生委員の報酬を差し引いて、申立人に変換されます。

個人再生をするための最後の条件ともいえる履行テストをクリアすると、個人再生が認められる可能性はかなり高いです。

こんな条件の人は個人再生できる?

ここまで個人再生をするための条件について解説をしてきましたが、継続して収入を得られる見込みというのがかなりキーワードになります。正社員であれば継続して収入を得られる見込みがあるとみなされることが多いですが、アルバイトや年金受給者など収入が少ない人はどうなのでしょうか。ここからは個人再生が認められる条件について、より詳しく解説していきます。

アルバイトやパートの場合

アルバイトやパートといった非正規雇用でも、個人再生が認められることはあります。アルバイトやパートでも毎月安定した収入があれば、継続して収入を得られる見込みがあるとみなされます。ただし勤務先を短期間で変えていたり、勤務先が小さな会社であったりする場合、個人再生が認められないケースがあります。

勤務先を短期間で変えている人は、今後の勤務先を変えてしまう可能性があります。そうなると継続して収入を得られる見込みがないと判断されて、個人再生が認められません。

勤務先が小さな会社である場合、会社自体が潰れる可能性があります。カードローンの審査でもそうなのですが、公務員や大企業であれば会社が倒産する可能性は低いとみなされて、審査に通りやすくなります。

個人再生の場合でも大企業である方が、継続して収入を得られる見込みがあるとみなされますよ。

結論アルバイトやパートでも個人再生が認められるケースはありますが、正社員に比べると可能性は低いです。

年金受給者の場合

年金受給者の場合、個人再生が認められる可能性があります。年金は国から支給されるお金で、死ぬまで支給されます。そのためある意味アルバイトやパートよりも、安定した収入があると言えますね。ただし障害年金の場合はずっと受け取られると限らないので、継続して収入を得られる見込みにはカウントされません。国民年金や厚生年金の場合継続して収入を得られる見込みがあるとみなされるので、個人再生が認められる可能性は十分にありますよ。

生活保護を受けている場合

生活保護を受けている場合、個人再生は認められません。生活保護は国の措置ですが、自身に収入があるわけではありません。そのため生活保護を受けている場合、継続して収入を得られる見込みがないと判断されます。

ただし生活保護を受けている場合でも、自己破産は認められます。今後も生活保護を受け続けることを考えているのであれば、個人再生でなく自己破産を検討したほうがいいでしょう。

どんな条件の人が個人再生をすべき?

ここまで個人再生をするための条件を解説してきましたが、それではどんな人が個人再生をすべきなのでしょうか。個人再生にはメリットもありデメリットもあるので、どんな人が個人再生をすべきか解説していきます。

住宅など財産を残して再生手続きがしたい人

個人再生をすべき人の条件1つ目は、住宅などの財産を残して再生手続きがしたい人です。個人再生最大のメリットと言えるのが、住宅ローン特則制度が使えること。住宅ローン特則は、住宅ローンとそれ以外の借金がある場合、住宅ローンの借り入れはそのままに他の借金だけ減額する手続きです。

住宅を持っている状態で自己破産をすると、住宅は売却して債権者に分配しなければなりません。個人再生の場合は住宅ローン特則を使えば、住宅はそのままに他の借金だけ減額できます。

住宅ローンを組んだ住宅に自身が住んでいる人も多いでしょうから、引っ越しをすることなく借金が減額できる点はかなり嬉しいですね。

任意整理や特定調停でも住宅は残せますが、借金の減額を考えれば個人再生のメリットは大きいです。住宅ローンの支払いを終えられればその住宅に住み続けられるので、住宅ローンを組んだのであれば支払いは続けたい。

そんな人には個人再生は、ぴったりの手続きです。住宅など財産を残したい人にとっては、個人再生は向いています。

自己破産の免責不許可事由に該当している人

個人再生をすべき人の条件2つ目は、自己破産の免責不許可事由に該当している人です。自己破産の免責不許可事由というものがあり、借金の理由が免責不許可事由に該当していると自己破産が認められない可能性があります。それであれば次に借金が減額できる個人再生を選ぶ意味はありますね。

主な自己破産の免責不許可事由は以下の通りです。

  • 財産隠しなど債権者の利益を妨害する行為をした(財産隠し)
  • クレジットカード現金化をおこなった
  • 特定の債権者に有利な返済をした(偏頗弁済)
  • ギャンブルや浪費などで借金を作った(浪費行為)
  • はじめから自己破産をするつもりだった(詐欺行為)
  • 債権者名簿や債権者一覧表に嘘の情報を記載した
  • 裁判所の調査に対して嘘をついた
  • 過去7年以内に自己破産をしている

免責不許可事由に該当する人の中で多いのは、ギャンブルや浪費が原因で借金を作ってしまった場合ですね。

個人再生の場合免責不許可事由がないので、ギャンブルや浪費が原因で借金を作ってしまった人でも個人再生は認められます。ただし自己破産の免責不許可事由に該当していても、自己破産が認められるケースはあります。

そのため自己破産の免責不許可事由に該当しているからという理由だけで、自己破産ではなく個人再生を選ぶべきということではありません。借金の原因が免責不許可事由に該当していたとしたら、まず弁護士や司法書士といった専門家に相談してみるといいでしょう。債務整理に詳しい専門家であれば、自己破産を選ぶべきか個人再生を選ぶべきか教えてくれますよ。

自己破産の職業制限を受けたくない人

個人再生をすべき人の条件3つ目は、自己破産の職業制限を受けたくない人です。自己破産の手続き中には、一部の資格が制限されてしまいます。そのため職業制限を受けたくない人であれば、自己破産の次に減額効果が大きい個人再生を選ぶ理由になります。自己破産の職業制限対象になるのは、以下の職業・資格です。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 通関士
  • 弁理士
  • 中小会社診断士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 貸金業者割賦購入あっせん業者(信販会社など)
  • 警備員、警備業者
  • 建設業
  • 宅地建物取扱主任者、宅地建物取扱業
  • 質屋
  • 生命保険募集人
  • 証券業
  • 旅行業務取扱主任者、旅行業者

これ以外にも会社の取締役の人が自己破産をすると、取締役を続けられません。

ただしこれらの職業制限は、自己破産の手続き終了後は資格が回復します。そのため公認会計士の人が自己破産をしても公認会計士でいられなくなるわけではなく、自己破産手続き中に資格を使わない事務作業をして、資格回復後公認会計士の業務に戻るというやり方もできます。職業制限を受けても資格自体が喪失することはないので、今後のことをしっかり考えましょう。

個人再生をするデメリットとは

ここまで個人再生の条件について解説してきましたが、条件を満たしているのであれば個人再生の申立を検討するでしょう。

最後に実際に申立をする前に把握しておきたい、個人再生のデメリットを紹介していきます。デメリットを把握したうえで個人再生の条件を満たしているのであれば、個人再生の申立をしましょう。

信用情報がブラックになる

個人再生をするデメリット1つ目は、信用情報がブラックになることです。クレジットカードやカードローンの審査時には、信用情報が確認されます。個人再生をして信用情報がブラックになっていると、少なくとも5年間はクレジットカードやカードローンの審査に通りません。

そのため個人再生をすると、人によっては生活がガラッと変わります。しかしクレジットカードやカードローンと契約できなくても、現金での支払いやデビットカードは使えます。クレジットカードやカードローンの支払いが61日以上遅れた場合でも、信用情報がブラックになります。そのあたりの状況と個人再生をするメリットを見比べて、個人再生をするかどうか考えましょう。

手続きが大変で時間がかかる

個人再生をするデメリット2つ目は、手続きが大変で時間がかかる点です。個人再生は再生計画案など他の手続きに比べて、提出する書類が多いです。また書類を用意しても履行テストをクリアしなければならないケースもあるので、時間はかなりかかることが多いですね。個人再生を1人で行うのは非常に大変なので、まずは弁護士に相談しましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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