過払い金

過払い金請求をした際に裁判で訴訟になったらどうなるの?

過払い金請求をした際に、裁判になることがあります。また、訴訟をしたら全額回収できるといった情報もあり、自ら訴訟を起こす人もいるかもしれません。中には、貸金業者の対応が強硬なことがあります。こうなると話し合いでは対応できず、訴訟にするしかありません。今回は、過払い金請求をした際に裁判(訴訟)になった場合の費用やシチュエーションを解説していきます。

目次

過払い金請求訴は訴訟に持ち込むべきなのか?

専門家との相談の下で訴訟の判断をする

過払い金請求で訴訟に持ち込む必要があるかどうかの判断は難しいです。その判断基準の一つに請求相手の貸金業者が挙げられます。貸金業者によって過払い金訴訟の対応には差があり、前向きな業者が多いです。訴訟にすることで面倒になるため早めに解決したいからでしょう。

しかし、資金的に余裕がない貸金業者の多くは徹底抗戦します。このような相手に対して話し合いで決着をつけることは難しいかもしれません。相手の貸金業者によって、過払い金請求訴訟の要否が決まると言えます。

過払い金回収見込みの金額とコストを比較する

資金的な問題は、過払い金の回収見込金額とコストを比較すればいいでしょう。問題は自分の忍耐力です。裁判にすると1年以上の期間がかかることもあります。最初から訴訟にはならず、話し合いが不調になって訴訟にするので時間がかかるのです。

ただ、訴訟をすることで回収額が増えることは確かです。話し合いだけで解決するより結果がはっきりして納得もしやすいでしょう。

特に過払い金を全額回収したいという人は、訴訟にするしか手段がありません。話し合いや和解では自分の主張を100%叶えることができないからです。過払い金請求で訴訟にすれば、自分にとって有利なことは間違いありません。後は、弁護士と相談してメリットとデメリットを比べるだけです。そして、最後の判断は自分ですることになるでしょう。しかし、自分だけで判断するのは難しいはずです。過払い金訴訟の判断は、過払い金問題を知る弁護士への相談が欠かせません。

過払い金請求で裁判(訴訟)になった場合

裁判と交渉にかかる費用

訴訟をする裁判所は国の機関ですが、訴訟費用は無料ではありません。裁判官の日当まで負担させられませんが、請求金額に応じた負担が必要です。請求金額とは過払い金請求の場合は引き直し計算をした金額のことを言います。過払い金で裁判になった場合の費用について説明します。裁判をするには訴状を裁判所に提出しなければなりません。その際、訴状には、必ず、印紙、郵券(ゆうけん)、資格証明書を添付する必要があります。

収入印紙について

高額な商品を現金で買ったときには、領収書に200円の印紙が貼られます。それと同じものです。 ただし裁判の場合は、金額は領収書のように200円では済みません。 たとえば、領収書であれば100万円以下の商品を売っても200円の印紙を貼るだけで済みますが、裁判をする際は、請求額(過払い金請求の裁判に即して言うと、過払い金の元金の金額)に応じて印紙の額は増えていきます。請求する過払い金額が50万円なら5000円、100万円なら1万円の印紙を訴状に貼る必要があります。 印紙の裏に水を付けて訴状の正本(訴状は裁判所用の正本、被告用の副本の2通を用意しなければなりません)に貼り付けることになります。

また収入印紙の割印は、裁判所が押すことになります。既に誰かの割印が押されている印紙では、受理してもらえなくなりますのでご注意ください。

郵便切手について

訴状を受け付けた裁判所は、特別送達という特別の方法で相手方に訴状を郵送します。 裁判をした場合は、書類の郵送がたくさんあります。それは、裁判所が持つものではなく また、和解調書(和解の内容を記載した裁判所の公式文書)や判決などの重要書類は、窓口で受け取ることもできますが、通常は郵送されます。 そのたびに切手を納付させるのは裁判所にとって手間ですので、あらかじめ一定の種類の切手を訴状に添付することが求められています。

添付する切手の枚数は裁判所ごとにことなります。例えば東京地裁の場合、訴状提出時には合計で6000円分の切手を用意することになり、裁判の途中で足りなくなると追加納付を求められます。なお、印紙は手数料であり、裁判に勝っても負けても返還されませんが、切手は事前に預けているだけですので(これを「予納」と呼びます)、裁判が終了した時点で余っていれば返還されます。ただし、裁判所にとって切手の管理は非常な手間なため、切手代相当額を現金で予納することが推奨されることもあります(印紙は原則として現金予納することはできません)。

資格証明書について

裁判を開始するためには、訴状を被告に郵送しなければなりません。被告である貸金業者が会社組織であれば、郵送先はその代表者宛になります。訴状の郵送は、提訴された事実を被告側に知らせる極めて重要な手続きになりますので、裁判所書記官が被告の代表者が誰かを確認しておこないます。訴状を提出する原告側は、裁判所に対し被告の代表者が誰であるかを書面で示す必要があります。この書面は代表者としての資格を証明する書類という意味で「資格証明書」と呼ばれます。

資格証明書で代表的なものは会社登記簿謄本(コンピュータ化された現在の正式名称は「全部事項証明書」)です。法務局にいけば誰でも利害関係の関係なく、手数料を払えば好きな会社の登記簿の交付を受けることができます。貸金業者は合併を繰り返していることがあり、会社のこれまで経緯全てが記載されている登記簿謄本の枚数は何十枚になることがあります。コピーするだけでも手間ですし(裁判所に提出した書類は、全てコピーを取っておく必要がある)、法務局に支払う手数料も増えてします。

そこで通常は、登記簿のうち代表者に関する部分だけを抜き出した証明書(代表者事項証明書)を提出することになります。 代表者事項証明書を手に入れるためには、法務局に行き窓口で手数料分の印紙を買って、申請書に必要事項を記載し印紙を貼って提出すると、代表者事項証明書の作成してもらうこともできます。また、インターネット上でオンライン申請ができます。オンライン申請は、インターネット上で申し込むと自分で指定する住所に郵送してくれるというサービスで、しかも郵送してくれるのに窓口申請よりも安く(郵送料込みで500円)、翌日か翌々日には手元に届くようになっています。

訴訟費用の実費について

裁判にかかる実費は「訴訟費用」は、確定処分を経ることで強制執行することができます。

もし、裁判で全面勝訴すれば、訴訟費用は100%被告負担になります。しかし、被告である貸金業者の言い分が少しでも認められ、訴状で求めた請求額が減額されてしまうと、その分だけ被告に負担させる訴訟費用も減額されてしまいます。また、裁判所での和解をする際に、印紙代、切手代、登記簿代を上乗せした金額での和解を求めることもできます。わずか数万円の上乗せを拒否して判決になるのも面倒であることから、ほとんどすべての貸金業者は上乗せに応じてくれます。

つまり、裁判をすると実費は余計に掛かりますが、これらの実費は最終的には和解金額に上乗せをしたり、訴訟費用確定処分・強制執行手続きをすることにより回収することができますので、デメリットというほどのものではありません。

裁判をした時にかかる弁護士・司法書士費用

過払い金請求を訴訟ですることで、話し合いだけで解決するより報酬は増えます。

弁護士報酬で一番大きな割合を占めるのが成功報酬でしょう。弁護士により違いがありますが、話し合いなら20%、訴訟だと25%が多いようです。訴訟にすると5%アップということになります。

また、弁護士が裁判所に出廷したりする交通費などの実費も必要です。もっとも、これは最大でも10万円程度でしょう。訴訟を希望するなら、料金表などをしっかり確認することをお勧めします。

裁判と交渉にかかる「時間」

過払い金請求訴訟は訴状を提出すると、不備がない限り3~4週間後に第一回期日が指定されます。第二回期日は第一回期日の1か月後に指定されます。 多くの場合は第二回期日で結審され、10日から2週間後に判決期日が指定され、判決が言い渡されます。 しかし、争点があると判決までの時間は長引きます。第一審の判決が出るまでに1年以上かかることもあります。 争点があるケースでは、裁判をしてもしなくても貸金業者は大幅な減額を求めてきますので、それに応じて大幅な減額をしない限り裁判前の交渉で解決することはできません。 裁判をすると時間がかかるのは争点がある場合ですが、争点がある場合には裁判前の交渉をしても有利な和解が成立する可能性は低く、結果的に裁判をするほうが得になるケースが多いです。

「契約の個数」という争点

過払い金請求の裁判で争点になるもので、もっとも面倒なものが「契約の個数」という争点です。 これが認められると過払い金の金額が変動することから裁判上で争いが繰り広げられ、その結果、判決までに時間がかかることもあります。 そもそも、「契約の個数」とは、過払い金を請求する貸金業者から借入と完済を複数回している場合、複数回の取引を一つの契約とするかそれぞれ別々の契約とするかということです。これは取引が2つ以上の場合の過払い金請求すべてにかかってきます。これを取引の一連と分断といいます。

一連か分断かで過払い金の時効が変化する

過払い金の時効は最終取引日(最後の返済日)から10年です。 しかし、一連と分断とで本来時効が成立している取引でも過払い金請求できる可能性がでてきます。

例えば貸金業者からA社から取引を2回していたとします。 1回目の取引は完済から10年経過、2回目の取引は完済してから8年経過していたとします。本来であれば、1回目の取引は時効が成立していますので、過払い金請求することができません。 しかし、この2つの契約が一連とみなされると、1回目の取引の時効が無効になり2つの取引を1つの契約とするので時効のスタートが2回めの取引の最終取引日となります。 このように本来時効が成立しているはずの取引まで影響が及び、時効が無効になると支払う過払い金が増えるため貸金業者と争うことになるのです。 複数の取引の一連と分断かの判断は非常に難しく一般の方の場合はまず無理とされています。個人によっての状況が違うため実際に裁判をしてみないとわからないケースが多いので、取引を複数回にわたって繰り返している方は司法書士や弁護士に相談するのをおすすめします。

過払い金請求で訴訟をするメリット

過払い金訴訟をすることによるメリットは何でしょうか。まず、過払い金請求を訴訟ですることによって回収額が増えることは間違いありません。話し合いでは解決しなくても、弁護士が自信をもって主張できれば有利になるからです。

また、訴訟になっても弁護士に依頼していれば、自分の手間はかかりません。裁判所から呼び出しがあっても弁護士が行ってくれます。呼び出しの通知も弁護士にされるため裁判所から何も通知はありません。

更に訴訟になればトコトン戦うことになります。最終的に和解に落ち着くこともありますが、それは裁判所が介入する和解です。きちんと筋道を立てた内容で決着が付くので納得しやすいでしょう。もちろん和解せず、白黒はっきりつけた判決を望むならそれでも構いません。

回収金額が増える

過払い金請求を訴訟ですると回収金額が増えます。過払い金請求は話し合いからスタートしますが、その段階では回答はあいまいです。話し合いで適当なところで折り合いを付けようとするのでしょう。

もちろん早く終わらせたいならそれでもいいでしょう。しかし、回収金額にこだわるならそれでは納得できないはずです。弁護士に過払い金を相談すると引き直し計算で過払い金を提示されます。その金額と比べるとかなり見劣りするはずなのです。

しっかりと過払い金を回収したいのであれば、訴訟をするしかありません。特に全額回収を目指すなら訴訟以外にないのです。

自分の手間は変わらない

過払い金請求を訴訟で解決すると、自分の手間が増えるのではないかと不安でしょう。しかし、その心配は無用です。弁護士がすべてやってくれるので、自分は裁判所に行く必要もありません。つまり、話し合いで解決しても、訴訟でも、自分の手間は全く変わらないのです。

もちろん弁護士に頼めば裁判を傍聴することはできるかもしれません。平日の日中に時間が取れれば行ってみるのもいいでしょう。もっとも、そのようなことをする人はほとんどいません。過払い金訴訟で、自分の手間が余分にかかる心配はないです。

自分が納得できる

過払い金を訴訟にすると、訴訟という公の場で議論をします。裁判官がどちらに軍配を上げるかで勝負が決まるので、明解でしょう。

もちろん訴訟なので自分の主張がすべて通るとは限りません。最近は裁判官が和解を勧めるので、それで納得してもいいでしょう。それでも法廷という場で自分の主張をしっかりできるのはメリットと言えます。

過払い金請求で訴訟をするデメリット

もっとも、過払い金請求を訴訟にすることによるデメリットもあります。デメリットとしてまず挙げられるのは、時間とコストの問題でしょう。裁判に持ち込めば最低でも半年程度の時間がかかります。

貸金業者が控訴や上告と手続きを踏めば1年を超えることも珍しくありません。もちろん、時間がかかるほど弁護士費用が上乗せされますし、裁判費用もかかります。

また、訴訟にすれば必ず弁護士が必要です。自分だけで過払い金訴訟をすることは現実的ではありません。話し合いならともかく、訴訟となれば相手も時間をお金をかけて対抗する気だからです。

更に、貸金業者によっては訴訟手段を変えることがあります。この場合、訴訟関係の書類が自宅に届くかもしれません。家族に内緒で過払い金請求をしている人は要注意です。

時間とコストがかかる

過払い金請求には時間とコストがかかります。更に訴訟にするのであれば、更に時間とコストがかかります。気が短い人であれば耐えきれないということもあるでしょう。

また、訴訟にするコストも無視できません。裁判所の手数料として訴状に印紙を貼りますが、300万円の請求なら2万円必要です。裁判所が郵便物を送る切手代も負担する必要があります。更に、弁護士が訴訟に参加する実費として最大10万円程度かかるでしょう。過払い金が戻ってくれば相殺できるでしょうが、自分の手取り金額は減るのです。

過払い金請求を訴訟で解決しようとすると、時間とコストが余分にかかります。訴訟にするか決める際はこのことを忘れてはいけません。

弁護士への依頼が必要

過払い金請求を訴訟にする場合、弁護士が必要です。訴訟自体は弁護士を付けず、自分だけですることも可能でしょう。しかし、結論から言えば現実的ではありません。なぜなら、相手の貸金業者は弁護士などを代理人に戦うからです。自分だけでは太刀打ちできません。弁護士に訴訟を依頼しないと、敗訴しかねないのです。

また、法廷は平日昼間しか開いていません。自分で出廷する場合は、この時間に自分が行く必要があります。対応が難しい人も多く現実的ではありません。過払い金請求を訴訟にする場合、弁護士に依頼することは欠かせないのです。

家族などに知られる可能性がある

過払い金請求を訴訟にすると、相手の貸金業者は手段を選びません。訴訟には戦略があり、相手への揺さぶりも「戦略」の一つなのです。

訴訟にすると裁判所からの通知は弁護士にされます。しかし、被告である貸金業者が、別の論点で逆に訴訟を起こすことがあるのです。

この場合、裁判所から自分を被告とする通知が自宅に届きます。家族に内緒で過払い金請求をしている人にとっては致命傷でしょう。

裁判所の費用

訴訟にする以上、全額回収を前提として戦うからです。

この訴訟費用は訴状に印紙を貼って納入することになっています。貼る印紙の目安は、100万円で1万円、300万円なら2万円、500万円なら3万円です。実際に貼る金額は請求額により10万~20万円単位で細かく決まっています。

この他に、裁判の過程で必要な郵送料として6千円程度が必要です。他に証明書などで1,000円程度必要になるでしょう。

つまり、裁判所の費用として、500万円の請求でも4万円程度の手数料ということです。

ちなみに勝訴すると、この手数料は「被告」である貸金業者から返金されます。判決内容に相手の主張が一部盛り込まれると一部返金です。

過払い金請求での裁判は弁護士選びが重要

過払い金請求は弁護士に依頼しないと貸金業者に甘く見られます。これは訴訟でも同じ事で、過払い金請求は弁護士に依頼することが欠かせません。

特に相手の貸金業者によっては訴訟にすると徹底抗戦することもあります。こうなると素人では対応不可能です。過払い金訴訟の経験が多い弁護士に依頼しなければ訴訟を続けられないでしょう。

ただ、過払い金訴訟はメリットだけではなく、デメリットもあります。訴訟にすることのデメリットは意外と大きいです。弁護士にメリットとデメリットを説明してもらうことは欠かせません。

訴訟は自分だけでは難しい

過払い金請求訴訟に限らず、貸金業者相手に訴訟をするには弁護士が必要でしょう。なぜなら、相手も弁護士に依頼して訴訟に臨むからです。

自分は法律に詳しいからと弁護士を依頼しない人がいますが、たいていうまくいきません。訴訟には「戦略」があり、訴訟を数多く対応している弁護士しか知らないからです。プロと素人が勝負をしても勝負の行く末は見えています。このことを念頭に置く必要があるでしょう。

訴訟のメリットとデメリットは自分ではわからない

過払い金請求で訴訟にすることで回収額が上がります。しかし、訴訟をすることによるデメリットも無視できません。相手の貸金業者によっては手段を選ばないこともあるからです。

しかし、訴訟にすることによるメリットやデメリットは自分だけではわかりません。メリットとして挙げられる、回収額の増加見込み額も自分だけではわからないでしょう。

訴訟によるデメリットもいろいろあります。裁判費用だけのことであれば金額は少額です。弁護士費用も成功報酬が5%上がる程度と言えばそれまででしょう。しかし、時間がかかることは依頼者にとって不安の種です。

訴訟の決断の前に、過払い金訴訟を知っている弁護士に相談することは欠かせません。

弁護士は過払い金の専門家を選ぼう

過払い金請求で弁護士が必要だとなった場合、誰に頼むでしょうか。一番いいのは過払い金請求を専門としている弁護士です。また、訴訟にすることを前提とするなら訴訟のことを知っている人がいいでしょう。

過払い金請求をする時は弁護士に頼っていなくても、訴訟なら弁護士が必要でしょう。任せる弁護士は、過払い金請求訴訟を多く手掛けている人にすることがお勧めです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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