自己破産

自己破産するとどうなるの?

突然ですが、自己破産と聞くとどのようなイメージを抱くでしょうか。

きっと、多くの方が 「自己破産をすると周囲に多大な迷惑がかかるんじゃないか…」
「自己破産をしたことが会社に知られたらクビになってしまうんじゃ…」
などといったマイナスのイメージを抱いているはず。

しかし、実際には上記のようなことはありません。

そこで今回は自己破産に関する勘違いを正す上でも、自己破産をするとどうなるのか、具体的にどんなメリットやデメリットがあるのか、その他抑えておきたいポイントについてわかりやすくまとめてみました。

目次
  1. 1. 自己破産とは
  2. 2. 自己破産が認められないケース
    1. 2.1. 財産の隠匿
    2. 2.2. 換金行為
    3. 2.3. 特定の債権者に対する弁済行為
    4. 2.4. 浪費やギャンブルが原因で債務を負った場合
  3. 3. 自己破産の手続の種類について
    1. 3.1. 管財事件(管財手続)とは
    2. 3.2. 同時廃止(同時廃止手続)とは
    3. 3.3. 少額管財とは
  4. 4. 自己破産のメリット
  5. 5. 自己破産のデメリット
    1. 5.1. 借入が約7年間できなくなる
    2. 5.2. 住所や氏名が官報に載る
    3. 5.3. 手続きが終わるまで就けない職がある
  6. 6. 自己破産で気になる5つのこと
    1. 6.1. 会社をクビになるのか、会社に知られずに破産手続きはできるのか
    2. 6.2. 家族に知られずに自己破産はできるのか
    3. 6.3. 賃貸契約や携帯電話の契約ができなくなる
    4. 6.4. 住居や車は没収されてしまうのか
    5. 6.5. 海外に行くことができなくなるのか
  7. 7. 自己破産における注意点とは
    1. 7.1. 税金など一部免除にならない債務もある
    2. 7.2. 自宅の立ち退きは任意売却がおすすめ
  8. 8. 自己破産の流れについて
    1. 8.1. 裁判所に申し立てを行う
    2. 8.2. 破産開始をするか否かの判断を受ける
    3. 8.3. 破産手続きの開始が決定する
    4. 8.4. 債務の免責可否を決定する
  9. 9. 自己破産に必要な費用について
  10. 10. 自己破産の申し立てを行う前に
    1. 10.1. 本当に支払不能に陥っているか
    2. 10.2. 他の債務整理方法について調べたか
    3. 10.3. 過払い金の発生有無を調べたか
  11. 11. まとめ

自己破産とは

そもそも、「自己破産」とはどういう状態を指すのでしょうか。

自己破産を簡単に説明すると、あらゆる点を考慮しても借金の返済が不可能であると判断された場合に裁判所を通じて、支払い義務を免除してもらう手続きのことを指します。

自己破産をするには、自ら裁判所に対して「破産申立書」という書面の提出を行い、「免責許可」をもらう必要があります。

また、税金以外の債務がすべて免除される代わりに、一定以上の価値が認められる財産(日常使いしないに適さない高価な家電や、不動産など)は手放さなければなりません。

免責許可についても、破産申立書を出したからといって必ずしも認めてもらえるものではなく、裁判官が受理するかどうかの判断を下します。

自己破産が認められないケース

先述したように、裁判所に申し立てをしたからといって誰しも自己破産ができるわけではありません。

自己破産はどう頑張っても借金を返済することが不可能である場合、つまり借金整理における最終手段といっても過言ではないのです。

そのため、「免責不許可事由」と呼ばれる、自己破産が認められないケースがいくつか定められています。

ここでは、免責不許可事由に該当するものを確認していきましょう。

財産の隠匿

自己破産を申し出ると、個人の財産をほぼすべて裁判所に差し出すことになります。

この際、差し出すのが嫌だからと意図的に隠したり、破損させたりして債権者の邪魔をしようとした場合、当然ながら免責は認められません。

換金行為

一例として、クレジットカードで買い物をし、その商品をクレジット代金が完済される前に売却して現金化を図るような行為が行われた際も免責が認められなくなります。

特定の債権者に対する弁済行為

本来、自己破産をするとすべての債権者は債権額に応じて平等に配当を受け取ることができます。

にも関わらず、自己破産直前に特定の債権者に対して弁済を行うと、先程述べた平等性が失われることになりかねません。

そのため、特定の債権者に対して債務を弁済する行為が行われた場合も免責不許可事由に該当します。

浪費やギャンブルが原因で債務を負った場合

借金の主たる原因が浪費やギャンブルである場合、免責不許可事由に該当します。

とはいえ、浪費やギャンブルによる借金が必ずしも免責不許可事由に該当するわけではなく、その額が大幅に支払い能力を超えている場合など一定のケースが定められています。

自己破産の手続の種類について

自己破産には大きく分けて、以下2つのケースが存在します。

  • 管財事件(管財手続)
  • 同時廃止(同時廃止手続)

また、個人の破産においては管財事件であっても「少額管財」という制度が用いられるケースがほとんどです。

それぞれ見ていきましょう。

管財事件(管財手続)とは

「管財事件」とは、破産手続の基本型です。

管財事件では裁判所を通じて破産管財人が選任された後、破産管財人が財産の調査・処分を行った上で債権者に対し返済を行います。

多くのケースでは破産管財人に弁護士が選ばれることから、弁護士に対する依頼費用(=予納金)を破産申立人が用意しなければなりません。

とはいえ、破産申立人の中には予納金の捻出すら厳しい方がいるのも事実です。

その場合は後述する「同時廃止」という、破産管財人を専任せずに自己破産を行う方法を選択することになります。

同時廃止(同時廃止手続)とは

同時廃止とは、破産管財人を立てる予算がない場合に行われる自己破産手続きのことを指します。

同時廃止の場合、管財事件に比べ予算が安く済むことに加え、破産手続きが完了するまでの期間が短いことも特徴です。

少額管財とは

少額管財とは破産管財人の業務負担を減らす代わりに、予納金を安く抑えた自己破産手続きのことです。

少額管財では最低予納金が20万円程度に設定されていることが多く、自己破産の申し立てをしたい個人の方でも利用しやすくなっています。

少額管財における予納金の額は裁判所や案件によって異なりますので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

自己破産のメリット

先に自己破産のメリットからご紹介します。

自己破産における一番のメリットはなんといっても、借金の返済義務がなくなることです。

借金がゼロになるので、自己破産後は取り立てに追われることも、返済地獄に陥ることもありません。

もちろん、自己破産をする上で一定の財産はすべて差し出さなければなりませんが、生活に最低限必要なものはきちんと手元に残ります。

また、自己破産開始の手続きから完了するまで相応の時間がかかることから、その後の生活費を心配するかもしれません。しかし、手続きが完了してしまえば収入を貯金に回すことだって可能です。

借金で首が回らなくなり、自ら命を断ってしまうような最悪の結末を避けるために、自己破産制度があるといっても過言ではないのです。

自己破産のデメリット

自己破産にはメリットがある一方、デメリットも存在します。

ここでは主なデメリットについて取り上げてみました。

借入が約7年間できなくなる

一度自己破産をすると、信用情報機関にその旨が記載されます。

信用情報機関とは、銀行や消費者金融をはじめとした金融機関が構成しているデータベースのことを指し、審査の際に利用されることが一般的です。

俗に言う「ブラックリスト入り」とはこのデータベースに載ることを示しており、自己破産から約7年ほどの間は金銭の借り入れが難しくなります。

とはいえ、自己破産を経て再スタートを切らなければならない状況下で借入を当てにしないためにも、ある意味でよい制限といえるかもしれません。

住所や氏名が官報に載る

自己破産手続きを行うと破産者の住所や氏名が、国が発行する「官報」という機関誌に掲載されます。

とはいえ、官報は書店やコンビニで販売されているものではなく、販売場所が限られていることから一般の人の目に触れることはほとんどありません。

そのため、官報への掲載をもって自己破産をしたことが周囲の人に知られてしまうといったケースは、非常に稀であるといえるでしょう。

手続きが終わるまで就けない職がある

自己破産の手続きを行うことによって「制限職種」と呼ばれる、手続き中に就くことができない職業があります。

具体的には保険の外交官をはじめ、警備会社の警備員や宅建士などが該当します。

万が一、手続きを受ける時点で制限職種に該当する場合には手続きが終わるまで一時的に離職するか、資格を使わずに仕事をする必要があります。

自己破産で気になる5つのこと

デメリットを把握したところで、自己破産の申し立てにあたってよく挙がる疑問についてあわせて確認しておきましょう。

会社をクビになるのか、会社に知られずに破産手続きはできるのか

自己破産の申し立てをしたことが会社に知れたら、クビを切られるのではないかと不安を抱いている方もいるかもしれません。

結論から言えば、自己破産したことを理由として会社から解雇を言い渡されることはありません。自己破産は解雇の正当理由として認められないからです。

また、会社から借入をしていない限り、自己破産をしたことが会社に知られる可能性は限りなく低いといえるでしょう。

とはいえ、破産手続きを進める上で退職金額の証明書を求められるケースがあります。その場合には、会社に破産の事実を伝えずに証明書を取得するのは難しいかもしれません。

家族に知られずに自己破産はできるのか

自己破産手続きを行う際、同居する家族の収入がわかる書類の提出を求められることから、家族に知られずに自己破産を行うことは難しいといえます。

とはいえ、自己破産後の生活を立て直す上で家族の理解および協力を得ることは欠かせません。

いま一度きちんと向き合った上で、家族と話をするようにしましょう。

また自己破産後に信用情報機関に破産情報が載ることから、当面の間あなた自身は借り入れが難しくなったり、クレジットカードの審査に通りにくくなったりすることは先に述べたとおりです。

とはいえ、あくまでそれは本人に限った話であって、配偶者や家族に影響をおよぼすことはありません。

賃貸契約や携帯電話の契約ができなくなる

基本的には、自己破産をしたことで賃貸契約や携帯電話の契約に支障が出ることはありません。

しかしながら、信用情報機関に破産情報が登録されている間は、保証会社の審査に通らない可能性が高くなります。

そのため、賃貸契約を結ぶ際は保証会社を間に挟まずに済む物件を探したほうがよいでしょう。

また携帯電話についても以前に料金の滞納等を起こしていた場合には、そのキャリアで新規に契約を締結することが難しい場合があります。

機種の分割払いも認められないケースが多いことから、格安携帯を利用するなど何らかの工夫が必要です。

住居や車は没収されてしまうのか

自己破産を申し立てることにより、基本的に住宅は競売にかかります。

そのため、住居を手放さずに自己破産を行うことはまず難しいといえるでしょう。とはいえ、買い手が見つかるまではもちろん住み続けることができます。

車についても、ローン支払い中であればローン会社に引き上げられるケースが大半です。

しかし、ローンをすでに完済済みでかつ、市場価値がないような車(購入からそれなりの年数が経過している車)については手放す必要はありません。

海外に行くことができなくなるのか

自己破産をしたからといって、パスポートを没収されたり、国外にいけなくなることはありません。

破産管財人がついている間は旅行・出張で海外にいくにあたり、裁判所に事前申告をすることが必要にはなりますが、破産手続きの完了後はそのような申し立ても不要となります。

自己破産における注意点とは

ここでは自己破産をするにあたって、抑えておきたい注意点をまとめてみました。

税金など一部免除にならない債務もある

自己破産をしたとしても、すべての債務が免除になるわけではありません。

税金や公的年金などの国や自治体に納めなければならない、債務の大半は免除の対象に該当しないので注意しましょう。

また、当然ながら養育費をはじめとした扶養義務にかかる債務もなくなりません。

自宅の立ち退きは任意売却がおすすめ

自己破産の手続きをすると、遅かれ早かれ自宅を手放す必要が出てきます。

その際、破産管財人に自宅を任意売却するのか競売にかけるのか聞かれることがあれば、できるだけ任意売却を選択することをおすすめします。

結論として、いずれの場合も自宅を手放すことにはなりますが、一般的には任意売却のほうが自宅を手放した後の転居費用の交渉をしやすくなるといわれています。

自己破産の流れについて

具体的な自己破産の流れについては以下のとおりです。

  • 裁判所に申し立てを行う
  • 破産開始をするか否かの判断を受ける
  • 破産手続きの開始が決定する
  • 債務の免責可否を決定する

裁判所に申し立てを行う

自己破産を希望する場合には、債務者が住んでいる地域を管轄している地方裁判所に対し、破産手続開始の申し立ておよび免責許可の申し立てを行う必要があります。

なお、厳密には破産手続開始の申し立てをした時点で、免責許可の申し立てもされたものとみなされます。

地方裁判所ごとに申立書の記入手順等が異なるだけでなく、用意しなければならない書類も多岐に渡ることから、できれば申し立て前に司法書士や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。

破産開始をするか否かの判断を受ける

破産手続きを受けるにあたって、十分な資料が揃ったところで裁判所に対して申し立てを行います。

裁判所は提出された書類をもとに、破産開始の手続きをするか否かの判断を下します。

通常は申し立てから1ヶ月ほどの期間を置いて、裁判所から呼び出しがかかります。その上で自己破産の申し立てについて様々な質問がなされ、本当に支払不能の状況下にあるのかを総合的に判断されることになります。

破産手続きの開始が決定する

裁判所の裁判官によって、破産手続きの開始を始めるに値すると判断されて初めて、破産手続きが正式にスタートします。

ここで、あなたがある程度の財産を有していることが認められれば、破産管財人が選出され、個人の場合には少額管財の手続きが進められることがほとんどです。

なお、少額管財にも該当しないほど手持ち資金がない場合には、同時廃止の手続きが進められます。

債務の免責可否を決定する

破産手続きの開始が決定した後、債務を免責するかどうかの判断がなされます。

ここで無事に裁判所から免責を認める上の判断がなされれば、抱えている債務がすべて消滅することになります。

自己破産に必要な費用について

さて、気になる費用についてですが、自己破産をする上で必要となる費用は次の通りです。

  • 収入印紙代
  • 予納金(破産管財人の選出に必要な資金)
  • 予納郵便代

収入印紙代はだいたい1,000円前後、予納郵便代として数千円から1万円ほどかかります。

なお、予納金の金額は地方裁判所ごとに異なりますが、同時廃止であれば破産管財人が不要であるため数万円程度で収まります。また、少額管財の場合も大半は20万円以内です。

ただし、少額管財ではなく一般的な管財手続の場合にはそれ相応の費用が必要となりますので、あらかじめ大体予算がいくらぐらいかかるのか初回の相談時に確認しておくとよいでしょう。

とはいえ、個人の場合には少額管財で行うケースがほとんどですので、そこまで過度に不安になる必要はありません。

自己破産の申し立てを行う前に

自己破産の申し立てを行う前に、以下3点について今一度確認しておきましょう

  • 本当に支払不能に陥っているか
  • 他の債務整理方法について調べたか
  • 過払い金の発生有無を調べたか

本当に支払不能に陥っているか

先述したように、自己破産は借金制度における最終手段ということができます。

そのため、真に支払不能であると判断された場合でなければ、自己破産といった手続きを取ることはできません。

ちょっと努力すればなんとか返済できそうな場合や、任意整理で事が解決しそうな場合には自己破産を利用することは不可能です。

そのため、あなた自身が本当に支払不能といえるだけの状況にあるのかどうか、いまいちど考えてみてください。

他の債務整理方法について調べたか

借金の負担を減らす方法は、なにも自己破産だけに限りません。

いきなり自己破産を検討するのではなく、まずは弁護士や司法書士といった専門家に相談することから始めましょう。

自己破産以外で、あなたに適した解決方法が見つかるかもしれません。

過払い金の発生有無を調べたか

長期間にわたって借金を有している方の中には、過払い金が発生しているケースが多く見受けられます。

中には過払い金の回収・精算をすることによって自己破産に至らないこともあることから、まずは過払い金が本当にないのか確認することをおすすめします。

まとめ

今回は自己破産をするとどうなるのかということに加え、デメリットや具体的な流れ等についてお伝えしました。

自己破産は決して後ろ向きなものではなく、借金問題にケリを付けて心機一転、前を向いて進んでいきたいあなたを応援するための制度をいえます。

最初から最後までひとりでやるにはとても骨の折れる作業となることから、まずは最寄りの法律事務所へ足を運んでみることをおすすめします。

いままさに自己破産を検討している方はもちろん、自己破産について詳しく知りたいと思っているあなたに今回の記事が少しでも参考となっていたら幸いです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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