債務整理

利息制限法とはどんな法律?

お金を貸付する際、利息を自由に決めて良いとすると、どの貸金業者も高い利息でしか貸付しなくなるでしょう。やむなく借入をした人は、その高い利息の支払いのためにさらに生活を圧迫することになりかねません。
そこで、利息については一定の制限をかける必要があり、そのための法律が「利息制限法」ということになります。

利息制限法とは、貸金業者などが高すぎる金利で貸付をしないよう消費者を保護するために、金銭消費貸借(お金を借りるかわりにそれと同額のお金を返すという契約)の利息や遅延損害金の利率を一定に制限をするという法律です。

本記事では、利息制限法とはどんな法律なのか、利息の制限とは何かをご説明いたします。

目次

利息制限法はどんな法律なのか

利息制限法は、貸金業者などが利息を高くしすぎることを防いで、消費者を保護するために1954年法律第百号として制定された法律です。また「利限法」と呼ばれることもあります。

次に、利息制限法について詳しくご説明いたします。

利息制限法とは

利息制限法とは、貸金業者が高すぎる利息で貸付をしないように防止し、消費者を保護するため、利息や遅延損害金を一定に制限する法律です。

その利息制限法第1条では、「利息」の制限をしています。「利息」というのは、金銭消費貸借契約(借りたものを消費することを前提に、お金を借りるかわりにそれと同額のお金を返すことを約束して、お金を借りるという契約)で元本以外に支払義務があるもので、一般的には「利子」という言い方をすることもあります。

利息に対する制限

利息は「元本×利率(金利・年利)」によって支払い額が決まります。
例えば、元本50万円の借入で年利が18%の場合、30日間の借入についての返済を行うには、50万円×18%÷365で1日あたりの利息を計算して30日をかけるので、7,397円となります。

利息制限法では、この利率を制限で利息の額を制限しています。
利息制限法第1条は、元本の額に応じて次のように利息を定めています。

  • 元本の額が10万円未満の場合:年20%
  • 元本の額が10万円以上100万円未満の場合:年18%
  • 元本の額が100万円以上の場合:年15%

参考までに、「トイチ」と呼ばれる暴利を請求する闇金は、年365%も取っている計算になっています。

ここに規定されている利率で計算される利息を超える金利については、条文はありませんが無効とされています。

貸金業者が利息を受け取る方法としては、返済時に利息も一緒に返済してもらう方法と、貸付をするときに受け取る利息を差し引いて貸付をする天引の方法がとられている場合に、上記の利率以上の利息を受け取っている場合には、元本の返済に充てたものとみなされます(利息制限法第2条)。

利息制限法第2条のような規定があったとしても、利率は低くおさえられている一方、手数料・調査料・礼金などの理由をつけて利息以外の名目で金銭を受け取るような事があると、利息を制限した意味がなくなってしまいます。

そのため、契約の締結と債務の弁済の費用以外の一切の名目の金銭については、利息制限法第3条で「みなし利息」として、利息に含めて計算することになります。もし、上記の利率を超える金額を受け取っている場合には、無効とすることになっています。

みなし利息にあたるかは、次のような判例があります。

  • 業務運営の在り方から見て一体と評価される場合の保証会社の保証料はみなし利息にあたる(最判2003年7月18日)。
  • 抵当権を設定する場合の、登記手続をするための旅費日当・登記抄本代は契約の締結費用に入るためみなし利息ではない(最判1967年9月7日)。
  • みなし利息についての立証責任は貸金業者にある(最判1971年6月10日)。

また、利息制限法6条、利息制限法施行令第1条・第2条によって利息とみなされない費用として、次のような規定もあるので注意が必要です。

  • 借入や返済に利用するためのカードの再発行手数料
  • 貸金業法に規定されている書面の再発行の手数料
  • 口座振替手続で返済できなかった場合に別の口座に変更する際の手数料
  • ATMで返済する場合に1万円以下の場合には110円・1万円を超える場合には220円までの金額
  • 印紙代などの税金の支払にあてられるもの
  • 強制執行や担保権の実行費用

遅延損害金に対する制限

利息制限法では、返済が遅れた場合にペナルティとして支払い義務を定める「遅延損害金」についても制限をしています。

借金の返済予定の期日を経過した場合には、早く支払うことを間接的に強制するために、ペナルティとして遅延損害金の支払が必要になります。遅延損害金も利息と同様、元金の何%という形で規定しており、返済する際に元金・利息と一緒に支払う事になります。

利息制限法第4条は遅延損害金の額について、前述の利息の1.46倍を上限とすることを規定しています。

なお、利息制限法に違反した場合でも、刑事罰や行政罰は法定されていません。
しかし、利息制限法に違反しているような場合には、後述する出資法に違反していることになるので、出資法によって刑罰を科せられることが考えられます。

利息制限法の上限金利を超える利息を受け取るような場合には、貸金業法の規定に抵触していることも珍しくなく、そのような貸金業法違反の取り立て行為を理由に行政処分を受ける可能性があります。

利息制限法を違反した場合の民事上の効力

利息制限法の制限利率を超える利息や遅延損害金の契約を行った場合、利息制限法の制限利率の超過している利率分は、無効となります。(利息制限法第1条、第4条第1項)ですので、利息制限法の制限利率を超える利息や遅延損害金を支払う約束をしている契約を交わしたとしても、制限利率を超える利率部分は無効となるのです。

民事の場合

利息制限法の制限利率を超えて返済をしていた場合、制限利率を超える利率部分は元本にあてたとして扱われます。

そのため、利息制限法の制限利率を超える利率部分を元本にあてられていることを知らずに返済を続けている場合、払いすぎた利息(過払い金)は、過払い金請求をすることによって、お金を取り戻せることができます。

自分には過払い金が発生しているのか確認するには、過払い金の引き直し計算をすることによってわかります。過払い金の引き直し計算をするには、貸金業者から取引履歴を取り寄せる必要があります。
この取引履歴には、貸金業者からのお金のやり取りがすべて記載されており、いついくら返済したかということから、払いすぎたお金を計算することができます。

過払い金の引き直し計算をすることによって、借金を減額、または借金を完済できる可能性があります。

併せてチェック!

刑罰の場合

利息制限法は、制限利率を超えた貸付を行ったとしても刑罰の規制はありませんが、制限利率を超える貸付を行った場合、制限利率を超える利息部分は無効になります。また、制限利率を超える貸付を行った場合、借主は過払い金請求を行えば貸金業者は制限利率を超える利息部分を返還する必要があります。

対して、出資法は制限利率を超える貸付を行った場合、刑事罰があります。

行政罰の場合

前述の通り、利息制限法の制限利率を超える利息部分は無効になるだけではなく、貸金業法による貸金業者の登録取消しや業務停止命令などの行政処分の対象となります。また出資法による刑罰を科せられる場合もあります。

利息制限法の制限利率を超えて返済をしていた場合、貸金業者が罰則を受けることがあっても借主は罰則を受けることはありません。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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