債務整理

債務名義の取得方法って?シチュエーション別・おすすめの方法とは?

契約書の期日通りに支払いがおこなわれないとき、強制執行するためには債務名義の取得が必要です。債務名義は債権の存在、範囲を公的に証明してくれます。そのため債務整理を取得しておけば、万が一支払いがおこなわれないときに、強制執行を命じることができます。しかし普段の契約では、なかなか債務名義を取得することがありません。債務名義の取得にはいくつか方法があるので、適切な方法で債務名義を取得しましょう。

目次

なぜ強制執行するためには債務名義の取得が必要なのか

相手が支払いに応じなかったとき、契約を遂行するためにおこなわれるのが強制執行です。強制執行をすることで相手の財産を差し押さえ、契約通りに支払いをおこなわせれば、契約した金銭が回収できる見込みがあります。

ただし日本の法律ではただ契約が履行されなかったからと言って、すぐに強制執行はできません。強制執行をするためには、その前段階として債務名義を取得しなければなりません。強制執行は個人間のやり取りに対して国を介入させる手続きのため、国に対して債務が正しいものであることを証明する必要があります。債務を証明するための手段が債務名義の取得であり、債務名義を取得すれば国がその債務を認識して、強制執行に移ることができるようになります。

債務名義の取得方法は民事執行法に定められており、方法はいくつか存在しています。もしあなたが債権回収に困っているのであれば、債務名義を取得した後に強制執行するという方法がより確実ですよ。

債務名義の種類について

債務名義と一言で言っても、債務名義にはいくつか種類があります。民事執行法22条で債務名義として認められているのは、以下の11種類です。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言の付した判決
  • 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判
  • 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
  • 仮執行の宣言を付した支払督促
  • 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件等の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分等
  • 金銭の一定の額等を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの
  • 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
  • 確定した執行決定のある仲裁判断
  • 確定判決と同一の効力を有するもの
  • 裁判上の和解調書

債務名義には11の種類がありますが、一般的に使われるのは以下の4種類です。

確定判決(民事執行法第22条1号)

もっともわかりやすい債券名義で、裁判で支払い命令がでたものです。確定判決は敗訴した側が不服の申立ができなくなったものなので、敗訴側は支払いに応じなければなりません。

仮執行宣言の付した判決(民事執行法22条2号)

裁判の確定前でも、金銭の支払いでは債務名義として認められています。そのため仮執行宣言のついた判決でも、強制執行がおこなえます。

執行について記載のある執行証書(民事執行法22条5号)

法務大臣に任命された公正人が作成する文章を公正証書と言います。 公正証書には執行について記載があるので、公正証書を作成すれば債務名義として認められます。

確定判決と同一の効力を有するもの(民事執行法22条7号)

裁判所での和解調書や即決和解など、確定判決と同一の効力を有する方法がいくつか定められています。裁判を介する必要がないので、比較的楽に作成できる点が魅力です。このように債務名義にはいくつかの種類があるので、その時の状況にあった債務名義を取得することが大切です。

債務名義の取得方法

それでは実際に債務名義を取得するための方法について解説していきます。債務名義を取得する方法は、主に7つの方法があります。

通常訴訟

通常訴訟とはその名の通り、裁判をすること。
裁判で確定判決もしくは仮執行宣言付判決を言い渡されれば、債務名義を取得できます。よく知られている方法ではありますが、実は手間も費用も1番かかる方法です。そのためどうしても相手が連絡に応じないときなど、裁判の強制力を使いたい時におすすめの方法ですね。

少額訴訟

60万円以下の金銭債権の場合、少額訴訟という手続きが可能です。
通常訴訟は申立から判決まで半年以上かかりますが、少額訴訟の場合期間は1か月ほどですみます。少額訴訟でも通常訴訟と同様確定判決もしくは仮執行宣言付判決で債券名義取得ができるので、金額が60万円以下の場合は少額訴訟が使われることが多いです。

支払督促

支払督促とは裁判所を介して、債権者に督促状を送る手続きのこと。
相手に督促状が届いて異議申し立てがなければ、債券名義が取得できます。申立の時以外は裁判所に出向く必要がないので、手続きも楽で使われる機会も多いです。相手が連絡に応じないから早めに債券名義を取得したい時などは、支払督促が使われることが多いですよ。

和解

訴訟中や支払督促をしている途中に、債権者と債務者間で和解になるケースです。
裁判となるとお互い手間も費用もかかるので、途中で和解に至るケースというのは実はたくさんあります。和解に至った場合は裁判所が仲介に入り、和解調書を作成します。和解調書は債券名義に含まれるので、もし支払いがおこなわれなかった場合、強制執行をする権利がありますよ。

民事調停

裁判所の仲介の元、債権者と債務者が話し合う手続きを民事調停と言います。
第三者が仲介に入ってくれるので、双方がなかなか合意できない場合に使われる手段ですね。民事調停で話し合いがまとまると、調停調書が作成され、この調停調書は債券名義に含まれています。

即決和解

裁判所に行く前の段階でお互い合意ができている場合、即決和解という方法が使われます。
お互いがすでに合意していることが前提なので、裁判所を介して和解調書を作成します。
「支払いがおこなわれることは合意したが、債券名義を取得しておきたい」
そんなときに即決和解は有効です。事前にお互いの話し合いが合意しているのであれば、裁判所を介して即決和解されることが多いですよ。

公正証書の作成

法務大臣から任命された公正人が作成する公正証書は、債券名義を有しています。
そのため契約時に契約書面を公正証書にして、事前に債券名義を取得しておくという方法もあります。これまで紹介した方法は裁判所を介して債券名義を取得しますが、この手続きだけは構成役場に出向いて書類作成をおこないます。金銭トラブルを事前に防止したいのであれば、公正証書を作成して公正証書を作成しておくという方法が有効ですよ。

シチュエーション別おすすめ債務名義取得方法

ここまで債券名義の種類と、取得方法について解説をしました。それでは実際にあなたが金銭トラブルに巻き込まれたとき、どの方法で債券名義を取得すればいいのでしょうか。ここではシチュエーション別で、おすすめの債券名義取得方法を紹介していきます。

相手が支払いに応じている場合

相手がすでに支払いに応じている場合、即決和解もしくは公正証書の作成で債券名義を取得することをおすすめします。相手が支払いに応じているということは、相手とも連絡がとれていて、相手が非を認めているということ。その場合はこちらとしても費用を抑えて、できるだけ早めに債券名義を取得しておきましょう。

費用を安くすませたいのであれば2,635円でできる即決和解、できるだけ早く債券名義を取得したい場合公正証書を作成しましょう。公正証書は事前に書面を作成しておき、債権者・債務者が一緒に公正役場に行けば、その日のうちに公正証書が作成できます。ただし即決和解か公正証書を利用する場合、事前に支払いスケジュールを決めておく必要があります。相手が支払いに応じてはいるが、支払いスケジュールや金額でもめている場合は、民事調停を利用することをおすすめします。

民事調停であれば調停員が間に入ってくれるので、債権者と債務者だけで話し合うよりも、合意が得られやすいです。 支払いスケジュールがすでに決まっている場合は即決和解もしくは公正証書、これから話し合いが必要な場合は民事調停を利用して、債券名義を取得しましょう。

相手が支払いに応じない場合

相手が支払いに応じない場合は、通常訴訟・少額訴訟・支払督促のいずれかの手段をとらなければなりません。 民事調停などの手続きは相手の合意があってはじめて可能ですが、通常訴訟などはこちらから一方的に手続きを進められます。 そのため相手と連絡がとれない、支払いがまったくおこなわれない、そういったシチュエーションであれば、裁判をするという姿勢を見せて、強制的に物事を進めていきましょう。

債権者が多い場合や裁判所に出向く時間がない場合、支払督促の手続きが有効です。訴訟をするより手間が少なくてすむので、支払督促で債券名義を取得しておけば、その後強制執行が可能です。相手が争うような姿勢を見せている場合は、金額が60万円以下であれば少額訴訟、60万円以上であれば通常訴訟が必要です。訴訟は実際に裁判がおこなわれて、裁判の判決を待つことになります。

そのため少額訴訟であれば1か月、通常訴訟であれば半年から1年ほどの時間がかかります。それでも裁判に勝訴できれば債券名義を取得できるので、裁判に持ち込む価値はありますよ。

契約締結時に債務名義を取得したい場合

契約提携時、相手が支払いをしてくれるか不安。そんなときは公正証書を作成して、事前に債務名義を取得しておくことができます。一般的には契約時から公正証書を作成する例は少ないですが、事前に公正証書を作成しておくことは可能ですよ。公正証書を作成するときには、契約が履行されないときには直ちに強制執行できる旨を入れておきましょう。事前に公正証書を作成するのであれば、もれなく徹底的にしたほうがいいですよ。

債務名義についてよくある質問

ここまで債務名義についてさまざまな内容を解説してきましたが、まだ債務名義についてすべてを解説できていません。最後に債務名義についてよくある質問として、債務名義についてより詳しく解説をしていきます。

Q.金融機関が債務名義を取得するのはどんなとき?

A.債権者が支払いに協力的でない場合、金融機関は債務名義を取得します。
クレジットカードやカードローンを契約したにも関わらず、期日通りに支払いがおこなわれない。そんなとき金融機関はすぐに債券名義を取得するのではなく、一度支払猶予を与えます。金融機関としても債券名義の取得は時間と手間がかかるので、その前に話し合いで解決できるのであれば、解決しようとします。

しかし債権者が支払いに協力的でなく、話し合いにも応じない場合、金融機関も債券名義取得にかかります。支払いに応じないということは、貸したお金が回収できない可能性が高く、それを防ぐためにも債務名義を取得します。どの方法で債務名義を取得するのかは相手の対応にもよりますが、連絡がとれない場合支払督促や民事調停が用いられることが多いですね。いつ債務名義を取得しにくるかは金融機関によってまちまちですが、支払いが3カ月以上遅れると裁判所から連絡がくることが多いです。金融機関としても支払いがおこなわれないことは不利益なので、債務名義を取得はしてきますよ。

Q.債務名義の有効期間はいつまで?

A.債務名義が取得された債権の時効は10年です。
借金にも時効が設けられており、通常の時効は5年と定められています。時効は最後に支払いをしたときから換算されるので、5年以上支払いをしない場合借金は時効になります。もし時効を迎えた借金の請求がきた場合、弁護士に依頼して消滅時効の援助をしてもらいましょう。

ただし債券名義の取得があった場合は、時効が10年に延長されます。これは債券名義を取得した日から起算されるので、支払いをした日や契約をした日ではない点は注意しましょう。つまりはじめに借金をしてから、その後債券名義を取得されると、実質時効は最大15年まで延長できます。債権を回収する側にとっても時効の存在はとても大切なので、時効はしっかり把握しておきましょう。

Q.強制執行されたらどんなものが差し押さえされてしまう?

A.給料・預金口座・不動産・自動車などが差し押さえの対象です。
債券名義を取得されたうえで支払いがおこなわれなかった場合、強制執行がおこなわれます。 強制執行は拒否できませんので、裁判所を通じて差し押さえ通知がきます。

会社で働いている場合、まずは給料が差し押さえられます。会社には裁判所から通知がくるので、この時点で会社にも差し押さえされることが判明してしまいますよ。給料は差し押さえできる金額が決まっており、月給44万円以上の場合は33万円を超える分、月給44万円未満の場合は給料の4分の1までです。給料の差し押さえをされる前に債務整理をすれば会社に知られることはないですが、相手によってはそれを待たずに訴訟を起こして差し押さえをしてきます。お金に関するトラブルは早めの対応をしていきましょう。

また給料以外には銀行に債務がある場合は預金口座、不動産や自動車といった財産がある場合は、それらの財産が差し押さえ対象です。 差し押さえされたものは競売して換金されますが、自分名義のものだけが対象です。 いずれにせよ強制執行がおこなわれ、差し押さえをされた時点で、相手方との関係はかなり悪くなっている可能性が高いです。 もし強制執行がされそうであれば、その前に弁護士と相談をしておきましょう。

Q.債務名義を取得されたらどうすればいい?

A.弁護士に今後の対応を相談しましょう。
もしあなたが支払いをせず、債券名義を取得されてしまったのであれば、まずは弁護士に今後の対応を相談しましょう。その支払いに不服があれば裁判で相手と争うこともできますが、支払督促や出頭命令を無視していると、強制的に債券名義を取得されてしまいます。

また状況によっては早めに債務整理をしたほうがいいケースも多いです。債券名義を取得されたのであれば、いずれ強制執行されることは目に見えています。そうなると会社に差し押さえの連絡がいってしまい、状況はさらに悪化してしまいます。そうなる前に債務整理をして、今後の人生を立て直した方が賢明だということは多いですよ。債券名義を取得されたのであれば、まず弁護士に相談をして今後の対応を決めましょう。

金銭の支払いをしっかり回収したいのであれば債務名義を取得しよう

ここまで債券名義について解説をしてきました。債券名義を取得することは、債権を回収するときにとても有効な手段です。債券名義を取得しておかないと強制執行も差し押さえもできないので、債権の回収が難しくなってしまいます。金銭の支払いをしっかり回収したいのであれば、まずは債券名義を取得しましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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