自己破産

破産者名簿とは?官報との違いや載る条件とは?

自己破産をすると、官報などのリストに掲載され、会社や家族、友人などに知られると思われがちです。リストのひとつには、破産者名簿というものもあり、官報と同様に自己破産したことを記録するもので、他の人に知られるのではと不安に思う方が多いでしょう。

そこで本記事では、破産者名簿について、どのようなリストであるかとともに、掲載される条件やデメリットなどを解説していきます。

目次

破産者名簿とは

まずは、破産者名簿とはどのようなものなのかを理解しましょう。破産者名簿がどこで作成・管理されているのか、どのような目的で作成されているのかをご紹介します。

破産者名簿は市区町村の役場が作成・管理している

破産者名簿は、その名のとおり、自己破産者の個人情報が記録されている名簿です。自己破産者の本籍地にあたる市区町村の役場で作成・管理しています。破産者名簿に載る条件で詳しく説明しますが、自己破産者全員が記録されるのではなく、「自己破産で免責不許可になったもの」だけが記録されます。

例えば、北海道札幌市であれば、本籍地が札幌市にあり、自己破産に失敗した人が札幌市の破産者名簿に載ることになります。

破産者名簿を作成している目的

破産者名簿は、会社の人間など第三者が気軽に閲覧できるものではありません。破産者名簿に掲載されているか否かを確認できるのは、市区町村の役場の窓口などで発行される身分証明書です。しかし、自己破産者の配偶者・父母・祖父母・子ども・孫に限って、本人以外で発行を許されているので、第三者に閲覧され、自己破産した事実を知られる心配はありません。

では、なぜ破産者名簿を市区町村で作成・管理しているのでしょうか。その理由には、自己破産における資格制限が関わっています。自己破産をすると、資格を剥奪されることはありませんが、自己破産者であることが影響して、特定の職業に就けない場合があります。特定の職業に就こうとした時に、自己破産者かどうかを判断するために、市区町村ごとに破産者名簿がつくられています。主な職業制限を受ける職業を下記の表にまとめましたので、あらかじめ確認しておきましょう。

職種 資格
士業 弁護士・弁理士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・公認会計士・税理士・通関士・宅地建物取引士
公務員 公証人・人事官・都道府県公安委員会・公正取引委員会・教育委員会
団体企業 商工会議所・金融商品取引業・信用金庫・日本銀行・労働派遣業
その他 貸金業者・質屋・旅行業務取扱主任者・生命保険募集人・警備員・建築業・下水道処理施設維持管理業者・風俗業管理者・廃棄物処理業者・調教師
資格制限を受けない業種 医師・看護師・介護士・教員・市役所職員

破産者名簿に載る条件

破産者名簿に載る条件は、「自己破産をして復権を得ないもの」と定められています。復権とは、破産開始から財産の換価処分、債権者への返済、免責許可を経て、自己破産手続きを集結させた状態を言います。破産開始からいくつかのステップを経て自己破産を成功させれば、破産者名簿に載ることはありません。自己破産者のうち、約95%以上が免責許可を得て、破産者名簿に載らないのが一般的です。

残り約5%の免責を許可されなかった自己破産者については破産者名簿に掲載されます。免責が認められない条件は免責不許可事由と呼ばれ、破産法第252条第1項に定められています。免責不許可事由と規定している条文をまとめましたので、下記の表をご覧下さい。

内容 条文
財産隠し 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
換金行為 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
偏波弁済 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
ギャンブル・浪費 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
詐欺的行為 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
偽造・虚偽報告・業務妨害など 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。

(参考:「e-Gov」破産法 第252条第1項 より

破産者名簿と官報の違い

破産者名簿と混同されやすいリストとして、官報があります。自己破産者の個人情報が掲載される点は共通していますが、閲覧や条件などは異なります。破産者名簿と官報の違いを解説していきます。

掲載される内容

破産者名簿には、身分証明書において「自己破産者ではないこと」が掲載されます。市区町村の役場で職業制限に該当するかを確認するために使われます。

官報については、項目に分けて書かれることはないものの、破産者名簿よりも詳細に個人情報が記録されます。主な項目は、事件番号・住所・氏名・決定年月日時・決定の内容等・裁判所名です。自己破産者がどこの誰かがはっきりとわかるのが、官報の特徴と言えます。

掲載される条件

自己破産をすると、免責許可・免責不許可に関わらず、自己破産者は官報に掲載されます。官報とは、内閣府が発行している国の機関紙です。自己破産者を外部に開示するという目的ではなく、法令の公布・告示など国の重要事項を広く周知するための手段・ツールという位置づけになっています。

一方で、破産者名簿は自己破産の免責不許可になったものだけが載るものです。官報よりも範囲が狭いので、官報には載るものの、破産者名簿には載らない自己破産者がほとんどになります。

第三者が閲覧できるかどうか

破産者名簿は、身分証明書の発行によって、自己破産者かどうかを本人以外に配偶者や父母・祖父母が閲覧できますが、破産者名簿自体が閲覧可能になってはいません。あくまで市区町村の役場が職業制限に該当するかをチェックする内部的な手段・ツールです。

官報については、第三者にも閲覧できるように、いくつかの手段が用意されています。主な手段は、以下の通りです。

  • 一部の図書館:国立国会図書館など
  • 官報販売所:定期購読や一部購読、郵便手配
  • インターネット:インターネット版官報

国立国会図書館や官報販売所で手配するには少々手間がかかりますが、インターネット版官報を利用すれば簡単に官報を閲覧できます。無料で閲覧出来るのは、公告から30日間であり、30日を経過すれば、第三者に見られることはなくなります。また、インターネット版官報に載っているからといって、検索窓に名前を入れてヒットすることはありません。官報はPDF形式であり、PDFにアクセスしたものだけが内容を閲覧できます。

どちらにも共通するのは、わざわざ一般の人が破産者名簿や官報を閲覧しようとすることはほとんどないということです。内部で利用される破産者名簿はもちろん、官報も会社や家族、友人などが閲覧する機会はないでしょう。貸金業者や金融機関などが閲覧するかもしれませんが、破産者名簿や官報に載るからといって、自己破産をしないという選択にはあまりメリットはないと言えます。

破産者名簿とその他のリストとの違い

破産者名簿と官報には、掲載内容や条件、閲覧方法などに違いがありました。その他にも自己破産に関わるリストがあり、混同してしまう方もいるでしょう。主なリストと破産者名簿の違いをご紹介します。

ブラックリストとの違い

自己破産をすると掲載されるリストのひとつがブラックリストです。ブラックリストとは、金融事故や返済の延滞など著しく返済が滞った状態で掲載されるリストであり、クレジットカードやローンといった信用取引を利用できなくなります。信用情報を第三者が閲覧するということは、破産者名簿同様にほとんどありませんが、信用取引には影響を及ぼすので、リストの中でも自己破産のデメリットとなる部分でしょう。

ブラックリストに掲載される期間は、5年~10年とされています。信用情報機関によって掲載期間が異なるので、下記で確認しておきましょう。

  • JICC(株式会社日本信用情報機構):5年
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー):5年
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):10年

確実にブラックリストから抹消されるためには、10年経過するのを待つ必要があります。それまではクレジットカード・ローンを利用できず、住宅や自動車、高額商品などを購入する際は現金のみとなります。

債権者名簿との違い

破産者名簿と名前が似ているリストとして、債権者名簿があります。官報やブラックリストなどのように自己破産者の情報が掲載されるものではありませんが、混同しないように理解しておきましょう。

債権者名簿とは、自己破産をする際に借金をしている債権者を報告するための書類です。自己破産では一部の債権者を選んで債務整理することはできないので、すべての債権者を漏らさず記入する必要があります。

債権者名簿に債権者が存在することを知りながら記載しなかった場合は、免責をされない債権となってしまいます。本来手続きに参加できる債権者へ通知が行われず、返済を受ける権利を侵害することになり、非免責債権となるのです。

破産者名簿に載るデメリット

破産者名簿に載るデメリットは、身分証明書において、自己破産者であることがわかってしまうことです。職業制限に該当する資格を所有していた場合、その職業に就くことができません。

ただし、会社や家族、友人など第三者に閲覧されることはほとんどなく、自己破産した事実がバレることは少ないでしょう。そもそも職業制限がかけられる資格を所持していないければ、破産者名簿のデメリットはありません。

破産者名簿から抹消される条件

職業制限に関わる資格を所有していると、破産者名簿への掲載はデメリットとなります。仕事に就くためには破産者名簿から抹消されなければなりません。破産者名簿から抹消される条件のひとつが、免責許可による復権です。破産手続きから免責が決まるまでは破産者と扱われますが、復権すると破産者ではないので、破産者名簿から抹消されます。

また、免責が不許可になった場合にも以下の条件を満たすと、破産者名簿から抹消されるので、確認しておきましょう。

  • 破産手続を廃止することについて、債権届出期間内に届出をした破産債権者の全員の同意を得ているとき
  • 自己破産を諦め、個人再生の再生計画の認可決定が確定したとき
  • 破産者が破産手続開始決定後、債務者が財産を隠匿した場合や、債権者の不利益に処分した場合などに適用される詐欺破産罪の有罪確定判決を受けずに10年経過したとき
  • 借金をすべて支払うなどの方法によって、債務の全部についてその責任を免れたとき

まとめ

本記事では、自己破産における破産者名簿について解説しました。

破産者名簿は、自己破産者全員ではなく、自己破産で免責不許可になった場合に掲載されます。職業制限にあてはまるかどうかを確認するために、市区町村の役場が作成・管理しています。

自己破産に関わって、官報やブラックリスト、債権者名簿などいくつかのリストがあり、混同されやすいですが、破産者名簿とは違いがあります。閲覧方法やリストの活用方法などが異なるので、しっかり違いを理解した上で自己破産を行いましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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