債務整理

保証会社から代位弁済の通知が来た!?どんな意味?対処法を教えて

銀行や消費者金融から借り入れをしてたものを返済できず滞納をしていると、突然「保証会社」を名乗る会社より「代位弁済」をしたのでこちらから請求するという内容の通知がくることがあります。この通知が来るころには、消費者金融・銀行などから様々な内容の通知を受けている頃なので、「架空請求なのか?」と放置をする方も多くいらっしゃるのですが、正式な手続によるものなので、注意が必要です。このページでは「代位弁済」についてお伝えします。

目次

代位弁済ってどんな制度?

まず、代位弁済(だいいべんさい)とは、第三者が主債務者の債務を弁済することによって「弁済による代位」という効果が生じる弁済のことをいいます。

馴染みづらい法律用語がたくさん出てきましたので一つずつ解説します。

まず、「弁済(べんさい)」とは、債務の内容を実行する行為のことをいいます。

消費者金融などの貸金業者から借り入れをする場合を想定して確認しましょう。この借り入れをする行為は法律上、金銭消費貸借という契約を結んだことになります。金銭消費貸借契約によってお金を借りた人(債務者)は、契約内容通りにお金を返す義務=債務を負うことになります。

そのため、借り入れをした債務者は、借りたお金を決められた期日にお金を返済する必要があります。この返済が、借金をした場合の金銭消費貸借契約上の「弁済」ということになります。

この弁済ですが、第三者が主債務者に代わって行うことがあります。典型例としては、ある債務について連帯保証人がついている場です。連帯保証人がついているときには、主債務者が支払いをすることができない場合、主債務者に代わって債権者に対して支払いを行います。

この場合、保証人は本来主債務者がきちんと支払いをしていれば、自分は債権者に対してお金を支払うことはなかったといえます。

にもかかわらず主債務者が支払いをしなかったのですから、主債務者に対して「代わりに支払ったので返してください」と主張できるのは想像つくと思います。

この主債務者に対して主張するための法律上の根拠として、求償権(きゅうしょうけん:民法459条)という権利が発生することのほかに、債権者が債務者に対して持っていた権利を代わりに主張する「代位」というものが発生している(民法499条)というものがあるのです。

求償権というのは、元々の債務を保証人が弁済をすることによって消滅した場合に、上記のように損をした保証人を守るために規定されている権利です。

代位というのは、債権者の地位を継ぐという意味ですので、元々の契約内容(利息・遅延損害金・担保に入っているものがある場合には担保)を保証人が主債務者に請求することをいい、連帯保証人が支払いをしたような場合にはこの代位が発生します。

このように代位が発生する弁済のことを代位弁済と呼んでいます。

銀行などの貸金業者から借り入れをする際には、細かい規約の中に保証会社という法人が保証人になることが規定されていることが多いです。返済がされない場合には保証会社が債務の支払いをして債権者に代位することになり、銀行にかわって債権の回収を始めるのです。

代位弁済を知らせる通知や、その予告の通知は、元々の債権者が保証人に代位弁済を求めてしまいます、すでに保証会社から支払ってもらいました、ということを伝えるためにあります。

具体的な例を見てみましょう。

三菱UFJ銀行はカードローンの商品としてバンクイックというものを用意していますが、この借り入れについては同じグループに属するアコム株式会社を保証会社としています。

そのため、バンクイックで借り入れをしている方が返済できなくなって延滞を始めると、当初は三菱UFJ銀行から督促がきていたとしても、突然アコムから通知がくるようになることがあります。

このとき三菱UFJ銀行はアコムに代位弁済を要請し、アコムはこれに応じて借金の元本・未払利息・遅延損害金を併せた額の支払いをしているのです。

代位弁済については後述する通り郵送での書面に記載をしているのですが、これを読まない人も多いため、代位弁済をされたことに気づかない方も多いです。

そのため、アコムから借り入れをしていないにも関わらずこのような通知がくるのは架空請求に違いない!と考えて無視してしまうことがよくあるのです。

また、三菱UFJ銀行のバンクイックからの借り入れと、アコムからの借り入れをしている場合で、両方への支払いが滞っている場合には、アコムからの通知と、バンクイックの返済が滞ったために発生した代位弁済に関する郵送物が別々に分かれて送付されてくることになります。

保証会社がついているかどうか・どの会社が保証会社なのかは、契約書・約款の記載を調べることで確認をします。

もし、契約書・約款を破棄・紛失してしまっている場合でも借り入れをしている会社名と「保証会社」というキーワードでインターネットを検索をすることで確認をすることができます。

代位弁済がされるまでの流れ

代位弁済はどのような流れですすむのか代位弁済はどのような流れで進むのでしょうか。
保証会社による代位弁済は突然何の前触れもなしに行われるものではなく、一定の手続きを経て行われます。

まず保証会社による代位弁済は、支払いがなされない場合に初めてされるものですので、順調に支払っている間に代位弁済がされるわけではありません。
元々の債権者に対する支払いの遅延が始まると、まずその会社による督促が行われます。

入金日付をうっかり忘れていたなどして、入金日を数日過ぎてしまうということはよくあるので、最初の督促は電話で「返済をお忘れのようなので連絡しました」というようなソフトな内容です。

しかし、このような電話連絡に対して電話に出ないことを繰り返すと、貸金業者としては返済ができなくなっていると判断をします。そうすると、郵送による通知や、返済を促す電話連絡の回数が増えるなど、強く返済を迫る内容になります。

郵送物には、未払い分の金額や遅延損害金の額などが記載されているとともに、支払い・返答がない場合には法的な措置をとることを示唆する内容が記載されます。2か月以上の延滞になると、通知の中には「期限の利益を喪失」を予告する旨の通知が届くことになります。

「期限の利益を喪失」すると、毎月分割しての支払いで良かったものが、残金をすべて一括で支払いをしなければならなくなります。
このような電話督促・書面による督促を行っても債務者が返済をしない・返事もしないと、貸金業者はその後の対応として次のような手段を利用します。

  • 自社で裁判・支払督促を起こす
  • 弁護士に裁判・支払督促を委託する
  • 保証会社に代位弁済を求める

貸金業者がどの方法をとるかは、自社の裁判を起こす部署(法務部など)が対応可能な状況か、債務の額、それまでの債務者の対応など、様々な要素を考慮して最適な方法が採られます。

たとえば、債務の額が少ない場合には、弁護士に裁判・支払督促を依頼するための費用がもったいないという判断をして自社や代位弁済を利用する、というよう元々の債権者からの求めに応じて保証会社が代位弁済を行うと、元々の債権者又は代位弁済を行った債権者から通知が来ます。
代位弁済をすると保証会社が債権者となりますので、以後の請求は保証会社が行うことになります。

そのため、電話連絡・郵送での通知も保証会社から届くようになりますし、裁判・支払督促といった法的手続も保証会社の名義でされることになります。

保証会社から一括請求がされるリスク

まず、代位弁済のリスクとしては、保証会社から一括請求を受けることになる点を知りましょう。

消費者金融・信販会社・銀行などからの借り入れについては、当初の契約で行った月々の返済を毎月返済するシステムになっており、逆に貸している額を一括で返済で返してくださいと請求されても断ることができます。

たとえば、銀行から50万円を借り入れして、毎月3万円の支払いをしている場合には、返済期日に3万円を返済すれば契約内容を履行していると評価され、50万円を全額返済してくださいといわれても、これを断ることができます。

これを「期限の利益(きげんのりえき)」と呼んでいます。

代位弁済の前には必ず返済を延滞していることになり、返済を延滞している場合には期限の利益を失うことになります。その結果、債権者は元本・未払いの利息・遅延損害金の支払いを一括ですることになります。

後述しますが、この時点で債務整理の中でも「任意整理」を利用すれば、利息・遅延損害金といったものの支払いを免除してもらうことが可能になります。

しかし、代位弁済をする際には、保証会社は元本・未払いの利息・遅延損害金の全額を支払って代位弁済をします。任意整理をして元々の借金の元本額のみの支払い免除してください、とお願いをしても、聞き入れてもらえず、利息・遅延損害金を含めた全額での任意整理にしてもらう必要があります。

また保証会社は未払いになった債権を専門で取り扱うことになりますので、債権回収が得意です。

このような会社からの一括請求がされていると、裁判・強制執行といった手続きも得意になりますので、支払えないからといって無視をしつづけるというのが難しくなることも知っておきましょう。

財産の差し押さえをうけるリスク

代位弁済により保証会社はいつでも全額を請求できるということは、債務者の財産の差し押さえをすることになります。

債務者の財産を差し押さえるためには、「債務名義」を取得した上で、裁判所に強制執行の申し立てをします。

債務名義の方法としてもっとも利用されるのが裁判なのですが、裁判を起こされると自宅に特別送達という通知を送ることになります。

この特別送達という通知は書留のように自宅に居る人に受け取ってもらうことになります。

そのため、この時点で同居の親族に内緒にしていても借金があるのが分かってしまう可能性があります。

強制執行は家・土地などの不動産、銀行預金、自動車などの財産に対して執行されるものです。

家・土地などが差し押さえにあえば、いずれ退去しなければならなくなります。

銀行預金が差し押さえられると自由に預金・引き出しができなくなります。

自動車が差し押さえられると、自動車が引き上げられてお金に換えられることになります。

このような強制執行によって生活に大きな影響を受けることになります。

ただ、代位弁済がされる状態になっていると、こういった差し押さえの対象になるものがそもそも無いという状態かもしれません。

しかし、そのような方でも仕事をして給料をもらっている場合には、その給料が全額ではないにしても1/4は差し押さえの対象になります。

給料の差し押さえの具体的な手続きは、会社に裁判所から、給与の1/4に該当する金額については直接その人に支払わずに、債権者に支払うように通知で連絡されることになります。

これによって会社に借金をしていて返済できなくなっていることが知られてしまう結果、事実上の解雇になったり、昇進に影響があるようなこともあります。

強制執行を受けることで、生活のいろんなところに不利な影響を与えることになるのを知りましょう。

住宅ローンの代位弁済の場合の退去のリスク

住宅ローンの銀行などからの借り入れについて延滞をした場合の代位弁済については、さらに危険があります。

住宅ローンの銀行などの借り入れについても保証会社が利用されており、延滞がされた場合には保証会社による代位弁済が同様に行われます。

住宅ローンの借り入れについては、住宅ローンで購入した家屋・土地・マンションといった不動産が、抵当権という担保に入ってます。

抵当権をはじめとした担保がある場合には、債権者は支払いがなければ不動産を一方的に売却してしまってお金に換えてしまうことが法律上認められております。

この競売の際には、物件の概要が官報公告およびインターネットなどに掲載されるため、競売に関するサイトを閲覧している人には、住宅ローンの支払いが滞って支払えていないことが分かってしまいます。

このような状況にあることを知って、任意売却を取り扱う不動産会社が飛び込みで営業をしてくることがよくあります。

また当然ですが、購入した人は所有権を取得しますので、立ち退きを請求されると退去しなければなりません。

後述しますが、住宅ローンも滞納を始めた場合には、個人再生という方法で支払い方法を変更して住宅を維持することができる可能性があるほか、任意売却という方法を利用すると、所有権を失っても住宅にそのまま住むことができたり(リースバック)、引っ越しのための費用が出たりするということがあります。

代位弁済がされるほどの長期の滞納をしていることで、抵当権を実行されると、こういった対応策をうてなくなるリスクがあります。

また、抵当権を実行されて競売になった場合の住宅の販売価格は、市場価格の5割~7割程度の低い価格で購入されることになります。そのため、売却をした場合の債務が圧縮される効果が非常に低いといえます。

例えば住宅ローンが2,000万円、当該不動産の実勢価格が1,600万円程度であるような場合、競売された場合には800万円程度での競落になる可能性があります。
任意売却によって売却できていれば、残債務は単純計算をすると2,000万円-1,600万円=400万円になっていた可能性があるにもかかわらず、競売をされることによって2,000万円-800万円=1,200万円が担保されていない債権として残ってしまいます。

この残った債務は当然ですが一括して返済をする義務があるものになります。

代位弁済がされる場合の前触れとは

代位弁済の流れについては前述しましたが、代位弁済がされるかどうかを知ることはできるのでしょうか。

実はこの代位弁済には予兆があるのです。

まず、前述した通り、代位弁済は返済が滞納しなければ行われませんので、返済が順調に続いているうちは行われません。

また、返済の滞納が始まったとしても、1回程度であれば入金忘れということもあるのでその時点で即座に代位弁済をするわけではなく、電話連絡などで入金の督促を行うのみとなっています。

2回目以降の支払いがされない場合には、特別な処理を行わないと今後の入金が見込めなくなると判断することになります。その一つの方法として代位弁済が検討されるというのは上述の通りです。

ですので、保証会社による代位弁済の予兆が現れるのはこの頃になります。

この頃になってくると貸金業者からの督促に自宅への郵送での通知が含まれてくるようになります。

通知内容としては、借金の元本、未払利息、遅延損害金の額、これらの支払いを求める旨の記載がされています。会社によっては、担当の連絡先窓口などが記載されています。

毎回中を確認しても、その時期の未払利息・遅延損害金の額以外は変わっていないことが多く、そのうち読まなくなる方も多いのですが、これらの通知の中にこのまま返済がなければ代位弁済をすることを予告するものがあるのです。

その予告に対して後述するような返済をする、話し合いをするなどのリアクションを取らない結果、代位弁済が行われることになります。

このような実務が通常であるため、代位弁済をする際にはまず通知をすることが通例となっており、通知なしに代位弁済するようなことはほとんどありません。

なお、この時期には期限の利益の喪失を予告する通知、期限の利益の喪失を宣言する通知なども同様に送られてくるので注意が必要です。

タイミングとしては初回の返済の滞納から3ヶ月程度からこのような通知がされるようになり、実際にそこから1ヶ月~3ヶ月程度で代位弁済がされます。

代位弁済が行われて保証会社に債権が移った場合には、その旨も通知されることになります。

返済ができなくなっているのが1社ではなく複数あるような場合には、同様の通知が繰り返しと届いていることもあり、中身を見ない・封をあけても簡単に確認するだけ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、書面での通知の中に代位弁済をする旨の記載があるものがないか確認をするようにしましょう。

代位弁済がされた場合の対処法

代位弁済がされた場合にはどのような対処方法があるのでしょうか。
当然ですが、代位弁済をした保証会社に支払いをすることが最初の方法になります。
上述もしましたが、保証会社は元々の債権者に対して元本・支払日までの利息・遅延損害金を支払っています。
そのため保証会社には上記の金額に、保証会社が代位弁済をしてからの利息を含めた金額の支払いを必要とします。この支払は一括で支払う必要があります。

もともと一括で支払うことができるのであれば代位弁済されていないので、自力で一括で支払っていくのは難しいでしょう。お金のある親族などに援助をしてもらい返済するケースが多いようです。

次に、返済についての相談を保証会社にすることです。
当然ですが一括返済も難しいわけですし、多額のお金の立て替えをしてくれる親族もいない場合には、返済自体ができなくなります。

そのような場合には、保証会社と相談して、なんとか返済を分割にしてもらえるように相談をします。これに応じるかは保証会社次第になります。現在の収入・家族構成・勤務先などの情報を得た上で、返済が現実に可能かどうかを判断して応じるかどうかを決定します。

特に、借り入れした当初より仕事先が変更しているような場合には、新しい勤務先を申告するように求められますが、これは上述したとおり給料の差し押さえをするためです。

以上のような方策はあるのですが、現実に採るべき方法として挙げられるのが債務整理で、住宅ローンの支払いが難しくなっている場合には任意売却を検討すべきことになります。

任意売却にはどのようなメリットがあるのか

まず、任意売却から見てみましょう。

「任意売却(にんいばいきゃく)」とは住宅を自分の意思で売却する行為です。

わざわざ「任意」という名称をつけられているのは、強制競売による売却と区別するためです。

住宅ローンは住宅購入資金を一括で借り入れをして住宅を購入して、毎月返済をしていくものです。

上述もしたのですが、この借り入れについては購入した住宅に抵当権という権利がついており、もし支払いがなかった場合には土地を競売にかけて売却された代金を債務の支払いにあてることができます。

そのため、住宅ローンの支払いがされなかった場合には競売というのが基本的な流れです。しかし、競売は市場価格の5割~7割程度の金額でしか売却がされません。

2,000万円の市場価格がある不動産でも、不動産競売によって売却価格は1,000万円まで下がります。

債務が3,000万円だとして、競売において1,000万円で売却した場合には、残債務額が2,000万円となるのですが、もし市場価格である2,000万円で売却できれば債権者は倍の金額を回収できますし、債務者としても残債務額は1,000万円まで減ることになります。

そこで、競売ではなく任意に売却活動をしてもらったほうがお得なのです。ただ、債務者としてはどちらであっても自宅を失うのにかわりないので、あまり売却に積極的にはなれないでしょう。

そのため、任意売却において売却価格の中から引っ越しのための費用を出すなどしたインセンティブを与えていることがあります。これが任意売却の基本的な仕組みです。

任意売却には、買主がそのまま債務者と賃貸借契約を結んでそのままそこで住み続けることができるリースバック(セル&リースバックともいう)という方法もあります。

不動産競売を利用する際には、官報にその公告がされた上で、インターネットで物件の情報の詳細が出ます。

詳細な住所までは掲出されませんが、外観などを見ることができますので、個人情報が公になっているといえます。

その情報を元に、任意売却を促す不動産会社が直接訪問してくるようなこともありますので、そういったところを目撃されるような危険もあります。

以上より、住宅ローンの支払いが難しい場合には、債務整理とともに任意売却がよく使われれています。

この場合でも、前述のケースで約1,000万円は債務として残ることになりますが、残った額については分割弁済を申し出たり、他にも債務があって支払いが難しいような場合には後述する債務整理を利用して残った債務を処理します。

任意売却は不動産の売却をするものなのですが、ただ売れば良いというわけではなく、債権者が納得のいく形で売却しなければなりません。

上記の例でいうと、2,000万円で売却できるのに800万円で任意売却するのであれば、債権者は競売で終わらせたほうが売却価格が多かったといえます。

そのため、任意売却においては、債権者の意向に沿った売却活動をしなければならないという特殊な売却活動が必要となります。

実勢価格についての知見のみならず、債権者とのやりとりなどの深い経験が必要となりますので、大手の専門の部署があるようなところか、任意売却専門の会社に相談・依頼して行うことになります。

任意売却専門の不動産会社は、昨今では実力のあるところはインターネットを利用して集客に力を入れている会社がほとんどです。

債務整理もあわせて相談したいような場合であれば、弁護士や司法書士といった専門家に相談すれば、任意売却に強い不動産会社を紹介してくれるでしょう。

住宅ローンが代位弁済されたら家はどうなる

住宅ローンに代位弁済をされた場合には必ず家を手放さなければならないのでしょうか。

住宅ローンに代位弁済をされた場合には、保証会社はいつでも抵当権を実行することができる状況です。

抵当権を実行することになれば、自宅は競売にかかって自宅から退去をしなければなりません。

上述した任意売却では、セル&リースバック方式による場合には買主が見つかれば自宅の所有権は失いますが、家には住み続けることが可能です。

一方、通常の任意売却では、引っ越し代が手入る可能性がありますが、自宅は手放すことになり、かつ退去も迫られます。そこで検討したいのは債務整理です。

債務整理の中でも、住宅ローンはそのまま支払うことにしながら他の債務を圧縮して弁済する個人再生という手続きの利用を検討することになります。

保証会社が代位弁済しても、代位弁済後から6ヶ月以内であれば住宅ローンを維持しながらする個人再生は利用ができるということになっています。

6ヶ月以内というと時間が十分にあるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、弁護士・司法書士費用の分割弁済、申立書の作成、添付書類の収集などに時間がかかることが通常なので、実は時間のないものになります。

利用を考えている方は早めに弁護士・司法書士に相談をするようにしましょう。

住宅を競売されたらどう対処すればよいか

代位弁済よりもさらにすすんで、住宅を競売にかけられた場合にはどのように対処すればよいでしょうか。

まず「住み続ける」という観点から考えたときに、すでに競売にかかるまで事態を悪化させているため、非常に厳しいと考えるべきといえます。

唯一の方法は、上述したセル&リースバック方式によって、所有権を手放した上で、賃貸借契約を結んで住み続けることと言えます。

次点の策として、退去をしなければならないことは確定しているといえますので、引っ越し代だけでも確保をするのが良いといえます。

ですので、任意売却は必ず行うのが妥当といえます。

自宅に関しては、競売にまかせるか任意売却をするしかない状況であるといえるでしょう。

競売・任意売却後に残った債務は、代位弁済をした保証会社と話し合うか、債務整理をして適切に処理をする必要があるといえるでしょう。

この時期になると心理的には追い詰められて、もう露頭に迷うしかない、という状態になってしまっているかもしれませんが、時間が少ないながらも任意売却をすることによって多少は有利に新しい生活を迎えることができる可能性があります。

債務整理に詳しい弁護士・司法書士、任意売却に詳しい不動産会社などに相談しながら上手に進めていくようにしましょう。

リースバックの仕組みをもっと詳しく知る

少し上述したのですが、セル&リースバックの基本的な仕組みを知りましょう。

セル&リースバック(単にリースバックと省略されることもあります)は、任意売却によって売却した上で、債務者が新しい物件を貸付てもらう方式をいいます。

所有権は買主に移転するのですが、その買主から貸付を受けることができるので、そのまま家に住み続けることができます。

そして、資金をきちんと貯めた場合には、その買主から買い戻すことで所有権を再び自分のものにすることができることがあるというメリットがあります。

セル&リースバックのポイントは、債務の返済ができなくなった=経済的に破綻した、もしくは経済的に破綻しそうである債務者に住宅を貸し付けてくれる人を探すことにあります。

不動産投資をする場合のリスクは空室にあるので、住み続けることが確実な不動産物件は魅力的ということもあり、このような物件を買う投資家が居ます。

ただし、賃料の支払いに対して不安のある場合でもありますので、通常の収益物件の購入よりも慎重に判断されることになります。

任意売却に専門性を持っている不動産会社であれば、こういった投資家とのつながりがあるので、売却を持ちかけてくれることがあります。

しかし、投資家の投資のタイミング・物件の条件などにも左右されるので、セル&リースバックは確実に実行されるわけではありません。

そのような場合には、親族など近しい人に購入をしてもらうのも一つの手です。

不動産を購入してもらうお金があるのであれば、そのお金で元の債務の支払いをしてしまった方がいいのではないか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、競売にかからないようにするには、住宅取得のための金額を用意すればいいのではなく、元の債務を全額一括で支払わなければなりません。

債務が3,000万円で住宅の実勢価格が2,000万円である場合には、2,000万円を用意すれば競売がされない、というのではなく、3,000万円の支払いをしなければ競売を止めることはできません。

セル&リースバックをするときには、注意をしておくことがあります。

まず、不動産取得後に所在地付近に新駅ができるというような場合、不動産の価格が購入時よりも上昇するようなことがあります。

そのような場合に不動産を売却すると、不動産の譲渡益が発生するため、譲渡所得が発生して所得税の申告が必要である場合があります。

ただし、上記の新駅ができたケースのような、当初予測できなかったような場合に限られるので不動産の価格が多くない場合にはあまり気にする必要はありません。

次に売却価格については、任意売却と同様に実勢価格に近い金額での売却が必要になります。

たとえば親族が買主になる場合には、低い価格での買い取りにしてもらいたい、と思うこともあるかもしれません。

しかし、市場価格に比べて低い価格で譲渡する場合には、その譲渡は贈与であると評価されることがあります(低廉譲渡(ていれんじょうと)という言い方がされます)。

どのような譲渡が低廉譲渡として贈与と評価されるかは、不動産の価格や譲渡の実態に応じて判断されます。

過去の判例から実勢価格の80%で譲渡したものは譲渡ではないと判断されたものがありますので、この80%を一応の目安にすべきでしょう。

また、不動産を所有していると、固定資産税の支払いをする必要がありますが、固定資産税が滞納している場合差し押さえがされることになります。
この場合セル&リースバックをする場合には固定資産税の納付をした上で所有権の移転をしなければならないのですが、債務者がこれをできなくなっている場合があります。
その場合に固定資産税の支払いについて売却代金でするような場合がありますので、その取扱いについて売買契約の中で決めておく必要があります。
なお、無償や定額での譲渡がされた場合には、譲渡を受けた人が納税をする義務があります(第二次納税義務)。
セル&リースバックを業者に相談する際に、固定資産税の滞納があることを不動産会社に伝えておくようにしてください。

住宅ローンの巻き戻しについて詳しく知る

また、住宅ローンの巻き戻しについても詳しく見てみましょう。

住宅ローンの支払いについて延滞がされて代位弁済がされると、債権は保証会社に移ることになります。
「巻き戻し」というのは、この代位弁済によって保証会社に債権が移っている状態を巻き戻すので、銀行に債務が戻って強制執行されない状態にするということを指します。

これが可能になるのは、債務整理メニューのうち個人再生を利用して住宅資金特別条項を利用した場合です。

個人再生は債務の返済が難しくなった場合に、裁判所に申し立てをして債務を圧縮してもらい分割弁済にしてもらう債務整理の手続きをいいます。

この個人再生は、原則としてすべての債権者を対象に手続きをするのですが、住宅資金特別条項による個人再生を利用すると、住宅ローンの支払いをそのままにして他の債務を圧縮することができるので、住宅ローン債権者は従来どおり支払いをしてもらえることになります。

そのため、住宅ローンを担保している抵当権を行使する必要もなくなるため、住宅ローンで住宅を取得した人が、住宅をそのまま維持しながら債務整理をするために利用できるものです。

住宅ローンを延滞してしまって支払いができなくなり代位弁済がされてしまった場合、一定の場合に住宅資金特別条項を利用した個人再生を利用すれば、住宅ローンを巻き戻すことができるようになっています。

この住宅ローンの巻き戻しをすることができるのは、代位弁済の日から6ヶ月を経過するまでに個人再生手続をすることが必要になります。

上述もしましたが、個人再生の申し立ては通常時間のかかる手続きとなります。

弁護士・司法書士に依頼をしてから調査が終わるまでに2~3ヶ月、申立書の作成をするのに長いと3ヶ月程度、同時進行で行う申立に添付する資料の収集にも同じくらい時間がかかることが通常です。

たとえば、裁判所の申し立てをするために、直近の家計の状況についてまとめる必要があるのですが、債務整理・任意売却が必要であるような事態に陥っている場合には、家計の状態を把握できなくなっている状態であることが通常です。

たとえば東京地方裁判所に個人再生を申立するような場合には2か月分の家計の状況をまとめて提出する必要がありますので、この準備をするための3ヶ月+2か月と見積もっても5か月程度になります。

住宅ローンの巻き戻しをするためには非常に長い時間がかかるので、利用を希望する際には早めに弁護士・司法書士に相談をするようにしましょう。

債務整理によってピンチを脱出

借金が返済できず保証会社に代位弁済される状況になっている場合には、借金の額・毎月の圧迫が恒常的に家計を圧迫している状況であるといえます。

このような状況で返済をするために頑張っていても、返済をするために他社から借り入れをして返済をして、どんどん支払うべき利息だけが増えていくという状況になってしまいます。

そのような場合に検討をしてほしいのが債務整理です。

債務整理というのは、借金の返済ができなくなってしまった時に、法律的な手段で借金を免除してもらったり、減らしてもらう手続きのことをいいます。

債務整理には前述した個人再生や、任意整理・自己破産といった手段があります。

個人再生については前述しましたし、任意整理については後述しますので、ここでは自己破産について詳しく見てみましょう。

自己破産は、裁判所に申し立てをして、債務を免責してもらう手続きのことをいいます。

自己破産手続きは破産法という法律に基づくものです。

「債務」には借金は当然、保証会社に代位弁済されたもの、抵当権を実行された後に残った債務のような支払うべきものすべてが含まれます。

ただし、損害賠償の一部や養育費・税金といった債務については免責されません。

住宅ローンを代位弁済されたような場合には、任意売却で住宅を売却して引っ越し資金を確保する、セル&リースバックによって住むところを確保した上で、残った債務について自己破産をすることが一般的に行われています。

借金の相談については、弁護士・司法書士の他にも、市区町村の相談や弁護士会・司法書士会・法テラス・消費者センターなど様々な無料相談があります。

しかし、どんなに相談をしても最終的に債務整理を依頼するのは弁護士・司法書士ですので最初から弁護士・司法書士に相談をするようにしましょう。

債務整理については、それぞれの手続きで様々なデメリットがありますが、デメリットの代表的なものである「ブラックリスト」によって、選挙権がなくなる、就職ができなくなる、といった根拠のない誤った情報もあります。

たしかに、信用情報に登録をされるブラックリストといわれている状態によって、新しいクレジットカードが作れない、借り入れができなくなるなどの不利益はあります。

しかし、どの手続き利用するかによって程度は違いますが、借金返済の義務を免れる・軽くしてもらうことによって借金生活から早期に抜け出すことができるものといえます。

個々の生活実態によって、実はそんなにデメリットもないものになるので、返済に困った場合には積極的に利用するようにしましょう。

債務整理の一つである任意整理について知る

債務整理の一つの方法である任意整理とはどのようなものなのでしょうか。

任意整理とは、借金をしている貸金業者と弁護士・司法書士に間に入ってもらって、借金の返済について話し合いをしてもらい、返済を楽にしてもらう手続きのことをいいます。

他の債務整理手続きである自己破産・個人再生は裁判所への申し立てをするという点で違いがあり、借金を免責してもらう自己破産とは違って借金の返済を前提にする手続きという点に違いがあります。

例えば、5社からの借金があるような場合に、自己破産や個人再生をするとすべての債権者に手続きをしてもらう形になるのですが、任意整理をする場合には債権者と個別に交渉することになります。

返済ができずに保証会社に代位弁済がされた場合にも、保証会社と任意整理で交渉して分割返済にしてもらうことは可能です。

任意整理は債権者との個別の交渉になるので、たとえば保証人がついているような場合や、担保がついているような債権者とは任意整理をしないことができるのが任意整理の最大のメリットです。

任意整理は債権者との交渉で決めることになるので、自己破産・個人再生のような裁判所への申し立てがないため、手続は非常に簡単であるという点もメリットです。

借金の返済には利息がつき・延滞をすると遅延損害金がつくのですが、貸金業者と任意整理をすると、通常は借金の元金を分割して支払うという形で和解をすることができるので、利息や遅延損害金をカットできるというメリットがあります。

一方で、任意整理をすると、信用情報機関に登録されるため(ブラックリスト)、新たな借り入れ、クレジットカードの作成ができないといったデメリットがあります。

また、借金を元本額まで減らすことはできるのですが、それ以上に減ることはないので、元本額の返済すらできないというような場合には利用できないというデメリットもあります。

保証会社に代位弁済をされた場合の任意整理について注意が必要なのは、前述もしたのですが通常の貸金業者から借り入れした場合の元金額での分割和解ができない点です。

通常、貸金業者から借り入れをした場合には、元金を36回までの分割で支払うことになります。たとえば50万円が元金である場合には、約14,000円×36回の分割で端数を最初か最後で調整する、というような方法がとられます。

そして経過利息・遅延損害金はカットしてもらえます。

保証会社が代位弁済をした場合には、代位弁済をするときの利息・遅延損害金も含めて支払いをします。

このときに保証会社と任意整理をする場合に、元々の債権者から借り入れている額の元金で和解をしようとしても、保証会社は受け付けてくれません。

この場合保証会社としては、代位弁済で支払った、代位弁済の日までの利息・遅延損害金での和解になるということに注意が必要です。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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