自己破産

自己破産をしたら離婚すべき?

自己破産をすると、借金を帳消しにすることができますが、財産のほとんどを失ったり、ローンやクレジットカードを利用できなかったりするなど、生活が変わるでしょう。結婚している債務者にとっては、配偶者や子どもへの迷惑が気がかりです。配偶者からは経済力や生活の変化を考慮して、離婚を考えるかもしれません。

本記事では、自己破産をした場合離婚すべきなのかについて、配偶者への影響や離婚を考える上での注意点を解説します。

目次

自己破産による配偶者への影響

事業の失敗や生活の困窮などによって、自己破産を迫られたとき、結婚している方は配偶者や子どもへの影響を考えるでしょう。影響によっては、離婚を検討する必要が出てくるかもしれません。自己破産による配偶者への影響について説明していきます。

保証人になっていない限り影響はない

自己破産は、保証人や連帯保証人がいない限りは、債務者本人のみが対象になります。債務者本人の住宅や自動車、預金などの財産が対象になるので、配偶者の財産が処分対象となることはありません。

また、自己破産をすると信用情報に傷がつきますが、こちらも債務者本人のみが対象です。配偶者の信用情報には影響がないので、配偶者はクレジットカードをつくったり、ローンを組んだりすることができます。

子どもがいても直接影響が及ぶことはない

配偶者はもちろん、子どもに直接的な影響が及ぶこともありません。自己破産によって、生活は変わってしまいますが、通っている学校を変えなくてはいけないといったことはなく、著しい支障はないでしょう。

ただし、子どもの将来のために学資保険を積み立てている場合は注意が必要です。自己破産で回収できない財産として、「自由財産」が定められています。大きく分けて、新得財産・差押禁止財産・99万円までの現金・破産財団から放棄された財産・自由財産の拡張がなされた財産の5つです。その中に20万円以下の解約返戻金のある学資保険が含まれています。

20万円以下の解約返戻金におさまっていれば処分を免れますが、20万円以上の解約返戻金がある場合が多く、差し押さえの対象になってしまいます。学資保険を守るためには、自由財産の拡張を申請したり、契約者貸付制度を活用したりする方法があります。

20万円以上の解約返戻金がある学資保険を自由財産として許可を得ること、学資保険を担保に入れてお金を借り解約返戻金を20万円におさめることなどで、学資保険を守れる可能性があります。ただし、裁判所の決定による部分が多く、100%学資保険を維持できるとは限らないので、子どもの将来のための財産を失うかもしれません。

住宅や自動車などの生活基盤を失う

配偶者や子どもに直接的な影響はないものの、債務者自身の財産は処分対象となります。債務者名義で住宅や自動車などを所有している場合は、住宅や自動車などを失うことがほとんどで、配偶者や子どもの生活には少なからず影響を与えてしまいます。配偶者との共有財産も処分対象となるので、共同財産があれば、より生活に影響があるでしょう。

住宅は財産の中でも高価なため、ローンを完済している・残っているに関わらず処分されることが多いです。持ち家を失えば、引っ越しする必要があるので、生活環境が大きく変わるでしょう。

自動車は地域事情や生活状況によっては、乗り続けられる場合があります。ただし、自動車も処分対象になってしまうと、移動が不便になるなど生活に支障が出るので、離婚を考える理由になるかもしれません。

債務者名義でローンを組めない・クレジットカードをつくれない

自己破産者によって、債務者本人の信用情報には金融事故を起こしたことが記録されます。そのため、債務者名義では住宅・自動車ローンを組めず、クレジットカードをつくることもできません。配偶者が財産やクレジットカードを持っていれば問題ありませんが、共有財産が多ければ、十分な財産が残らないこともあるでしょう。

信用情報に傷がつきブラックリストに登録される期間は、5年~10年と言われています。期間が経過してブラックリストから抹消されれば、債務者名義でもローンを組んだり、クレジットカードをつくったりできるようになります。

自己破産がきっかけで離婚をする際の注意点

自己破産によっては配偶者に直接影響を与えることはありません。ただし、これ以上配偶者に迷惑をかけたくない、自己破産をした結婚相手とは別れたいなどの理由から、離婚を考える方もいるでしょう。離婚を決める前に、自己破産をきっかけに離婚をする際の注意点を把握しておくことが大切です。

配偶者が保証人・連帯保証人になっている場合は保証人・連帯保証人に取り立てが行われる

自己破産は原則本人のみに適用され、配偶者や子どもには返済義務はありません。例外として、配偶者が保証人・連帯保証人だった場合、債務者の代わりに配偶者に支払い義務が発生します。配偶者が取り立てや差し押さえに合うことになり、直接的な影響を与えてしまいます。

自己破産をした相手と離婚したいなら、まず保証人・連帯保証人になっていないことは確認しましょう。もし保証人・連帯保証人になっているならば、債務者と一緒に自己破産するのがおすすめです。債務者よりも財産が少なく、自己破産の影響が少ないとしても、信用情報に傷がつくことはしっかり覚えておきましょう。

自己破産が離婚理由になるケースは少ない

自己破産をするとほとんどの財産を失うため、経済状況や生活の変化を考慮して配偶者から離婚を要求される場合もあるでしょう。自己破産をしてしまったものの、離婚したくない時でも同意しなくてはならないのでしょうか?

離婚を成立させるためには、民法において「婚姻を継続し難い重大な事由」になると判断される必要があります。「自己破産に陥った相手とは一緒にいたくない」「ローンを組めない・クレジットをつくれない人とは別れたい」という理由は、離婚するために十分な理由にはなりません。自己破産は債務者本人に対するもので、基本的には配偶者に影響がないので、自己破産と離婚には明確なつながりがないためです。正当な理由がない限りは、自己破産が離婚理由になるケースは少なくなっています。

自己破産が離婚理由となる例として、何度も自己破産を繰り返している、ギャンブルにのめり込む癖が直らない、浪費癖が直らないなど、債務者に原因が見られるなら、離婚原因として認められる可能性があります。

自己破産前の離婚は財産隠しを疑われる可能性がある

自己破産をきっかけに離婚をする場合、自己破産前に行うべきか、それとも自己破産が望ましいかも覚えておきたい注意点です。離婚をする際、財産分与が発生します。もし自己破産前に財産を配偶者に譲り渡していたら、処分対象となる財産を隠したと捉えられるおそれがあります。慰謝料を支払った場合も同様で、表面的な離婚で本当の目的は財産の移動と判断されるかもしれません。

財産隠しと認められてしまうと、自己破産手続きが取消になる可能性があるので注意が必要です。滞りなく離婚と自己破産を成立させたいならば、離婚した後に自己破産するのが最適でしょう。

離婚が成立しても養育費・慰謝料を支払う義務は残る

離婚が成立し、妻が子どもの親権を獲得した場合、夫は養育費を支払う必要があります。自己破産により借金の免除は、養育費には適用されません。自己破産によって財産を失うから離婚をして養育費の支払い義務を免れるということもできず、養育費の支払いを続ける必要があります。どうしても希望の額を支払えない場合は、養育費の減額が認められるので、自己破産後に離婚する予定がある方は家庭裁判所での減額調停申し立てなどを検討しましょう。

また慰謝料についても、自己破産をしたことに関わりなく、支払い義務があります。自己破産以外に、精神的に苦痛を与えていた、不倫をしていたなどの理由があれば、配偶者側は慰謝料を要求できます。

自己破産したからといって必ずしも離婚する必要はない

自己破産をすることで、配偶者に直接的な影響はないものの、ローンを組めないことやクレジットカードをつくれないこと、慣れ親しんだ住宅や自動車を手放す必要があることなど、結婚生活には影響を及ぼすでしょう。経済的な理由でも離婚する選択肢が出てくるかもしれませんが、必ずしも離婚する必要はありません。

最終的に離婚するかどうかは、夫婦次第です。夫が自己破産をしたとして、財産を失ってしまったけれど支えたいと考えているなら状況を受け入れて一緒にいるべきでしょう。一方、自己破産の理由がギャンブルや浪費など夫に否があり、どうしても許せない・もう一緒にいられないと気持ちが傾いているなら離婚が最善の方法かもしれません。

自己破産をしたから離婚すべき、離婚しなければならないのではなく、夫婦でしっかり話し合って決めることが大切です。

まとめ

今回は、自己破産をしたら離婚をすべきかについて詳しく解説しました。

自己破産は債務者自身に行われる手続きであり、配偶者や子どもには影響せず、自己破産の原因にもよりますが、離婚の法的な理由にはなりません。ただ、自己破産によって住宅や自動車などの財産を失ったり、ローン・クレジットカードを利用できなかったりするなど、生活には少なからず変化があるので、離婚を検討する材料にはなるでしょう。

そのため、自己破産をしたから離婚すべきかどうかではなく、自己破産による生活の変化や気持ちなどを踏まえて、しっかり夫婦で相談して決めましょう。自己破産を考えている方は、配偶者としっかり話し合った上で離婚を検討してください。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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