自己破産

自己破産の管財事件と同時廃止は何が違う?

自己破産を行う場合には、裁判所に申立てを行う必要があります。裁判所は状況に応じて管財事件か同時廃止での手続きを行います。

この管財事件と同時廃止は破産手続きの申立てまでは同じ手続きで行いますが、申立て以降は各々手続きが異なり、費用も違います。 個人から見れば、廃止の方が良いと言われる事も多いです。期間が短く・費用も安く済むようになっています。

そこで今回は、管財事件と同時廃止のそれぞれの概要や違いについてご説明致します!

目次

管財事件とは?同時廃止とは?

管財事件と同時廃止では、裁判所にかかる費用や弁護士にかかる費用も異なります。また、借金が帳消しになるかどうかの免責許可が出る期間も異なります。さらに、手続きを行う内容も異なります。

ここでは、管財事件と同時廃止について紹介していきます。

管財事件(少額管財)とは?

自己破産者に対して一定の資産がある場合に、適応される手続きとなります。本来裁判所で行う自己破産は、管財事件に則って行われます。

管財事件は、自己破産者が裁判所に申立てを行ったのちに、裁判所より破産管財人が選出されます。破産管財人は、破産者への面接を行うことや隠れている資産がないか確認し、資産が有ればお金を貸している債権者に資産をお金に換金し分配する役割を担います。そして、裁判所に対して「この人は借金を帳消しにしても大丈夫な人です(免責許可)」を意見する立場にある人のことです。

そのため、後述する同時廃止より手続きが複雑になります。期間を同時廃止よりも長期化することが多く、最短でも3ヶ月半から4ヶ月程で免責許可がおりる事が多いです。 不動産などが有れば、それらを現金に換える(換価処分)必要が出てきます。そのため、1年を超えてしまう事も珍しくありません。

費用に関しても、管財事件の場合は50万円以上の費用がかかる事が多いです。そのため、破産者から見れば非常に高額になります。

また自己破産手続き期間中は、引越しの制限が出て来ることや海外へ行くにも裁判所の許可が必要になってきます。

管財事件と少額管財の違いは?

申立てを行う際に、管財事件に当たりそうな場合であっても、費用を安く済ませる方法があります。それが、少額管財と呼ばれるものです。

管財事件の場合は、最低でも50万円以上の費用がかかることになります。 さらには、手続きも6ヶ月を要する場合もあります。

しかし少額管財であれば、費用が最低でも20万円程度に抑えられる事ができます。期間に関しても、6ヶ月以内で終結する事が多いです。ここは、後述いたします。

同時廃止とは?

自己破産者が、財産と呼べるものが殆どない場合に行われる手続きになります。本来は、破産管財人を選定する必要があります。しかし、財産がほぼない場合は、破産管財人の業務である換価処分を行う必要がありません。そのため破産管財人がいません。

結果として、破産手続きを行うと同時に、免責許可をもらうための手続きを行います。これが同時廃止と呼ばれます。

費用も管財事件(少額管財)と比べ、安価で1万円~3万円で済む事が多いです。 免責までの期間に関しても、3ヶ月~4ヶ月で終わるようになります。

管財事件と比較しても費用が安く、手続きが簡易に進みます。 これが同時廃止となります。

管財事件と同時廃止でなぜ期間・費用が異なるのか?

管財事件になると、自己破産申立てが開始されると同時に裁判所から破産管財人が選定されます。 破産管財人は上記で話した通りですが、以下の役割が当てはまります。

  • 自己破産者との面接
  • 自己破産者の資産の調査
  • 貸金業者への資産の分配
  • 裁判所への免責許可を出して良いかの意見

管財事件の場合は、このような手続きを必要とするため、同時廃止より期間を要します。さらに、自己破産者は破産管財人に対して裁判所を通じて、報酬を払う必要があります。そのため費用も高くなってしまいます。

また、同時廃止に向けて手続きを行っていたとしても裁判所より「不当に資産を隠している可能性がある」等、判断がなされた場合であっても管財事件として破産管財人の調査が入ります。

他にも自己破産には、免責不許可事由があるかの確認が行われます。免責不許可事由とは、借金の原因がギャンブルや過度な浪費・株などの損失に該当します。免責不許可事由があれば、管財事件として扱われるケースもあります。

このように、管財事件は自己破産者に対して調査することが多くなります。先ほどお伝えしたように、引越しの制限や海外へ行く際にも裁判所の許可が必要になってしまいます。

管財事件と同時廃止の費用・期間が異なる主な要因として「破産管財人がいるかどうか」によって変わると考えて良いでしょう。

管財事件の少額済む事ができる少額管財とは?

管財事件の中には、少額管財という制度もあります。

少額管財が使われる要因としては、個人の自己破産者が法人・個人事業主を比べ借金額が少ない事が多く、財産の調査・売却に多くの手間がかからないとされています。

少なくとも、個人の自己破産で裁判所に払う費用だけで「50万円以上」の費用は、破産者の生活の再出発を難しくさせる事にもつながります。 これは、破産法も以下のように記載されています。

債務者(自己破産者)の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする(破産法第1条)
(引用元:破産法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口(e-Gov))

つまり、個人の自己破産を行うために高額の費用を要するのは、自己破産の法律趣旨に反しているとも言えます。 そのため、少額管財という手続きが裁判所で開始されるようになりました。

少額管財を受けるためには?

少額管財を受けるためには、資産が20万以上を持っている事になります。さらには、自己破産者も弁護士を立てる必要があります。

少額管財は通常の管財事件と比べて、スピード感持って破産手続きに進められる事ができます。 そのためには、破産者側にも弁護士をつけることで書類を揃える事や、資産の把握が用意になるからです。 同時廃止はもちろんですが、少額管財を受けるためにも、弁護士に相談・同行していく事が大事になります。

管財事件(少額管財)と同時廃止の基準はあるのか?

自己破産を行う手続きの中で、管財事件になるケースと同時廃止になるケースに違いがあります。 以下の3つに当てはまることで、費用も安く期間も短くなる同時廃止になることが多くなります。

  • 持っている現金が99万以下
  • 持っている資産が20万円以下
  • 免責不許可事由にあたらない

これらが該当することによって、同時廃止になる可能性が高まります。逆にいうと、これらが1つでも該当していなければ、管財事件(少額管財)になってしまう可能性があります。

持っている現金が99万円以下

手元に残っている現金となります。後述しますが、銀行預金は資産としてカウントされてしまうことになります。予め現金化しておくなど、対策が必要になります。

持っている資産が20万円以下

家や車などの資産が、1項目につき20万円以下であれば、同時廃止になる可能性があります。

これは、自己破産者の名義のみが対象となり、配偶者・親族が購入した資産は対象になることはありません。しかし、自己破産前に事前に資産を譲渡した場合は、調査の対象になり同時廃止での手続きが難しくなる可能性があります。

1項目につき20万円以下の資産となりますので、20万超えやすいものは以下の通りです。

  • 家や土地などの不動産
  • 車やバイク
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金
  • 銀行の預金残高

不動産を持っている場合は、ほぼ間違いなく20万以上の資産となります。そのため、同時廃止での手続きは難しいです。しかし、例外的に家を購入した時より地価が大幅に下落し、ローン残高よりも明らかに下回った場合は同時廃止を認めてくれる可能性があります。

車やバイクも20万円以上の資産対象となりますが、中古であればそうともかぎりません。長く使う者には法定耐用年数という概念があり、車であれば新車から6年を超えた時点で、資産価値が大きく目減りする可能性があります。そのため、20万を下回る可能性があります。

解約返戻金は、20万を超えていると同時廃止のよる手続きは難しくなります。退職金も受け取っている場合は、財産としてみなされます。これから受け取る場合は、見込み額が評価額となります。具体的には、今退職した時点での退職金に8分の1を掛けて、20万を超えていれば同時廃止として手続きを行うことが難しくなります。

銀行口座にある預金額も手元にある現金としてではなく、資産として計上されるため、同時廃止による手続きを行いたい場合は注意が必要です。

免責不許可事由にあたらない

免責不許可事由とは、ギャンブルや過度な浪費などがきっかけで借金を作ってしまう事や、本来あるはずの資産を申告していなかった場合に適応されます。

免責不許可事由は以下のものが挙げられます。

  • ギャンブルやブランド品の大量買いなどによって借金を作ってしまった。
  • 最初から自己破産するつもりで借金を行っていた。
  • 資産を故意的に隠した。
  • 特定の債権者(お金を貸した人)に一部返済をした。
  • 書類に虚偽の記載をおこなった。
  • 裁判所や破産管財人に対して説明の拒否や虚偽の説明をした。
  • 過去に自己破産を行っている。(7年前)

基本的には免責不許可事由があると、同時廃止にならないどころか借金の帳消しに該当する免責許可がおりない可能性があります。 一方で、免責不許可事由があったとしても裁判所が「免責不許可事由に該当するけど、本人の反省もあるので免責を許可します(裁量免責)」と認める場合があります。この裁量免責は、破産管財人の意見によって決定されますので、同時廃止ではなく管財事件として扱われることになります。

裁判所によっても少額管財か同時廃止かの基準が異なる

基本的には、上記によって線引きが引かれると考えて問題ありません。しかし、裁判所によっても線引きが微妙に異なる事があります。

東京地方裁判所や大阪地方裁判所では、1つ1つの資産が20万を超えていれば、少額管財事件として扱われることになります。例えば車の資産が15万円で、バイクの資産が15万円、預金で15万円の合計45万円になったとしても同時廃止が認められる可能性があります。

一方で名古屋地方裁判所は、20万円が基準ではなく30万円が基準になります。これは、1つ1つの資産が30万円を超えている場合に管財事件として扱われます。また、同時に資産の総額が40万円に超えた場合は、同時廃止ではなく管財事件として扱われます。

また、福岡地方裁判所や広島地方裁判所では、個別の資産金額ではなく総額の資産価値のみで判断されております。 福岡地方裁判所では、資産額が合計50万円以上、広島地方裁判所では、資産楽が合計60万円以上で管財事件として扱われることになります。

このように裁判所によっては、管財事件と同時廃止の基準にかなりの違いがあります。また今後もこの基準額が変わる可能性も多いにあるため、居住地域の裁判所の動向を抑えていく必要があります。

なぜ管財事件と同時廃止の2種類があるのか?

管財事件の場合は、破産管財人が存在することによって、期間が同時廃止よりも延長され費用が大きくなります。

自己破産手続きを行うことによって、管財事件か同時廃止かに分かれます。なぜ2通りのパターンがあるのでしょうか?

自己破産は、申し立てる人の借金を免除・帳消しにする手続きである一面もあります。その一方で、申し立てた人の資産を売却させて、貸金業者などの債権者に分配させる手続きと言えます。

その資産が、ほぼないと裁判所より判断されれば、債権者に分配する手続きが不要になります。分配させる人は、破産手続き人が行います。

そのため、【資産がない人が分配することがないため簡略した自己破産で構わない】と判断した場合のみ同時廃止という手続きが可能になります。

結論から言いますと、資産がない人のために同時廃止という制度ができたと言えます。

なぜ少額管財という制度ができたのか?

とはいえ、あくまでも同時廃止という制度自体は例外的措置となっておりました。お金がないからと言ってもすべてを同時廃止にすることはできません。

また同時廃止は、破産管財人が不在のため嘘の申告を行う「虚偽申告」を行われるケースが増えてきました。

少額管財は、元々50万円以上が払えない人のために、生活が再出発できる制度として作られてきた背景がありました。

同時廃止の虚偽申告を防ぐ目的において、少額管財の制度ができたという理由もあります。 現在、少額管財の制度がある裁判所が殆どですが、法律で「少額管財を使いなさい」ということではありませんので、必ずしも各裁判所が少額管財を行っているわけではないという点は気をつける必要があります。

自己破産後に過払い請求は可能か?

自己破産確定後に、過払い金があることが判明した場合は「過払い金請求は可能」です。しかし、自己破産申立ての時点で「過払い金があったかもしれない」と知っていた時点で、裁判所に隠していた場合は免責不許可事由に該当する可能性があります。

最悪のケースでは、借金が帳消しになる免責許可がおりずに、借金の返済を継続しなければなりません。 最近では、CMなどの広告で過払い金請求を多く耳にするようになったため、裁判所・破産管財人共に敏感になっています。そのため、破産手続き中に過払い金が判明するケースが多いです。

手続き中に過払い金が見つかれば、そのお金は資産として見なされ、債権者に分配される事になります。

過払い金があった事に気づかずに自己破産し、その後判明した場合は、過払い金の請求は可能です。 しかし管財事件の場合は、破産管財人に見つかる可能性があります。さらに、同時廃止の手続き中に過払い金の存在が判明すれば、最悪免責許可がおりないケースがあります。

弁護士に相談する際には、どこから借金していたのかなどを詳細に伝える必要があります。

まとめ

管財事件(少額管財)と同時廃止の違いは以下のようになります。

  • 費用は少額管財の場合最低20万円、同時廃止は1~3万円程度
  • 期間は少額管財の場合6ヶ月程、同時廃止は3~4ヶ月ほど
  • 振り分けの基準は免責不許可事由に該当するか、20万円を払える能力があるか

などが挙げられます。

破産者から見れば、少額管財よりも同時廃止の方が費用も安くなり期間も短くて済む事が多いために、同時廃止を希望される事が多いです。しかし、過払い金や状況によっては、管財事件の方が手元に残りやすいという事もあります。

また少額管財と同時廃止の割合としては、同時廃止の方が多いです。個人破産での全国平均は、平成27年の司法統計で同時廃止が65%となっています。しかし、裁判所によっては年々管財事件による対応が増えてきています。

このように、裁判所によっても対応が異なりますので、自己破産を検討している方は債務整理に強い弁護士へ相談していく必要があります。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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