債務整理

借金の一本化は本当に得なの?メリットとデメリットは?

いくつもの金融機関から借入をしてしまった場合、1つの金融機関に借金を一本化することで金利を下げ、毎月の返済額も減らすことができます。

返済が苦しくなった方にとってはありがたいシステムですが、実は借金を一本化することでかえって損をしてしまうこともあります。

そこで今回は、借金の一本化をする前に知っておきたいメリットとデメリットを解説し、どんな方が一本化に向いているのか、どんな方は向いていないのかということもご説明します。

目次
  1. 1. 「借金の一本化」とは?「債務整理」とどう違うの?
    1. 1.1. 借金の一本化は新たな借入によって借金を1つにまとめること
    2. 1.2. 債務整理はもともとある借金の免除や減額をすること
    3. 1.3. 借金が続くのが「借金の一本化」、借金をやめるのが「債務整理」
  2. 2. 借金の一本化のメリットとは
    1. 2.1. 金利が下がる
    2. 2.2. 毎月の返済額が減る
    3. 2.3. 返済の管理が楽になる
    4. 2.4. ブラックリストに載せられることはない
  3. 3. 借金の一本化のデメリットにも注意しよう
    1. 3.1. 総返済額が増える
    2. 3.2. 新たな借金が増える危険がある
    3. 3.3. 審査が厳しい
  4. 4. 債務整理にもメリットはある
    1. 4.1. 借金がなくなる、または減る
    2. 4.2. 借金が増えることはない
    3. 4.3. 借金グセがなおる
  5. 5. 債務整理のデメリットも知っておこう
    1. 5.1. ブラックリストに載せられる
    2. 5.2. 財産を失い官報に掲載されることがある
    3. 5.3. 人によっては精神的負担が大きいこともある
  6. 6. 借金の一本化が向いているのはこんな人
    1. 6.1. ブラックリストに載りたくない人
    2. 6.2. 返済原資に比較的余裕がある人
    3. 6.3. 借金の総額が比較的少ない人
  7. 7. こんな人には借金の一本化はおすすめできない
    1. 7.1. 既にブラックリストに載せられている人
    2. 7.2. 返済原資に余裕がない人
    3. 7.3. 借金グセが強い人
  8. 8. 借金の一本化をするかどうかで迷ったら専門家に相談を

「借金の一本化」とは?「債務整理」とどう違うの?

「借金の一本化」と「債務整理」は、どちらも借金の返済が苦しくなったときに利用することで返済の負担を軽減することができるものです。

しかし、この2つにはそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。利用する前に2つの違いを知っておかなければ後悔することにもなりかねません。そこで、まずは借金の一本化と債務整理との違いをご説明します。

借金の一本化は新たな借入によって借金を1つにまとめること

借金の一本化とは、複数の金融機関から借金をしている場合に新たに1つの金融機関からまとまった金額を借り入れ、そのお金でもともとあった借金を完済してしまうことをいいます。その後は、新たに借り入れた1社に対して返済していくことになります。

多くの場合は借金の一本化をすることで金利が下がり、毎月の返済額も少なくすることができます。返済先もたった1つに絞られ、毎月1回の支払いですむようになるので返済が楽になります。

その反面、返済期間が長くなることで総返済額が増え、さらに借り入れることも可能な為、借金が増えてしまうなどの危険もあります。

借金の一本化は「おまとめローン」や「借り換え」などと呼ばれることもあります。

債務整理はもともとある借金の免除や減額をすること

債務整理は、新たに借り入れをするのではなく、もともとある借金を直接処理する手続きです。債務整理の方法には、大きく分けて自己破産・個人再生・任意整理という3種類があります。

自己破産をすると、それまであった借金を原則としてすべて免除してもらうことができます。

個人再生の場合は、原則として借金の総額を原則として5分の1に軽減した上で、3年間~5年間で分割返済していきます。

任意整理では、原則として元金は減りませんが利息や遅延損害金をカットして、返済回数や毎月の返済額を変更することによって返済しやすくなります。法定金利を超える利息を支払っていた場合は元金が減り、過払い金が戻ってくる場合もあります。

借金が続くのが「借金の一本化」、借金をやめるのが「債務整理」

以上のように、借金の一本化では新たに借り入れをするため、その金融機関との取引が続きます。それに対して債務整理では、借り入れをやめて残った借金の返済に専念することになります。この点が2つの手続きの最も大きな違いになります。

では、さらに借金の一本化のメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。

借金の一本化のメリットとは

借金の一本化のメリットをひと言でいうと、生活への影響を最小限に抑えつつ、返済の負担を軽減できることです。具体的には、以下のようなメリットがあります。

金利が下がる

消費者金融からの借金では借入額によっても異なりますが、多くの場合は18%かそれに近い金利がかかります。銀行のカードローンは金利が低いですが、それでも借入額100万円以下では13~15%程度の金利はかかります。

借金の一本化をする場合はまとまった金額を利用するため、低金利で借り入れることができます。10%をきることも珍しくありません。

おまとめローンにも、消費者金融のものと銀行のものがありますが、消費者金融からの借り入れには「総量規制」といって、年収の3分の1を超える借り入れはできないという規制が適用されます。

そのため、あまり大きな金額の借り入れは利用できないこともあって金利は高めになります。

一方、銀行からの借り入れには総量規制の適用がないため、おまとめ目的であれば数百万円を借り入れることもできます。そのため、借入金額によっては5%以内の金利で一本化することも可能です。

毎月の返済額が減る

いくつもの金融機関から借り入れている場合は、それぞれについて比較的短期間の返済期間が決められています。それに対して借金の一本化の場合は返済期間も長期間が認められることが多いので、毎月の返済額を減らすことができます。

例えば、借金総額が300万円として4社から借り入れている場合は、1社あたりの返済額が毎月1万5,000円だとしても、4社分合計で毎月6万円になってしまいます。

借金の一本化をした場合は金利と返済回数にもよりますが、毎月3~4万円の返済ですむことが多いでしょう。

返済の管理が楽になる

いくつもの金融機関から借り入れをしていると、毎月何日にどの業者にいくら返済しなければならないのかという管理が大変です。うっかりして滞納してしまうと返済計画も狂ってしまい、生活に支障をきたすこともあります。

借金の一本化をすると、返済は毎月1回、ひと口だけになります。

ブラックリストに載せられることはない

借金を支払えなくなると、信用情報機関に事故情報が登録されます。こうなると、延滞を解消してから5年間は借り入れやローン、クレジットカードの利用ができなくなります。この状態のことを俗に「ブラックリストに載せられた」と表現します。

借金の一本化であればもともとあった借金は完済してしまうので、新たに借り入れた一本の借金を延滞しない限り、ブラックリストに載せられることはありません。

借金の一本化のデメリットにも注意しよう

借金の一本化はメリットがいっぱいのようにも思えますが、その反面でデメリットもいくつかあります。

総返済額が増える

借金の一本化をすると金利は下がりますが、実は長い目で見ると総返済額は増えてしまう場合がほとんどです。その原因は、毎月の返済額が少なくなる代わりに返済期間が長期化するためです。

高金利の借金を短期間で返済するよりも、低金利でも長期間支払い続けるほうが最終的な利息の負担が大きくなってしまうのです。

やはり、楽をして得することはできないということになります。

新たな借金が増える危険がある

借金の一本化をして完済した金融機関からは、また新たに借り入れができる状態になっています。一本化した金融機関への返済だけに専念していれば問題はないのですが、新たに借り入れできるという誘惑には要注意です。

誰でも生活をしていると、ときにはどうしても返済が苦しくなったり生活費が不足しがちになったり、突発的な出費の必要があったりするものです。そんなときに新たに利用できる借入先があると、つい利用してしまいかねません。

気が付くと一本化した借金に加えて、従来の借入先への借金も復活して負債総額が増大していたという事態に陥る危険があります。

審査が厳しい

借金の一本化は、誰でも利用できるというわけではありません。新たな借金なので審査があります。

一本化目的の借り入れは利用額が大きく、金利が低くて毎月の返済額も少ないという有利な条件のため、審査は厳しくなります。

定職に就いていて安定した定期収入があることは絶対的な条件です。アルバイトやパートの方も利用できないわけではありませんが、審査をパスするのはかなり難しいでしょう。収入に幅のある自営業者も厳しいといえます。

従来の借入先に延滞したことが何度もあると、一本化の申込みをする時点で延滞を解消していたとしても審査をパするのは難しいです。借入先が多いときも難しいでしょう。

本来のニーズとは逆になっているともいえますが、金融機関としても利益を確保しなければならないので、審査が厳しいのもやむを得ません。特に銀行系は審査が厳しい傾向にあります。

債務整理にもメリットはある

借金の一本化を希望する方のなかには、債務整理だけはしたくないという方も多いことでしょう。しかし、債務整理にも大きなメリットがあります。

借金がなくなる、または減る

自己破産をして免責が認められると、金融機関からの無担保の借金はすべてなくなります。

借金の使い途にギャンブルや浪費が多いなどの問題がある場合は免責が認められないこともありますが、その場合でも裁判官の指示に従って借金の一部を配当することで裁量的に免責が認められることもあります。

個人再生では、原則として借金が5分の1にまで減ります。500万円の借金があっても、100万円にまで減らすことが可能です。返済期間は原則として3年間ですが、一定の要件を満たす場合は5年間まで伸ばすことができます。

100万円の再生債務について5年払いの再生計画案が認可されると、毎月の返済額は1万6,667円ですむようになります。

任意整理では原則として元金は減りませんが、利息や遅延損害金をカットする交渉が可能です。それによって総返済額を減らすことができます。

最近では少なくなりましたが、古くから借り入れと返済を続けている場合は法定金利を超える利息を支払っているケースもあります。その場合は利息の引き直し計算をすることによって元金が減り、過払い金の返還請求ができる場合もあります。

借金が増えることはない

上記のとおり、債務整理をすると借金がなくなったり減ったりすることはあっても、増えることはありません。

借金の一本化の場合は新たに借金をするため、金利の負担は完済するまで続きます。その上に、従来の借入先から改めて借り入れてしまうというリスクもあります。

債務整理には借金が増えるリスクが一切ないので、借金を片付ける効果は一本化よりも強力です。

借金グセがなおる

あとで詳しくご説明しますが、債務整理をするとブラックリストに載せられてしまうというデメリットがあります。しかし、このデメリットは借金グセを強制的になおすことができるというメリットとして考えることもできます。

ブラックリストに載せられると新たな借り入れやローン、クレジットカードの利用はできなくなります。つまり、もう借金はできないということです。

何社からも借金をして多重債務に陥るということは、借金グセがあるということです。借金問題を根本的に解決するためには、この借金グセをなおすことが最も重要であるともいえるでしょう。

債務整理をすることによって、強制的に借金グセをなおすことができるのです。

債務整理のデメリットも知っておこう

債務整理をしたくない方は、デメリットを気にされていることでしょう。ただ、債務整理のデメリットを過大に解釈している方もいるようなので、ここで正確にご説明しておきます。

ブラックリストに載せられる

債務整理の最大のデメリットは、ブラックリストに載せられることでしょう。

債務整理をするということは、借金を契約どおりには返済できないということを意味します。そのため、債務整理の手続きを開始する通知書を金融機関に送付した時点で信用情報機関に事故情報が登録され、ブラックとなります。

ブラックリストに載せられると、新たな借り入れやローン、クレジットカードの利用ができなくなります。借金ができなくなるのは良いことでもありますが、やはり生活する上で不便なこともあります。

さらに、車のローンや住宅ローンも組めなくなります。何か事業を始めようと思っても融資を受けることはできません。クレジットカードも利用できなければ、今の社会では不便なことが多いでしょう。

とはいえ、ブラックリストは一生残るわけではありません。任意整理なら約5年、自己破産や個人再生では約10年で事故情報は抹消されます。その後はまた借り入れやローン、クレジットカードの利用もできるようになります。

財産を失い官報に掲載されることがある

自己破産をすると、原則として所有財産は換金して債権者に配当しなければなりません。しかし、一定の範囲で「自由財産」も認められており、実際にはすべての財産を失うわけではありません。

持ち家があれば処分する必要がありますが、自動車は手放さずにすむ場合もよくあります。軽自動車なら初度登録から4年以上、普通乗用車なら6年以上が経過していると減価償却済みになるため、換金を免れるのです。

個人再生の場合は財産を手放す必要はありません。ただし、高価な財産があるとそのぶん返済額が増えるケースもあります。

自己破産でも個人再生でも、裁判所での手続きを開始すると官報に氏名や住所などが掲載されます。官報とは政府が発行する新聞のような情報誌のことです。

一般の方が官報を見ることはほとんどないので、実際には自己破産や個人再生をした事実が世間に知れ渡ってしまうようなことはほとんどありません。

人によっては精神的負担が大きいこともある

債務整理をすると、人によっては「特別なことをした」「借金を返せなかった」と受け止めてしまい、精神的負担が大きくなってしまうことがあります。

借金の一本化であれば借金は続くもののブラックリストに載せられることもなく、きちんと借金を返していると思うことができます。それに対して、返済をいったん止めてしまう債務整理に心理的な抵抗がある方が多いのも無理はないのかもしれません。

しかし、この点は気持ちの問題に過ぎないということもできます。借金を減らす効果は債務整理のほうが明らかに大きいのですから、こちらを重視すれば債務整理は、精神的負担が少ないともいえるのです。

借金の一本化が向いているのはこんな人

借金の一本化と債務整理のそれぞれについて、メリットとデメリットをご紹介しました。この2つのどちらが良いかということは一概にいうことはできません。それぞれの方の個別の事情に応じて向き・不向きがあります。

それではまず、借金の一本化が向いている人のケースをご紹介します。

ブラックリストに載りたくない人

ブラックリストに載せられても、やがて事故情報は抹消されることを先ほどご説明しました。ただ、それでも5~10年間も借り入れやローン、クレジットカードの利用ができないと困る方も多いでしょう。

特に、近い時期に自動車ローンや住宅ローンの利用を考えている場合は、債務整理をするわけにはいきません。

とはいえ、既に多額の借金を抱えていると自動車ローンや住宅ローンの審査も厳しくなるので、思い切って債務整理を検討してみるのもいいかもしれません。

返済原資に比較的余裕がある人

借金の一本化では借金が続くので、収入が安定していて毎月返済に回せるお金に比較的余裕がある人に向いています。

借金の一本化をすると、しない場合よりも総返済額が増えてしまうことがほとんどですが、繰り上げ返済ができればこのデメリットを回避することができます。

つまり、借金の一本化によって金利を下げた上で、繰り上げ返済を活用して短期間で完済すれば総返済額も減らすことができるのです。

借金の総額が比較的少ない人

借金の総額が多額になってしまうと、一本化をしても返済の負担がそれなりに大きくなってしまいます。また、借金の総額が多いと一本化の審査も厳しくなります。

審査をパスするのがむずかしい場合は借金の一部だけを一本化することも考えられますが、あまりおすすめはできません。

例えば、消費者金融5社から総額300万円の借金がある場合に3社分の200万円だけを一本化し、あと2社分の100万円は従来どおり返済していくという形です。

一部だけの一本化でも返済の負担はそれなりに軽減されますが、多重債務状態が解消されないため、追加で借り入れをやめることができないという危険があります。

借金総額が多い場合や借入先があまりにも多い場合は、一般的には債務整理を検討したほうがいいでしょう。

こんな人には借金の一本化はおすすめできない

それでは、逆に借金の一本化が向いていない人のケースをご紹介します。

既にブラックリストに載せられている人

既にブラックリストに載せられている場合は、借金の一本化の審査にパスできる可能性はありません。したがって、債務整理を検討する他ありません。

まだブラックリストには載せられていないものの、延滞したことが何度もあって借金の一本化の審査が厳しい人も債務整理を検討したほうがいいでしょう。

上記のように借金の一部だけの一本化では追加の借り入れ・返済を繰り返してしまい、借金問題の解決から遠のいてしまう危険があります。

返済原資に余裕がない人

借金の一本化をしても毎月の返済がぎりぎりになる人は、一本化には向いていません。返済原資に余裕がないと借金の一本化によって完済した金融機関から再度の借り入れをしてしまい、借金の総額がさらに増えてしまうことにもなりかねません。

借金の総額が大きくなってしまうと、債務整理をしても解決するのは簡単ではなくなってしまいます。借金の一本化でぎりぎりまで頑張ってみるのも悪くはありませんが、債務整理をするなら早めに決断して解決してしまうことをおすすめします。

借金グセが強い人

借金グセの傾向が強い人は、まずそれをなおさなければ根本的な解決は望めません。借金の一本化をすると毎月の返済額が少なくなるため、油断して無駄遣いをしてしまう方も少なくありません。

そうして返済が厳しくなると、完済した金融機関から再度の借り入れをしてしまうこともあるでしょう。

借金の一本化では金利の負担が続くため、ある意味では問題を先送りにしているだけということもできます。

借金グセが強い人は、債務整理をすることでもう借金はできない状態に自分を追い込んで、それまでの借金問題をいったん解決してしまったほうがいいでしょう。

借金の一本化をするかどうかで迷ったら専門家に相談を

借金の一本化は、ブラックリストに載せられることもなく借金問題を解決することもできる、魅力的な手段であることは間違いありません。しかし、その反面でデメリットもあることを解説してきました。

ご自分のケースが借金の一本化に向いているのかどうかは、なかなかご自分ではわからないこともあるでしょう。判断を間違うと、借金問題を悪化させてしまうおそれもあります。

そんな不安があるときは、借金問題に詳しい弁護士や司法書士などの専門家に相談することで適切なアドバイスを受けることができます。借金の一本化をするとしても注意点などを教えてもらうこともできます。

迷っている場合は、お気軽に専門家に相談してみましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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