自己破産

退職金計算書は取得できるの?

自己破産の申請は裁判所に行いますが、その際に『退職金計算書』を提出する必要があります。退職金も財産に含まれるため、現在お勤めの会社で退職時に支払われる金額を計算する必要があるのです。

そこで当ページでは、退職金計算書の取得方法(会社から取得する方法および自分で作成する方法)や注意点を中心に、退職金の仕組みについてもお伝えします。

目次

退職金計算書とは?

退職金計算書とは、今の勤務先で、「退職時にどのくらい退職金が支給されるのか?」を計算した書類です。自己破産を行う際に、裁判所から提出を求められることがある書式ですが、主に勤続年数5年以上の正社員に求められます。

退職金が支給されないケース(主にアルバイトやパート)は、当然ながら退職金が見込まれないため、裁判所に提出を求められません。

退職金計算書が必要なケース1【自己破産】

前述したように、退職金計算書が必要になるケースとして自己破産があります。

自己破産は一定の価値ある財産を精算する必要があり、その中に退職金も含まれるからです。

退職金の全額が対象になるわけではなく、「支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金」は、原則として換価されませんが、そのためにも退職金の見込み額を算出する必要があるのです。

つまり、「現状でどのくらい退職金が支給される見込みか?」を客観的に評価するため、退職金計算書が必要になる、というわけです。

なお、自己破産だけでなく、個人再生も退職金計算書が必要になります。

退職金計算書が必要なケース2【ローンの与信審査】

住宅ローンや教育ローンを組む際、書類に「退職金の見込み額」を記載したり、口頭で伝えたりすることがあります。その場合に退職金計算書があれば、見込み額を把握できるため、スムーズに伝えられるでしょう。主に高齢の方がローンを組む際に必要になる、と言われています。

退職金計算書の取得方法

退職金計算書を会社から取得するには、勤務先の管轄部署にお願いする必要があります。主に総務が発行する企業が多いようですが、その辺りは会社によって異なるので確認して下さい。

退職金計算書を会社から取得すると自己破産したことが知られる?

ローン審査ならまだしも、自己破産で退職金計算書が必要な場合は、会社に頼みづらいかもしれません。

「どうして退職金計算書が必要なの?」と聞かれるかもしれませんし、その際に「自己破産で必要になります」と答えるのは抵抗があるでしょう。

自己破産が会社に知られても解雇されませんが、社内で噂が広まった結果、居づらくなって退職した…というケースは充分に考えられます。

そのようなケースを避けるには、自分で退職金計算書を作成する必要があります。裁判所が知りたいのはおおよその退職金額なので、自分で作成した書類でも受理してもらえるようです。

退職金計算書を自分で作る際のポイント

自分で退職金計算書を作成する上で大切なのは、会社の退職金規程です。退職金規定は就業規則(その中の賃金規定)に載っていることが多く、閲覧・印刷が可能なら、まずは入手して下さい。

その後、「勤務年数」「雇用形態」「入社年月日」などを記した退職金計算書を自身で作成し、退職金規程と共に裁判所に提出します。

ゼロから退職金計算書を作成する方法もありますが、弁護士事務所のホームページに書き方の例や、様式の見本が載っていたり、雛形が提供されていたりすることがありますので、そのようなテンプレートをダウンロードしても良いでしょう。

裁判所への退職金計算書は免除できる?

「どうしても会社に自己破産を知られたくない」という場合、裁判所に説明すれば退職金計算書を免除してもらえるケースがあります。

そのため、以下の流れで考えると良いでしょう。

1.会社から退職金計算書を取得する
2.印刷した退職金規程+自作の退職金計算書
3.裁判所に免除をお願いする

1が難しければ2、2が難しければ3、という流れですが、いずれにしても自己破産を考えている場合、まずは弁護士や司法書士への相談がおすすめです。

退職金の概要

今まで退職金計算書について見てきましたが、ここからは「そもそもの退職金」について少しお伝えします。

退職金の仕組み

退職金とは、退職時に会社から支払われるお金です。

60歳、65歳などの定年退職以外にも、自己都合退職や会社都合退職で支払われるケースがあります。

支給方法としては退職一時金制度、年金制度、もしくは双方を組み合わせる企業が多いようです。

退職一時金制度は、退職時点でまとめて支給されますし、年金制度は一定期間、もしくは生涯にわたり支給されます。

退職金の有無は企業によって異なる

退職金の支給に法的義務はなく、企業が独自に定めるものなので、退職金がない会社もあります。その辺りは「就業規則や賃金規定で定められているかどうか?」によります。

「ウチの会社は退職金があるのだろうか…」と思われている場合、まずは御社の就業規則を確認して下さい。

ちなみに就業規則は『常時10名以上の従業員を雇用している会社』に作成義務がありますので、10名未満の場合は存在しないのが一般的です。

そのため、従業員数が10名未満の場合は、社内で退職金に詳しい人間に確認すると良いでしょう。

退職金の支給金額の違い

退職金の平均相場は「大企業」と「中小企業」、「大学卒」と「高卒」で異なることが多いです。

「中小企業」よりも「大企業」、「高卒」よりも「大学卒」の方が、一般的に退職金の額は多くなります。

また、国家公務員の退職金は、民間企業よりも比較的高い傾向にあります。

退職金を受け取るタイミング

退職金を受け取るタイミングは会社によって異なります。

一般的に「退職後1ヶ月~6ヶ月」が多いようですが、就業規則や賃金規定によって異なりますので、事前の確認が大切です。

すでに会社を退職している上司や先輩がいて、その方が退職金を貰っているのなら、連絡を取って聞いてみる、という方法も考えられるでしょう。

退職金の税金について

退職金には税金が掛かりますが、「退職所得控除」の対象となり、過剰な徴収はありません。

控除額の計算は以下になります。

1.勤続20年以下で、退職金が80万円に満たない場合は80万円

2.勤続20年超の場合は、(勤続年数-20年)×70万円+800万円

退職金から控除額を引いた後の2分の1が課税対象ですが、『退職金には老後の生活の保障』という性質があるため、他の所得よりも恵まれた税制になっているようです。

まとめ

自己破産手続きを行う際は、裁判所に退職金計算書を提出する必要があります。会社に頼んで取得したり、自身で作成することになりますが、場合によっては免除してもらえることもあります。

退職金の仕組みは『一時金』と『年金』に分かれますが、支給する義務は会社になく、独自の規定になるため、就業規則や賃金規定などで確認すると良いでしょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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