自己破産

自己破産すると年金はどうなる? 差し押さえの対象になるの?

自己破産すると年金はどうなるかが気になりますね。

国民年金や厚生年金のような公的年金と、私的な個人年金で違いがあります。

公的年金は差し押さえの対象になりませんが、個人年金は一部、対象になることがあるのです。

他にも、年金受給中の注意点や、年金担保貸付、年金保険料は免除、自由財産の拡張、自己破産以外の手続きについて解説します。

目次

自己破産と年金の関係

自己破産すると年金はどうなるのでしょうか。

もし差し押さえの対象になるようなら、自己破産に躊躇するかもしれません。

年金には「公的年金」と「個人年金」がありますので、それぞれ分けて説明します。

公的年金

公的年金とは、国民年金・厚生年金・共済年金を指します。

文字通り、公的な年金ですね。

イメージしやすいのは老齢年金ですが、他に障害年金や遺族年金もあります。

  • 老齢年金 → 老後を迎えた方に給付される年金、現行制度では原則65歳から支給。
  • 障害年金 → 怪我や病気が原因で障害認定を受けた方に支給される年金。
  • 遺族年金 → 遺族に対して支払われる年金。

上記のような公的年金は、自己破産を行っても差し押さえの対象にはなりません。

基本的に自己破産を行えば、価値ある財産は全て没収されますが、所持を許される財産もあります。

それを「自由財産」と言います。以下が対象ですね。

  • 新得財産(自己破産手続きの開始決定後に手に入れた財産)
  • 99万円以下の現金
  • 差押禁止財産

公的年金は「差押禁止財産」であり、自己破産手続きの開始決定後に支給される分は「新得財産」になります。

そのため、自己破産しても、公的年金は差し押さえの対象にならないのです。

尚、確定拠出年金、確定給付年金、厚生年金基金のような企業年金の差し押さえも禁止されています。

差押禁止財産とは?

差押禁止財産について、もう少し詳しく解説します。

自己破産には以下の規定があります。

「現時点で請求できなくても、破産手続き開始前に生じた原因により、将来的に請求できる債権は破産財団に属する」

破産財団とは、ここでは換価・処分の対象となる財産の集合体と思って下さい。

つまり、退職金や生命保険のように、将来的に受け取る債権は換価・処分の対象になる、ということです。

退職金や生命保険の全額が対象になるわけではありませんが、将来的に発生する予定の債権の一部が、あらかじめ破産財団に組み込まれる可能性はあります。

そう考えると、「国民年金や厚生年金のような公的年金も対象になるのでは?」と思うかもしれません。

しかし公的年金や、確定拠出年金のような企業年金は、法律で差し押さえが禁止されています。

そのような理由により、公的年金や企業年金の場合は、自己破産を行っても受給が可能というわけです。

個人年金

一方、民間の生命保険会社などが提供する個人年金は扱いが異なります。

公的な年金ではなく、あくまでも民間企業との契約により支給される年金なので、差し押さえになるケースがあります。

生命保険と同じように、解約時に発生する「解約返戻金」を換価・処分する必要があるからです。

たとえば東京地裁では、20万円以下の一定の財産は換価・処分されないため、解約返戻金が20万円以下の場合は対象になりません。

しかし20万円を超えると、個人年金は換価・処分される可能性が高くなります。

また、個人年金の解約返戻金は20万円以下でも、生命保険と合わせて20万円を超える場合、やはり換価・処分の対象となるので注意が必要です。

口座の凍結には注意が必要

年金を受給している場合に気を付けたいのが銀行口座の凍結です。

公的年金や企業年金は差し押さえの対象になりませんが、年金の受取口座の差し押さえは可能です。

国民年金や厚生年金、共済年金でも、一度口座に入金されれば預金となるからですね。

「老齢年金は預金じゃないから差し押さえられないはず!」と主張しても難しいということです。

特に銀行系カードローンや住宅ローンを利用している場合は注意して下さい。

同じ銀行で年金の受取口座を開設している場合、自己破産を行えば凍結されるでしょう。

弁護士に自己破産をお願いすれば、各債権者に受任通知というものが送られます。

銀行系カードローンなどを利用していれば、当然銀行にも「自己破産の準備を行っている」ということが伝わります。

そのため銀行としては、受取口座を凍結し、預金で相殺を行うのです。

対策としては、受任通知が届く前に預金を引き出す、またはカードローンなどの借金がない金融機関の口座に移す、という方法があります。

しかし口座内に20万円以上の預金があれば、今度は処分・換価の対象になるので注意して下さい。

自己破産の実績が豊富な弁護士なら、そのような相談にも乗ってもらえるでしょう。

自己破産で免除されない範囲

自己破産をしても免除されない債権について説明します。

年金担保貸付は免除されない

自己破産で免除されないものに「年金担保貸付」があります。

「年金担保貸付」とは、独立行政法人福祉医療機構が実施している貸付です。

国民年金、厚生年金、または労働者災害補償保険の年金を担保として融資することが法律で唯一認められた制度ですね。

以下の資金使途で利用できます。

  • 保険・医療
  • 介護・福祉
  • 住宅改修等
  • 教育
  • 冠婚葬祭
  • 事業維持
  • 債務等の一括整理
  • 生活必需物品の購入

融資の流れとしては、相談、申込手続き、審査、決定、融資実行と進みます。

返済の開始は、融資の属する月の翌々月以降の偶数月に払われる年金から天引きされることになります。

そのような「年金担保貸付」は、自己破産で免責を受けても免除されません。

「消費者金融やキャッシングのように自己破産で免除になるだろう」と思っても、実際は返済義務が残ります。

「年金担保貸付」は低金利で容易に利用できるという魅力がありますが、年金から返済金が天引きされますし、いまお伝えしたように自己破産で免責されないので注意して下さい。

自己破産で年金保険料は免除される?

ここまでは主に、年金受給中の方を対象にお話ししてきました。

それと共に、まだ年金を貰える年齢ではないけれど疑問がある、という方も多いでしょう。

特に多いのが「自己破産で年金保険料が免除されるかどうか?」ではないでしょうか。

厚生年金は給料からの天引きが基本ですが、国民年金のみの方(自営業者やフリーターなど)の場合、年金保険料が払えず滞納が続いている、というケースも充分に考えられます。

自己破産を裁判所に申し立てて、免責が認められれば、ほぼ全ての返済義務が免除されますが、年金保険料や税金は「非免責債権」です。

非免責債権とは、文字通り「免責にならない債権」ですね。

つまり「滞納している年金保険料は免除にならない」ということです。

尚、自己破産しても年金を受給する権利は失われません。

支給条件を満たせば、将来的に老齢年金も受給できるでしょう。

財産の換価・処分を少なくするには?

「自己破産で財産を出来る限り処分されたくない」という場合はどうすれば良いのでしょうか。

その場合、自由財産の拡張があります。

繰り返しになりますが、所持を許される財産は以下の「自由財産」です。

  • 新得財産(自己破産手続きの開始決定後に手に入れた財産)
  • 99万円以下の現金
  • 差押禁止財産

上記の範囲を拡張できれば、手元に残す財産を増やすことが出来ます。

特に「生命保険の解約返戻金」と「自動車」は、ケースバイケースで裁判所に認められることが多いようです。

年齢や病歴がある方が生命保険を解約すれば、その後、同じような保険に入るのは難しいでしょう。

交通の便が悪いエリアに住んでいれば、移動手段として乗用車が必須ではないでしょうか。

その場合に生命保険を解約する、自動車を処分すれば生活が不自由になりますから、自由財産の拡張が認められることがあるのです。

ただし自由財産の拡張に関しては、弁護士への相談が大切です。

自分で勝手に「拡張になるだろう」と思っても、どのように主張すれば良いか分からないですし、各地方裁判所によっても判断が変わる部分もあるので、専門家に相談して下さい。

自己破産以外の整理方法

繰り返しになりますが、自己破産の手続きを進めるには、弁護士のような専門家に相談すると良いでしょう。

特に年金が絡むと問題が複雑になります。

また、自分では「自己破産以外にない」と思っても、弁護士に相談した結果、「個人再生や任意整理で解決できた」ということもあります。

個人再生

個人再生は元本を原則5分の1(最大9割)減らした後、3年~5年の分割で支払う手続きです。

自己破産と同じように裁判所に申請する必要があり、住宅を残したまま減額できる可能性もあります。

家族が保証人になっていれば別ですが、それ以外のケースで家族に迷惑が掛かることもありません。

ただし個人再生は誰でも利用できるわけではなく、「将来において継続して収入を得ることが出来て、借金が総額で5,000万を超えない方」という規定があります。

自己破産のように、ほぼ全ての借金が免除になるわけではありませんが、最大9割の減額が見込めるため、この後に説明する任意整理よりも返済は楽になるでしょう。

返済期間は原則3年ですが、特別な事情があって認められれば5年に伸ばすことが出来ます。

自己破産すれば住宅を手放すことになりますが、個人再生は住宅ローン返済中の自宅を残せる可能性があるため、「どうしても家を残したい」というニーズにも合っている手続きと言えるでしょう。

任意整理

任意整理は裁判所を通さず、銀行や消費者金融のような債権者と任意に交渉する手続きです。

自己破産、個人再生は裁判所に申請しますが、あくまでも任意の交渉なので手続きも楽でしょう。

ただし自分で交渉するのは難しいと言えます。

法律知識はもちろん、交渉のテクニックも必要なので、やはり弁護士のような専門家にお願いすると良いですね。

任意整理の効果としては、「将来利息」と「遅延損害金」をカットし、残った元本を3年~5年程度の分割払いで支払うことになります。

自己破産や個人再生よりも利用される機会が多く、長年借金返済を続けていれば、過払い金が発生しているケースもあります。

その場合も債権者との交渉を弁護士に任せられますし、手続きをお願いした後は丸投げできる、家族に内緒で進めやすい、というメリットもあります。

現在の状況を弁護士に伝える

個人再生も任意整理も弁護士にお願いできますが、その前に現在の状況を正直に伝えて下さい。

収入、支出、財産、年齢など、総合的な観点からアドバイスを行ってもらえると思います。

もちろん自己破産以外に方法がなければ、自己破産を提示してもらえますので、専門家の力を借りながら借金解決に向けて進んで下さい。

まとめ

自己破産しても公的年金に影響はありませんが、民間の個人年金に関しては、差し押さえの対象になることがあります。

ただし公的年金でも、銀行口座の凍結には注意が必要です。また年金担保貸付や年金保険料は免除されません。

自己破産において、自由財産の拡張が認められることもありますし、個人再生や任意整理で解決することもあるでしょう。

まずは弁護士への相談から始めてみてはどうでしょうか。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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