債務整理

利息制限法とは?グレーゾーン金利や過払い金って?

利息制限法という言葉を聞いたことがある方は多いことでしょう。借金には利息がつきものですが、利息の上限を定めている法律が利息制限法です。

しかし、利息制限法の内容を正確にご存知の方は多くないかもしれません。この法律に違反した借金の効力がどうなるのかは気になるところでしょう。

ここでは、利息制限法の内容を解説し、上限金利を超えるグレーゾーン金利とは何かということや、過払い金がどのような仕組みで発生するのかもご説明します。

目次

利息制限法とは借金などの利息を適切な範囲内に制限する法律

利息制限法とは、その名のとおり利息を制限する法律のことです。借金などに適用される利息の上限が、この法律で定められています。

日本の社会では、契約は原則として当事者間の自由に内容を定めることができます。しかし、お金の貸し借りをする際は貸し主のほうが借り主よりも強い立場にあることが通常です。

利息の取り決めを当事者間の完全な自由に任せると、借り主は貸し主から膨大な利息の要求されがちになります。そうなると、借り主は一度お金を借りると利息の支払いに追われてしまい、すべての財産を処分しても利息を支払いきれないことにもなりかねません。

これでは社会の経済の健全な発展は望めませんし、金銭トラブルを原因とした犯罪が多発するおそれがあります。

このような事態を防止して円滑な金融取引を保つためには、利息を適切な範囲内に制限することによって、貸し主と借り主の立場を実質的に公平に保つことが必要です。

そこで、利息制限法によって利息の上限を定め、お金の貸し借りを目的とする消費貸借契約は、その上限利息の範囲内で行わなければならないことになっているのです。

利息制限法による制限内容を正確に知っておこう

利息制限法では、借金などに適用される上限利息を具体的な数値で定めています。その他にも、利息以外の名目でお金を徴収することや遅延損害金の利率についても制限を定めています。

具体的には、以下のよう定めがあります。

借金などに適用される上限利息の制限

利息制限法では、借金などに適用される上限利息について、借入元本の金額に応じて以下の三段階に分けて定めています。(利息制限法第1条)

  • 元本の額が10万円未満の場合 年20%
  • 元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年18%
  • 元本の額が100万円以上の場合 年15%

借金の元本の額が大きくなればなるほど、利息の支払額も大きくなるため、上限利息も厳しく制限されています。

利息以外の名目でお金を徴収することの制限

「利息」という名目以外でも、貸し主が借り主から受け取る借入元本以外のお金は、原則としてすべて利息とみなされます。(利息制限法第3条)よくある名目としては、礼金、割引金、手数料、調査料などが挙げられます。

借金の上限利息を制限しても、他の名目でお金を徴収されると上限利息を制限した意味がなくなってしまいます。そのため名目を問わず、貸し主が借り主から元本と上限利息の範囲内の利息以外のお金を徴収することは禁じられているのです。

この禁止に違反して、お金を受け取った場合は利息とみなされるという事柄から、このようなお金のことを「みなし利息」といいます。払いすぎた利息は元本に充当され、元本以上に支払ったお金は借り主に返還されます。

ただし、契約締結費用や債務の弁済費用は、利息の支払いとはみなされません。契約書に貼る印紙代や常識の範囲内の事務手数料、返済する際の振込手数料など、借り主の負担としても利息制限法に違反するものではありません。

遅延損害金の計算

利息の他にも借金につきもののお金として、遅延損害金というものがあります。遅延損害金とは、借金の返済が契約で定められた返済日より遅れた場合に支払わなければならない賠償金のことです。

遅延損害金の利率も契約で定めておくことができますが、その利率も利息制限法によって上限が定められています。遅延損害金の上限利率は、利息の上限利率の1.46倍と定められています(利息制限法第4条第1項)。

その結果、遅延損害金についても利息と同様、以下のように借入元本の金額に応じて三段階で上限利率が定まることになります。

  • 元本の額が10万円未満の場合 年29.2%
  • 元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年26.28%
  • 元本の額が100万円以上の場合 年21.9%

利息制限法に違反した契約は民事上無効だが刑事罰はない

もし、利息制限法に違反して高金利の利息・遅延損害金やその他の名目での金銭の支払いを契約した場合は、民事上は制限を超える部分の契約が無効になります。

制限を超える部分を実際に支払ってしまった場合は、支払いすぎた部分は元本に充当されます。このように、支払いすぎた利息を元本に充当する計算のことを「引き直し計算」といいます。

引き直し計算の結果、元本も完済してそれ以上に支払っていた場合は、支払いすぎたお金は過払い金ということになります。

ただ、過払い金が発生していても貸金業者から教えてくれることはほとんどなく、借り主の側で過払い金の計算をして返還を請求する必要があります。過払い金が発生する仕組みについては、あとで詳しくご説明します。

利息制限法違反の契約の民事上の取扱いは以上のとおりですが、刑事上の罰則はありません。

もっとも、借金の利率を制限する法律には利息制限法の他に出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)もあり、出資法違反には刑事罰が用意されています。

ただ、利息制限法の違反がそのまま出資法違反になるわけではないことに注意が必要です。利息制限法と出資法の関係については次に詳しくご説明します。

かつて利息制限法はほとんど守られていなかった

現在はどこの貸金業者も利息制限法を厳しく守っていますが、かつてはそうではありませんでした。その理由は、2つあります。

1つ目は、利息制限法に定められている上限利率と刑事罰が科される出資法の上限利率に差があったことです。この差の範囲内の利率は、民事上は無効であるものの刑事罰は科されないことから「グレーゾーン金利」と呼ばれています。

2つ目は、利息制限法の上限利率を超える利息の支払いでも、以前は一定の要件を満たす場合に「みなし弁済」として有効と認められていたことです。

それぞれ、詳しくご説明します。

グレーゾーン金利の横行

利息制限法に定められている上限利率は先ほどご説明したとおりです。それに対して、貸金業者に刑事罰が科される出資法の上限利率は、現在は20%です。しかし、出資法の上限利率には以下のように変遷があります。

  • 1983年10月31日まで 年109.5%
  • 1986年10月31日まで 年73%
  • 1991年10月31日まで 年54.75%
  • 2000年5月31日まで  年40.004%
  • 2010年6月17日まで  年29.2%
  • 2010年6月18日以降  年20%

それぞれの時期において、上記の利率と利息制限法に定める上限金利との差がグレーゾーン金利です。この範囲内であれば刑事罰が科されないため、かつては多くの貸金業者がグレーゾーン金利の上限に近い利率でお金を貸していました。

借りる側としても、多くの人は貸金業者が提示する条件に従うしかなかったため、高金利で借金をしていたのです。

「みなし弁済」が認められることが多かった

以前は、貸金業法のなかに「みなし弁済」という規定がありました。(旧貸金業法第43条)「みなし弁済」とは、利息制限法に定められた上限利率を超える利息であっても、一定の要件を満たす場合には利息の弁済として有効とみなすという制度のことです。

ここにいう一定の要件とは、以下のようなものでした。

  • 貸し主が貸金業者として登録された者であること
  • 貸付の際に利率、返済の方式、返済期間、返済回数その他貸金業法第17条所定の事項を記載した書面を借り主に交付したこと
  • 返済金を受け取ったときに、受領金額、元本への充当額、利息、遅延損害金その他貸金業法第18条所定の事項を記載した書面を借り主に交付したこと
  • 借り主が、利息の支払いであることを認識して契約上の利息を支払ったこと
  • 借り主が、契約上の利息を任意に支払ったこと

これらの要件のうち、貸金業者の登録や書面の交付など、客観的な要件は簡単に満たすことが可能でした。しかし、借り主の認識などという主観的な要件を満たすのは簡単ではないはずです。

一般の借り主が、契約上の利息が実は利息制限法の上限利率を超えていることを知りながら、それでもあえて任意に利息として支払うことは通常は考えがたいことです。

そのため、古くからみなし弁済の有効性が争われることが多々ありました。そんななか、2006年1月13日にみなし弁済の適用を否定する最高裁判決が下されました。

この判決では、みなし弁済の適用要件を非常に厳しく解釈すべきことが判示されました。この判示に従う限り、みなし弁済が有効となるケースはほとんどないということになったのです。

その後、貸金業法の改正が進み、2010年に施行された改正貸金業法からみなし弁済の規定は撤廃されました。

現在ではほとんどすべての貸金業者が利息制限法を守っている

2006年の最高裁判決が下されて以降、多くの貸金業者は貸出金利を利息制限法の上限利率を範囲内に抑えるようになりました。

それでも当時は、出資法の上限金利が29.2%であったため、一部にはグレーゾーン金利で貸し出す貸金業者もありました。

しかし、2010年6月18日以降は、出資法の上限利率も20%に改正されました。そのため、利息制限法の上限利率を超える金利で貸し出す貸金業者は、ほとんどなくなりました。

現在でも、元本10万円以上の場合はグレーゾーン金利が存在していますが、ヤミ金などの違法業者を除いてほぼすべての貸金業者が利息制限法を厳しく守るようになっています。

利息制限法違反の借金によって過払い金が発生する仕組みとは

グレーゾーン金利が横行に加えて、みなし弁済が認められていた時期には、多くの人が利息制限法の上限利率を超える利息を支払っていました。支払いすぎた利息は、元本に充当することが認められるため、場合によっては過払い金が発生することがあります。

それでは、過払い金が発生する仕組みを詳しくご説明します。

払いすぎた利息を引き直し計算する

例えば、50万円を金利29.2%で2005年1月1日に借り入れ、翌月から毎月1日に1万5,000円ずつを返済するとします。この場合、毎月1万円を超える利息を支払うことになり、1年後の2006年1月1日の返済が終わった時点で残高は460,919円となります。

しかし、利息制限法では元本50万円の場合の上限利率は18%と定められています。18%を超えて支払った利息は、その都度元本に充当して計算しなおします。

そうすると、利息の支払いは毎月6,000~7,000円程度で済み、1年後の2006年1月1日の返済が終わった時点での残高は402,108円となります。

グレーゾーン金利で利息を支払うことによって、この例では1年間で6万円近くも利息を支払いすぎていることになるのです。

過払い金が発生する目安は4~5年の継続した取引

上記のように、支払いすぎた利息は引き直し計算によって元本に充当していきます。その後もグレーゾーン金利での利息の支払いを継続すると、やがて計算上、元本を完済することになります。

計算上の完済後も支払いを継続すると、その後の返済金は貸金業者が受け取る理由のないお金ということになります。そのお金は過払い金となり、貸金業者に対して不当利得として返還を請求できます。

ただ、どれくらいの期間支払いを続けていると過払い金が発生するのかはケースバイケースです。契約上の金利の他、借入額、1回あたりの返済額、返済ペース、追加の借り入れの時期や金額によって大きく異なります。

実際に計算してみないと正確にはわかりませんが、平均でおおむね4~5年の継続した取引が分岐点となります。4~5年の間、グレーゾーン金利によって借り入れ・返済を繰り返していると、引き直し計算をすれば元本を完済しているケースが多くなります。

4~5年を超えてグレーゾーン金利での取引を継続していると、過払い金が発生している可能性が高くなります。

現在では過払い金は発生しなくなっている

過払い金は、あくまでもグレーゾーン金利での借り入れ・返済によって発生するものです。現在では利息制限法の上限利率を超える利息で貸し出している貸金業者はまずないため、新たな過払い金は発生しなくなっています。

新たな過払い金は発生しないが、現在でも過払い金は存在している

2006年の最高裁判決が下されて以降、多くの貸金業者が貸出金利を利息制限法の上限利率の範囲内に抑えたことで、過払い金はあまり発生しなくなりました。2010年の法改正で、グレーゾーン金利が撤廃されたことにより、完全に過払い金は発生しなくなっています。

ただし、新たな過払い金は発生しないものの、それまでに発生していた過払い金が完全になくなったわけではありません。

日本貸金業者によると、2017年度は全国で2,275億円の過払い金が返還され、2018年度も未集計であるものの1,568億円は返還されている見込みとのことです。
(参照:日本貸金業協会 平成30年度版 年次報告書)

2010年度の8,628億円に比べれば相当に減少していますが、それでもまだまだ多額の過払い金が残っていることが明らかです。

しかも、以上の金額は実際に返還された過払い金に限ったものです。過払いに至らず、元本に充当された利息も含め、さらに多額の「支払いすぎた利息」が存在していることになります。

最後の取引から10年以内は過払い金の返還を請求できる

過払い金の返還請求権は、10年で消滅時効にかかります。ただし、時効期間が始まるのは過払い金が発生したときではありません。一連の借り入れ・返済の最後の取引のときから時効期間が始まるのです。

したがって2010年より前、特に2006年より前からグレーゾーン金利での取引を継続していて最後の取引から10年が経過していない場合は、まだ過払い金の返還を請求できる可能性があります。

完済後に再度借り入れをした場合も時効が完成していない可能性がある

例えば、2009年にそれまで継続して取引していた借金を完済した場合は、過払い金が発生していても10年後の2019年には消滅時効が完成します。

しかし、2010年に再度同じ貸金業者から借り入れた場合は、完済する前の取引とその後の取引が一連のものと考えることができます。この場合、新たな借り入れの最終取引から10年が経過するまで、消滅時効は完成しないことになります。

ただし、このように途中でいったん完済している場合は、貸金業者としては2つの取引は別のものであって過払い金の消滅時効は完成していることを主張してきます。

そのため、このようなケースで実際に過払い金の返還を請求するためには、弁護士や司法書士などの専門家に相談したほうがいいでしょう。

時効が完成した過払い金でも現在の借金と相殺できる

既に時効が完成している過払い金でも、現在の借金と相殺できる場合があります。

時効で消滅した債権でも、時効が完成する前に他の債務と相殺できる状態であった場合には、時効が完成した後でも相殺できることが民法に定められています(民法第508条)。

例えば、2007年に借金を完済すれば、それまでに発生していた過払い金は2017年までは時効にかかりません。そこで、2016年に再度同じ貸金業者から借金をしたら、その時点で過払い金と新たな借金とを相殺できる状態になっています。

この場合は、2016年時点の過払い金と借金とを今からでも相殺できるのです。そうすると、新たな借金の元本が減ることになります。その後の借り入れ・返済の状況次第では新たな過払い金が発生している可能性もあります。

以上のように、現在でも過払い金が存在している可能性は十分にあるのです。2006年より前から借金をしていた方は、一度専門家に相談してみるといいでしょう。

利息制限法違反の利息を払ってしまった場合は専門家に相談を

現在では、正規の貸金業者からの借金であれば利息制限法違反を気にする必要はまずありません。

しかし、2010年より前、特に2006年より前にグレーゾーン金利で借金をしたことがある方は、利息制限法違反の利息を支払っている可能性があります。

また、個人からの借金やヤミ金などの違法業者から借金をした場合は、出資法や貸金業法に違反する契約をしている可能性もあります。

借金の金利について気になることがあれば、お気軽に弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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