自己破産

自己破産すると生命保険は解約?

自己破産すると、生命保険を解約しなければならないのでしょうか。解約してしまえば、もしもの時に家族に対し資産を残せません。「自己破産はしたいけど、生命保険は維持したい」と思っている人がほとんどでしょう。

当記事では、自己破産時の生命保険の取り扱いについて徹底解説します。
自己破産時の生命保険の取扱いは、「掛け捨て型」と「積立型」の違いによって大きく異なる点に注目です。

学資保険・自動車保険の自己破産時の取り扱いについても説明するので、参考にしてもらえたら幸いです。

目次

自己破産時は生命保険を解約しなければならないの?

自己破産をしても、生命保険を解約しなければならない決まりはありません。一方で生命保険は、個人資産の一部とみなされるケースもあり、解約が必要になることもあります。つまり、個人資産とみなされるかが鍵になるわけです。

まずは生命保険を解約しなくても良いケースと、解約しなければならないケースを理解しましょう。そのうえで解約しなければならないケースの対処法についてもお教えします。

①「掛け捨て型」と「積立型」で取り扱いが違う

  • 掛け捨て型の生命保険に加入・・・解約は不要
  • 積立型(貯蓄型)の生命保険に加入・・・解約が必要になることも

掛け捨て型の生命保険は、保険金を受け取る条件を満たした場合のみお金が入ってきます。つまり保険金がもらえるかは不確かであり、資産とはみなされません。掛け捨て型の生命保険は、解約する必要がないのです。

積立型の生命保険は、仮に保険金を受け取る条件を満たさなかったとしても満期になれば一定のお金がもらえます。解約時にも一定のお金をもらうことができるので(解約返戻金)、資産とみなされるのです。よって自己破産時には、積立型の生命保険を解約しなければなりません。

しかし積立型の生命保険のすべてに解約の義務があるわけではありません。解約返戻金が20万円以上の場合のみ、解約しなければならないのです。20万円以上の解約返戻金は、債権者(借金の相手)に分配されます。

積立型の生命保険の解約返戻金は、20万円を超えてくるのが一般的です。つまり積立型の生命保険に加入しているケースであれば、基本的に解約をしなければならない、ということになります。

でも安心してください。実は20万円以上の解約返戻金のある生命保険に加入していても、解約しないで済む方法はあります。

②返戻金が20万円以上でも生命保険を解約されない方法2つ

  • 介入制度を利用する
  • 貸付制度を利用する

以上の2つの方法があります。

介入制度とは、生命保険の受取人を保護するために出来た、比較的新しい制度です(2010年成立)。具体的には、生命保険の受け取り人が解約返戻金相当額を負担することで契約を継続させるものです。仮に、解約返戻金が50万円であれば、受取人である親族の誰かが50万円を負担すれば生命保険の契約が続くわけです。

貸付制度とは、生命保険会社から解約返戻金の範囲内でお金を借りる制度のことを指しています。例えば、解約返戻金が60万円であった場合に、45万円の借り入れを行ったとします。解約返戻金の残りは15万円となり、解約基準である20万円を下回ったので生命保険は維持できるのです。

介入制度は親族の協力も必要であり難しいと考えられるので、一般的には貸付制度がおすすめです。注意しなければならないのが、借りたお金の使いみちです。競馬やパチンコなどのギャンブルに使ってしまうと、免責(借金の消化し)が認可されない恐れも出てきます。弁護士への費用であるとか、一般常識的な生活費的な使いみちでなければなりません。

生命保険を親が払ってるケースはどうなる?

生命保険の保険料を破産者本人ではなく、親が支払ってるケースもあるでしょう。特に20代や30代の若い人で実家暮らしの場合は、保険金を親が支払っていることも珍しくありません。

こちらでは生命保険の保険料を本人以外が支払っている場合は、どういった取り扱いになるのかを明らかにします。

①名義が破産者であるケース

生命保険の名義が破産者である場合で、20万円以上の解約返戻金がある場合は解約が必要になります。もちろん解約返戻金が発生しない掛け捨て型の生命保険に加入している場合は、名義が破産者であったとしても解約する必要はありません。

自己破産時の生命保険の取り扱いですが、名義が重要視されます。支払っている人が親であっても名義が破産者であれば、その保険の所有者は破産者です。よって解約条件(返戻金が20万円以上)に当てはまると、生命保険を手放さなければなりません。

②親名義の生命保険で受取人が自分であるケース

親名義の生命保険で保険金の受取人が破産者であった場合は、解約する必要はありません。

自己破産における生命保険の解約に大きく関わるのは、「解約返戻金」です。

自己破産をすると、財産を処分しなければなりません。
生命保険に関わる財産は「解約返戻金」です。

親名義の生命保険の受取人が破産者であったとしても、「保険金の受取人」というだけです。解約返戻金の受取人はあくまで名義人であり、破産者ではありません。よって親名義の生命保険を解約する必要はないのです。

③親が勝手に生命保険に加入していたケース(破産者は知らない)

破産者が生命保険への加入を知らなかったと判断される場合は、解約する必要がないこともあります。

ただし、「生命保険加入の事実を知らなかった」ことを証明しなければなりません。単に、「親が勝手に加入した」「生命保険に入っているとは知らなかった」などと主張するだけでは認められません。

  • 支払いは親の口座から行われている
  • 生命保険控除がされていない

最低でも、以上の条件はクリアしている必要があります。

自己破産直前に生命保険を解約しても大丈夫?

破産手続きに入る前に、生命保険を解約したらどうなるのでしょうか。

「解約返戻金を弁護士費用にあてたい」
「解約返戻金を生活費にあてたい」

以上のように思っている人もいるでしょう。

こちらでは、自己破産直前の生命保険解約に違法性があるのかを明らかにします。

①自己破産直前の生命保険解約は問題なし

自己破産直前であったとしても、生命保険の解約は全く問題ありません。違法性のある行為とは捉えられませんし、免責の許可にも影響は与えないのです。

昔の破産法であると、自己破産直前の生命保険解約が問題になることもありました。以前は「財産を現金化する行為」自体に違法性が指摘され、不動産の場合では裁判で否認されたこともあります。

破産法は改正されており、「適正な価格で財産を現金化する行為」は認められる傾向が強くなったのです。認められないケースとしては、手に入った金銭を隠そうとしたり、タダで財産を与えたりするような行為です。生命保険の場合は、解約返戻金を隠そうとしなければ問題はありません。

ただし使いみちには気をつけなければなりません。生活する上で必要とされる費用(生活費や学費など)として使うことは認められています。自己破産にかかる費用(弁護士への相談料や依頼料)として使うのも大丈夫です。

②自己破産直前の生命保険解約が違法とされるケース

特定の借入先に対してのみ返済をした場合には、違法性のある解約とみなされます。偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼ばれる行為であり、行ってしまうと免責が許可されない恐れも出てきてしまいます。

自己破産直前の生命保険解約で得た返戻金で返済をするのであれば、各貸金業者に対し公平に支払わなければなりません。

もう一つ生命保険解約が違法とされるケースがあります。返戻金を隠す意図があった場合です。詐害行為と呼ばれる、破産者が自ら意図的に財産を減らす行為と判断され、自己破産は認められません。

自己破産すると学資保険・自動車保険の解約も必要?

自己破産時に生命保険だけではなく、学資保険や自動車保険に加入していることもあるでしょう。破産時における学資保険や自動車保険の取り扱いについて徹底解説します。学資保険も自動車保険も解約しなければならないのでしょうか。

①学資保険も20万円の解約返戻金が基準となる

学資保険の場合は、生命保険と同じ基準と考えて間違いありません。学資保険の解約返戻金が20万円以上の場合には、財産と判断されるので解約しなければならないのです。

「学資保険は子供のための保険であり、子供の財産になるのではないか」と思う人もいるでしょう。結論から述べると、「学資保険は親の財産」とされます。親がお金を支払って積み立てているからです。だから自己破産時には解約の対象となるのです。

学資保険も生命保険と同じく、解約を避ける方法があります。「契約者貸付」と「自由財産の拡張」です。

契約者貸付は生命保険と同じく、保険を担保に保険会社からお金を借りることを指しています。借りたお金と解約返戻金は相殺されるシステムであり、結果として返戻金が20万円未満になれば解約する必要はありません。しかし借りたお金の使いみちは、生活費などの暮らしていく上で不可欠なものである必要があります。

※保険会社からお金を、自己破産にかかる諸費用(弁護士にかかる費用など)の支払いに使っても問題はありません。

自由財産の拡張をお話する前に、「自由財産」について理解しておく必要があります。自由財産とは「生活に必要最低限な財産」のことを指しており、自由に管理、処分することが認められています。つまり学資保険を裁判所に自由財産として認めてもらうことを、「自由財産の拡張」と呼んでいるわけです。

自由財産の拡張は、破産手続開始から1ヶ月以内に申し立てを行わなければなりません。申し立てを行ったとしても100%認められるわけではなく、裁判官・破産管財人の判断によって自由財産になるかが決まります。

②自動車保険は解約されない

自動車保険は積立型ではなく、一般的に掛け捨て型です。よって満期になってもお金は戻ってこないので、自己破産時も解約されません。

しかし自己破産の申立書の資産の項目には、自動車保険を記載しなければならないので注意してください。

例外もあります。保有している自動車に資産価値があると判断されると、裁判所から専任された破産管財人が売却し現金化します。自動車を手放すことになるので、保険に加入し続ける意味はありません。こちらのケースでは、破産管財人が自動車保険を解約するのが一般的です。

自己破産すると国民健康保険料も免責されるのか?

自己破産をすると借金の支払いがゼロになる、いわゆる免責となります。では、国民健康保険料に滞納がある場合はどうなるのでしょうか。借金と同じく、滞納分が帳消しになるのでしょうか。

自己破産と国民健康保険料の関係性をお伝えします。

①国民健康保険料は免責の対象外

国民健康保険料は、「非免責債権(ひめんせきさいけん)」に分類されます。非免責債権は、自己破産をしても滞納分が帳消しになるわけではありません。よって自己破産して借金が免責されたとしても、国民健康保険料の滞納分は時間をかけてでも支払わなければならないのです。

自己破産をしても、税金(様々ありますが、住民税や自動車税などが代表的)や社会保険料(国民健康保険、国民年金保険料)については免除されませんので、免責が確定した後も支払いを行う義務があります。

(引用元:ひろせ法務事務所「非免責債権の詳しい内容」

②健康保険料を支払えない時の正しい対処法

国民健康保険料を滞納し続けると、財産を差し押さえられることもあります。財産の差し押さえを防ぐためにも、正しい対処をしなければなりません。

まずは、支払えない事情を税務署や役所に説明してください。一括で支払えない場合は、分割も提案しましょう。分割で支払っている最中も健康保険証は使えるので安心してください。

自己破産時も工夫すれば生命保険を解約する必要なし!

自己破産すると、生命保険が解約されることもあります。解約返戻金が20万以上であると財産として判断され、解約されて返済に回されてしまうのです。

しかし、解約返戻金が20万円以上であったとしても、「貸付制度」または「介入制度」を使えば、生命保険を維持できます。特に貸付制度は、比較的簡単に利用できるものです。

学資保険、および自動車保険と自己破産の関係性についても明らかにしました。学資保険は解約の対象であり、自動車保険は解約対象ではありません。学資保険も生命保険と同じく、「解約返戻金20万円」が解約のボーダーラインとなってます。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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