自己破産

会社が自己破産したらどうなる?再チャレンジできるのか?

会社経営がうまくいかなく負債を多く抱えるようになってしまうと、不安になりますよね。

「会社の自己破産をすると二度と会社を起こせないのではないか」「個人の自己破産もしなければいけないのか」と考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし自己破産をする事で負債が帳消しになり再出発を切りやすくなるという面もあります。自己破産がいけない事ではありません。

ここでは会社の自己破産についての流れ・再度法人を行う時の注意点・経営者保証ガイドラインについてそれぞれ詳しく説明していきます。

目次

会社(法人)破産とは

会社の自己破産とは文字通りで法人・会社が破産してしまう事を指します。ここでは個人の自己破産ではないので、会社自体に溜まってしまった負債の債務整理を行う事の1つとして自己破産という手段を使います。

破産とは、支払い不能状態となった状態です。期日まで負債を払う事ができない状態になった時に、手持ちにある資産を使い支払います。そして負債を可能な限り支払い・精算していきます。これが破産となります。

また、破産の要件は支払い不能のほかに債務超過もあります。債務超過とは債務額の合計が資産額の合計を超えている状態を指します。例えば、債務額が3000万円を抱えており、資産額が1000万の場合は債務超過となり破産の要件に当てはまります。

破産の条件は【支払い不能】もしくは【債務超過】になる事ですが、実際には【支払い不能かつ債務超過】となっている会社が多いです。

気をつけたいのが、個人の場合は【自己破産後は借金が免除】されますが、会社の場合は「破産」のみで【債務(借金)が免除されるわけではない】という事です。 個人は【免責】を持って【借金の免除】となります。会社は【免責されない】ので【借金の免除にはならない】のです。

以下は法人という意味を説明します。

法人とは

法人とは個人ではない【法人格】のことを指します。 株式会社や有限会社・合同会社は会社と区別されます。一方で財団法人・NPO法人・医療法人・弁護士法人などは【法人】として区別されます。

【法人】の中には【会社】が含まれている為、法人は会社よりも広い意味で使われます。会社ではない団体=法人と考えてよいでしょう。

会社の自己破産の効果は?

自己破産の効果としては

  • 会社が消滅する(破産した為)
  • 代表取締役には影響がない
  • 従業員の影響
  • 会社財産の影響

が挙げられます。1つずつ解説していきます。

会社が消滅する(破産した為)

法人が自己破産をすることによって、法人そのものが消滅します。そのためその法人でリスタートすることはできません。この点は個人の自己破産と大きく異なります。

個人が自己破産をしても、官報に記載はされてしまいますが、個人そのものは抹消されません。しかし法人の自己破産=法人の抹消となり、この世からなくなります。法人の破産した時点で終了です。

ただし代表取締役の個人自体は抹消されることはありませんので、別法人を作り再出発することは可能です。

代表取締役には影響がない

法人の自己破産をする場合は、「代表取締役個人の自己破産も一緒に行う必要があるのではないか」と考えてしまう方もいらっしゃるかと思います。現実として法人の自己破産をされる場合は個人の自己破産も一緒にされる事もありますが、法律的には一緒に自己破産する必要はありません。

そのため、会社の自己破産を行っても代表取締役個人には影響がありません。 会社が破産しても社長個人も強制的に破産されるわけではなく、財産を没収される事もありません。

従業員の影響

会社が破産することによって、従業員の雇用は維持できなくなります。そのため当然ながら解雇せざるを得ません。また、破産前には給与賃金の未払いや退職金の問題が可能性として出てきます。

破産する際は事前に従業員に知らせてしまうと、現場が混乱してしまう事があり、伝え方には注意が必要です。時には従業員から強い反感を買う可能性があります。

従業員を解雇する場合は、解雇の30日前までに解雇の通知をする必要があります(解雇予告)。従業員の賃金や退職金が未払いのまま、会社が破産した場合は、破談財団が形成されるかどうかで対応が変わります。

破談財団とは、会社が破産した時点で会社が保有している一切の財産を指します。 財産・資産が十分にあった場合は、破談前の過去3ヶ月分の未払い分は優先的に従業員に支払われることになります。

破談3ヶ月前以外の給与未払いに関しては、ほかの債権(税金など)に弁済後に配当される形になります。

破談財団が十分にない場合は、条件を満たすことで労働者健康福祉機構(厚生労働省の独立行政法人)から立替支払いを受けることができます。未払い分の最大80%となります。

会社財産の影響

会社の自己破産によって、資産と負債を精算する必要があります。自己破産するということは負債が多くなり支払い能力がなくなるということですので、資産は全て失われると考えて良いでしょう。

前述した通り、会社の自己破産は【会社そのものがなくなる】ことになりますので、法人の財産・資産が有ればすべて換金されることになり、お金を貸している方(債権者)にお金を渡され、すべてなくなります。

会社(法人)の自己破産のメリット・デメリット

会社の自己破産に関してはもちろんメリット・デメリットが挙げられます。 確認してみましょう

会社自己破産のメリット

メリットは以下のようなものがあります。

苦しい経営からの解放

会社経営が悪化していくと、経営者・代表取締役は非常に精神的に追い込まれてしまいます。

「入金は予定通り受けられるのか…」
「負債は払う事ができるのか…」
「資金調達きちんとできるのか…」
「スタッフにも給与払う事ができるのか…」

このような事を毎日考えてしまうと、精神的に疲弊してしまいます。さらに実際に負債の支払いが滞り始めると、債権者が取り立てに来る可能性もあります。

破産を選ぶ事で、債権者の取り立てが来る事がなくなりますし、一度リセットをすることができますので、精神状態を持ち直すことができます。

家族が安心する事ができる

代表取締役本人が支払いなどで追い詰められてしまうと、家族にも心配をかけてしまいます。経営がさらに悪化してしまうと、家族に十分な生活費を提供する事も出来ず、苦労をかける結果にもなります。

会社を破産させる事で、再出発できる事で別の仕事を行う事が可能になりますし、仕事を行う事ができれば家族への生活費を捻出することが可能になりますので、家族も安心させる事ができます。

取り立てが来なくなる

負債の支払いが滞る事で、債権者からの取り立てが来る可能性が非常に高くなります。会社の場合は、個人とは異なり貸金業者だけではなく、取引先も取り立てに来る可能性もあります。買掛金を持った会社が「この会社は破産するかもしれない。」と疑うようになれば、直接事務所に乗り込んで来る可能性があります。資金がなければ、商品を引きあげられるケースも想定されます。

会社の自己破産手続きを行う事で、無理な取り立てを止める事ができます。

再出発ができる

会社が破産する事で会社は消滅してしまいますが、一度すべてリセットされる事ができます。資金繰りを気にする必要がなくなったのでリスタートを切る事ができます。

会社が破産しても代表取締役社長に何らかの制限がかかるわけではありません。 代表取締役本人が別の会社を設立することや、会社員として働くことも可能になります。

会社破産のデメリット

一方で会社破産のデメリットは以下のものが挙げられます。

資産がなくなる

法人が保有していた資産は全て失うことになります。現金は勿論の事、会社名義だった不動産や車も精算対象となりますし、会社が積み上げてきた信用も無くなってしまいます。

会社がなくなる

個人の場合は自己破産しても、個人は残り続けます。しかし会社の自己破産は【会社そのもの】がなくなってしまいます。特に自分で設立してコツコツ大事に育ててきた会社や親から継承された会社を破産させるという事は辛いものがあります。

信用を失う

会社の破産=個人の破産ではありません。そのため、個人の自己破産がなければブラックリストに載る事はありません。しかし、会社の破産は必ず代表取締役が存在します。会社を破産させた人だと世に知られれば、「この人は会社を破産させた人だ」と噂になってしまう可能性が高くなります。

そのため、再度仕事を立ち上げても噂によって仕事がうまく進まない可能性もあります。

個人保証をしていると個人も自己破産する可能性が高い

個人保証というのは会社が融資を受ける際に、経営者や家族の個人が返済を保証するものということになります。つまり、会社が破産し負債の精算をする際は個人の資産からも返済する必要があります。

中小企業や1人会社では、個人保証をつけている事が多いです。そのため、会社が破産すると、会社の負債を個人が払い切ることができず会社と個人が同時に自己破産を選ばざるを得ないという状況になります。

破産と倒産の違いは?

ここまで破産についてメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、そもそも破産と倒産には違いがあるのでしょうか?ほぼ同じ意味で使われる事がありますが、厳密には違いがあります。

会社の倒産とは、会社に期限が近づいている支払いが困難になり、営業を続ける事が難しい状態を指します。そして、支払いが困難になった会社が取る手段の1つに、裁判所を介して精算手続きをする破産という方法を使う事ができます。

破産の他には民事再生・会社更生という手段があります。会社の資産は維持したまま、その資産を使って事業の継続による収益を債権者に分配していく方法です。

会社の自己破産の費用は?

会社の自己破産に必要な費用は大きく分けて2つあります。

  • 裁判所へ納める費用
  • 弁護士に納める費用

裁判所は東京地方裁判所の少額管財手続きを例に取ると以下のようになります。

予納金:212,830円
印紙、郵券:5,000円
合計:217,830円
※代表取締役個人が同時に自己破産を申請する場合は、21,590円が新たにかかるため、合計239,420円となります。

弁護士に納める費用は弁護士によっても異なりますが、だいたい60万円~とされています。自己破産の費用は80万円以上と見ておくと良いでしょう。

会社の自己破産を捻出する場合は、売掛金から捻出をする事が多いですが、弁護士に相談しておく必要があります。

再度社長を行う時の注意点

会社の自己破産をしてしまった場合でも新しい会社を作る事は可能です。しかし、会社の破産によって連鎖的に代表取締役個人の自己破産も起きてしまった場合は注意が必要になります。

自己破産をしても会社を作ってもよい

連鎖的に個人の自己破産をしてしまっても、その後に会社を作って問題はありません。

しかし、代表取締役に就任している方が個人の自己破産を行った場合は、一度退任する必要があります。退任後は株主総会を経て復帰する事ができます。しかし1人会社や中小企業の場合は代表取締役が不在になる自体が起きるため、注意が必要です。

営業免許に個人の自己破産が影響するもの

法人の自己破産には影響ありませんが、個人の自己破産を行なってしまった場合は事業内容によっては支障がでるものがあります。

一部の事業内容によっては【個人の自己破産によって欠格事由になる】からです。 「自己破産により復権を得ない者(自己破産がまだ精算できていない状態をさす)」は以下の通りです。

  • 旅行業
  • 保険業
  • 警備業
  • 建物業
  • 風俗業
  • 割賦販売業者
  • 貸金業者
  • 下水道処理施設維持管理業
  • 廃棄物処理業
  • 古物商

以上の事業は自己破産精算後(復権した)に申請を行う必要があります。

自己破産の人が融資を受けられるか

個人の自己破産した場合はブラックリストに登録されています。

個人の自己破産した社長が新たに会社を起こす場合は【資金繰りに問題がないか】を十分に留意する必要があります。 その理由としては【金融機関は経営者個人の信用情報をチェックされる】ためです。 自己破産のブラックリストは5年もしくは10年間登録されます。

そのため、自己破産後に再度会社を興す場合は以下の点を行なっていきましょう。

  • 十分な自己資金を用意する
  • ブラックリストに載っていない方に代表取締役を引き受けてもらう
  • 金融機関以外の資金調達を行う

経営者を助けるかもしれない経営者保証ガイドラインとは?

経営者保証ガイドラインとは、平成26年から開始された制度です。

中小企業や1人会社のほとんどは、個人保証をしている事によって会社の自己破産と個人の自己破産が連鎖的・同時に起きてしまいます。代表取締役にとっての個人負担は会社の早期適正処理の妨げになっている事が非常に多いため、負担を軽減する目的で作られました。

経営者保証ガイドラインを適応ができれば【ブラックリストに載る事がなくなる】事もできるので、再チャレンジを非常にしやすい制度であると言えます。

経営者保証ガイドラインの対象となり得るための4要件

次の4つが要件とされています。

1:主たる債務者が中小企業であること
2:保証人が個人であり、主たる債務者は中小企業の経営者であること
3:債務者が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況について適時適切に開示していること
4:債務者及び保証人が反社会勢力ではなく、そのおそれもないこと
引用元:経営者保証に関するガイドライン

とされており、簡単に言うと

  • 中小企業で、社長が個人保証を行なっている
  • きちんと財産状況を開示できる
  • 反社会勢力ではない

ということが挙げられます。また上記の4要件に加えて、法人と経営者の明確な区分・分離ができているかということが判断基準になります。

ガイドラインが適用された場合のメリット4つ

経営者保証ガイドラインの適応が認められると、社長は自己破産よりもかなり有利となります。

主なメリットは4つ挙げられます。

  • 個人保証分の減額・免除・返済猶予が可能
  • 自己破産時の自由財産(99万円)よりも残せる事ができる
  • 住居用の不動産を処分しなくてもよい(ただし生活以上の不動産は処分されます)
  • 信用情報の登録がない(ブラックリストに載らない)

このように適応が認められると、個人保証の返済が減るだけでなく、ブラックリストに載らない事や住居用の不動産を手放す必要がありません。

やはり個人保証分を債務整理したことによってブラックリストに載る事がなくなるということは、再チャレンジをしやすく再度会社を作る事も容易になります。

まとめ

会社の自己破産はとても苦しいですが、自己破産後でも再出発を切れるのが会社自己破産の1番のメリットでしょう。支払いが間に合わず、迷っていても会社が好転することは難しく、より取引先や従業員に迷惑をかけることにつながります。

一方で自己破産を行う事で資産の精算が行われる事になります。そのため家や受け取っていない退職金も破産管財人によって処分されてしまう事になります。

実際に自己破産を行う場合は自分でどうにかしようと思わず、債務整理に強い弁護士に相談していきましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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