過払い金

過払い金の計算は自分でもできる?

最近では、過払い金についてのテレビコマーシャルもよく見かけますよね。

それを見て、「以前自分が利用したキャッシングも、過払い金が発生しているのでは?」「具体的には、どのくらい返ってくるのだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実は、ある程度までであれば、自分自身でもおおよその過払い金返還額の計算はできるのです。

もちろんベストなのは専門家に委ねることですが、こちらの記事では、自分で計算する方法・注意すべきことなどを踏まえながら、過払い金の計算について詳しく見ていきましょう。

目次

過払い金がいくら戻ってくるかは自分で計算(引き直し計算)できる

「過払い金があるのなら、返還してほしい」そう考えてはいても、その計算は専門家でなければできない、と思っている方も多いのではないでしょうか。

でも、実際のところ、過払い金の返還額は、自分でもある程度計算することができます。ただし、自分で計算する場合に注意しなくてはいけないのは、必ず正しい利率や計算方法を用いること。

誤った計算方法や利率で計算してしまうと、本来の返還額より少なくなってしまったり、相手方に返還を拒否されてしまったりするケースもあるので、特に注意が必要です。

過払い金を自分で計算するために必要なもの

過払い金を自分で計算する際には、3つ必要なものがあります。

その3つとは、「取引履歴」「エクセル」「過払い金を計算する計算機ソフト」なのですが、具体的にどのように使用するのでしょうか?

また、それぞれの入手方法や注意点についてもご説明します。

取引履歴

取引履歴(消費賃貸取引履歴)とは、貸金業者などから借入をした際の履歴のこと。この取引履歴には、借入を行った「日付」「借入金額」「金利」「返済額」「返済日」などが記載されています。

過払い金の計算を自分でする場合は、取引履歴に記載されている内容をベースにして行います。

取引履歴は、利用した貸金業者の店舗で入手できるほか、電話・インターネット・郵送・FAXなどでも取り寄せられます。

以前利用した貸金業者にコンタクトを取ることに抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、貸金業者には取引履歴を開示する義務があるため、必要以上に神経質になる必要はありません。(※平成17年7月の最高裁判決にて、貸金業者には取引開示義務がある旨の判決が出ています。)

ここで注意してほしいのは、取引履歴には「過払い金の有無」についての記載がされていない場合がほとんどである、ということ。

完済していれば、取引履歴の最終残高は「0(ゼロ)」と記載されているはずです。しかしそれは、貸金業者の利率で計算したものなので、実際には過払い金が発生しているケースも多くあります。

過払い金が発生しているのかどうかを確認するためには、少し面倒でも、やはり引き直し計算するしかありません。

また、場合によっては貸金業者から取引履歴の使用目的を聞かれる可能性もあります。そこで気を付けてほしいのは、「過払い金の請求のため」とは言わないようにすること。正直に理由を話してしまうと、後々の返還請求に支障をきたしてしまうこともあるため、「以前の取引記録を確認するために必要」といったようなほかの理由にしておくことをおすすめします。

エクセル

過払い金の計算を自分で行う場合は、エクセルの入ったパソコンも必要になります。これはなぜかというと、過払い金を計算するのに便利な各種計算機ソフトは、エクセルの計算機能を利用しているからです。

Windowsが搭載されているパソコンであれば、最初からエクセルがプリインストールされているケースも多いようです。もしパソコンに入っていない場合には、事前に用意しておくようにしましょう。

マイクロソフト公式サイトでは、クラウド型の「オフィス365」も入手できるので、複数のデバイスで利用したい場合にはとても便利ですよ。

過払い金を計算する計算機ソフト

過払い金の計算を自分で行う際に、エクセルに加えて必要なのが計算機ソフト。

「過払い金 計算機ソフト」で検索すると、無料でも利用できるものがいくつか見つかるはずです。

その中でも特におすすめなものを、いくつかご紹介しましょう。

名古屋消費者信用問題研究会

いわゆる「名古屋式」の過払い金計算機ソフトです。「取引履歴開示請求書」や「和解書」などの書式フォームも充実しています。

アドリテム司法書士法人・利息計算ソフト

こちらは、「外山式」と呼ばれている過払い金の利息計算ソフトです。司法書士の外山氏が作成しているソフトなので、安心して使用できますね。

TDONの引き直し計算ソフト

シンプルな作りですが、とても使いやすい「利息引き直し計算ソフト」がダウンロードできます。簡易ではありますが、過払い金でいくら返還される可能性があるのかもシミュレーション可能です。

過払い金を自分で計算(引き直し計算)する正しい方法と基礎知識

自分で引き直し計算を行い、返還されるべき過払い金をきちんと受け取るためには、正しい方法と基礎知識を身に着けておく必要があります。

こちらでは引き直し計算をする際に知っておきたい基礎知識と、計算方法について見ていきましょう。

グレーゾーン金利と利息制限法について

過払い金の引き直し計算を自分で行う場合、正しい知識を得ておく必要があるのが、グレーゾーン金利と利息制限法についてです。

グレーゾーン金利とは

グレーゾーン金利とは、利息制限法の金利はオーバーしているけれど、以前の出資法で定められていた金利の上限よりは低い金利のことです。

貸金業者の金利の上限は、出資法と利息制限法の2つの法律によって定められており、現在の上限金利は、出資法・利息制限法ともに15~20%となっています。

しかし出資法の上限金利は、2006年12月に多重債務の深刻化を受けて貸金業法の改正が成立するまでは29.2%とされていました。(現在はこの上限金利は撤廃されています。)

また同じように、以前は出資法の利率が29.2%までは、刑事罰の対象とはなりませんでした。

そのため、利息制限法の利率15~20%は超えているけれど、刑事罰の対象にはならない出資法の上限金利29.2%を上手く利用することによって、違法な利益を得ていた貸金業者も多いのです。

利息制限法とは

利息制限法の上限金利は15~20%とされており、金額によって上限額が定められています。

具体的には、10万円未満の場合は20%以下・10万円以上100万円未満の場合は18%以下・100万円以上の場合は15%以下となっています。

過払い金を自分で計算(引き直し計算)するやり方

過払い金を自分で計算する場合は、前項でご説明した利息制限法の法定上限金利を用いて、引き直し計算を行う必要があります。

利益制限法の金利で計算した本来の正しい金額の総額と、実際に支払った金額の総額を差し引き計算することによって、過払い金返還額が算出できるのです。

計算例①

借入額150万円(グレーゾーン金利29.2%)
借入期間1年間
実際の返済総額 1,938,000円(内訳:150万円×29.2%×1年で計算)
※ここでは計算を簡単にするため一括返済としています。

引き直し計算を行った正しい返済総額 1,725,000円(内訳:150万円×15%×1年で計算 ※利息制限法で計算すると、借入額150万円の場合は、金利が15%以下となります。)

グレーゾーン金利での返済総額1,938,000円ー本来の返済総額1,725,000円=213,000円が過払い金となります。

計算例②

借入額20万円(グレーゾーン金利28%)
借入期間1年間
実際の返済総額 256,000円(内訳:20万円×28%×1年で計算)
※ここでは計算を簡単にするため一括返済としています。

引き直し計算を行った正しい返済総額 236,000円(内訳:20万円×18%×1年で計算 ※利息制限法で計算すると、借入額20万円の場合は、金利が18%以下となります。)

グレーゾーン金利での返済総額256,000円-本来の返済総額236,000円
=20,000円が過払い金となります。

エクセルを用いて引き直し計算するには

エクセルを使った引き直し計算(※「名古屋式」の場合)には、消費者取引履歴と週払い金計算表も必要になります。

消費者取引履歴の入手方法は前項でもご説明した通りですが、週払い金計算表は、名古屋消費者信用問題研究会のサイトからダウンロードして使用します。

週払い金計算表には、借入を行った年月日・借入金額・弁済額(実際に返済した金額)を記入して、残元金がマイナスとなるまで、繰り返していきます。最終的にマイナスで算出された金額が、過払い金となります。

自分で引き直し計算ができない方は代行しましょう。

ここまでご説明してきたように、引き直し計算自体はそこまで難しいものではありません。しかし場合によっては、専門家に代行をお願いしたほうがいいケースもあるのです。

弁護士や司法書士に代行してもらった方が良いケース

過払い金返還に関する専門的な知識を持っているのは、弁護士や司法書士ですが、具体的にはどのようなケースの場合に代行依頼を考えるべきなのでしょうか?

同じ業者からの借入・返済を繰り返している場合

過払い金の請求には時効があります。そのため、同じ業者からの借入・返済を繰り返している場合には、時効になっているかどうかの判断が難しくなる場合が多いのです。

どの取引が時効になっているのか、自分ではわからなくなってしまっている場合には、やはり専門家への代行を検討したほうがいいといえます。

返済の遅延や延滞を起こしている場合

遅延や延滞を起こしたことがある場合には、貸金業者によっては遅延損害金利率の適用を求められることがあります。

このようなケースの場合、自分ではどうすることができなくても、弁護士や司法書士が入ることによって、遅延損害金利率の適用を回避できるケースも少なくありません。

取引履歴が手に入らず、過払い金の「推定計算」が必要になる場合

借入日や借入額、利率がかかれている取引履歴は、引き直し計算に欠かせないものです。しかし、貸金業者によっては、一定の期間が経過した後に取引履歴を処分している場合もあります。

このようなケースの場合には、わかっている範囲の情報や通帳をもとにして過払い金を推測する「推定計算」を行わなければなりません。「推定計算」は非常に難しい部分も多いため、専門家である弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。

引き直し計算を代行してもらうメリット・デメリット

自分でも過払い金の引き直し計算をすることは可能ですが、やはりベストなのは、弁護士や司法書士に代行してもらうことです。では具体的に、引き直し計算の代行を依頼する場合のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

引き直し計算を代行してもらうメリット

引き直し計算の代行を依頼することによって得られるメリットには、次のようなことが挙げられます。

正確な引き直し計算結果がわかる

過払い金の専門家である弁護士や司法書士が引き直し計算を行うので、正確な計算結果が得られます。

自分で計算する手間が省ける

エクセルや計算機ソフトを利用すれば、ある程度は自分でも引き直し計算はできますが、手間もかかります。過払い金の代行を依頼することによって、面倒な計算や手続きを省くことができるのです。

引き直しのあと請求まで行ってくれる(料金別途)

過払い金を返還してもらうためには、引き直し計算をした後に、貸金業者に請求を行う必要があります。

弁護士や司法書士に引き直し計算を依頼した場合には、貸金業者への請求も併せて依頼できるので、さらに手間が省けます。(※費用は別途必要になります)

引き直し計算を代行してもらうデメリット

では引き直し計算の代行を依頼することのデメリットはなんでしょうか?

過払い金の引き直し計算を弁護士に依頼しても費用が掛からない事務所も多く、引き直し計算だけを行ってもデメリットはほぼありません。

ただし、引き直し計算を行った後に、過払い金請求を依頼するというケースは多いため、計算の段階からきちんとした事務所を選ぶことは重要です。

まとめ

過払い金の引き直し計算は、エクセルや計算機ソフトを利用して、自分で行うことも可能です。

しかし、そのためには自分で貸金業者に取引履歴を請求することに加えて、グレーゾーン金利や利息制限法、出資法についての知識も必要です。また、状況によっては、弁護士や司法書士に代行を依頼したほうがいい場合もあります。

過払い金の代行依頼には費用も必要ですが、正しい金額がわかる・計算の手間が省けるなどのメリットも多いので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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