債務整理

受任通知で借金の取立がストップ!?気をつける7つの注意点

目次

受任通知とは

債務整理を弁護士に依頼すると、任意整理・個人再生・自己破産のいずれの手続きにおいても、債権者へ第一に贈られる共通の手紙を受任通知といいます。

具体的に受任通知とは、代理人となる弁護士が債務者から正式に債務整理の依頼を受けたことを債権者に伝える文書のことです。

この受任通知は、短tに弁護士や司法書士が債務整理事件を受任したという報告だけではなく、直接的な取り立てや督促を停止させる効果があります。

受任通知の効果

貸金業者からの取立てが一切ストップする

債権者であるカード会社や消費者金融は、弁護士からの受任通知を受け取ると以後一切、お金を貸している債務者に直接取立ての連絡を取ることができなくなります。

滞納を続けることで、カード会社から携帯や自宅に催促の電話がかかってくることもあります。業者によっては会社にまで電話がかかってくることや直接訪ねてくることもあります。

「家族や会社に借金のことがバレるのでは?」といった心配がある場合など、取立てがなくなれば精神的負担はかなり軽くなるはずです。

月々の返済も一時的にストップする

受任通知を送ると債務整理の手続きが終わるまでは、月々の支払いもいったんストップします。もちろん自己破産でなければ借金そのものがなくなるわけではありません。

しかし債務整理をしようと考えたということは、月々の返済もかなりの額になっていたはずです。一時的ではあっても支払いがストップすれば、経済的な負担も軽くなる点は大きなメリットといえます。

取立てが停止し支払いもストップする

受任通知を送ることで、借金の取立てに苦しむ人にとって何より助かるのが次の点です。

  • カード会社や消費者金融などから直接取立ての連絡がこなくなる
  • 債務整理の手続きが完了するまで支払いがいったんストップする

もしも必要以上の取立てに追い詰められているとすれば、直接連絡がこなくなるだけでも精神的にかなり楽になるはずです。

直接の取立ては貸金業法で禁じられている

受任通知を受け取ると、どうしてカード会社などから直接取立てがこなくなるのでしょうか。それは、法律で決められているからです。

「貸金業法」といって、お金の貸し借りに関するルールを定めた法律です。貸金業法第21条1項9号には、弁護士からの受任通知が債権者に届くと、それ以降は債務者に取立てが一切できなくなることについて以下のように書かれています。

「債務者等が、貸付の契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士」という。)に委託し、又はその処理のために必要な裁判所における民事事件に関する手続きをとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。」

弁護士が代理人になった以上、たとえ電話やFAXであっても直接取立てをしてはいけませんよ、ということです。

受任通知の注意点

受任通知の効力はすべての業者にあるわけじゃない

受任通知が送られたからといってすべて安心、というわけではありません。直接の取立てが禁じられているのは、貸金業者や債権回収会社(サービサー)です。それ以外の個人への借金や買掛先などは対象になりません。ただし、弁護士が代理人となって債務整理を始めた場合、通常は個人や買掛先などの債権者も一時的には取立てを停止してくれます。

ちなみに債権回収会社とは、カード会社や銀行などから委託、譲渡され債権の回収を専門に行う業者のことです。近年、サービサーを装った架空請求が増えていることが問題とされています。サービサーを名乗る団体から請求があった場合も、弁護士にすぐ連絡をしましょう。

受任通知を送る直前にカードを使うと詐欺罪になる

信用情報機関に登録される金融事故は債務整理だけでなく、返済期日より2~3カ月遅れる長期滞納も含まれます。登録されれば最低5年間情報は消えませんし、新規でカードも作れず住宅ローンなども組めなくなる可能性があります。

すでにカードが使えない状況であれば問題はありません。気をつけるべきは、ショッピング枠やキャッシング枠にまだ余裕がある場合です。

「どうせ使えなくなるんだから」と受任通知を送る直前に、慌ててショッピングやキャッシングをすると「詐欺罪」に問われることになります。くれぐれもそのようなことはしないでください。

社会保険や税金からは逃れられない

受任通知を送ればカード会社などの取立てはストップします。法律で禁じられているからです。しかし、その法律は「貸金業法」という貸金業者に対しての法律です。

社会保険や国民健康保険、税金や年金を滞納していた場合、この法律は適用されません。水道代や電気代なども同じです。

債務整理には、一番リスクの少ない任意整理をはじめ、特定調停、個人再生、自己破産の4種類あります。

自己破産は自分の持ち家などの財産を手放す代わりに、カード会社や消費者金融、銀行などからの借金を免責してもらえます。しかし、たとえ自己破産であっても社会保険や税金、水道光熱費などの支払いを免責されることはありません。もし滞納しているのなら、市役所や税務署などに分割での支払いを相談してみましょう。

給与の差押えなどは止められない

受任通知を送れば取立てがストップすると何度もお伝えしていますが、給与の差押えなどの「強制執行手続き」に関しては止めることはできません。貸金業法で禁止されているのは、あくまでも取立てについてだけです。

もし給与の差押えまで話が進んでいる場合は、裁判所に「強制執行停止の申立て」をしなければなりません。債務整理を依頼している弁護士に相談してみてください。

訴訟などの裁判手続きも止められない

たとえ受任通知を送ったとしても、債権者が借金の返済を求める訴訟を起こすことまで止めることはできません。

「訴訟なんかされたら債務者の生活が脅かされるから違法なのでは?」と感じますが、頼んでもいないのに貸金業者がお金を貸してくれたわけではないはずです。直接の取立ては禁じても、回収する権利さえも奪うことはできません。

ただし、受任通知後すぐに訴訟を起こすなど、債務者が生活を立て直すための債務整理を邪魔するような場合は、訴訟が「不法行為」と認められる可能性もないわけではありません。

保証人も債務整理になる可能性がある

受任通知を送ることで債務者への請求は止められますが、債権者が借金の返済を保証人に請求することまでは止められません。債務整理をすることが決まったら、必ず保証人にも連絡をしておきましょう。

その理由は、いきなりカード会社や消費者金融から連絡がきたら驚くからだけではありません。もし保証人も支払い不能な状態であれば、同じように弁護士に依頼し債務整理をしなければなりません。そのための準備が必要となりますので、できるだけ早く連絡をしてあげてください。

ただし、任意整理を行う場合には借金の対象を選ぶことができますので、保証人がついている借金だけは任意整理をしない、という選択をすること可能です。

口座の凍結で電気や水道が止まる可能性もある

債務整理を行う相手先が銀行の場合、受任通知を送ることで預金口座は凍結されます。その場合に困るのは、お金が引き出せないこと以外にも以下のようなケースがあります。

  • その銀行が給与振込先になっていると給与を下ろせなくなる
  • 水道光熱費などの引き落とし口座になっていると引き落としができなくなる

特に引き落としができないまま放っておくと電気や水道が止まってしまいます。各事業者から連絡がきたら早急に支払うか、事前に引き落とし口座を変更しておくようにしましょう。

カード代金の引き落としはすぐに止まらない

カード代金を口座引落にしていると、債務整理をしたとしてもすぐに引き落としが止まるわけではありません。システム上の問題で翌々月ぐらいまで引き落とされてしまう可能性もあります。

もし日々の生活に困っているにもかかわらずカードの引き落としがある場合、受任通知を送る前に口座から引き出しておくようにしましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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