債務整理

債務整理をしても住宅は残せる?

「債務整理をしても住宅は残したい」せっかく購入したマイホームなので、そのまま住み続けたいというのは当たり前のこと。しかし住宅ローンや借金の支払いがきつい場合、住宅を手放す選択肢も頭をよぎるでしょう。ただし借金の支払いが苦しくて債務整理をしても、住宅を残すという方法は残されています。はたして債務整理をしても住宅を残す方法とは、どのようなものなのでしょうか。借金に苦しんでいて債務整理をしたくても、住宅を残したい人はぜひ参考にしてください。

目次

住宅を残したまま債務整理は可能?

住宅ローンを組んで、自宅を手に入れたい。これから結婚して子供が増えるタイミングの人は、そのように考えている人も多いでしょう。

一方で住宅ローンを組んだとしても支払いができるのか、不安な点もあると思います。現在の日本は働き方も変わりつつありますので、住宅ローンを組むことに不安があるのは当たり前のこと。

特に変動金利で住宅ローンを組む場合、月々の支払額が変動する可能性があるので、住宅ローンの支払い計画が思い通りにいかない可能性もあります。

ローンの支払いが苦しくなった場合、債務整理をするという選択肢はありますが、住宅ローンを組んでいるのであれば住宅はそのまま残したいという気持ちがありますよね。はたして住宅を残したまま債務整理することはできるのでしょうか。これから住宅ローンを組む人、住宅ローンの支払いに苦しんでいる人は、債務整理と住宅の関係について詳しく把握しておきましょう。

任意整理か特定調停なら整理対象から住宅ローンを外せる

債務整理と一言で言っても、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産と4つの方法があります。そしてどの債務整理を選ぶのかで、住宅ローンとの関係が変わってきます。

まず任意整理もしくは特定調停を選ぶ場合です。

任意整理と特定調停の違いは直接金融機関に交渉するか、裁判所に仲介に入ってもらうかの違いです。

しかしいずれの場合でも金融機関に交渉して、月々の返済額や利息カットの交渉をします。任意整理もしくは特定調停の場合、交渉する金融機関を選べるので、住宅ローンを債務整理の対象を変えられます。

また住宅ローンは銀行が抵当権を持っており、交渉をしても返済条件がよくなることはまずありません。そのため住宅ローンを組んでいる状況で任意整理もしくは特定調停をする場合、住宅ローン以外の債務を対象にすることが多いです。

任意整理もしくは特定調停をする場合は、住宅ローン以外の支払額を減らして、住宅ローンの支払いは続ける形になります。

個人再生は住宅ローン特則が使える

続いては個人再生で債務整理をする場合です。個人再生は借金の金額を5分の1もしくは100万円まで減額し、残った借金を3年目安で返済していく手続きです。

借金を減らすという意味は自己破産と同じですが、大きな違いは住宅を持っている場合です。個人再生には住宅ローン特則という制度があり、住宅ローンを残したまま、他の借金を整理することが可能です。例えば、住宅ローンの他に500万円の借金があった場合、500万円の借金にのみ個人再生を適用して借金を100万円まで減額。住宅ローンは通常通り支払いを続けていきます。そのため個人再生は、住宅は手放したくないけど、借金は減らしたい。そんな人のための手続きでもあります。住宅を残したまま債務整理をしたい場合は、個人再生が選択されるケースが多いですよ。

自己破産をすると住宅は手放さなければならない

続いては自己破産で債務整理をする場合です。自己破産をする場合、自由財産拡張をのぞいて財産を残すことができません。財産がある場合換金して、債権者に分配がおこなわれます。

そのため住宅を持っている状態で自己破産をすると、住宅は手放さなければなりません。自己破産は借金がなくなるという大きなメリットがある一方で、財産が残せないというデメリットがあります。そのため住宅を持った状態で自己破産を選択する場合、住宅を手放さなければならない点は覚悟しておきましょう。

住宅ローンの支払いが遅れた場合はどうなる?

住宅を持っている状態で債務整理を考えているということは、住宅ローンの支払いに苦しんでいることが多いです。それではもし住宅ローンの支払いが遅れてしまった場合、どのようなことになってしまうのでしょうか。

もし住宅がなくなってしまうということであれば、生活も大きく変わってしまいます。ここからは住宅ローンの支払いが遅れた場合、どうなってしまうのか解説していきます。

住宅ローンの支払い遅れも信用情報に掲載される

住宅ローンの審査時には、信用情報が参照されます。

信用情報とは、クレジットやローン等の申し込みや契約に関する情報を指します。本人を識別するための情報のほか、クレジットの申込内容や契約内容、支払状況、残高などで構成されており、主にCICに加盟するクレジット会社等から登録された情報になります。
(出典:信用情報とは|信用情報について|指定信用情報機関のCIC)

そして住宅ローンの支払い情報も、信用情報には反映されます。そのため住宅ローンの支払いが遅れた場合、支払い遅れ情報が信用情報に反映されるということ。つまり住宅ローンの支払いが遅れた場合、その後クレジットカードやカードローンの審査が通りにくくなってしまいます。

また支払いが61日以上遅れた場合、信用情報がブラックと呼ばれる状態になってしまいます。信用情報がブラックになると少なくとも5年間は、クレジットカードやカードローンの契約ができなくなります。

住宅ローンは人生で1番大きなローンになる可能性が高いですが、その後クレジットカードやカードローンの契約ができないのは生活が大きく変わってしまいます。

遅延損害金が発生する

住宅ローンの支払いが遅れると、遅延損害金が発生します。住宅ローンの遅延損害金は元本に対してではなく、月々支払う元本に対して発生します。

たとえば住宅ローンが2,000万円残っていても、月の返済額が12万円に対して遅延損害金が発生するので、遅延損害金年率が14.6%だった場合1日あたり48円が発生します。

カードローンの場合元本に対して遅延損害金が発生しますが、住宅ローンの場合月々の返済額に対して遅延損害金が発生します。

そのため遅延損害金の金額自体はあまり大きくないのですが、遅延損害金が発生すると損になることは間違いありません。できるだけ遅延損害金は発生させないようにしましょう。

最悪の場合住宅を売却しなければならない

そして住宅ローンの支払いが遅延していると、最悪の場合住宅を売却しなければなりません。銀行は住宅ローンの支払いが遅れていても、銀行から連絡がくることはかなり後からです。

数カ月の遅延では連絡がこず、半年近く滞納が続いた段階で銀行から督促状が届きます。そしてこの段階では遅延損害金も膨らんでいるので、支払う金額も多くなってしまうでしょう。

そして銀行から届いた督促状には、支払いがない場合元本を一括返済するように記載がされています。住宅ローンの一括返済はまずできないので、遅くともこの段階で返済をするようにしましょう。

それでも支払いができないのであれば、銀行は住宅を売却する手続きに移ります。住宅を売却するときには競売か任意売却かを選択することになりますが、高く売却できる任意売却が選ばれることになるでしょう。

住宅を売却するともちろん住み続けることはできないので、引っ越しなど手続きもかなり大変になります。住宅ローンの支払いができないと住宅を売却しなければならないので、住宅を残すためには支払いをしっかりするしかありません。

住宅ローン返済が難しければ借り換え・住み替え・リスケジュールを

住宅ローンの返済が難しい人は、借り換え・住み替え・リスケジュールを検討しましょう。借り換えとは、ローンを組んでいる銀行を変えること。借り換えをするためには事務手数料などの費用で30万円~100万円が発生しますが、月々の返済額が減るのであれば、する価値は十分にあります。

住み替えとは、住む物件を変更すること。特にマンションでローンを組んでいる場合、管理費や修繕積立金がプラスされるので、戸建てへの住み替えを勧められることがあります。銀行によっては住み替え用の住宅ローンがあるので、一度検討をしてみましょう。

リスケジュールとは、住宅ローンの返済計画を見直すこと。例えば20年ローンが残っている状態であれば、ローンを30年に延長することで、月々の返済額が減らせます。

会社をリストラされたなどの状況に陥った場合、月々の返済能力が落ちるので、リスケジュールが用いられることがあります。ただしリスケジュールを一度おこなうと、借り換えができなくなってしまうので注意しましょう。

住宅を残したまま債務整理をするのであれば、住宅ローンの支払いは残ります。そのため住宅ローンの支払いだけは継続してできるよう、生活を見直しておくことが大切ですよ。

債務整理についてよくある質問

ここまで債務整理と住宅について解説をしてきましたが、最後に債務整理についてよくある質問をまとめてみました。債務整理を検討している人は、より詳しく債務整理について知っておきましょう。

Q.自動車ローンを債務整理対象になるとどうなる?

A.自動車を手放さなければならないことが多いです。

自動車ローンは住宅ローンと同様、自動車自体に抵当権がついています。さらに自動車は不動産よりも金額が安く、現金化もしやすいので支払いが滞ると、不動産よりも早く自動車を引き上げられてしまいます。

もちろん自動車を債務整理の対象にしてしまった場合も同様で、自動車を引き上げることでローン分を少しでも回収しようとします。そのため自動車を所持し続けたいのであれば、ローンを支払っていく以外に道はありません。

住んでいる地域によっては自動車がないと生活も難しくなることがあるので、自動車ローンはしっかり支払いをしましょう。

Q.債務整理をした後に住宅ローンを組むことは可能?

A.一度債務整理をすると信用情報がブラックになり、住宅ローンはまず組めなくなります。
この記事では支払いが61日以上遅れた場合信用情報がブラックになることを解説しましたが、債務整理をした場合でも信用情報はブラックになります。

信用情報がブラックになると、少なくとも5年間はクレジットカードやカードローンと契約ができないので、もちろん住宅ローンも組めなくなります。また5年が経過したとしても、住宅ローンはまず組めません。

信用情報がブラックになっている5年間はクレジットカードやカードローンの契約ができないので、信用を積む機会自体が得られません。つまり信用情報がブラックでなくなったとしても、支払い実績は1から積むことになります。

住宅ローンは金額も大きいので、支払い実績がない人は審査に通る可能性がかなり低くなってしまいます。そのため一度債務整理を人が住宅ローンを組むには、まず信用情報がブラックでなくなるのを待ち、その後クレジットカードやカードローンと契約して支払い実績を積む必要があります。住宅ローンの審査が通るまでにはかなり時間がかかる上、住宅ローンは年齢的な制約もあります。そこまで考えると、一度債務整理をした人が住宅ローンを組めるようになることは、まずないでしょう。債務整理をする人はそのリスクまで考えて、債務整理をするようにしましょう。

Q.債務整理後でも教育ローンや奨学金の利用はできる?

A.親が債務整理をした場合教育ローンの利用はできませんが、奨学金は利用できます。教育ローンとは子供が進学したときに親がお金を借りるローンで、国の教育ローンと民間の教育ローンがあります。

国の教育ローンでも民間の教育ローンでも、審査時には信用情報を確認します。債務整理をしたということは信用情報がブラックになっているので、教育ローンの審査には通りません。

一方奨学金の場合お金を借りるのは、親ではなく子供です。そのため親が債務整理をして信用情報がブラックになっていても、子供の信用情報に問題がなければ、審査に通る可能性は高いです。注意点としては親が債務整理をしていると、奨学金の連帯保証人になれないこと。奨学金によっては連帯保証人が必要なので、親が連帯保証人になれないと奨学金が利用できない可能性があります。

もし親が債務整理をしていて連帯保証人が用意できない場合、もう一方の親が連帯保証人になるか、機関保証を利用するかのいずれかの方法をとることになります。

もう一方の親が債務整理をしていなければ連帯保証人になれますし、保証機関の機関保証が認められれば、奨学金の審査に通ります。

子供を大学に進学させるときにはお金が必要なので、債務整理をする前にお金のことはしっかり考えておきましょう。

債務整理をしても住宅を残す方法はある

ここまで債務整理と住宅の関係について解説をしてきました。債務整理をしても自己破産以外の選択肢をとれば、住宅を残す方法はあります。住宅ローン以外にもクレジットカードなどを残したい場合は任意整理もしくは特定調停、借金の額を少しでも減らしたいのであれば個人再生を選ぶといいでしょう。

せっかく住宅ローンの審査に通って住宅を手に入れたのであれば、できるだけ住宅を残せるような道を選びましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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