債務整理

住宅ローンの「連帯債務者」と「連帯保証人」はどのように違う?

住宅ローンを組む場合に「連帯債務者」と「連帯保証人」の2つの用語がでてきます。複数の人が支払いに関わっているイメージですが、それ以上の細かい違いはどのようなものなのか、ペアローンなどの用語についても解説します。

目次

住宅を購入する際の「連帯債務「ペアローン」「連帯保証」の違い

住宅ローンは住宅を購入する目的でする金銭消費貸借契約です。

住宅金融支援機構の「フラット35」という言葉や、銀行の借入についての情報をよく目にすると思いますが、これらの利用は金銭消費貸借契約の商品名です。

金銭消費貸借契約なので、貸主である金融機関(住宅金融支援機構や銀行)が債権者、お金を借りる人が債務者となります。

その住宅ローンを組むにあたって、契約の形態には「連帯債務」「ペアローン」「連帯保証」という3つの方式があります。

「連帯債務」は一つの金銭消費貸借契約において、夫婦の両方が連帯債務者となる契約のことを言います。

「ペアローン」は、夫婦がそれぞれ別々に住宅ローンの契約を結ぶことをいい、契約が2本あることになります。

「連帯保証」は一つの金銭消費貸借契約において、夫か妻かどちらかが債務者となり、その債務の支払いを保証するために、もう一方が連帯保証契約を結ぶことをいいます。

以下、それぞれの契約形態の意味や特徴について見てみましょう。

連帯債務の特徴

連帯債務とする場合の意味や特徴を知りましょう。上述した通り、住宅ローンは金銭消費貸借契約なので、お金を貸すほうが債権者・お金を借りる方が債務者となります。

フラット35を利用する際には、住宅金融支援機構が債権者でお金を借りる人が債務者になります。

債務者は借入をするにあたって、頭金や収入・職業など様々な項目を審査されることになるのですが、審査は「住宅を購入するお金を貸し付けて返済をしてもらえるかどうか」を判断します。

日本の場合、住宅購入のきっかけになるのが、結婚や出産です。この時に、住宅を夫の名義にして借り入れを検討するのですが、夫の収入だけでは審査に通らない、審査自体には通っても希望する金額の借入ができないという事もあります。

妻にも支払い義務を法的に負ってもらうことで審査に通りやすくなることがあるため、取引の形態として複数の債務者が一つの債務について全部の責任を負う連帯債務になる方法です。

たとえば3,000万円の住宅ローンを組んだ場合には、債務者が2人なので1,500万円ずつの債務を負うわけではなく、夫婦両方が3,000万円全額について責任を負っている状態になります。

夫婦がともに全額の債務を負っている=責任を負う人が増えることになり、住宅ローンを完済してくれる可能性が高くなるので、借入しやすくなります。

そして、夫婦の収入を合算して借り入れできるので、より大きな額の借入ができるようになります。

後述するペアローンでは2本の契約となるので、手数料が2倍かかるのですが、連帯債務は債務が1本なので手数料も抑えられます。

また、夫婦の両方が債務者になるので、3,000万円の特別控除を夫婦で受けられます。

ただ、夫婦両方の収入を見込んで借り入れをしていることから、一方が病気・事故・出産・親や子の介護などで収入が落ち込んでしまった場合に、返済が難しくなるデメリットがあります。

連帯保証の特徴

次に連帯保証とはどのような状態かを知りましょう。

債務の責任を負うのは債務者だけではなく、保証人でも負うことになります。

民法が規定しているもので、主債務者が支払いをすることができなくなった場合に、債務者ではないものの支払う義務がある者として設定されるのが保証人です。保証人が負っている債務を保証債務といいます。

保証債務は、住宅ローンの借入のほか、中小規模の貸金業者から借り入れをする場合や、事業者ローンからの借入をする場合にも利用されます。

保証人は特別な規定が無い限りは、主債務者が支払いをできなくなったときに初めて請求を受けて、強制執行を受けます。しかし、連帯保証債務を負っている人は、最初から自分に請求をされても拒むことができません。

そして、実務上では連帯保証を利用されることがほとんどですので、住宅ローンの借入についても保証人になる場合には連帯保証となります。

また、連帯保証人も複数の人がなれるので、夫が主債務者・妻が連帯保証人となる場合に、これではまだ借入に不安があるというような場合に親や兄弟なども一緒に連帯保証人となることもできます。

夫が主債務者・妻が連帯保証人であるような場合には、主債務者は夫のみですので、不動産も夫の単独名義となります。

所得税における住宅ローン控除を受けるためには、債務者である必要があります。そのため、連帯保証人の場合には住宅ローン控除の適用を夫婦揃って受ける、ということができないので注意が必要です。

ペアローンとはどのような状態か

連帯債務・連帯保証と並んで利用される住宅ローンの形式として「ペアローン」がありますのであわせて知っておきましょう。

その名の通り、夫婦や親子などの「ペア」で組むのでこのような名前が付けられているのですが、法律上の名称ではなく、一般的にこのような名前が付けられているだけです。

ペアローンは、法形式上は2名以上がそれぞれ銀行などと契約をして別々に借入をして、目的とする金額の借入を合算で調達する住宅ローンです。

例えば、5,000万円の住宅を購入する場合、夫が2,500万円・妻が2,500万円のローンを別々の契約で組むことで5,000万円を手に入れます。

連帯債務・連帯保証がそれぞれ契約が1本で5,000万円全額の契約であるのですが、夫についての契約と妻についての契約の2つがあるという違いがあります。

この時に、夫婦相互にそれぞれの債務の連帯保証も行いますので、ペアローンは連帯保証の一つの契約方式であるという見方もできます。

それぞれが債務者になっていることから取得する住宅は共有名義になります。
将来売却をする場合に3,000万円の特別控除があったり、借入ができる額が他の契約形態に比べて多くなる傾向にあるメリットがあります。

ただし、契約が2本になるので、契約に関する手数料が二倍になることがデメリットになるのがペアローンです。

妻が妊娠・出産などで退職して支払えなくならないように配慮をしておいたり、妊娠・出産が終わって子供が大きくなってきて今の家では手狭となった場合に利用するなど、注意が必要です。

連帯債務者と連帯保証人とペアローンの同じ点・違う点を知ろう

連帯債務・連帯保証・ペアローンについての比較をしましょう。いずれの方式によっても夫婦が債務を負う点で異なるものではありません。ただし債務の負い方が違います。

住宅購入資金が5,000万円だとすると、連帯債務は借入額5,000万円全額についてそれぞれが主債務を負っています。

これが連帯保証の場合には、主債務者は5,000万円全額について主債務者として責任を負い、連帯保証人は5,000万円全額について連帯保証債務を負います。

最後にペアローンの場合には、それぞれ2,500万円分の主債務者として責任を負い、一方で残る2,500万円については連帯保証を負うことになります。

形式は違うのですが、5,000万円分全額についてなにかしらの一時的な責任を負うことを知っておきましょう。

この形式の違いは、一方が支払できなくなった時に他方にいくら請求できるか、という点に違いがでます。

たとえば5,000万円の住宅を買った夫婦が離婚をして一人が支払いを放棄した場合にその差が重要になります。

連帯債務で夫・妻が一人で支払った場合には、それぞれ負担部分が2,500万円あることになりますので、もう一方に2,500万円の支払を求めることができます(求償権)。

連帯保証の形で契約した場合には、連帯保証人は主債務者が払えない場合に支払いをするのが基本で、最終的な負担を負うのは主債務者です。ですので5,000万円保証人が支払った場合には、主債務者に5,000万円全額について求償権を行使することができるようになります。

ペアローンの場合には一人で5,000万円全額の支払いをした場合には、2,500万円の自分の債務の支払いと、2,500万円の保証債務の支払いとなります。2,500万円の保証債務の支払い分を主債務者に求償をすることになります。

次に、対象となる住宅に関する所有権がどうなるのでしょうか。対象となる住宅の所有権については、夫もしくは妻一人の名義になる単独所有と、共有の2つの方式があります。住宅ローンについて債務者となった人は、対象となる住宅についての名義人になる、という考え方が基本になります。

ですので、主債務者としての地位がある連帯債務・ペアローンについては所有者となりますが、連帯保証債務を負う場合には主債務についての責任を負っていないので所有者とはなりません。

所有者になる場合には持分を設定することになるのですが、通常は半分づつとなり、夫婦ともに1/2ずつの持分の設定にします。

ただし、ペアローンで共有にしている場合にはペアローンで組んだローンの金額によって持分が変わることもあります。

5,000万円の調達をするにあたって、夫が3,000万円・妻が2,000万円のペアローンの設定をした場合には、夫の持分が3/5・妻の持分が2/5となることもあります。

住宅ローンを合算して借り入れをする場合にはどのようなメリット・デメリットがあるのか

住宅ローンを夫婦の収入を合算することにどのようなメリット・デメリットがあるのかを検討しましょう。

住宅ローンの借入をする際に、申込をうけた住宅金融支援機構や銀行は、返済能力を確認します。住宅金融支援機構や銀行は、返済をする人の収入は必ず確認をします。

しかし、上述した通り、住宅ローンによって住宅を手にするきっかけのかなりの割合が結婚によって新居で新しい暮らしを始める、出産によって家が手狭になったというものが占めています。

女性の社会進出が進んだ昨今、パート・派遣社員といった形態での就労はもちろん、育児休暇・在宅勤務などの制度が進んだ会社なら正社員としても仕事を続けることが容易になっています。

そのため、夫の収入のみで判断をするのではなく、妻の収入をあてにした住宅ローンの支払いも検討することになります。その結果、上述する連帯債務・連帯保証・ペアローンという形での借り入れも実際に頻繁に利用されるようになっています。

借入をするにあたって収入を合算する場合には次のようなメリットがあります。

まず、一人の収入では借り入れができないような額についても、夫婦の収入をあわせれば借入ができるので、対象となる物件の選択肢が増えるといえるでしょう。

たとえば、夫の収入だけで計算をすると3,000万円しか借入ができないという場合には、住宅取得にあたっての選択肢が大幅に限られることになります。

そのため、住みたいと思っていた土地に住むことができない、住みたい土地でも郊外しか手に入れることができない、型の古い中古住宅・中古マンションしか手に入れることができない、狭い物件しか買うことができない、新築する場合でも狭いものしか建てられない、利用する資材や機能が納得するものを利用できない、といったことが生じます。

もし、妻の収入を合算して5,000万円まで借入をすることで、住む地域をもっと良いところにできる、郊外ではなく駅や学校・ショッピングセンターに近いところを選べる、より良い建物を建てられる、という風に選択肢を増やすことができるといえるでしょう。

一方で収入合算によってデメリットもあります。収入を合算して借り入れをするということは、収入があることを前提に返済をすることが予定されています。
結婚をしたばかりの時に物件の購入をする場合には、これから妻が妊娠・出産をすることも考えられます。

すでに出産をしていたとしても、その後に子どもができたような場合には同様に妻が妊娠・出産をするような場合もあるでしょう。

この場合に妊娠中は残業などができなくなることもあります。出産が迫ってくると退職をする・産休を取るというような場合がありますが、いくら手当が出るといっても、働いている場合に比べると収入は落ちます。

このような場合には返済をするための収入が減ることになります。妊娠・出産はおめでたいことなのですが、ギリギリの家計で住宅を手に入れているような場合には、妊娠・出産によって返済が難しくなるような場合もあります。

当然ですが、このような場合に備えて貯蓄をしておく、親族に援助をしてもらう、という対応策はあっても、計画通りに収入が戻らなかった場合には非常に返済が負担になることがあります。

借り入れをする際にある程度このような事情も織り込んで貸付を受けることになりますが、妊娠・出産に限らず、夫が失業・病気をした場合に妻が一人で二人分の返済を支えるようになった場合には、通常返済できなくなることが多いので、注意が必要です。

連帯債務に関する民法の規定について知る

連帯債務についての民法の規定をまとめましょう。

まず、連帯債務は、一人ひとりが債務全額に責任を負うという特殊な債務になるので、債務者が複数いるというだけで成立するわけではなく、連帯債務を負うという意思表示が必要です。

ただ、商法511条1項の規定が適用される場合には、複数の債務者が連帯することになる規定があります。

連帯保証人の中では、債務負担の割合を決めていたとしても、債権者から全額の請求をされても、「自分の負担割合のみにしてください」と拒むことはできません(民法第432条)。

成立した連帯債務について、債務者の一部がたとえば未成年者だった、錯誤があったなどの原因で無効・取消をすることができる場合もあります。

この場合でも、他の連帯債務者の効力に影響を及ぼさないとされています(民法第433条:相対的効力の原則)。ただし、以下の場合には他の連帯債務者にも効力が及ぶとしています(絶対的効力)。

一人が弁済をした場合には、他の連帯債務者についても効力を生じます。500万円の連帯債務を負っている場合に、連帯債務者の一人が500万円の弁済をした場合に他の債務者もこの弁済によって請求を免れるとするものですので、特に違和感はないでしょう。

民法第434条は、連帯債務者の一人に請求をした場合に、他の債務者に請求をした効力が及ぶとしています。

履行期にある債務について請求を迫るには履行遅滞という状態にしなければならず、履行遅滞にするためには債務者に請求する必要があります。

連帯債務の場合に、一人に請求をすれば上記の規定によって他の債務者にも連帯債務の効果が及ぶので、債務者全員が履行遅滞になるというのがこの民法の規定です。

民法第435条は、債権者と債務者の間に更改があった場合に、他の債務者に影響するとしています。

更改というのは契約に関する内容に変更を加えることをいいます。たとえば、債務の支払期限を変更するような場合、連帯債務の場合には債務者の一人と支払期限を変更すれば、他の債務者もその期限での支払義務となることになります。

民法第436条は、連帯債務者の一人が債権者と相殺をした場合に他の債務者にも影響が生じるとしています。相殺(そうさい)というのは、債務者が債権者に対して別の債務を持っている場合に、二つの債務で差し引きの計算をして終わりとすることをいいます。

債権者が債務者に対して500万円の請求をすることができる場合に、債務者が何らかの原因で債権者に対して逆に500万円請求できる場合があります。この場合に、500万円のお金を行き来させるよりも、両方の債権債務を同額で消滅させた方が効率的であるという観点からこのような方法が規定されています。

連帯債務者の一人が債権者に対して反対債権がある場合に、この債権で相殺をした場合には弁済をした場合と同様に他の債務者も債権の消滅を主張することができます。

民法第437条は債権者が連帯保証人の一人に対して債務の免除をした場合に、他の債務者に対しても効力が及ぶとしています。

300万円の連帯債務を3名で負担部分を均等にして負っている場合に、債権者が1名に対して債務免除をした場合には負担部分である100万円については連帯債務から消えて、残った二人が負う連帯債務は200万円のみになるとしています。

民法第438条は連帯債務者の一人と債権者の間に混同が生じて債務が消滅した場合には、他の債務者にも及ぶとしています。

混同というのは、債権者と債務者という地位の両方を持つことになった場合に債権(債務者からすると債務)が消滅するとするものです。

例えば、親が子にお金を貸した場合に、子が親を相続すると、債権者としての親の地位と、債務者としても子の地位の両方を兼ね備えることになります。

このような場合には債権を存続させておく必要が無いので、債権(債務)は消滅するとしています。

連帯債務者の一人が債権者の子であるような場合に、相続により混同が生じることによって債務が消滅し、他の債務者についても債務が消滅します。

民法第439条は、連帯債務者の一人との間に時効が成立した場合には、負担部分の消滅を他の債務者も主張できるとしています。

刑事事件についてよく話題になる時効ですが、民事の世界にも存在しており、例えば金銭債権については、請求しなければ10年で時効により消滅をします。

時効については債権者は黙って指をくわえて待っているだけではなく、様々な方法で中断をすることができます。

たとえば請求をすれば時効を中断することができ、請求をすれば上述のように絶対的効力があるので、全員との間で時効が中断します。

ただ、債務者が債務の存在を承認することで時効が中断する場合には、上述の絶対的効力が生じる例外からはずれますので、他の債務者に影響を及ばしません。

そのため、連帯債務者の一部の人のみ時効が完成することも想定されます。
300万円の連帯債務を債務者3人で均等な負担割合で負担していた場合に、一人のみ時効が完成した場合には、負担部分である100万円について連帯債務が消滅するので、残った二人は200万円のみ請求を受けることになります。

連帯債務については求償についても基本知識として知っておきましょう。

連帯債務者は上述したとおり、債務全額について請求をされた場合には、全額の支払に応じなければなりません。その債務者がこれに応じて一人で支払って損をしているような場合には、他の連帯債務者に対して負担割合については支払いをしてくれ、という主張をするのは容易に想像つきます。

この請求の根拠となるのが求償権で、民法では443条に規定しています。
連帯債務については、契約後何らかの原因で連帯させることを債権者が免除をすることがあります。

連帯免除には連帯債務者のうち一部の人の連帯免除を行う相対的連帯免除と、全員の連帯免除を行う絶対的連帯免除があります。

後者の絶対的連帯免除をすると、連帯債務者が自分の負担部分についてのみ責任を負うことになります。300万円の連帯債務を3人均等な負担をしていた場合に絶対的連帯免除を行うと、それぞれに100万円づつ個別の債務になるようにわけられます。

前者の相対的連帯免除では、上のケースでは1人だけが連帯免除をされることになり、残った二人は以前として連帯債務を負うことになります。

つまり連帯の免除を受けた1人は100万円を個別で負担すれば済みますが、のこり2人は200万円について連帯債務を負うことになります。
この時に、3人の債務者のうち1人が資力を失って返済ができなくなっているような場合があり、資力のある残り2人のうちのどちらかの連帯の免除をすると、資力を失った者と連帯債務を負っている人は2倍の負担を強いられることになります。

そのため、このような形での連帯免除をする場合には、債権者が資力を失った者の分を負担することになっています(民法第445条)。

連帯債務は契約時に当事者の意思によって負担するのですが、不法行為に関する損害賠償責任について、当事者に密接な関係がなくても被害者に対する支払を手厚くするために、連帯債務としているものがあります。

次のようなケースでは複数の人が損害賠償責任を負うのですが、それらはすべて連帯債務とされています。

  • 法人が不法行為責任を負う場合に、理事個人も個人として負う責任(判例)
  • 被用者が不法行為責任を負う場合に使用者が負う使用者責任(民法第715条)
  • 共同不法行為(民法第719条)において、各共同不法行為者が負う責任

このような債務について、当事者に密接な関連がないことや、一人について生じた事情が他に及ばないことから、不真正連帯債務という呼ばれ方をします。

連帯債務・連帯保証・ペアローンのどれが向いているのか?

夫婦でローンを組む3つのやり方はどの夫婦にどれが合っているのでしょうか。
まず連帯債務型はどのような夫婦に向いているでしょうか。

連帯債務型のメリットは、夫婦2人とも債務者になるため、住宅ローン控除を受けることができることにあり、またペアローンとは違って契約が1本だけで済むので手数料が安いということがありました。

そのため、収入合算したい場合で、住宅ローンに付随する手数料の支払いを抑えたい、というよう夫婦に適しているといえます。

ペアローンの場合には夫婦そろって返済義務があるので、どうしても妻も妊娠・出産をすることがない事を前提としています。

そのため、まだ子供が居ない段階や、まだ子供が欲しいと思っている夫婦はペアローンによると負担が大きくなるので連帯債務のほうが、夫婦であることに対する配慮もされやすいので、連帯債務の方がよいでしょう。

ただし、連帯債務型の住宅ローンについては取り扱いをしている金融機関が少数派ですので、住宅ローンの相談を金融機関に行う際に、連帯債務型の住宅ローンの取り扱いをしているか、事前に調べていくようにしましょう。

連帯保証型で住宅ローンを利用する場合には、一応は夫婦の収入を合算して契約をすることができるのですが、主債務者が夫もしくは妻のみであるため、住宅ローン控除を使えるのが夫婦の一方のみです。

また、住宅ローンの債務者が死亡するなどした場合の保険である団体信用生命保険も債務者にしか適用されませんので、収入の大部分を占める主債務者が亡くなった場合には回収不能となる危険も高いです。

そのため、債権者としても収入合算するものあっても、貸し付けをしづらいということもあり、他の2つのパターンよりもメリットの少ないものになります。

夫の収入だけではもうちょっと希望額に届かないけれど、夫婦がフル稼働で働いていることまで前提にしなくてもよく、名義も夫のみの名義でよい、というような場合に限られるでしょう。

最後にペアローンに適しているのはどのような夫婦でしょうか。ペアローンは夫婦揃ってローンを返済する必要があります。そのため、夫婦ともに安定した収入があることが必須で、妊娠・出産の予定がない、その予定がある場合でも、会社が産休・育休があり実効的である、退職したとしても容易に同じくらいの収入が確保できるような場合であることが一つです。

また、ペアローンは団体信用生命保険に加入をすることができるのですが、健康条件に不安があるような場合には加入ができません。ペアローンは契約が2本になりますので、手数料が2倍になります。

以上から、夫婦の収入の基礎がしっかりしていて、団体信用生命保険に加入ができ、費用負担があっても問題ないような夫婦に向いているといえるでしょう。

収入合算の計算方式とどの収入合算を選ぶか

収入合算の方式については、連帯債務・連帯保証・ペアローンの利用があるということをお伝えしました。

では、実際に金融機関に申し込みをした場合に、どのようにして上記の計算方式を選ぶのでしょうか。上記の3つの中から、自分達が利用できる方法を指定して借り入れができれば便利なのですが、実際にはどの収入合算にするかを選ぶのは難しいといえます。

というのも、住宅ローンに関しては、契約の方式を金融機関が決めて商品として消費者に対して提示をしています。

そのため、その金融機関に対して他の方式での収入合算を依頼しても、そのような商品は取り扱っていない、という事になります。

家族構成がこんな場合には住宅ローンの組み方もかわる?

家族構成によっては住宅ローンの組み方を変えてもよい可能性があります。
典型なのは夫婦共働きの場合ですが、夫婦それぞれでペアローンを組んでも、収入合算をしても良いといえるでしょう。

子どもの有無によってパターンも変わると考えられますが、子どもがいないうちにしっかり繰上げ返済してしまうことができるのか、妻が子ども産んでから再び収入をしっかり得ることができる状態になるまでは、返済を続けることも検討できるでしょう。

家族構成として夫・妻の親と同居をするような場合には二世帯住宅の建築も検討すべきです。

この場合、住宅ローンでも親子リレーという、親子で共同して借り入れをするなどして、親が亡くなった後には自分達が返すという形で返済金を長く設定できるローンがあります。

また、二世帯で同居できるような場合には、親がしている貯金も頭金に計算をすることができます。

離婚をしたら連帯債務ってどうなるの?

仮に夫婦で住宅ローンを組んでいた場合でも夫婦が離婚をしたような場合にはどのようになるのでしょうか。

離婚をする際には、一緒に住んでいた住宅は夫婦のどちらかがそのまま住み続け、他方が退去することが通常です(住宅ローンの完済まで一緒に住む・離婚をしても当面一緒に住んでいる、ということはあります)。

連帯債務であるような場合には、離婚をしたからといって連帯債務であることを解消できるわけではありませんので、双方とも債務を負うことになります。
夫が居住を続けるような場合に、夫が住宅ローンの支払をしない場合には、そこを退去したにも関わらず妻に請求がいくこともあります。

また、慰謝料・養育費代わりに妻と子がそのまま住み続け、夫が自宅を退去することも考えられ、この場合に夫が新しく女性と結婚をするために、慰謝料・養育費代わりに支払っていた住宅ローンを支払わなくなり、妻がその請求を受けて、退去せざるを得なくなるということもあります。

そのため、離婚時になるべく連帯債務の状態を解消しておくことが望ましいといえます。

連帯債務を解消するための一つ目の方法としては、債権者が個別の債務に分割することを認めた場合ですが、法律上の手段としては存在していても、現実には支払を強制するためにした連帯債務を離婚をしたからといって一方的に連帯を解いてくれるわけではありません。

そのため、住宅を利用する人が他の金融機関から借り入れをした上で元々の債務を完済してしまって、新しく借り入れをした金融機関に返済をすることが考えられます。

しかし、これも借り換えを利用できるという前提になり、どこまで住宅ローンを支払ったか、対象となる物件の価値は現在どの程度になっているのか、によって利用できるかどうか異なるのですが、現実にはこれを認めてもらえるケースは非常に少数です。

また、以上のような方法は、夫婦の一方が住み続けることが前提になっているのですが、夫婦共同資産として手に入れた住宅を、夫婦の一方だけが使い続けることができるとするのは、不動産を利用し続ける方が一方的に得をすることになり、もう一方は債務の負担を受けながら住宅も使えない、という状態になるのは不公平であると感じる人の方が多いでしょう。

そのため、連帯債務解消に向けての最も近道の方法は、住宅を売却してしまった上で、残った住宅ローン返済にあてて、それでも住宅ローンが残ってしまうような場合には、親族に支払ってもらったり、分割をして返済を続ける、分割して返済をするのが難しいような場合には債務整理を行う、といったことを検討することになります。

この住宅の売却については「任意売却」という売却活動になり、特殊な売却活動になりますので、後述します。

住宅ローンの返済に困った場合の処理

住宅ローンの返済に困った場合にはどのような対処法があるのでしょうか。
その方法としては、貸し付けをしている金融機関に相談をする、任意売却を行う、債務整理を利用する、という方法が考えられます。

まず、貸し付けをした金融機関に相談することを考えましょう。返済にあたっては毎月契約をしている額にプラスして利息を支払う必要があるのですが、その支払が難しくなっているような場合があります。

金融機関では、返済が難しくなってきた場合に、どのような方法で返済をしていくかの相談をしてくれるような場所があります。

探し方としては、借入をしている「金融機関+相談」という形でインターネット検索を行って検索をしましょう。

電話での相談窓口を設置している場合もありますし、相談内容次第では店舗に直接訪問しての相談となります。台風・地震といった大規模な災害があった場合には、その返済について様々な支援が受けれられることがあるのですが、そのような情報も借り入れをした相談窓口において相談することが可能な場合があります。

また、住宅ローン以外にも債務があって、その返済にも困っているような場合には、貸し付けをしている銀行や消費者金融に相談をすることで、適切な対応策を聞ける場合もあるでしょう。

任意売却について知ろう

住宅ローンの支払ができなくなった場合には任意売却という制度があることも知っておきましょう。

住宅ローンは上述したように金銭消費貸借契約なのですが、この契約には対象となっている住宅に抵当権という担保がついています。

抵当権とはどのような権利かというと、住宅ローンなどベースとなる金銭消費貸借契約の支払いがされなくなったときに、住宅を競売にかけて競落をした人からもらったお金を返済にあてることができる権利です。

つまり住宅ローンの支払が遅れたような場合に、住宅ローンで購入をした不動産を競売して、競売で得たお金を住宅ローンの返済に充てることができることになります。

ただ、この競売なのですが、通常の売却よりも非常に低い額で競落されるのが通常です。不動産の場所・状態にもよるのですが、一般的には7割で売れればいい方で、5割程度にまで落ち込むこともあります。

つまり、普通に売却をすれば1,000万円で売れる場合でも、500万円~700万円での売却となります。これは、通常の売却であれば、住んでいる人は明け渡してくれるのですが、競売にかかるような物件ですと、

  • 住んでいる人が退去をしない
  • 夜逃げなどしたところに占有屋に代表されるような不法占拠者がいる

などで競落をした後に退去をさせたり、原状回復のために費用がかかることや、競売にかかる状況に不動産の管理を適切に行わないため、中を確認できないような場合には、どのような状態になっているかわからないということが原因とされています。

この時に、住宅ローンが残り2,000万円である場合には、1,000万円で売却してくれた場合には銀行としても債務は残り1,000万円となるので、高い額で売れたほうが有利ではあるといえます。

しかし、債務者としては、競売において500万円で売られようが不動産会社に依頼して1,000万円で売られようが、多額の債務が残るわけで、その返済が容易ではなく、自己破産するしかないような場合に積極的に売却活動を行おうと思えるものでもありません。

ただし、競売後にはどのような状態であっても退去しなければならず、不法占拠を続けても執行官によって外に出されることになります。

そこで、もし1000万円で売れたとして、20万円程度の引っ越し代を債権者が出してあげるとするとどうなるでしょう。

債務者はどのみち当該物件から退去しなければならないのですが、引っ越しのための費用が出るのであれば、多少は売却活動に積極的になれることになります。

また債権者としても競売ではなく通常の売却を行ってくれればより多くの回収をすることができるようになります。

このような両者の利害関係の一致から生まれたのが「任意売却」であり、住宅ローンの支払いができなくなった人にとって次のようなメリットがあるものになります。

一つ目は住宅ローンとして残る債務がかなり圧縮されます。上記の例とは違い、住宅ローンをかなり払っていたような場合を考えましょう。

住宅ローンが残り1,500万円で購入したマンションが実勢価格として1,200万円で売却が可能なものだとしましょう。

この場合、競売にかかって5割で競落されることが予測されるような場合には、1,500万円の残債務に対して600万円で売却され、債務は900万円残ることになります。

手数料・引っ越し費用などを考えずに、実勢価格である1,200万円で売却できた場合には、借金は300万円に圧縮されます。

残る債務が900万円である場合と、残る債務が300万円である場合では、利用できる債務整理のメニューも変わってくることになります。

900万円が残債務であるような場合には、任意整理をする場合には月25万程度の支払いが必要になり、月50万円程度の収入がなければきちんと返済ができない状態といえ、このような場合には多くの方が自己破産を選択することになります。

しかし、残債務が300万円まで減っていれば、毎月85,000円程度の支払ができれば任意整理ができるため、まだこれならば収入次第では自己破産・任意整理の両方が可能であるといえるでしょう。残債務の圧縮が債務者としてお得になることがあります。

次に、売却代金から引っ越し・転居のための費用を受け取ることができる場合があります。

先ほどのケースのような場合ではなく、売却をした後に残る残債務が支払いきれないような金額になっているような場合には、どちらにしても売却をしても自己破産しかないという状態になります。

そのような場合でも、退去をするにあたって多少の引っ越しのための費用を受け取れるのであれば、自主的に不動産屋に依頼をして売却活動をしようか、という気分にもなるでしょう。

そのため、任意売却においては、売却代金の中から引っ越し代をもらえる場合があるので、競売にかかって追い出されるのを自暴自棄に待つよりも、積極的に新天地でのやり直しができます。

離婚をする際に、慰謝料代わりに退去をして住宅ローンの支払いをしているような場合で、住宅ローンの支払いができなくなったような場合にも、元妻や子が退去するための費用を作ることができるようになります。

また、任意売却の方法として、リースバック(セル&リースバック)と呼ばれる方法があります。リースとは貸す、バックは戻すという意味で、その意味の通り購入をしてもらった人から賃貸をして戻してもらうことをいいます。

不動産に投資をする人たちの一番のリスクは空室によって賃料を受け取ることができないことです。

その家を従来から住んでいた人に貸しつけることができれば、長く住んでもらって賃料を回収することが可能になるので、不動産投資家にとってはメリットのあるものになります。

また、債務者にとっては、書類の上では所有権を失い、以後は通常の賃貸物件と同じように賃料を支払い続けていくことになるのですが、そのまま住み続けられるという大きなメリットを持っています。

任意売却の一つの方法であるリースバックに成功すれば、そのまま住み続けられることができるようになります。

このようにメリットも多い任意売却ですが、あくまで債権者への配当を増やすという目的があるものになるので、売却にあたって条件が悪いため極端な廉価での売却を認めるわけにはいきません。

そのため、通常の不動産売却と同じように扱うことはできず、住宅ローン債権者と協議をしながら適正な価格で売却をすすめる必要があったり、リースバックを利用する際には不動産投資家を見つける必要があります。

また、任意売却をした後の債務についてはどうしても後述もする債務整理を利用せざるを得ないので、債務整理の専門家とも密接に連携している必要があります。

そのため、任意売却に関しては大きな不動産会社の中の任意売却専門部署や、任意売却に特化した会社などに依頼するのが良いです。

また、先に債務整理の相談をして、弁護士・司法書士と話して任意売却が適切であるという判断ができるような場合には、弁護士・司法書士から任意売却に強い不動産会社を紹介してくれることになります。

住宅ローンが残っている局面で、不動産を手放す場合には、必ず任意売却を検討するようにしましょう。

滞納者が住宅を手放すことなく住み続ける方法とは

連帯債務をはじめ、借金・債務の支払いが難しくなった場合には、必ず住宅を手放す必要があるのでしょうか。

そもそも住宅を手放す必要がある法的な仕組みを知りましょう。一つは上述したように、住宅ローンを組んでいる場合にはローン会社は対象となる不動産に抵当権をつけているため、抵当権を実行されることにより競売をされることになります。

住宅ローンを完済した場合や住宅ローンを利用せずに住宅を購入した場合にはどうなのでしょうか。

住宅ローンを完済した後や住宅ローンを利用せずに現金で住宅を購入した場合には、購入した段階では抵当権などの権利はついていません。

住宅を失う一つのパターンとしては、抵当権のついてない住宅を担保として借り入れをした場合、その借り入れの支払いができなくなって、債権者に抵当権を実行される場合です。

また、そのような担保をつけていない場合であっても、担保のついていない債権者に裁判をおこされた上で、住宅に対する強制執行がされた場合(不動産執行)にも競売が行われるので、住宅を失います。

さらに、自己破産手続の申し立てをすると、一定額以上の財産は配当のために売られるのですが、住宅は通常売却の対象になるので、この場合にも住宅を失います。

以上のケースを踏まえて、住宅を失わないための方法を検討しましょう。

まず、返済が難しくなっている貸金業者と話し合いをして、当面は利息のみの支払いにしてもらう、リスケジュールをしてもらうなどの対応をお願いする方法があります。

しかし、この方法は一時的な対処にはいいかもしれませんが、収入が減った・増える見込みがあまりないなどの場合には、もっと長期的な観点から支払をすることを考えないとならない場合には抜本的な解決にはなりません。

副業をするなどして収入を増やす、ということを思いつく人もいるかもしれませんが、本業が忙しい方は週末などにまで仕事をするのは負担が大きくなる可能性があり、それによって体調を崩して本業すら失うことになってしまいます。

そのため、無理なく住宅を失わないように行動するためには、債務整理を利用するのが現実的であるといえます。

債務整理は借金返済に困った場合に法律の力を借りて返済を楽にする手続の総称をいいます。

個別の手続としては、任意整理・自己破産・個人再生という3つの手続があります。

任意整理は、個々の貸金業者と交渉をして支払いを楽にしてもらうように交渉をすることをいいます。

自己破産は、裁判所に申請をして借金を免除してもらう手続をいいます。
個人再生は、同じく裁判所に申請をして借金を減額して弁済をする手続をいいます。

この債務整理を利用して、住宅を維持する方法について検討してみましょう。

まず、住宅ローンで住宅を購入した場合について考えましょう。債務整理をする場合であっても最初に自己破産を検討するということは通常はしません。自己破産を利用すると、住宅ローン債権者をはじめとしたすべての債権者に手続に参加してもらうことになります。

自己破産は弁護士・司法書士に依頼をして行うのが通常で、依頼をうけた弁護士・司法書士は債権者に依頼を受けた旨の通知を発送します。

住宅ローン債権者はこの通知を受けると、契約約款上の期限の利益の喪失を主張できることになって、残ったローンを一括して請求することができ、また不動産に対する抵当権の実行をすることができるようになります。

そのため、自己破産をすると住宅を守ることができません。ただし、上述の任意売却におけるリースバックをすることで、所有権を失っても住宅に住み続けられれば良い、というのであれば、任意売却と自己破産を利用して、債務を免れた上で、あたらしく賃貸借となった住宅に住み続ける、という方法も考えられます。

住宅を守りながら債務整理をするのであれば、任意整理か個人再生ということになります。

任意整理は、個々の債権者との交渉になるので、住宅ローン債権者を外して、その他の債権者とだけ交渉をするという事ができます。ただし、この方法は、住宅ローン債権者以外への返済が楽になれば、借金返済が順調にいく場合に利用できます。

なお、保証人(連帯保証人)が居て、迷惑をかけてないような場合には、任意整理であれば同じ理屈でその債務を外して債務整理をすることができます。

任意整理をする場合、現在の実務上の取り扱いでは、借金元金を36回(3年)で分割、最長では60回(5年)で分割することになっています。

つまり、50万円を借り入れしている会社と交渉をする際には、およそ14,000円の支払を毎月することになり、50万円の借金が3社ある場合には42,000円程度の支払いを住宅ローンの支払いとは別に返済することになります。

住宅ローンの支払いをしながらということであれば、30,000円程度に下げてもらって5年の分割で支払うように交渉してもらいたい、という方もいらっしゃると思うのですが、このような方式での分割に応じてくれる貸金業者は少ないのが現状です。

任意整理での返済が難しい場合には、個人再生の利用を検討します。個人再生は債務を減らしてもらって、減らしてもらった債務を3年の分割で支払うことにしてもらえます。

減らしてもらえる額については、債務額によって異なるのですが、おおむね1/5程度になるので、任意整理で必要となる額の返済は難しくても、圧縮してもらえれば支払うことができる場合にはこの手続が使えます。そして、個人再生では、住宅ローンは手続に関与しないで進めることができるので、住宅を失わないでその他の債務を圧縮できます。

ただし、個人再生をする場合に、住宅ローン自体が滞納をしてしまっている場合には手続利用が難しくなり、後述する住宅ローンの巻き戻しが使える代位弁済後6ヶ月以内でないと利用できません。また、当然ですが、債務が圧縮されるとはいえ、返済をすることが前提の手続ですので、返済するための収入が全くないような場合には利用をすることができません。

次に、住宅ローン完済後・住宅ローンを利用しないで購入した不動産を担保に入れたケースを検討しましょう。

この場合も同じように個人再生を利用すれば良いのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、個人再生において例外とすることができるのは住宅ローンなど住宅取得に関するローンのみで、同じように担保になっていても住宅取得のためのローンではない借り入れをした場合には利用することができません。

そのため、どうしても住宅を維持する場合には、任意整理を利用して、不動産担保ローンについては除外して任意整理をするしかできません。

この場合、住宅を担保にしていることもあり、かなり大きな額の借り入れをしていることがあり、そのローンを維持したままだと支払ができない場合が多く、住宅の維持が難しい場合といえるでしょう。

住宅について担保がついていない場合にはどのような債務整理方法があるのでしょうか。

この場合には自己破産をする場合・個人再生をする場合には、担保のついていない住宅という不動産を所有していることになるので、資産があるという認定をされることになり、債務額との兼ね合いでは利用することができない場合があります。

たとえば債務が500万円である場合で、住宅が1,000万円と評価できる場合には、住宅を売却すれば返済不能といえないので、返済不能となっていることを手続利用の条件とする自己破産、返済不能となるおそれがあることを条件とする個人再生の利用ができません。

そのため、残った債務について任意整理をするのがベストといえます。

債務整理は法律の規定だけを見ると、個人でも行うことができますが、個人で行うと手続中もずっと督促を受け続けることになり、法的な助力も・精神的な助力もない中で手続きを行うことになります。そのため、専門家に依頼をして行うことが通常です。

住宅ローンの巻き戻しについて詳しく知る

前述した個人再生をする場合の住宅ローンの巻き戻しについて詳しく解説します。

住宅ローンの支払いが滞ったからといって、直ちに抵当権を実行して競売にとりかかるというわけではなく、ある程度債務者が持ち直して支払いができるかどうかを見極めます。

住宅ローンの借り入れをする際には、返済ができなくなった時のために、住宅金融支援機構・銀行は指定する金融機関に保証をさせています。

この金融機関のことを保証会社と呼んでおり、返済が期待できなくなった時点で、保証会社に返済をしてもらいます。この返済のことを代位弁済といいます。
この代位弁済をしてもらうことによって、債権は保証会社に移動して、保証会社が以後督促の担当をすることになります。

個人再生で住宅を守る場合には、住宅資金特別条項という手続によって行うのですが、このように代位弁済をされているような場合には基本的には利用できないとされています(民事再生法198条1項)。ただし、代位弁済から6ヶ月以内に手続を行えば、特別に住宅資金特別条項を利用することができるとしています(民事再生法198条2項)。民事再生手続を利用することによって、保証会社が元の銀行等に対する返済はなかったものとみなされることになります(民事再生法204条1項)。

返済がなかったものとみなされることから、保証会社にうつっていた債務は再び銀行に戻ることになるので、これを「住宅ローンの巻き戻し」と呼んでいます。

以上の説明をすると、代位弁済がされた場合でも、6ヶ月以内であれば個人再生の利用をすることができる、と考える方も多いと思います。しかし、個人再生の申し立てには、通常時間がかかります。

まず、個人再生の依頼を弁護士・司法書士が受けてから、債権者に対して通知を発送して、債権者からの取引の履歴を取り寄せ、債務の調査に終わる期間に1ヶ月程度かかります。

次に、個人再生の申し立てをする場合には、申立書の作成と添付書類の収集が必要になります。これらの作業は順調に進んでも1ヶ月程度かかります。弁護士・司法書士に対する費用の支払を分割にしている場合には、分割での入金が終わるまで申し立てをしないこともありますので、さらに時間がかかる場合があります。

そのため、例えば代位弁済から5か月のところで弁護士・司法書士に依頼をしたような場合には、法律上はまだ間に合う可能性があっても、実務的にはすでに間に合わないということがあるのです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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