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グレーゾーン金利ってなに?

グレーゾーン金利とは、「利息制限法」と「出資法」の上限金利が異なっていたことにより発生しました。利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差の事を“グレーゾーン金利”といいます。この上限金利の差は、出資法の上限金利を超えると罰則規定がありましたが、利息制限法の上限金利を超えても罰則規定はなく問題がないとされ、長い間黙認されていました。

しかし、2006年最高裁判所の判決と2010年改正貸金業法施行を通して、利息制限法と出資法の上限金利を超えての貸付が明確に「違法」とされました。グレーゾーン金利で借入をしていた借主が払いすぎたお金を過払い金請求することにより、払いすぎたお金を取り戻すことができます。

本記事では、グレーゾーン金利とは何かを詳しくご説明いたします。

目次

グレーゾーン金利とは?

グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差があることによって生まれました。
この利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差を“グレーゾーン金利”といいます。

利息制限法の上限金利は借入額によって異なりますが15%~20%、出資法の上限金利は29.2%と定められていて、最大で14.2%も多く利息を支払っていた可能性があります。

旧貸金業規制法43条では、一定の要件を満たせば、利息制限法の上限金利(15%~20%)を超え、出資法の上限金利(29.2%、罰則規定あり)を超えなければ有効という抜け道がありました。

このように貸金業者は、本来支払うべき金利より、9.2%~14.2%も高い金利で貸付を行っていました。

利息制限法とは?

利息制限法は、「お金を貸付けるときに、この金額の場合はこれ以上の金利を付加してはいけません」という法律です。具体的な利息制限法の上限金利は、下記のように借入額に応じて変わります。

  • 元本10万円未満:年間20%
  • 元本10万円以上100万円未満:年間18%
  • 元本100万円以上:年間15%

もし、上限金利を超える金額でお金を貸付けた場合、金利を超える部分は無効とされます。

そのため、上記の上限金利を超えて貸金業者が取っていた場合、まずはその超過分を元本に充当し、それでも残りがある場合は「不当利得」として扱われます。

とはいえ、この貸付けが不当利得であったとしても、貸金業者の方から「必要以上に金利をもらっていたのでお返しします」ということは行ってくれません。

借主から、弁護士などの法律専門家が代理人として立つ形で、次の主張をしなければなりません。

  • 取引履歴を全て開示してもらう
  • 取引履歴を元に、現在の法律に基づく利息に直す、「過払い金の引き直し計算」をしてもらう
  • その上で代理人弁護士などから過払い金請求を行う

参議院法制局のホームページに、「権利の上に眠るものは保護に値せず」という法格言が掲載されています。いくら正当な権利があったとしても、権利を行使できる側が行使をしなければ、法律も守ってくれないのです。

法律は、弱者の味方ではなく、法律を使いこなす者の味方であるということは心に留めておく必要があるでしょう。

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出資法とは?

出資法は、正式には「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいます。

実はこの法律は、1954年に制定された、かなり歴史のある法律です。(その後24回にわたり附則がつけられ、2010年6月が最新の附則となります)条文や附則を見ると難しい言葉が書いてありますが、2006年には、「多重債務問題の解決が重要で、そのための施策を行っていきます」という旨が記されており、その他の点でも、出資法と利息制限法のグレーゾーン金利のために生じた諸問題を解決する附則を加えています。

もともと出資法は、次のことを行っています。

  • 不特定多数に対し、本当か嘘かを問わず「元本保証ですよ!」とうたい出資を呼びかけること
  • 法で認められた金融機関以外が、業としてお金を預かることの禁止
  • 浮貸し(金融機関の職員などが地位を利用し、金銭の貸し付け・媒介・債務保証をすること)の禁止
  • 紹介屋、それに類する者の禁止
  • 金融業者・それに類する業者の各種規制・罰則等

グレーゾーン金利が認められていた理由

出資法の上限金利を超える貸付は罰則規定がありましたが、利息制限法の上限金利を超えての貸付は罰則規定がなく、グレーゾーン金利での貸付が長い間黙認されていました。

では、なぜグレーゾーン金利が認められていたのか、その理由をご説明いたします。

みなし弁済

グレーゾーン金利が認められていた理由として、過去「みなし弁済」という制度がポイントにありました。

みなし弁済とは、貸金業者が利息制限法で定められた上限金利を超える利息を取ることは禁止されていましたが、一定の条件を満たしていれば、利息制限法の上限金利を超える利息も有効とみなすという制度です。

一定の条件とは、次の通りです。

  • 貸主である金融業者が貸金業登録業者であること
  • 貸主が借主(債務者)に対して契約時に法定の契約書(17条書面)を交付していること
  • 貸主が利息を受領したとき法定の領収書(18条書面)を交付していること
  • 借主が任意に利息として支払ったこと
  • 借主が利息と認識して支払ったこと

みなし弁済を利用した貸金業者は、利息制限法の上限金利を超える利息を取り、借主にとって大きな負担となりました。高い金利で借金を返済していたため、借金返済のために別の業者から借入をし、借金がどんどん膨れ上がる多重債務に陥る人が多くいました。
この多重債務が社会問題化となり、2006年の最高裁判所の判決でみなし弁済の廃止が決定づけられました。

貸金業者の統制を図る

グレーゾーン金利が認められていた背景には、貸金業者の統制を図るという側面もありました。

貸金業登録を承認した貸金業者に対して、監督官庁は厳しい規制を課していました。しかし、グレーゾーン金利によって金利を受けやすくしていたとも言われています。

その後、グレー損金利が最高裁によって明確に違法と判決が出てから、政府は貸金業者に関連する法整備を進めることにしたのです。

グレーゾーン金利の廃止

グレーゾーン金利が認められていたことによって、多重債務に陥る人が増え社会問題化となりました。

多重債務が社会問題化となり、2006年12月に「改正貸金業法」が徐々に施行されていきました。
2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行され、みなし弁済規定が正式に撤廃となり、グレーゾーン金利は廃止されたのです。

さらに、出資法の上限金利が29.2%から20.0%に引き下げられました。また貸金業法は、利息制限法の上限金利を超える利息を取った場合、行政処分の対象になるという規定が、新たに追加されました。

現在のグレーゾーン金利の法規制

現在でも、利息制限法の上限金利が借入額によって異なるため、出資法の上限金利と差があるという意味で、「グレーゾーン」が完全になくなったわけではありません。

出資法の上限金利が20%となっても、利息制限法では元本10万円以上100万円未満の場合には上限金利が18%のため、利息制限法の18%から出資法の上限金利の20%までの間に、まだ若干のグレーゾーンが残っていることになります。
しかし、このグレーゾーンについても現在では、利息制限法の上限金利を超える利息を取ることは禁止されており、違反した場合は行政処分の対象となるのです。

グレーゾーン金利を超えた闇金業者に注意

最後に、「ブラックOK」、「多重OK」などの甘い言葉で貸付けを行ったり、電話やwebなどを通してお金を貸す違法なヤミ金業者も存在しますが、けして借りてはいけません。

病気などでどうしてもお金が必要な場合は、社会福祉協議会の生活福祉貸付けを使い、病院の相談室にも事情を話し、できるだけ負担がないよう措置をしてもらうなど、ヤミ金を使わなくても、正当に手続きをすれば社会福祉協議会を通し貸付けを受けられます。

また、ヤミ金業者は利息も高く(10日で1割のトイチや10日で3割のトサンなどはよくネット上で散見されます。)、表向き数%の金利をうたっていても、手数料など別の名目で法外な金利を取るケースもあります。

通常の貸金業者は、都道府県に登録し、専門の人員を配置するなど厳格な運営が必要で、少しでも問題があれば登録が取り消されるため、全てにおいて法律に基づいて行動してきますが、ヤミ金業者は都道府県の規制など全く及ばないため、あらゆる方法を使ってお金を取り立てる恐れがあります。

万一ヤミ金業者から借りている場合は、一切借金返済の必要はなく、貸金業法とは全くに犯罪として、弁護士から民事(損害賠償などお金の面)、刑事(逮捕し裁判にかけ禁固・懲役の判決などの罰則)両方から対処してもらうことが必要といえますので、必ず弁護士に相談、依頼し、警察など公的機関とも連携し対処するといいでしょう。

グレーゾーン金利による過払い金の発生

2010年に改正貸金業法が完全施行されたことによって、最高裁判所が貸金業者が取りすぎていた利息(過払い金)は、過払い金請求手続きをすることによってお金を取り戻すことができると、認めました。

次に過払い金とは何か、過払い金請求をするにはどうすればいいのかをご説明いたします。

過払い金とは?

昨今話題になっている過払い金ですが、CMなどで耳にしたことはないでしょうか。

過払い金とは、「貸金業者に払いすぎたお金」のことです。本来であれば支払う必要のないお金ですから、貸金業者に対して返金手続きをすることで、お金を取り戻すことができます。この払いすぎたお金を取り戻す手続きのことを過払い金請求といいます。

併せてチェック!

過払い金請求は専門家へ相談

過払い金は、貸金業者に払いすぎたお金で本来ならば自分のお金ですので、過払い金請求をしてお金を取り戻しましょう。

過払い金請求にはメリットもありますが、デメリットもあります。きわみ事務所では、過払い金を含む借金問題の無料相談を行っており、ご納得された上で過払い金請求手続きを取ります。

過払い金請求を行ったことでお金を取り戻せた、借金がなくなった、毎月の返済額が減り生活が楽になったという声を数多く聞きます。

2010年以前に借金をされたことのある方や借金のお悩みがある方は、ぜひ一度きわみ事務所に無料相談をしてみませんか?相談は何度でも無料で、全国対応しております。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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