債務整理

個人からの借金も債務整理できる?トラブルへの対処法は?

個人からの借金も債務整理によって解決することができます。ただし、個人からの借金については貸金業者からの借金の場合とは適用される法律も異なり、個人的な関係もあることなどからさまざまなトラブルが発生することがよくあります。

そのため、個人からの借金に特有の法律関係を理解しておかなければ解決するのは難しくなります。そこで、個人からの借金を債務整理するときの具体的な方法やトラブルを解決する方法をご説明します。

目次

個人からの借金でトラブルが発生しやすい5つの理由

個人からの借金も貸金業者からの借金と同じように債務整理の手続きに含めることができます。

貸金業者からの借金は、闇金などの違法業者からの借金は別として返せなくなっても債務整理をすれば生活に支障をきたすことはありません。犯罪的な取り立てを受けることもありません。

それに対して個人からの借金の場合は、返せなくなると執拗な取り立てを受けることがよくありますし、ときには返済をめぐって殺人などの犯罪が発生するケースもあります。

貸金業者からの借金と個人からの借金とでこのような違いが生じる理由としては、以下の5つが挙げられます。

業務としてお金を貸しているか、個人としてお金を貸しているか

業務としてお金を貸している貸金業者は、借りたお金を返せなくなる人が一定の割合で発生することを理解しています。貸し倒れのリスクをあらかじめ計算した上で金利を設定し、貸付資金も確保しています。

そのため、返せなくなった人が発生しても法に定められたルールにしたがってドライに対応します。返せない人への対応も業務の一環なので、通常は違法行為に及ぶことはありません。

個人の場合は、貸し倒れのリスクを計算してお金を貸すことも貸付資金を確保していることも通常はありません。自分の生活費のなかからなけなしのお金を課しているケースもよくあります。

貸したお金を返してもらえない場合があることを想定していないため、実際に返してもらえなくなると非常に困ってしまいます。そのため、返済要求が厳しくなりがちです。

客観的な信用に基づいているか、個人的な信用に基づいているか

お金の貸し借りは「信用取引」です。この点は貸金業者からの借金でも個人からの借金でも同じです。

貸金業者の場合は、お金を貸す前に相手の収入や他社からの借入状況、過去の借入や返済の実績などの客観的な信用を審査します。この段階で、貸し倒れのリスクをある程度防止しています。

個人の場合は、お金を貸す前に審査をすることは通常ありません。ほとんどのケースでは、「絶対に返すから」という口約束を信じて貸しているものです。相手の返済能力に疑問があっても、懇願されて断り切れずに貸してしまうこともよくあります。

このようにしてお金を貸した相手から返してもらえないとなると、個人的な信用を裏切られた形になります。そのため貸した側の困惑が大きく、厳しい返済要求につながりがちです。

感情の問題が絡むかどうか

貸金業者は業務としてお金を貸しており、取り立てや返済が難しくなった相手への対応もすべて業務として行っています。そのため、対応に感情の問題が絡むことはありません。

それに対して個人の場合は、個人的な信用に基づいて貸したお金を返してもらえなければ貸した側が感情的になってしまうのも、ある程度は仕方ありません。

そもそも、貸した側にとっても返してもらえなければ困るような大切なお金を貸していることも多いものです。

そのため、個人の場合はお金を返してもらえなくなったときの対応に感情の問題が絡みがちです。

貸金業法が適用されるかどうか

貸金業者からの借金には貸金業法が適用されます。貸金業法では、深夜の取り立てや債務者の職場への訪問、はり紙による返済要求など常識に反して債務者を困惑させるような取り立て行為は禁止されています。

貸金業法に違反すると刑罰を科されたり、行政処分を受けたりして業務を継続できなくなります。そのため、貸金業者は取り立てをする際にも貸金業法に定められたルールは守ります。

それに対して個人からの借金には貸金業法は適用されません。取り立て行為を規制する法律がないため、時間・場所・方法を問わず厳しい取り立てが行われることがよくあります。

債務整理のルールを知っているかどうか

貸金業者は債務整理のルールをよく知っています。返済が難しくなった債務者に対しては無理に契約どおりの返済を迫るのは得策でないことを理解しているのです。

任意整理の申し出が合った場合には、条件を変更して少しでも多く返済してもらったほうが得策であることも理解しています。自己破産や個人再生を申し立てられた場合には、全額の返済を要求しても無意味であることも知っています。

それに対して個人の場合は通常は債務整理のルールをよく知らず、債務整理の申し出に対する適切な対処法もわからないものです。

とにかくすぐにお金を返してもらえないと困るという貸し手が多いので、債務整理の手続きをとっても取り立てがやまないことがよくあります。

個人からの借金を債務整理で解決するための具体的な方法

以上のように、個人から借金を返せなくなるとさまざまなトラブルが発生しがちです。債務整理をするにも貸金業者からの借金の債務整理とは異なる点に注意が必要です。

債務整理の方法としては、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があります。この4種類のそれぞれについて、個人からの借金を債務整理する際の注意点をご説明します。

任意整理

任意整理とは、債権者との話し合いによって借金の支払い方法を変更してもらう手続きです。支払時期や分割回数、1回あたりの支払金額などについて交渉し、お互いが合意すれば和解書を作成した上で返済していくことになります。

貸金業者からの借金の場合も個人からの借金の場合も手順は同じです。しかし、債権者が個人の場合は任意整理の交渉に応じてもらえないこともよくあります。

そんなときでも弁護士に依頼すれば交渉が進み、円滑に任意整理できる場合もあります。ただ、弁護士との交渉にも応じない債権もいます。

そんなときは、貸金業者からの借金の任意整理だけを弁護士に依頼して個人からの借金は約束どおりに支払うのもひとつの方法です。それでも個人からの借金を支払いきれない場合は、他の債務整理方法を検討する必要があります。

特定調停

個人の債権者が任意整理の交渉に応じない場合に、特定調停が有効な場合があります。

特定調停とは、簡易裁判所の調停手続きによって借金の支払い方法を債権者と話し合う債務整理方法です。

裁判所において、調停委員という裁判所から選任された中立公正な立場の第三者を介して話し合うため、当事者同士で話し合う場合よりも交渉がまとまりやすいというメリットがあります。

ただし、結局は話し合いの手続きなので特定調停にも応じない債権者はいます。そんなときは、法律に定められた制度を利用して強制的に債務の内容を変更する手続きを検討する必要があります。

個人再生

個人再生とは、負債総額を原則として5分の1にまで減額し、その金額を3~5年間にわたって分割返済していく手続きです。

個人再生を申し立てる際にはすべての債権者を平等に取り扱わなければなりません。貸金業者からの借金について個人再生を申し立て、個人からの借金だけは約束どおりに返済することは認められないので注意が必要です。

任意整理や特定調停では利息や遅延損害金のカットは認められても、元金のカットは原則として認められません。それに対して、個人再生は上記のとおり元金が大幅にカットされるため、自己破産を避けつつ債務整理するには大変有効な方法です。

再生計画案が裁判所で認可されるとカットされた債務は免責され、債権者は請求できなくなることが民事再生法で定められています。話し合いに応じない個人の債権者に対する債務も強制的に減額されるので、確実に債務整理をすることができます。

ただ、法律で決まっていることとはいえ、やはり納得しない債権者もいます。そんな債権者に対しては、個人再生の手続き終了後に別途返済することをあらかじめ話しておき、了解してもらうということも考えられます。

カットされた債務は「自然債務」となります。自然債務とは、債権者から請求することはできないものの債務者が自発的に支払うお金は債権者も受け取って構わないという債務のことです。

個人再生の手続き中はすべての債権者に対して平等に返済する必要がありますが、個人の債権者に対しては手続き終了後に自然債務として支払うことを話しておくのです。

自己破産

負債総額や収入額からみて、個人再生によっても返済しきれない場合は、自己破産を申し立てざるを得ません。自己破産をして免責が許可されると、すべての借金から免責されます。

自己破産をして免責された債務も、個人再生の場合と同じように自然債務となります。したがって、自己破産をしても納得しない債権者に対しては、手続き終了後に自然債務として支払うことを話しておくことが考えられます。

個人からの借金に対する債務整理方法のまとめ

個人からの借金も貸金業者からの借金と同じように、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産といった債務整理方法のいずれかによって解決することができます。

ただし、貸金業者と異なり個人の債権者は債務整理に納得しない人もいることに注意が必要です。場合によっては、個人からの借金だけは任意整理や特定調停の手続きから外して返済したり、個人再生や自己破産の手続きが終了してから返済するというような別途の対応が必要になることもあります。

ご自分のケースではどの債務整理方法が適しているのか、個人の債権者に対して別途の対応が必要かどうかを知るには、弁護士などの専門家に相談してみるといいでしょう。

個人の債権者から法的手段で借金の返済を請求されたときの対処法

個人の債権者から厳しい取り立てを受けるだけではなく、法的手段をもって借金の返済を請求されることもあります。

法的手段をとられると突然裁判所から書類が届けられるため、多くの人は非常に慌ててしまいます。しかし、適切に対処しなければ相手が主張するとおりの内容で債務が確定してしまい、財産を差押えられるおそれもあります。

そこで、個人の債権者から法的手段を執られたときの対処法をご説明します。

支払督促

支払督促とは、債権者が簡易裁判所に申し立てることによって債務者に対する金銭債権を確定させ、差押えなどの強制執行ができるようにする手続きのことです。

支払督促が裁判所から届けられると、2週間以内に異議を申し立てなければ債務が確定してしまいます。異議を申し立てると通常訴訟の手続きに移行します。

したがって、分割払いの交渉をしたい場合は異議を申し立てて通常訴訟に移行させ、訴訟手続きのなかで和解交渉をする必要があります。

また、支払督促の申し立てには証拠が不要で、債権者が申立書に記載したとおりの内容の支払督促が裁判所から届きます。そのため、金額など債務の内容に不服がある場合も、異議を申し立てて訴訟手続きのなかで債務の内容を争わなければなりません。

少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭債権について、原則として1回の期日で結審して判決が言い渡される特別な訴訟手続きです。

ただ、指定された裁判期日に出頭すれば和解できる場合もあるので、和解を希望する場合は出頭した上で誠実に和解を申し出て話し合いましょう。

少額訴訟では、被告が通常訴訟の手続きを希望すれば通常訴訟に移行させることができます。たった1回の期日で厳しい条件の和解を迫られ判決を下されそうな場合は、通常訴訟に移行させてじっくりと対応することが必要な場合もあります。

通常訴訟

個人の債権者から通常訴訟を提起された場合は、支払督促や少額訴訟と異なり、時間的な余裕があります。その間に和解案を熟考して、裁判上の和解を目指すことになるでしょう。

なお、原告には和解に応じる義務はないため、必ずしも和解できるとは限りません。しかし、被告から誠実に和解を申し出れば裁判官も原告に和解を勧めてくれるので、当事者同士で話し合うよりは和解で解決できる可能性が高まります。

ただし、法的手続きをとられた場合は、債務が法律上確定して差押えなどの強制執行ができる状態になる可能性が常にあることに注意しなければなりません。対応を間違えると取り返しがつかなくなることもあるので、法的手続きをとられた場合はすぐに専門家に相談することをおすすめします。

個人間の借金で発生しやすいトラブルへの対処法

個人からの借金を債務整理で解決する具体的な方法や、相手から法的手段をとられたときの対処法をご説明しました。しかし、個人間の借金では債務整理や法的手段とは別にトラブルが発生しやすいものです。

そこで、次に個人間の借金で発生しやすいトラブルをご紹介し、その対処法もご説明します。

厳しい取り立てを受ける

既にご説明したとおり、貸金業者からの借金の場合と異なり、個人の債権者の取り立て行為を制限する法律はありません。そのため、個人からの借金を返せなくなると、貸金業者でも行わないような厳しい取り立てによるトラブルが発生しがちです。

常識の範囲内の取り立てに対しては誠実に対応するしかありませんが、行き過ぎた取り立てに対しては法律で対処することも可能です。

例えば、返済しなければ身に危険を及ぼすかのような発言を受けた場合は、相手に脅迫罪や恐喝罪が成立する可能性があります。

相手が自宅などに取り立てに来て「返してもらうまでは帰らない」と言って居座るような場合は住居侵入罪や不退去罪が成立する可能性があります。

さらに、相手が職場に取り立てに来て大声を出すなどの行為は、執拗に返済を迫るような場合には業務妨害罪や名誉毀損罪が成立する可能性もあります。

このような行き過ぎた取り立てを受けた場合は、警察に通報して対処してもらえる場合もあります。民事上も、以上のような不法行為を理由に相手に対して慰謝料を請求し、借金と対等額を相殺することも考えられます。

ただ、ことを荒立てないためには、可能であれば個人からの借金は任意整理に含めずに返済し、個人再生や自己破産の手続き後に支払うことを話して了解してもらうことを考えてもいいでしょう。

法外な利息を要求される

個人間の借金には貸金業法は適用されませんが、利息制限法は適用されます。利息制限法とは、個人からの借金か貸金業者からの借金かにかかわらず、お金を貸し借りする際の利息の上限を定めた法律です。

利息制限法では借り入れの元金額に応じて次のように上限利息が定められており、これを超える利息の契約は無効になります。

  • 元金10万円未満 年20%
  • 元金10万円以上100万円未満 年18%
  • 元金100万円以上 年15%

したがって、個人からの借金でも以上の利息を超える利息の支払い請求は断ることができます。

ただ、利息の支払いを約束していない場合は、民法で定められた年5%が上限利息となります。これを超える利息は請求されても支払う必要はありません。

なお、個人間の借金にも適用される利息に関する法律として「出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)」もあります。

この法律では、年109.5%を超える利息の契約をすることが禁止されています。違反した場合は、債権者に5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という刑罰が用意されています。

「今すぐ」返済を要求される

個人間の借金では、債権者から「今すぐ返済しろ」と要求されることもよくあります。借用書を作成せず、返済期日も特に定めていない場合によくあるトラブルです。

返済期日を特に定めないでお金の貸し借りをした場合は、債権者は相当の期間を定めて催告をした上でなければ返還請求できないことが民法で定められています。したがって、いきなり「今すぐ」に返済することを要求されても支払いを断ることができます。

「相当の期間」とは、返済しなければならない金額や貸主と借主との間の特殊事情などによって異なりますが、一般的には1週間程度です。つまり、1週間程度の期間を定めた催告を受けた上で返済を請求されると支払いを断ることはできません。

個人間の借金の債務整理は専門家に相談を

個人からの借金を約束どおりに返済できなくなった場合、貸主の対応はさまざまです。柔軟に話し合いに応じてくれる人もいれば、一切話し合いには応じない人もいます。常識に反した取り立て行為に及ぶ人もいます。

そんなときは、債務整理の経験豊富な弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、ご自分のケースに応じて適切なアドバイスを受けることができます。

個人の債権者への対応に困ったときは、一人で悩まずに専門家に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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