過払い金

過払い金はどんな仕組みで発生するのか?計算方法や請求方法も解説

借入れと返済を繰り返していると過払い金が発生する場合があることは多くの方がご存知だと思いますが、いったいどんな仕組みで過払い金が発生するのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、過払い金が発生する場合にポイントとなるグレーゾーン金利の問題と、それを法定金利に引き直して過払い金を計算する方法を詳しく解説します。発生した過払い金の返還を請求する方法も解説するので、過払い金返還請求をしたいとお考えの方は参考にしてみてください。

目次

過払い金が発生する仕組みとは?

過払い金とは、利息を払い過ぎたことによって発生します。払いすぎた利息を本来の金利で計算し直すと、借り入れた元金と適正な利息を完済してもなお余りある金額を支払っている場合があります。

この支払いすぎたお金のことを「過払い金」といいます。過払い金は貸金業者が本来受け取ることができるお金ではないので、取り戻すことができます。

では、そもそもなぜ、利息の払いすぎという事態が発生するのでしょうか。その原因は、2つの法律によって2段階の金利の規制が行われていたことによります。

貸金業者がお金の貸付を行うときの金利を規制する法律としては、「出資法」と「利息制限法」という2つの法律があります。そこで、この2つの法律についてご説明します。

利息制限法

利息制限法は、金銭の貸し借りを行う場合の利息を定めている法律です。貸金業者を取り締まるというよりは経済的に弱い立場にある債務者を守ることを目的とした法律なので、違反した場合の罰則は定められていません。

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出資法

出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)は高金利で貸付を行う業者を取り締まるための法律で、違反した者には刑事罰が科されることになっています。

そのため、貸金業者もこの法律に定められた上限金利を超える金利で貸付けを行うことはほとんどありませんでした。

出資法による上限金利は現在では利息制限法と同じ20%ですが、2010年6月までは29.2%となっており、利息制限法の上限金利とは異なっていました。

過払い金が発生する仕組みのポイントはグレーゾーン金利

過払い金が発生する仕組みとして、「グレーゾーン金利」が核となります。

「グレーゾーン金利」とは、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差を指します。利息制限法では金利の上限を15~20%と定めおり、出資法は刑事罰の対象となる金利の上限を29.2%と定めていました。その為、利息制限法の金利上限を超えていたとしても、出資法の上限金利を超えていない為、刑罰にはならなかったのです。その間の金利を「グレーゾーン金利」といい、貸金業者が長年、多く金利を債務者からとっていたことがありました。

さらには「みなし弁済」という、利息制限法の上限金利を超える金利による貸付けであっても、債務者が任意に支払うなど一定の要件を満たす場合に、民事上も有効とみなすという制度があります。

実は、グレーゾーン金利で貸付けを行っていた貸金業者は、この「みなし弁済」を根拠に利息制限法の上限金利をこえる利息を受け取っていました。そのため、過払い金が発生してしまっているのです。

どんな人に過払い金が発生しているのか?

どのくらいの期間、取引をしていれば過払い金が発生するのかは金利の他にも借入れと返済の頻度や時期、金額によって異なりますが、目安としてはおおむね5年以上、グレーゾーン金利で取引を続けていると過払い金が発生する可能性があります。

借入金の返済に利息がかかるのはやむを得ませんが、返済しても返済してもほとんどが利息の支払いに消え、元金がなかなか減らない状態を経験したことがあれば、過払い金が発生している可能性が高いです。

利息制限法の上限金利での借入れであれば、返済金の大半が利息の支払いに消えてしまうということはあまり考えられません。

しかし、グレーゾーン金利で利息を課されると返済金のうちに利息が占める部分が大きくなってしまい、返済しても返済しても元本がなかなか減らないという状態になりがちです。

このような取引を利息制限法の上限金利に引き直して計算すれば、利息をいくら払いすぎているのかが分かります。払いすぎた利息は元金の返済に充当することができます。

場合によっては、元金を完済してもなお払いすぎた利息が残ることがあります。残った利息は貸金業者が受け取る理由はないので、返還を請求できます。この請求が「過払い金返還請求」になります。

どんな取引で過払い金が発生するのか

過払い金が発生するのはグレーゾーン金利で取引をしていた場合ですが、ここでは具体的にどんな取引で過払い金が発生するのかを解説します。

過払いクレジットカードのキャッシング枠

まず、過払い金が発生する取引はキャッシング、つまり貸金取引に限られます。一枚のクレジットカードでキャッシングとショッピングの両方を利用できますが、ショッピングでは過払い金が発生することはありません。

なぜなら、ショッピングの利用は購入した物の代金をクレジットカード会社に立て替えて支払ってもらうものなので、そのお金は借金ではなく立替金になります。立替金にかかる手数料は借金にかかる利息とは法的に別の扱いになり、利息制限法は適用されません。

そのため、過払い金が発生する可能性があるのは、利息制限法が適用されるキャッシングに限られるのです。

グレーゾーン金利の適用期間内である

次に、過払い金が発生するためにはキャッシングの取引の中でグレーゾーン金利が適用されていたことが必要です。

グレーゾーン金利が適用されていた期間としては以下の3種類のバリエーションがあり得るので、それぞれご説明します。

取引の最初から最後までグレーゾーン金利が適用されていた場合

借入れの当初から完済に至るまでずっとグレーゾーン金利が適用されていた場合は、確実に過払い金が発生しています。取引期間が長ければ長いほど高額の過払い金が発生している可能性があります。

ただ、2010年6月にグレーゾーン金利が撤廃されたため、現在返済中の場合はこのパターンにあてはまることはありません。

また、過払い金返還請求権は最後の取引から10年で時効消滅するため、このパターンにあてはまる方は早期に過払い金返還の請求をする必要があります。

取引の途中で一時的にグレーゾーン金利が適用されていた場合

取引の最初から最後まででなく、取引の途中で一時的にグレーゾーン金利が適用されていた場合も過払い金が発生する可能性があります。既に完済している場合は確実に過払い金が発生しています。

このパターンにあてはまるケースの多くは、2006年より前に借入れを始めたケースです。

前述のとおり、2006年にみなし弁済を無効と判断した最高裁判決が出たことから、2006年から2007年にかけて、多くの貸金業者がグレーゾーン金利での取引をやめ、適法金利を適用するようになりました。

つまり、借入れの当初はグレーゾーン金利が適用されていたものの、2006年か2007年ころから適法金利に変更された方が多くいらっしゃるはずです。

この場合は、過払い状態になっているのはグレーゾーン金利による取引中のみですが、適法金利に変更されてからも遅滞なく返済を続けている場合(現在も返済している場合)は過払い金が発生しています。

グレーゾーン金利の適用がなくても過払い金が発生するケースがある

借入れの当初から現在まで、または完済に至るまでグレーゾーン金利が適用されたことがなくても、過払い金が発生するケースがあります。

貸金業者は利息の他にも事務手数料、書類作成料、調査料などさまざまな名目で金銭を貸付金から天引きしたり、別途徴収したりすることがあります。

しかし、利息制限法では、債権者が債務者から受け取る金銭については、契約の締結及び債務の弁済の費用を除いて、名目を問わず利息とみなすと定められています。

つまり、借入れの契約書に貼る印紙代など常識的な範囲内の契約締結費用や、返済するときにかかる振込手数料など債務の弁済にかかる実費以外は、名目を問わず利息として扱われることになります。

不動産担保ローンでは特に諸費用が天引きされたり徴収されたりすることが多くあります。

利息とみなすべき費用を天引きされたり徴収されたことがある場合は、借入れの利息が適法金利によっていたとしても利息を支払いすぎていることになるため、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金が発生しない取引とは

過払い金が発生する可能性のある取引をご説明してきました。以上に該当しない取引では過払い金が発生することはありません。

つまり、キャッシング以外の取引や、適法金利での取引で、かつ、その他の名目による金銭の徴収もない取引です。そのような取引の代表例としては、物品を購入した際に組んだローンや、銀行のカードローンなどが挙げられます。

銀行のカードローンは2006年以前から適法金利のみで貸付けが行われていたため、過払い金が発生することはありません。なお、2010年6月の改正出資法の施行によってグレーゾーン金利が完全に撤廃されたため、それ以降の取引は消費者金融からの借入れであっても過払い金は発生しません。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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