過払い金の返還には利息がつく!利息発生の時期と請求する上で注意したいポイントとは

過払い金の返還に利息が付くということをご存知でしょうか?必ずしも付くわけではありませんが、ほとんどの場合において5%の利息を加算するよう、法律で定められているのです。

もちろん、いくつかの条件があり、利息を伴う全額が払い戻されるとは限りません。また、返還請求の際に注意すべきこともいくつかあります。

なぜ過払い金に利息が付くのでしょう?その根拠と利息の内容、返還請求をするときの注意点について解説していきます。

過払い金の請求で返還される金額には利息が付きます

過払い金の返還請求をすると、ほとんどのケースにおいて利息が付きます。利息は過払いの発生と同時に計上され、年率5%です。この利率は契約上の取り決めではなく、法律で定められていることであり、過払いの発生を起点として計上されていきます。

過払い金の利息の利率は5%

過払い金とは、貸金業者が借主に返還しなければならないお金です。貸金業者による借主への借金と言い換えることもできます。借金であるなら時間が経つほどに利息が加算されていくのは決して不自然なことではありません。

過払い金の返還義務と利息の加算については、民法にはっきりと規定されています。返還義務が第703条、利息の加算について記しているのが第704条です。

民法第703条「不当利益返還請求権」について

民法第703条には「法的な根拠のない利益を得て他者に損害を与えた受益者は、その利益の範囲での返還義務を負わなければならない」と規定しています。「法的な根拠のない利益」とは「不当利益」であり、この場合は「過払い金」のことです。

民法第703条では、過払い金は貸金業者にとって返さなければならないお金であるということを定義しています。

民法第704条「悪意の受益者の返還義務等」について

一方、民法第704条では「悪意の受益者は、不当利益に利息を付けて返還しなければならず、さらなる損害を与えた場合には賠償責任を負わなければならない」とあります。ここで用いられている「悪意の受益者」という言葉について、さまざまな解釈が飛び交い、裁判の争点となったこともあります。

しかしながら、2007年7月の最高裁判決をもって、ほとんどの貸金業を悪意の受益者とみなすようになりました。悪意の受益者とは「受けた利益が不当であることを知っていた」ということ、つまり、グレーゾーン金利を意図的に利用していた貸金業者すべてに当てはまるのです。

また、不当利益の返還に伴う利息に付いては民法404条において5%、商法514条では6%と定められています。「民法」は市民間の私的な義務や権利を律する法律であり、「商法」とは商行為に関する法律です。

このような2種類の法定利率があるため、消費者と貸金業者の間では「民事法定利率」の5%か?あるいは「商事法定利率」の6%か?を巡って長く争われてきました。その論争に決着を付けたのが2007年2月の最高裁判決。最高裁は「過払い金の返還請求は商行為とはみなされない」という決定を下したのです。以来、過払い金の返還に伴う利息は5%という数値が定着しています。

利息の発生は過払い金が発生したときから

「利息がいつから付くのか?」ということもまた、消費者と貸金業者との論争のひとつでした。消費者側は「過払い金の発生時点」からと主張し、対する貸金業者は「最後の取引時点」からと譲らなかったのです。その理由は「過払い金請求権の消滅時効」が「最後の取引時点」を起点としていることに依ります。

この論争に対しての判決は2009年9月の最高裁判所において下されました。

「悪意ある貸主は過払い金の発生時点から民法704条に定める利息を払わなければならない」。この判決を機に、消費者は過払い金の発生時点からの利息を請求できるようになったのです。

請求する貸金業者の経営状況によっては利息の請求はできない場合もある

過払い金の請求をしたときに利息の5%も加算されるのであれば、できるだけ請求時期を遅らせた方が得と思われる方もいるかも知れません。

しかしながら、民法167条により「過払い金請求権の消滅時効」が最終取引を起点とした10年と定められていること、さらに貸金業者が倒産したり、吸収合併などにより所在がわからなくなったりすることもあります。過払い金の発生に気付いた時点で、すみやかに返還請求の相談、手続きに入ることがベストです。

過払い金を請求する上での注意点

すみやかな対処を必要とする過払い金の請求ですが、フットワークが軽いからと個人で交渉すると利息無し、あるいは過払い金の大幅な減額を強いられることも少なくありません。貸金業者は百戦錬磨のプロ。過払い金の請求は信頼できる方に相談し、必要に応じて裁判に持ち込むまでの覚悟と準備が必要です。返還請求する際に、知っておくべきことについて記します。

倒産した業者からは返還されません

2010年の貸金業法の改正により「過払い金」が認知されて以来、多くの返還請求がなされてきました。貸金業者の中には、法律改正の縛りと併せて支払い義務の負担が大きくなり、経営縮小、あるいは倒産といった末路をたどったところも少なくありません。

代表的なケースが武富士です。1998年に1部上場という破竹の勢いで業界のトップに君臨していた武富士でしたが、2010年に会社更生法の適用を受けました。その他、業界第5位のディックやポケットバンクの名前で全国展開した三洋信販、三和ファイナンスなど有名企業がことごとく合併や廃業をしていったのです。

このうち三和ファイナンスはSFコーポレーションと商号を変えましたが、過払い金の支払い過多を理由に破産手続きを開始、2017年5月に正式に廃業しました。破産に伴い、会社の所有していた資本を元手とした配当の実施が発表されました。その率、わずか3.27803%です。武富士においても初回の配当が3.3%、2回目に至っては0.9%という数値を示しています。

武富士や三和ファイナンスは配当するに足る資本を有していたため、倒産した会社の中でも幸運の部類に入るでしょう。しかしながら、倒産した多くの貸金業者は、もはや跡形もなくなっているのが現状です。なくなった会社には過払い金を請求することはできません。

裁判なしでは返還金額が少なくなります

今後も金融業界、貸金業者の動向は注視しておく必要があります。いつどうなるかわからない業界のこと、過払いの発生に気づいた時点ですみやかに返還請求しておきましょう。

ただし、必ずしも利息5%が付くわけではなく、全額払い戻されるとも限りません。払い戻し金額は貸金業者の規模や経営状況に大きく左右され、任意和解では利息の付かないことがほとんどです。というのは「過払い金の支払い」はあまりにも経営負担が大きいため、三和ファイナンスのように支払い拒否をする会社や、過払い金への予算を縮小している会社が多いからです。また、民法第704条の、利息を伴う支払い義務のある「悪意の受益者」という表現について、さまざまな見解があることも交渉を困難にしている要因となっています。

2010年の貸金業法改正以前、「みなし弁済」という制度がありました。当時の貸金業法43条に基づき、グレーゾーン金利と共に「過払い利息」を助長していた制度です。その主旨は「借主が任意に支払うのであれば過払いとは言えない」というものです。すでに撤廃されてはいますが、過払い金の発生は、「みなし弁済」の適用期間と重複します。したがって、この「みなし弁済」が法的な根拠となり、自らは「悪意ある受益者ではない」と主張する貸金業者も出てくるのです。

法律の変遷と、さまざまな言語解釈によって、最終的な決着点がどこに落ち着くのかを判断することは極めて困難と言えます。個人としての過払金請求は避けた方が無難でしょうし、示談で済ますよりは裁判に持ち込んだ方が多くの返済金を得ることができるでしょう。

請求権がはく奪されることもある

超過利息と知りつつ利息の支払いを強いた貸金業者を「悪意の受益者」と表現し、利息の支払いを義務付けているのが民法第704条であるならば、消費者側の「悪意」を規制しているのが民法第705条です。その内容は、過払い金と知っていながら支払い続けると返還請求ができなくなるということ。「非債弁済」として以下のように規定されています。

「債務の返済中に債務のないことを知っていた場合、その返還請求をすることはできない」

利息の5%が付くからと言って、いたずらに返還請求を引き延ばしたら、逆に請求権がはく奪されるということです。過払い金の請求権の時効が10年、また金融業界・貸金業者の動向も決して楽観できる状況ではありません。これらの要素を併せて考えると、過払いの発覚した時点ですみやかに返還請求するのが望ましいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?払い過ぎた利息(過払い金)に利息が付いて戻ってくるというのは、いささか不思議な感じですが、払い過ぎによって債務者と債権者が入れ替わると考えれば納得のいくものです。

法律によって規定されているので、遠慮なく請求することができます。ただし、必ず全額5%の利子付きで払い戻されるわけではありません。多様な法律の解釈による抜け道や請求先の経営悪化、倒産、あるいは請求権そのものが時効を迎えたり、はく奪されたりしてまったく払い戻されないケースさえあるのです。

さまざまな事情を汲んだうえで、少しでも、より多額の過払い金返還を求めるにはすみやかに行動し、裁判になることも考慮しつつ相談を進めていくことをお薦めします。

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