自己破産

自己破産が認められないケースとは?

裁判所に対して自己破産の申し出をし、免責が認められると基本的に借金がすべて帳消しとなります。

とはいえ、中には残念ながら免責が認められず、自己破産に失敗してしまうことも。

借金の返済が苦しくて申し出を行ったのに、失敗してしまっては元も子もないですよね。

そこで今回は、自己破産が認められないケースに加え、自己破産が認められなかった場合の対処法についてまとめてみました。

目次

自己破産によるリスクを理解しておこう

自己破産が認められないケースについて見ていく前に、いまいちど自己破産によるリスクを理解しておきましょう。

リスクについて曖昧な理解のまま手続きを進め、こんなはずじゃなかったと後悔をしたくはないですよね。納得して自己破産手続きを行うためにも、リスクについてきちんと知っておくことが大切です。

自己破産におけるリスクには主に、次のようなものがあります。

  • ほとんどの財産が没収される
  • 官報に氏名や住所が掲載される
  • ブラックリストに登録される

ひとつずつ、見ていきましょう。

ほとんどの財産が没収される

自己破産を行った場合、住居や預貯金の一部など大半の財産は没収されてしまいます。

そのため、いまあなたの身の回りにある財産はなくなってしまうことになるでしょう。

しかし、全ての財産が持って行かれてしまうわけではなく、必要最低限の生活を送る上で必要なものは手元に残すことができます。

具体的には99万円以下の現金や、時価20万円以下の財産等が該当します。

官報に氏名や住所が掲載される

自己破産をすると「官報」と呼ばれる政府発行の機関誌に、あなたの氏名や住所が掲載されます。

これは、債権者に対しあなたが自己破産をしたことを知らせるためのものであって、いかなる場合においても掲載を避けることはできません。

とはいえ、官報はコンビニや街中の書店など一般的なところでは手に入らず、閲覧場所が限られていることから、身近な人にあなたが自己破産をした事実が知られてしまうことはまずないといえるでしょう。

ブラックリストに登録される

自己破産ならびに他の債務整理を行った際には、銀行や消費者金融を始めとした信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。

この事故情報に登録され、信用情報機関に破産の事実が知られることを俗に「ブラックリストに載る」などと称されます。

事故情報はローンやクレジットカードの審査の際に利用されるため、目安として自己破産後7〜10年間は新たな借入はもちろんのこと、ローンを組むことが難しくなるでしょう。

また、金銭の借り入れ以外にも賃貸保証が通りにくくなることが考えられます。

自己破産が認められない10ケースについて

具体的に、自己破産が認められないケースは以下の通りです。

  • 裁判所から支払不能であると判断されなかった場合
  • 特定の債権者に対して債務の弁済を行った場合(偏頗弁済)
  • 悪意を持って財産を隠匿した場合
  • 借金の原因がギャンブルや浪費等の場合
  • 自己破産手続きより前にクレジットカードで現金化した場合
  • 裁判所に対して嘘をついた場合
  • 過去七年以内に自己破産の経験がある場合
  • 弁護士費用が支払えない場合
  • 予納金を用意することができない場合
  • 闇金融から資金の借り入れをしていた場合

それぞれ、見ていきましょう。

裁判所から支払不能であると判断されなかった場合

自己破産は裁判所から、あなたが支払不能状態にあると判断される必要があります。

そのため支払不能であると見なされない限り、自己破産の手続きは開始されることがありません。

裁判所が支払不能かどうかを判断する上で、

  • 借金をした理由や総額
  • 現在の資産額
  • 収入や月の収支状況
  • 年齢及び家族構成

などといったことを踏まえて、客観的に結論を下すとされています。

ですから、たとえば今現在貯金や稼ぎが少なく返済ができない場合であっても、今後返済が可能である場合には支払不能であるとはいえないでしょう。

また手持ち資金や預貯金が少なかったとしても、一般的に価値のある財産を保有していると判断された場合にはこちらも支払不能に該当するとはいえません。

あくまで一つの目安とはなりますが、仮に利息を免除したとしても今後3年以内に借金の完済ができない状態か否か、が支払不能の判断基準にあたるといわれています。

自力で3年以内に返済が可能である場合には、自己破産が適用されない可能性が高いといえるでしょう。

とはいえ、自己破産は利用できずとも任意整理や個人再生等の他の債務整理は利用できることがありますので、あわせて検討してみましょう。

特定の債権者に対して債務の弁済を行った場合

自己破産をした人の中には、債権者の中にとても親しい人がいるからとその人にだけ先に返済を行ってしまう人もいるかもしれません。

なにも問題がないように思える行為ですが、免責が認められる前に特定の債権者に対して返済(偏頗弁済)をすると、他の債権者との間に公平性を認めることが難しくなることから免責不許可事由に該当してしまいます。

そのため、免責が認められる前に特定の債権者に対して借金の返済をしないように気をつけましょう。

なお、免責不許可事由に該当するケースは他にも次のようなものがあります。

該当したからと言って必ずしも免責が認められないわけではありませんが、しっかりとおさえておきましょう。

以下に免責不許可事由に該当する例を一部、掲載します。

  • ギャンブルや浪費、投資が原因で借金をした
  • 意図的に財産を隠した
  • 換金行為を行った
  • 裁判所に対し虚偽の供述をした
  • 過去七年以内に自己破産をした

悪意を持って財産を隠匿した場合

自己破産をすると、基本的に時価で20万円以上の価値が認められる財産は差し出さなければなりません。

財産が没収されるのが嫌だからと、悪意を持って財産を隠したり、適正価格より安く処分したりした場合には免責不許可事由に該当します。

借金の原因がギャンブルや浪費によるものである場合

あなたの借金の原因がギャンブル(パチンコや競馬、競艇など)や浪費、リスクの高い投資(FXや株式など)によるものである場合も免責不許可事由に該当します。

上記のケースが原因で借金返済が困難となった場合には、自己破産の申し立てを行っても免責が認められない可能性が高くなります。

とはいえ、必ずしも免責が認められないわけではなく、裁判官が聴取を行った上で客観的に判断を下しますので、最初から無理だと諦める必要はありません。

弁護士等に相談した上で、手続きに臨むとよいでしょう。

自己破産手続きより前にクレジットカードで現金化した場合

自己破産で借金が帳消しになることを利用し、自己破産の申し立て前(または手続き中)にクレジットカードで購入した商品を売却して現金に変えた場合も、免責不許可事由に該当します。

そのため、自己破産前や手続き中はカードやローンで購入した商品の取扱に十分注意することが大切です。

万が一現金化しなければならない事情があったとしても、事前に弁護士に相談するようにしてください。

裁判所に対して嘘をついた場合

自己破産の申し立てを行うと、あなたは必要に応じて裁判所から事情聴取を受けることになります。

借金の原因を調査するうえで、裁判官より疑問点や不明な点を聞かれることになりますが、この際に虚偽の申告を行ってはいけません。

場合によっては協力的でないとみなされ、免責不許可事由として扱われる恐れが高くなります。

過去七年以内に自己破産の経験がある場合

過去七年以内に自己破産をしている場合には、こちらも免責不許可事由に該当します。

弁護士費用が支払えない場合

当然のことながら弁護士に協力を依頼する場合には費用が発生します。

自己破産の場合であっても弁護士に対する支払いは免除されないため、費用が払えなければ弁護士に依頼を引き受けてもらうことはできません。

自己破産の依頼については30万円前後で引き受けている弁護士事務所が多く、この費用を払えるか否かが判断基準と考えておくとよいでしょう。

弁護士費用は分割での支払いが可能なことが多く、だいたい3ヶ月から半年ほどの期間をかけて支払いを行うことになります。

なお、生活保護受給者や無職に該当する場合には低利子で弁護士費用を借りられる制度(法テラス)がありますので、まずは一度相談してみてください。

予納金を用意することができない場合

自己破産を開始するにあたっては、裁判所に対して予納金を収める必要があります。

予納金とは自己破産手続きを始める上で必要となる資金のことで、自己破産の種類によって支払う金額が異なります。

目安としては同時廃止の場合が2〜3万円、少額管財の場合は約20万円、管財事件にいたっては50万円ほどかかるとされています。

とはいえ、少額管財と管財事件においては分割で支払うことも可能です。

先述した弁護士費用と同じく、いま手持ちにお金がなかったとしても自己破産をする手段は残されています。

まずは分割が可能かどうかということに加え、弁護士費用と予納金を併せていくらかかるのか把握することから始めてみましょう。

闇金融から資金の借り入れをしていた場合

あまり多いケースではありませんが、債権者の中に闇金業者がいる場合、弁護士が依頼を断ることがあります。

闇金業者は法定利息を大幅に超えており、そもそも犯罪行為に該当することが珍しくありません。

その場合には債務整理とは全く異なった観点から問題を解決する必要があります。

よって、闇金業者対応と自己破産をともに扱っている弁護士事務所であればともかく、そうではない場合には闇金専門の弁護士に別途相談する必要があります。

当然、複数箇所に依頼すればその分費用も高くなりますので、十分気をつけてください。

自己破産以外の債務整理も検討しよう

借金を解決するための手段は自己破産だけに限りません。

ほかにもいくつか、解決のための手段が残されています。

ここでは自己破産以外の債務整理方法を3つ、取り上げてみました。

自己破産以外にあなたに適した債務整理方法がないか、確認してみてくださいね。

過払い金請求

過払い金とは消費者金融からの借金やカードローンなどで、本来支払う必要がなかったのに余計に支払っていた利息のことを指します。

長い間、あなたが不必要に高い金利で支払いを続けている場合に、いまある借金が減額されることに加え、余分に支払っていた利息分がすべて返金されます。

過払金が生じている方に多いケースとして、

  • 2010年以前に金銭の借り入れを行った人
  • 借金を完済してから10年が経過していない人

などといった特徴があります。

もしあなたが上記の条件に当てはまっている、あるいは思い当たるフシがあるという場合には一度専門家に相談してみることをおすすめします。

任意整理

任意整理とは債権者と債務者の間で話し合いを行った上で、返済期間の延長や利息の免除を行う制度のことをさします。

手持ち資金にある程度余裕がある、あるいはこの先3〜5年ほどあれば完済が目指せそうだという場合にはいちど検討する価値のある方法だといえます。

自己破産と違って手持ち財産がなくなることもなく、比較的リスクの少ない方法です。

個人再生

個人再生は自己破産と同様に、裁判所を通じて行う債務整理方法のひとつです。

先述したように、自己破産の場合には一部の財産以外すべて没収の対象となってしまいますが、個人再生では高額な財産を手元に残すことができます。

とはいえ、個人再生の場合には借金が帳消しになることはないので、どちらを利用すべきか総合的に判断することが大切です。

自己破産が認められないときは即時抗告ができる

裁判所に免責が認めてもらえなかった場合、免責不許可の通知から1週間以内に自己破産をした裁判所に不服を申し立てることができます。

即時抗告を申し立てた後、再度裁判所に主張をすることができますので、もしそこで主張が認められれば免責が認められることになります。

とはいえ、即時抗告は一個人で行うには荷が重すぎることもあり、弁護士へ依頼するケースが一般的です。

自己破産手続き中の職業制限に注意しよう

自己破産の手続きが開始されると、公的資格の利用が制限されます。

つまり、手続き中において資格を必要とする職業に該当する人は、約4ヶ月の間一時的に仕事ができなくなってしまいます。

具体的には警備員や保険の外交員、宅建士などが該当します。該当する場合には手続きが終わるまで仕事をすることができないため、職場に事情を説明した上でその業務から離れなければなりません。

つまり、一定の職に該当する場合には職場に自己破産を知られてしまうことにも繋がるでしょう。

どうしても知られたくないという場合には、自己破産ではなく個人再生の手続きをおすすめします。

個人再生には資格が制限されてしまう規定がなく、職場に知られずに債務整理をすることができます。

まとめ

今回は自己破産が認められないケースに加え、自己破産が認められなかった場合の対処法についてお伝えしました。

依頼費用の不足や免責不許可事由に該当するからといって、はじめから自己破産を諦める必要は一切ありません。

弁護士費用をはじめ、自己破産にかかる必要資金の大半は分割払も可能なことから、まずは専門家に相談してみることから始めてみましょう。

この記事が行動への第一歩を後押しできていたら、幸いです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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