債務整理

多重債務に陥る人は?特徴・原因・解決方法を解説!

複数からお金を借りる状況を多重債務といいます。

多重債務に陥る人の特徴としては、真面目すぎるか、ルーズであるかという一見異なる特徴があります。真面目な人の場合は、目の前にある借金を返済しようと、他の金融機関・貸金業者や親族などから借り、返済をしようとしてしまいます。逆にルーズな人の場合は、他社からも借りられる状況を、あたかも自分の口座残高が増えたかのように、様々な使途に使い、借金が膨らみます。

どちらのケースでも、解決方法としては、「早急な債務整理」が必要です。

目次

多重債務者とは?

多重債務者とは、複数の消費者金融やクレジットカード会社から借り入れをしている人のことを指します。クレジットカード利用可能額が残り少なくなった時、新しく違うカードを作ってしまうなどという傾向のある方は、要注意です。

多重債務者になるとどうなるのか?

元金が減らないので借金が増える

多重債務者からなかなか向けだせない人もいますよね?その方の原因は、利息しか返せていない事、つまり「元金が減っていない事」です!多重債務者の多くは年収が300万円以下だといわれています。借り入れに対しての返済は、最低返済額の振込みで精一杯だと考えられます。

借り入れの例として、Aさんが「プロミスから50万円、アコムから30万円」を借入れしたとします。年収の多くないAさんは最低返済額で返すことになります。この時の最低返済額は、合計で28,000円です。(※金利18.0%の場合)毎月28,000円を返済したとしても、6割ほどが利息にあたるため、元金が減るのは約4割ほどです。元金は、借入れ金額が40万円以下にならないと半分以上減りません。複数からの借り入れは、利息ばかりを返済し元金が減らないからこそ、多重債務者は借金地獄から抜け出すことが難しいのです。

ひと月に何度も返済日が来る

消費者金融やクレジットカード会社によっては、返済日が異なります。その為、複数からの借り入れをしている場合には、毎月に何度も返済日が来ることになります。お給料が振り込まれたと思えば、毎月の返済に追われる一方で、ストレスを受ける方もいるかもしれません。毎月の返済ばかりに気を貼ってしまい、自分が自由に使えるお金がいくらあるのかも把握しきれない状況になりかねません。

自分の借金額が把握しきれなくなる

多重債務者は、一つのところから借金をしているわけではなく、多くの消費者金融やカード会社から借り入れをしている状況です。そのため、どの会社からどのくらいの借り入れがあるのかわからなくなります。借金の状況が分からない事には、多重債務から抜け出すことは出来ません。

まずは、自分がどの状況にあるのか、把握することから始め、借金をまとめられるのであれば、一つにまとめることをお勧めいたします。

電話・書面での督促がストレスになる

多重債務者の特徴として、多くの消費者金融やクレジットカード会社と付き合いがあることになります。当然支払いに関する連絡は、複数からあります。例えば、支払い日にお金を指定の口座に入れ忘れてしまうといった経験はありませんか?支払いに限らず、何らかの返答を求められたとき、電話や書面での督促がきます。多く借金を抱えれば、その分受ける督促も多くなり、ストレスになります。

生活が苦しくなる

生活が苦しくなるということは、言うまでもありませんよね。自由に使えるお金が少なくなり、支払いに回す毎日です。気を付けましょう!

財産を差し押さえられてしまう可能性もある

支払いが不可能で、なんの連絡や相談もせずにいると、最終的には差し押さえをされる可能性があります。そうならないように、自分の借金ときちんと向き合い、返済計画をたてていきましょう!

多重債務者に陥りやすい人の特徴

多重債務者に陥りやすい人の特徴は、大きく分けて2つあります。

  • 真面目すぎたり、人とのコミュニケーションが苦手で抱え込んでしまう
  • ルーズであり、自制心が弱かったり、逃げ癖がある

真面目でコミュニケーションが苦手なパターン

  • 真面目すぎるゆえに、毎月の返済を返そうとするために、借金を重ねてしまう
  • 第三者、公的機関、弁護士などの専門家のような、外部に対する相談やヘルプが出せない

ルーズなパターン

  • 欲しい物があるとすぐにカードやキャッシングなどで買おうとしてしまう
  • 目先の行動を後先考えずおこし、「後からなんとかなる」と根拠なく楽天的になってしまう

さらに、両者の共通項目として、「プライドが高い」ということが挙げられます。
どちらも、客観的に考えると、債務整理を行わないと傷口がどんどん広がっていくだけなのですが、多重債務に陥る人に限って、なかなか現実を直視したり、第三者に状況をさらけ出すことを避けてしまいます。

一人当たりの借金額の傾向とは

皆さんは、一人当たりの借金額をご存じでしょうか?首相官邸の調査によると、多重債務者1人あたりの債務の金額は、約50万円だといわれています。

全体的に、一人当たりの負債額は下がている傾向にあります。しかし、世帯年収300万円以下の人からの相談はまだまだ多く、生活費不足による借入れが前回調査に比べて45.0%増えているのが現状です。

(引用元:多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向

多重債務に陥るメカニズムとは

多重債務となる最も多い原因は「生活費の補填」

実は、多重債務者の中には、ギャンブルや浪費に無縁の方も多くいるのです。2018年に国が発表した「多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向」の中に、借金をした理由は、生活の補填と答えた人が全体の45%にも及んでいます。つまり、なんらかの原因で家計が苦しくなり、足りない生活費を補うために借金を重ねた結果、多重債務を背負う人が非常に多いということです。

多重債務の入口となりうる消費者被害に注意!

嘘のようで、本当に怒っていることとして、未だに消費者被害が後を絶ちません。具体的には、①架空請求の詐欺、②詐欺ショッピングの被害、③フィッシング被害、④クレジットカードのショッピング枠現金化による被害などがあげられます。詳しく見ていきましょう!

①架空請求の詐欺

自分自身に身に覚えのない請求が来て、多額の金額を支払ってしまうこと

②詐欺ショッピングの被害

偽ショッピングサイトで買い物をした結果、お金を払っても商品が来ないなどのトラブルに巻き込まれることがあります。

③フィッシング被害

実在する会社をかたる電子メールから偽のサイトに誘導する手口です。うっかり入力した個人情報を使って、クレジットカードなどを不正利用されるケースが報告されています。

④クレジットカードのショッピング枠現金化による被害

お金がない人に法外な金額で買い物をさせ、購入価格の何割かを差し引いた上でキャッシュバックする手口です。後で高額な代金を全額払うことになるだけでなく、キャッシュバック時に差し引かれた分は損してしまいます。

消費者被害は、自分は大丈夫!と思っている人が特に陥ることが多い症例でもあります。知らず知らずのうちに、被害にあわないように自分自身でしっかりと注意しましょう。

元金を減らすことが多重債務者から脱出する方法

多重債務者から抜け出す方法として、元金を減らすことが重要です!その方法の一つに、1000円でも多く返済することを心がけると良いでしょう。支払いの回数や金額が少ないと、その分利息が重なり、なかなか元金が減りません。その為、生活に支障が出ない程度で、なるべく多くの支払い金額を設定しましょう。早く支払いを終えるように知ることで、多重債務者から抜け出す光が見えてきます。

貸金業者が仕掛ける罠に知らず知らずにハマってしまう

多重債務で借金の返済が困難になると、通常の貸金業者からは新たな借り入れは出来なくなります。そこに漬け込む違法な貸金業者が「ヤミ金」です。ヤミ金とは、違法な手法でお金を貸し借りを行う業者のことを指します。ヤミ金は、多重債務で困っている人に甘い言葉をかけ、法外な金利でお金を貸し出す危険な存在なのです。借りてしまうと急激に利息が増え、返済額が莫大になります。ヤミ金は督促も悪質で、精神的ストレスは想像を超えるものです。こちらが参っていたとしても、決して督促の手を緩めません。くれぐれも手を出さないように注意しましょう。

多重債務者にならないためのポイント3つ

多重債務に陥らない点として3つのポイントがあります。

絶対に名義貸しをしない、連帯保証人にならない

どのような状況であっても、他人に免許証などを貸したり、名義貸しを行ったり、連帯保証人になってはいけません。

近年は、国の方針により、連帯保証人を極力つけないという方向の融資が増えてはいます。しかし、今でも金融機関・貸金業者で、お金の借り入れに関し、「人的担保」といって、人を担保代わりにした、連帯保証を求めるケースもあります。

しかし、連帯保証人の場合、「検索の抗弁権」「催告の抗弁権」「分別の利益」というのが存在しません。

専門用語なので噛み砕いていうと、通常の保証人であれば、債務者が返さない場合、「まず主債務者に支払ってくださいといって、主債務者からしっかりと回収して、その後になってから請求してください」と言えますし、仮に1,500万円のお金を3人で「保証人」として保証しており、債務者が返済できなくなった場合は、1人500万円ずつ返済すればいいのです。

しかし、連帯保証人の場合、「いきなり連帯保証人に、借金全額請求」ということができてしまいます。そのため、連帯保証人になるということは、その人の借金をまるごと背負う危険性があることだと心得ておくべきでしょう。

必要なお金は、給料後自動的に天引きされるようにし、最小限の出費で生活する

普段の支出を抑えるためには、引き出しにくい別口座への天引き送金など、使えないところに移し、必要最小限のお金で生活、貯金をするくせをつけることが重要です。

返済が厳しいと感じたら、すぐに専門機関・弁護士などに相談する

多重債務に陥る人の場合、返済が厳しくなっても、他で借りるなどしてなんとか先延ばしにしようとしてしまいます。

消費生活センターや市区町村の相談窓口、各種金融機関と提携する相談窓口に相談したり、返済が厳しいと感じたら弁護士に相談、債務整理を検討することが望ましいといえます。

多重債務を解決する2つの方法について

多重債務を解決する上で、取りうる方法は2つあります。

おまとめローンの活用

金融機関では、各種のローンを一括してまとめる、「おまとめローン」という商品を用意しています。ただし、条件が厳しく、金利もそれなりに高いケースが多いです。

また、土地家屋などの不動産を担保に取るケースもあり、返済できない場合は自宅など担保に入れた土地が競売にかけられることとなります。そのため、おまとめローンについては、よほど返済の目処があるか、事情がある場合以外は、問題の先送りでしかありません。

債務整理

弁護士など法律の専門家が入り、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産などの手続きを行います。

債務の状況に応じ各種法的整理を、法律家の観点から提案してくれるとともに、以前貸金業者と高金利で取引していることが、依頼後の調査で判明した場合は、過払い金の請求をしてくれるケースもあります。

また、債務整理を行うと、お金は借りられなくなりますが、借金も大幅に減額、もしくはゼロになるケースもありますので、「借りることができなくなり、返すお金も減るかなくなる」という形になりますので、根本的に借金問題を解決することが見込めます。

おまとめローンで、根本的な解決は不可能?

おまとめローンは、先程も述べたように、各種ローンを一括して一つにまとめる金融機関の商品です。おまとめローンのメリット・デメリットをみてみましょう。

メリット

  • 返済先、返済日が一本化できる
  • 金利が安くなる場合がある
  • 目先の法的整理は避けられる

デメリット

  • 債務整理で発見できたはずの過払い金が発見できない
  • 余計に借金を重ねてしまう可能性がある
  • 金利が高い
  • 連帯保証人が要求される
  • 公正証書の作成を要求される
  • 不動産担保を要求される

※公正証書を作成すると、裁判書の確定判決と同じ効力があり、公正証書に記した不動産・財産であれば即差し押さえができます。

など、正直なところデメリットのほうが大きいと言えます。あえておまとめローンを選ぶ場合の業者選びは、「金利の安さ」を基準とし、できるだけ連帯保証人・担保・公正証書の作成を条件としない業者が望ましいと言えます。

多重債務を回避するためには弁護士への相談が有効

債務整理は自分でやると負担が大きい

債務整理は、自分で手続きし行うことも可能です。しかし、債務整理を自分で行うとなれば、時間と知識を要することはある程度予想されるのではないでしょうか。例えば、貸金業者との交渉や取引履歴の提示など、素人を下に見る業者もあります。また、法律などの専門的知識が少なからず必要ですので、まったくの素人となれば気が思いやられる点も出てきます。

債務整理を行う人は、仕事や家事・育児をしている場合がほとんどです。書類を作成したり裁判所へ足を運んだりと、時間も要します。この場合、多少費用が掛かったとしても、専門的な知識のある弁護士や司法書士に依頼した方が時間と手間を省くことができます。そうでなくとも借金という精神的ストレスがある中で、債務整理の手続きまでにストレスを持ってしまうと、身体的にもつらくなります。専門家への依頼は、借金返済への相談相手にもなりますので、自分に合った専門家をみつけ依頼することをおすすめします。

無料相談に応じてくれる事務所も多くあります

最近では、法律事務所のテレビコマーシャルもあり、無料相談というフレーズを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。自分が債務整理を検討している場合、どのような債務整理の方法が良いのかを確かめるためにも、専門家への無料相談は活用すべきです。また、自分の身の内を隠さず話せる弁護士なのかどうかを見極めるためにも、無料相談は便利です。自分に合った、今後の借金返済への道筋を立ててくれます。弁護士は仕切りが高くて怖そう、怒られそう…、という不安はつきものですよね。しかし。実際はそのようなことはありません。親身になって今後の借金返済への計画を立ててくれます。気になる方は、一度無料相談を受けてみましょう。

無料で債務整理について相談できる機関もある

無料相談であっても、いきなり法律事務所への相談はハードルが高いと思う方もいらっしゃるかもしれません。そういった方向けに、無料で弁護士に相談できる機関に問い合わせてみましょう。 【自治体の無料法律相談】

  • 日本司法支援センター(法テラス)
  • 日本弁護士連合会

※いずれも要予約

再び多重債務へならないための方法

まず、基本的なこととして、

  • お金の収入と支出について細かく把握する
  • 借入機能を持つカードが残っている場合解約する

という点が重要です。お金の管理の基本として、毎月の収入以上の支出はしない、年間の収入以上の支出はしないというのは大原則です。

ですが、多重債務に陥ってしまったということは、「稼ぐ以上に使ってしまった」ということに根本的な原因があります。

毎月の固定費削減・定期購読の解約・格安SIMの活用・天引き貯金などを必ず行い、そのお金には、よほどのことがない限り手を付けないなど、自己管理・家計管理のあり方やお金の使い方、各種付き合いを見直すことが必要です。特に、見栄のための消費は何も生み出しません。

投資うんぬん以前に、節約・貯金をし、ある程度のまとまったお金を作れるようになることが大切です。

また、自己破産以外のケースでは、当然返済が発生しますので、返済分は必ず収入が入った際に、別口座へ移動されるように設定するなど、手をつけにくい口座へお金を置くことが大切です。

任意整理・特定調停の場合、クレジットカードやその他のカードの貸金枠が残る場合がありますが、借り入れできるカードは解約し、当座貸越などの貸越枠がある場合も、解除しましょう。

多重債務者が取るべき行動のすべて

シンプルに、「まずは弁護士などの法律専門家に相談しよう!」この一言につきます。

多重債務が悪化すると、様々な金融機関・業者から返還請求が増えるかと思います。電話や手紙などの連絡がひっきりなしに来ることも考えられます。そうすると、正常な判断ができず、どんどん泥沼にはまっていきます。

そうなる前に、なんとか時間を作り、弁護士などの法律専門職に相談し、対策を検討、そして債務整理に着手するべきです。弁護士に依頼することで、弁護士が債務者の代理人として、債権者に対し受任通知を送ることで、債権者から債務者に直接の連絡はいかなくなります。

代わりに、弁護士の方で債権者と連絡をとってくれますので、もし債権者の連絡が相次いでいた人の場合、連絡がぱたっと止まり、一旦の平穏を取り戻すことができるかと思います。

あれこれ自分でなんとかしようとしても、時間は過ぎ、利息は膨らみ、どんどんと身動きが取れなくなる恐れがあります。そうなってしまうと、正常な判断が取れず、取ってはならない行動を行ってしまう可能性さえあります。

その前に、然るべき専門家に相談、早めに法律に基づいた、適切な処理を行うことで、借金問題を解決し、後々まで引きずることを防げるでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

債務整理とはへ戻る

債務整理とは

借金問題の解決方法