自己破産

自己破産者リストとは?

自己破産のデメリットとして、官報に個人情報が掲載されてしまいます。官報は、本来国の機関紙ですが、自己破産者がわかるので自己破産者リストと捉えられます。会社や家族、友人にバレるのではと心配になっている方も多いはずです。実際、官報はどのようなものなのか、リスクやデメリットはあるのかを理解しておく必要があります。

本記事では、自己破産者リストとしても使われる官報について、官報とは何かとともに、リスクやデメリットなどを解説します。官報掲載で自己破産するか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

目次

自己破産者リストにも使われる官報とは

自己破産者情報が掲載されることから、官報は自己破産者リストと捉えることができます。官報は多くの方に馴染みのないものであり、どのようなものか知らない方も多いでしょう。まずは、官報とはどのようなものかをおさえていきましょう。

官報は国の機関紙

官報とは、国の機関紙のことで、独立行政法人国立印刷局が編集・作成し内閣府が発行しています。国の重要事項を広く国民に周知する目的で発行されており、一般的な団体が発行する機関紙のように団体の特徴や魅力を紹介するものではありません。

官報に掲載される主な内容は、告示・官庁報告・公告の3つです。

  • 告示:法令に基づく届け出や法令の変更など
  • 官庁報告:各省庁からの報告
  • 公告:裁判所が行った各種手続き、民間会社の合併などの報告

告示・官庁報告については、法令や各省庁の決定など国全体についての内容となっています。官報が自己破産者リストと捉えられるのは、広告において裁判所が行った各種手続きを掲載されるからです。自己破産についての報告が広告に含まれており、個人を特定できる情報が掲載されます。

必ず記載される項目は、自己破産者の氏名・住所です。住所については、「教員宿舎」「公務員住宅」など職業を連想される情報もそのまま記載されます。官報を閲覧する人によっては、自身の職業を特定されるリスクがあります。その他には、事件番号・決定年月日時・決定の内容等・裁判所名が記載されます。

官報に掲載される期間

いつまで官報に自己破産者としての情報が掲載されるかは、明確に定められていません。官報は紙媒体であり、実物が残っているならば、自己破産情報も消えないことになります。長期間情報は残り、いつ消えるかを予想できないので、半永久的と言えるでしょう。

ただし、無料で閲覧できる期間は掲載されてから30日間と定められています。官報への掲載は、自己破産手続きを開始したタイミング、免責許可が決定したタイミングの2回があります。それぞれのタイミングで30日間の無料掲載が行われるので、その間は誰にでも見られる可能性があると言えます。

無料掲載期間を過ぎても、官報から情報が削除されるわけではありません。有料サービスとして官報を請求でき、昭和22年5月3日分から内容を確認できます。昭和にさかのぼれることからも半永久的に情報が残ることを読み取れます。

官報を閲覧する方法

官報を閲覧する方法は、図書館・官報販売所・インターネット版官報の3つです。図書館では、すべての図書館ではありませんが、官報を閲覧することができます。ファイリングされて並んでいることもあれば、マイクロフィルム化されていたり、書庫にしまわれていたりします。図書館員に問い合わせることで利用できるので、身近な図書館が官報に対応していたら、気軽に閲覧可能です。

官報販売所とは、官報を専門に取り扱う機関で、全国官報販売協同組合が運営しています。全国に官報販売所が設置されており、官報を購入できます。定期購読を申し込むこともできるので、日常的にチェックしたい方に向けても官報を提供しています。

国立印刷局が提供するインターネット版官報では、直近30日分の官報の無料閲覧や過去の官報の検索ができるインターネットサービスです。直近30日分の官報については、トップページから簡単に調べることができます。過去の官報情報は、有料の「官報情報検索サービス」を利用すれば検索可能です。日付やキーワードなどで絞り込めるので、ピンポイントで自己破産者かどうかを調べられます。

インターネットで自己破産情報を調べられるということは、インターネット検索でも引っかかるのではと不安に思った方もいるでしょう。インターネット版官報で提供される官報情報はすべてPDFデータなので、文字列でインターネット検索に引っかかることはありません。

官報以外にもいくつかのリストに載る

自己破産者リストと捉えられる官報ですが、自己破産をするとその他にもいくつかのリストに載ります。主なリストは、ブラックリスト・破産者名簿の2つです。

ブラックリスト

ブラックリストは、自己破産以外にも、クレジットカードの返済をしなかったり、ローンを支払わなかったりした時にも掲載されるリストで、信用情報に傷がついたときにリストアップされます。

自己破産においては、支払い義務を免除されるものの、クレジットカード会社やローン会社への借金は残り、金融事故と扱われ、ブラックリストに登録されます。信用取引の審査において、信用を図るために使われるので、第三者の信用情報を照会することはまずありません。

破産者名簿

破産者名簿は、官報と混同されやすいリストのひとつです。破産者名簿は、国ではなく、自己破産者の本籍地にあたる市区町村の役場が作成・管理しています。自己破産による職業制限に当てはまるかを確かめるために利用され、市区町村の内部のみで管理されるのが基本です。「身分証明書」という書類には自己破産者かどうかが記されていますが、本人または配偶者・父母・祖父母・子ども・孫といった身近な人しか請求できないので、第三者に見られることはほとんどありません。

また破産者名簿は、自己破産者全員が掲載されるのではなく、自己破産を免責不許可になったものだけが掲載の対象です。自己破産を申し立てると約95%以上が免責を許可されると言われており、そもそも破産者名簿に載らないことの方が多くなっています。

自己破産者リストとして官報に掲載されるリスク

官報は国の機関紙であり、図書館や官報販売所、インターネット官報などで閲覧できるようになっています。第三者の目に触れる可能性がありますが、どのような影響があるのでしょうか。官報に掲載されるリスクを説明していきます。

悪徳な業者などが官報をもとに近づいてくるかもしれない

官報はチェックしている人として、悪質な業者などが考えられます。次の項目で詳しく説明しますが、自己破産をすると、財産を失ったり、クレジットカード・ローンを利用できなくなったりします。借金が帳消しになり再スタートを切れるとはいっても、住宅・自動車をすぐに購入して元の生活に戻すのは難しいでしょう。

自己破産前に比べると、生活に不便が生じるシーンが増え、そこに悪質な業者がつけこんでくるかもしれません。インターネット版官報の無料掲載などで氏名・住所を特定し、「自己破産していてもお金を貸せる」「ローンを組める」などの提案を持ちかけてくる可能性があります。引っかかってしまい自己破産前の状態に逆戻りする可能性もゼロではないので、甘い誘いに乗らないように注意しましょう。

職種によっては閲覧されることがある

日常的に官報を閲覧する人は多くありませんが、職種によっては仕事に必要で確認している場合があります。主な職種は、市区町村役場・税務署・信用情報機関・金融業・警備会社・保険会社などです。

もし官報を日常的にチェックする業種に、配偶者や家族、親せき、友人などが従事していたら、自己破産した事実を知られるかもしれません。

家族や友人などが検索する機会はほとんどない

悪徳な業者や一部の職種では、官報を見る機会がありますが、それ以外の人が官報を閲覧する機会はほとんどありません。官報自体を知らず、図書館での開示や官報販売所、インターネット版官報について知っている人は少ないでしょう。

官報に載ることは自己破産者のデメリットと紹介されることが多いですが、第三者が自己破産者情報を調べていることは少ないので、知らぬ間に自己破産したことがバレているということはほとんどないはずです。

自己破産者リストに載る以外のデメリット

自己破産者リストと捉えられる官報は、一般的に見られる機会は少ないです。しかし、閲覧されると不利になるおそれもあり、自己破産のデメリットと言えます。自己破産にはその他にも覚えておきたいデメリットがあるので、しっかり把握しておきましょう。

財産を失う

自己破産のデメリットとして、一定の財産を失います。債権者への返済を行うために財産を失い、残りの債務を免除されるのが自己破産です。財産と一口に言っても、お金や住宅、自動車、保険など多岐に渡ります。

まずお金については、現金は99万円以下の現金は残せます。無一文になることはありませんが、一定の現金しか維持できず、99万円以上現金を所持している場合は、処分されてしまいます。預金は20万円以上持っていると処分の対象になります。口座残高を合計して20万円以上だと、口座を解約し、債権者への返済に充てられます。

住宅は、ほとんど処分を免れることができない財産です。住宅ローンが残っていれば当然ローン会社が手放すことになりますが、ローンを完済していても返済に充てる十分な価値があると認められ、任意売却や競売といった方法で換価されます。

自動車は、預金と同様に、20万円以下の価値なら手元に残せます。20万円以上の価値があると査定された自動車や自動車ローンを支払い中の車については、住宅と同じく価値を認められ、処分を避けられません。

保険についても、20万円がボーダーラインで、解約返戻金が20万円以上あると財産として扱われ、解約・換価によって債権者に分配されます。

クレジットカードをつくれない

自己破産によって登録されるブラックリストは、信用情報機関が管理しており、信用取引の審査において、クレジットカードやローンなどを利用するのに値するかを判断するために参照されます。主な信用情報機関は、JICC(日本信用情報機構)・CIC(株式会社シー・アイ・シー)・KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあり、JICCとCICには5年、KSCには10年、ブラックとして登録されることになります。

ブラックリストから抹消される5年~10年の間は、信用を得られない期間であり、クレジットカードをつくることができません。商品の購入や契約、サービスの予約などが不便になり、現金で購入するしかなくなります。

ローンを組めない

クレジットカードと同じく、信用情報を重視するローンは組むことができません。自己破産で失った住宅や自動車を再度購入しようとしても、5年~10年の間は難しく、現金で購入する必要があります。

また、5年~10年を経過してブラックリストから抹消されたとしても、信用実績が不足していて、審査に通らないこともあるので、まずクレジットカードなどで利用・返済の実績を積み、ローンを組むための信用をつくりましょう。

保証人、連帯保証人になれない

信用情報は、保証人または連帯保証人に適しているかを審査する場合にも参照されます。クレジットカードやローンと一緒で、5年~10年の間は保証人または連帯保証人の審査に通ることは難しいです。

保証人または連帯保証人になる場面としては、子どもの奨学金を借りる時や賃貸契約を結ぶ時などがあります。親せきや友人の保証人または連帯保証人であれば断ることも可能ですが、子どもに関わる部分では本人はなれないので、配偶者や家族などに頼まなくてはいけません。

復権するまで職業の制限を受ける

自己破産手続きを開始し、免責が許可される復権するまでの間、一部の職業に制限を受けます。士業などの職業に制限を受けるので、従事している方や資格を有している方にはデメリットとなります。主な制限を受ける職業を下記の表でご確認ください。

制限を受ける職業 弁護士・弁理士・行政書士・司法書士・税理士・商工会議所会員・証券会社外務員・生命保険募集人・質屋・警備員・風俗営業管理者 など
制限を受けない職業 医師・看護師・薬剤師・建築士・教員・地方公務員・国家公務員 など

自己破産者リストに載っても自己破産するメリット

自己破産者リストに載るからといって、自己破産を避けるのは稀です。自己破産者リストの影響をおそれるあまり、さらに借金がかさんでしまえば元も子もありません。自己破産者リストに載ることを恐れず、自己破産するメリットをご紹介します。

自由財産は残すことができる

自己破産者リストに載ることだけでなく、財産を失うことも気になるデメリットでしょう。一切の財産を失うのではなく、手元に残せる自由財産が定められています。20万円以下の自動車・保険なども自由財産のひとつで、自己破産をして何もかも失うのではありません。自由財産の種類を表にまとめましたので、ぜひ確認しておきましょう。

新得財産 自己破産後に新たに取得した財産
差押禁止財産 生活必需品など差し押さえを禁止された財産
99万円以下の現金 99万円以下なら現金も手元に残せる
自由財産の拡張を認められた財産 自由財産に含まれないものの、拡張の申請を認可され、自由財産と認められた財産
破産財団から放棄された財産 換価処分されずに放棄された財産

自己破産の申し立てで取り立てが止まる

自己破産は弁護士や司法書士に依頼するのが一般的で、依頼を受任したと同時に、債権者から取り立てが止まります。官報に載ることで悩み、借金が増え続けると、取り立てによる精神的なストレスも積み重なっていくでしょう。

自己破産の目的は、何より借金をなくし再スタートを切ることであるはずです。見られる機会の少ない官報であれば、載ったとしても大きな影響はないので、自己破産を申し立て、取り立てを止めるのが得策でしょう。

制限される職業に就かない場合は影響がない

自己破産リストとして官報や破産者名簿に掲載されて、第三者に知られるリスクは確かにありますが、見られたとしても直接的な影響は少ないです。

前述した職業に関する資格を有していない方、制限を受けない職業に就いている方にとっては、職業制限の影響を受けません。官報に載るから自己破産に悩む理由はなく、取り立てのストップや債務整理を実現するために、速やかに申し立てを行うのが最善の方法でしょう。

まとめ

本記事では、自己破産者リストと捉えられる官報について詳しく解説しました。

官報は国の機関紙であり、本来は国の重要事項を周知するものですが、自己破産者の情報が一定期間無料で掲載され、図書館や官報販売所などで閲覧することができます。悪徳な貸金業者や職種によっては普段から閲覧しているので、自己破産者であることを知られるリスクがあります。

それ以外にもデメリットがあり、財産を失うことやクレジットカード・ローンを利用できないことなどは、自己破産を検討する上で知っておきましょう。

自己破産リストとして官報に載ること自体は、閲覧されにくいこともあり、大きなデメリットではありません。自由財産の維持や取り立てのストップなどのメリットをおさえて、自己破産を前向きに検討してみましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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