自己破産

自己破産を裁判所で行う流れは?申立費用や面接で聞かれることって?

多重債務や返済能力を大きく超える借金を背負ってしまった場合には、自己破産をすることで返済義務が免除されます。

ただ、裁判所で申し立てをすればすぐに返済義務がなくなるというわけではありません。

申し立ての準備をするのにも時間がかかりますし、申し立てをしてから免責許可(借金の返済義務の免除を裁判所が決定すること)が下りるまでにもそれなりの期間がかかるのです。

また、自己破産には「同時廃止」と「管財事件」という2つの手続きがあり、どちらになるかによってもかかる期間や流れは違うので注意しましょう。

この記事では、どのような流れで自己破産の手続きが進むのかについて詳しく説明していきます。

申し立ての際に必要な費用や書類についてもあわせて説明しているので、自己破産を検討している人は参考にしてください。

目次

自己破産はどこの裁判所で申し立てをする?

最初に自己破産をしようと思った場合には、どこの裁判所に行けば良いのかを確認していきましょう。

一口に裁判所といっても様々な種類があり、場所によって取り扱っている事件が異なります。

申立書類なども裁判所の窓口で配布されているので、自己破産をするためにはどこの裁判所が管轄になっているのかをまずは確認することが重要です。

自己破産を管轄する裁判所

個人が自己破産の申し立てをするときには、債務者本人が住んでいる地域を受け持つ地方裁判所が管轄になります。

このことについて、破産法では次のように記載されています。

破産事件は、債務者が、営業者であるときはその主たる営業所の所在地、営業者で外国に主たる営業所を有するものであるときは日本におけるその主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

破産法 第5条

法律では「普通裁判籍」という言葉が使われていますが、住所を管轄している裁判所に申し立てをすると捉えて問題ありません。

そして、自己破産を扱うのは地方裁判所になるため、申し立ては住所を管轄する地方裁判所で行えば良いのです。

地方裁判所は各都道府県の県庁所在地(札幌、名古屋、さいたまなど)、および函館市、旭川市、釧路市に本庁が設定されています。

加えて203の支部(東京地裁立川支部など)も存在するため、合計は253ヶ所も地方裁判所はあるのです。

自己破産を管轄する裁判所が分からない場合の対処法

中には自己破産をどの裁判所で申し立てれば良いのかよく分からないという人もいるかもしれませんが、弁護士に手続きを依頼するのであればあまり気にする必要はありません。

法律事務所に相談をすれば適切な管轄の裁判所に申し立てをしてくれます。

例えば、自分自身が連帯保証人になっていて、主債務者が別にいる場合には主債務者の申立先にあわせて自己破産の手続きを進めることも可能です。

そのような場合でも弁護士に相談をしておけば適切に処理してくれるため、大きな心配はいらないでしょう。

裁判所で自己破産による免責許可が下りるまでの流れ

次に裁判所で自己破産の申し立てをすると、どのような流れで免責許可が下りるのかを見ていきましょう。

自己破産は管轄の地方裁判所によって運用が異なるケースもありますが、おおむね、次のような流れで手続きが進んでいきます。

【自己破産の流れ】

①管轄の地方裁判所で申し立てをする

自己破産に必要な書類や費用をそろえて、管轄の地方裁判所で申し立てをします。

法律事務所に依頼をしている場合には、書類作成、申し立てなども行ってくれるため、弁護士の指示に従っていれば問題ありません。

②申し立ての受け付け

書類などに問題がなければ破産申立が受け付けられます。

③破産手続開始決定

提出された書類や申立内容が確認された後、破産手続開始決定が下されます。

債権者へ分配できるような資産がないケースでは同時廃止になり、この破産手続開始決定と同時に⑤「破産手続きの廃止決定」となります。

④債務者の財産調査(管財事件の場合)

債権者に分配できるような財産がある場合、それらを調査、管理、配当するための弁護士(破産管財人)が選ばれ、同時廃止よりも手続きに時間がかかります。

調査の過程で最低1回は債権者集会が開かれ、債務者本人の出席も必須です。

⑤破産手続きの廃止決定

同時廃止では破産手続開始決定と廃止決定が同時に行われます。

また、管財事件で財産を調査した結果、配当するようなものがないと判明したケースでは異時廃止という形で破産手続きの廃止が決定されます。

お金に換えられるような財産があれば、換価処分をした上で債権者への配当が行われることになるのです。

⑥免責許可 / 不許可の決定

最終的には免責審尋で債務者を免責にすべきかどうかが判断されます。

裁判所によっては免責審尋に債務者が出席しないケースもありますが、東京地方裁判所などでは集団審尋という形で裁判官との面接が行われることになります。

自己破産の流れは「同時廃止」と「管財事件」で違う

ここまでも何度かふれましたが、自己破産の流れは「同時廃止」と「管財事件」で異なるので注意してください。

同時廃止で手続きを進めるか、管財事件とするかは裁判所が決定します。

管財事件になった場合には、「破産管財人候補者名簿」の中から今回の事件を担当する破産管財人が選ばれることになります。

その後、破産管財人と債務者本人、代理人弁護士の三者による面談が速やかに行われ、財産の調査が進められていくことになるでしょう。

また、管財事件では少なくても1回は債権者集会が開かれます。

債権者集会では破産管財人から債権者へ自己破産に至った経緯、財産の調査状況、配当の見込みなどについて説明され、債権者から債務者への質疑応答が行われるケースもあるので覚えておいてください。

管財事件では財産の調査、債権者集会を経て、免責すべきかを判断する免責審尋へと進むため、どうしても同時廃止よりも手続きに期間を要するのです。

裁判所が自己破産の免責を決定するまでの期間

裁判所が自己破産の免責を決定するまでの期間は、同時廃止で手続きが進む場合には早ければ3ヶ月程度です。

自己破産の申し立てから裁判所が破産手続開始決定をするまでは長くても1ヶ月程度になるでしょう。

同時廃止ではこの破産手続開始決定と同時に廃止になるので、申し立ての準備をする時間の方が長くなると思います。

書類作成などは法律事務所に任せておけば良いですが、必要な書類を集めるのは債務者本人が行わないといけません。

書類集めに時間がかかれば、その分だけ申し立ても遅れてしまうのです。

一方、管財事件になった場合には、破産手続開始決定から自己破産の手続き終了までにそれ相応の期間を要します。

所有する財産や債権者が多く調査、配当に時間がかかるケースでは1年近い期間を要することもあるのです。

ケースバイケースになってしまいますが、管財事件の場合には半年〜1年ほどかかると思ってください。

自己破産を裁判所で申し立てる際に必要な書類

自己破産を裁判所に申し立てるためには、次のような書類が必要で基本的には申し立てをする地方裁判所の窓口に行けば入手可能です。

【自己破産の申し立てに必要な書類】

破産手続開始及び免責申立書

自己破産の申し立てをする債務者の氏名や住所、債務総額などを記入します。

同時廃止と管財事件では使用する書式が異なるため注意してください。

陳述書

自己破産をするに至った理由やこれまでの経緯、現在の状況などを記入します。

債権者一覧表

法人と個人すべての債権者をまとめます。書式に従って借入時期、債務総額なども記載してください。

資産目録

所有している不動産、動産のすべてを申告します。形のあるものだけでなく、保険や売掛金なども記入する必要があります。また、過去に処分したものについても記入が必要な場合があるので書式に従って記入してください。

家計状況

債務者の家計(同一生計の全員を含めた世帯としての家計)について記入します。

指定された期間内の収支の状況などをまとめますが、管轄の地方裁判所によって直近1ヶ月分の場合、直近2ヶ月分の場合などがあるので注意が必要です。

これらは申し立てをする際に裁判所に提出をする書類です。

そのため、これらの書類を作成するための資料集めも必要になります。

例えば、給与明細書や確定申告書といった収入証明書、持っている銀行口座すべての預貯金通帳、自動車や不動産などの財産に関する資料(車検証や固定資産税証明書等)などです。

弁護士に依頼すれば集めてほしい書類の一覧表を作成してくれるはずなので、それに従って用意してください。

この書類集めに時間がかかってしまうと、申し立ても遅くなってしまいます。

申し立てをする地方裁判所や、各事案によっても必要になってくる書類は異なるので、分からないことがあれば弁護士に確認しながら進めていくと良いでしょう。

自己破産の申し立てで裁判所に支払う費用はいくら?

自己破産を裁判所で申し立てるためには、指定の書類だけでなく、費用を納める必要もあります。

管轄の裁判所によっても費用は若干異なりますが、それ以上に同時廃止で手続きが進むか、管財事件で破産管財人が必要になるかによってかかる費用が大きく変わるので注意してください。

管財事件になった場合には、裁判所へ支払う予納金の中に破産管財人への報酬も含まれます。

破産管財人がいない同時廃止であれば負担は少ないですが、その場合にも申立手数料、郵便費用、破産予納金(官報公告日)などは必要です。

自己破産が同時廃止になる場合の費用

以下は東京地裁本庁での同時廃止の手続きにかかる費用です。

【自己破産で裁判所に支払う費用(東京地裁本庁の場合)】

  • 申立手数料(収入印紙)・・・1,500円分
  • 予納郵券(郵便切手)・・・4,100円分
  • 官報公告費(現金)・・・10,000円程度

※ 費用は裁判所によって異なります。官報公告費は基本的に現金で用意するため、事前に確認した上でお釣りの出ないように準備してください。

申し立てをする裁判所によっても違いますが、同時廃止であればおおむね10,000円〜15,000円程度の負担で済むでしょう。

手続きを弁護士に依頼している場合には、これに加えて弁護士への報酬も必要になります。

自己破産が管財事件になる場合の費用

同時廃止については負担が少なかったものの、管財事件の場合には予納金が高額になります。

こちらも裁判所による違いはありますが、東京地裁では最低20万円の予納金が必要です。

東京地裁では管財事件が「少額管財」と「通常管財」の2つに分かれます。

少額管財は個人や零細企業でも自己破産の手続きを取りやすくするための運用であり、債務総額がそこまで高額ではない個人が申し立てるケースでは、この少額管財になることが多いでしょう。

少額管財の費用

少額管財になる場合には予納金として最低20万円が必要です。

申立手数料、予納郵券なども必要ですが、申し立てにかかる費用のほとんどはこの予納金になります。

管轄の裁判所によっては少額管財の呼び方が異なったり、運用が違ったりするので、詳細は依頼する法律事務所で確認すると良いでしょう。

通常管財の費用

通常管財になった場合、個人の自己破産でも最低50万円の予納金が必要です。

通常管財では個人の場合、法人の場合、および債務総額によって費用が変わります。

通常管財にかかる費用(予納金)

負債総額 個人の場合の費用 法人の場合の費用
5,000万円未満 50万円 70万円
5,000万円〜1億円未満 80万円 100万円
1億円〜5億円未満 150万円 200万円
5億円〜10億円未満 250万円 300万円
10億円〜50億円未満 400万円 50億円〜100億円未満
500万円 100億円以上〜 700万円〜

※ 特別なケースでは予納金額が変わる場合もあります。

自己破産を弁護士に依頼しても裁判所への出廷は必要?

自己破産で免責を認めてもらうためには様々な書類を用意して、手続きをする必要があるため、申し立てを弁護士に依頼する方も多いです。

ただし、自己破産の手続きの中では裁判所からの呼び出しもあり、基本的には債務者本人が出廷しないといけません。

いつ裁判所からの呼び出しがあるのでしょうか?

自己破産で裁判所から呼び出しがあるタイミング

自己破産を申し立てると裁判所からの通知が何度か届きます。

いつ呼び出しがあるのか、いつ裁判所からの通知が届くかは手続きの進捗状況や、担当の裁判官、破産管財人などの都合によっても異なるでしょう。

同時廃止の場合、裁判所によっては1回も出廷せずに手続きを終えるケースもあるようです。

ただ、ほとんどのケースでは、免責の許可(不許可)を決定する免責審尋には債務者本人の出廷が必要になります。

前述の通り、東京地裁だと集団審尋という複数人で行う方式になりますが、必ず債務者本人が出廷しないといけません。

また、管財事件では免責審尋の前に裁判所で債権者集会が行われます。

債権者集会は1回で終わることもあれば、3回程度(1ヶ月間隔)開かれることもあります。

そのため、管財事件になった場合には、裁判所へ行く回数は同時廃止よりも多くなるでしょう。

裁判所に出廷する期日は、1ヶ月程度前に通知されるのが通常です。

出廷するのは平日になるため、仕事などがある方は早めにスケジュールを調整してください。

自己破産で債務者本人が裁判所に行かなければいけない理由

自己破産の手続きは裁判所や事案によっては書類審査で進むこともありますが、債務者本人が裁判所に行かなければいけないケースもあります。

これは債務者本人から多額の借金を作ってしまった理由、自己破産を申し立てるに至った経緯を聞き、免責に値するのか、反省しているのかを判断するためです。

特に借金の理由がギャンブルや浪費などの免責不許可事由に該当する場合には、免責を許可して良いのかをより慎重に見極められることになるでしょう。

弁護士が同席することも可能ですが、自分の口で説明できるように頭の中を整理しておくことが重要です。

自己破産では裁判所に行く前に破産管財人との面接も行われる

管財事件になった場合には、債務者本人、代理人弁護士、破産管財人による三者面談も行われます。

自己破産の申し立てをすると、破産手続開始決定の前後にこの面接が行われることになるでしょう。

弁護士に自己破産の手続きを依頼している方は、代理人弁護士から破産管財人へ資料などが引き継がれ、自己破産の理由、財産の状況、免責不許可事由に該当するものはないかなどを面接で聴取されるのです。

破産管財人が行う調査内容

管財事件では裁判所によって選任された破産管財人が債務者の財産調査を行います。

管財事件になるのは債権者に分配できるような財産がある場合、免責不許可事由に該当するため免責すべきか調査する必要がある場合などです。

破産管財人は提出された書類、債務者からの聴取をもとに財産を調査していき、換価処分したお金を債権者への配当に回します。

中には財産があると判断して管財事件としたものの、調査の結果、分配できるような財産がないと判明するケースもあります。

この場合、債権者への配当は行われませんが、手続き自体は管財事件になるため、予納金などは返金されません。

また、管財事件になるような財産がなくても、免責不許可事由に該当すると管財事件になるので注意してください。

破産管財人は裁判官に免責すべきかどうかを意見する役割があるので、反省している態度がない、調査に協力しなかったという場合には免責されない可能性が高いでしょう。

破産管財人から聞かれること

破産管財人との面接は大抵30分程度で終わりますが、その中では次のようなことが聞かれます。

【破産管財人から聞かれること】

  • 借金の理由
  • 借金をした時期
  • いくら借りたのか
  • 自己破産をするに至った理由
  • 返済を継続することは不可能か
  • 現在の家計の状況 など

中には代理人弁護士から引き継ぎ済みで破産管財人が把握していることも含まれますが、面接では債務者本人の口から説明しないといけません。

聞かれて分からないことがあれば正直にそう答えてください。

嘘をつけばつじつまが合わなくなりますし、嘘がばれれば破産管財人の印象も悪くなるでしょう。

自己破産を裁判所で申し立てる前に専門家への相談を!

自己破産は自分一人で申し立てることもできますが、専門的な知識、書類を作成する労力は必要になります。

そのため、弁護士などの専門家に依頼をして、代理人申立をするのが基本です。

弁護士であれば債務者の代理人として準備から、申し立てまですべて行ってくれます。

破産管財人との面談、債権者集会、免責審尋など債務者本人が出席しないといけない場面もありますが、弁護士の同席も可能なので安心してください。

まずは無料相談を受け付けている法律事務所で、具体的な手続きの流れやかかる費用などを確認すると良いでしょう。

その上で弁護士に自己破産の手続きを依頼するか決めれば大丈夫です。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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