自己破産

自己破産をするといつまで影響が残る?

「借金の返済に追われていて、毎日が苦しい…」という方は、自己破産を検討しましょう。自己破産をすることによって、借金の返済義務はなくなり、生活を立て直しやすくなります。

ただし、自己破産をすると財産が差し押さえられるだけでなく、他にも様々な影響が生活にあります。そして、自己破産の手続きを完了しても、一定期間は影響が残るものもあるので注意が必要です。

自己破産をした場合、いつまで生活に影響するのでしょうか?この記事では、自己破産の流れ、手続き期間、いつまで・どのような影響があるのかを解説していきます。

目次
  1. 1. 自己破産する流れと手続きにかかる期間
    1. 1.1. ①「同時廃止」と「管財事件」で流れは違う
    2. 1.2. ②自己破産の一般的な流れと期間
    3. 1.3. ①法律事務所で相談をする
    4. 1.4. ②自己破産の手続きを依頼する
    5. 1.5. ③担当弁護士が債権者に「受任通知」を発送する
    6. 1.6. ④申し立てをする準備を行う
    7. 1.7. ⑤裁判所へ自己破産の申し立てをする
    8. 1.8. ⑥破産手続きが開始される
    9. 1.9. ⑦免責許可決定が下る
    10. 1.10. ⑦自己破産するのに必要な書類
  2. 2. 自己破産をスムーズに行うためのコツ
    1. 2.1. ①弁護士に依頼をする
    2. 2.2. ②必要な書類はすぐに提出する
    3. 2.3. ③即日面接制度を利用する
  3. 3. 自己破産のデメリットには手続き後も残るものがある!
  4. 4. 自己破産による信用情報への影響はいつまで?
    1. 4.1. ①JICC・CICに自己破産が登録される期間
    2. 4.2. ②KSCに自己破産が登録される期間
  5. 5. 自己破産をすると官報にはいつまで掲載される?
  6. 6. 自己破産で職業・住居などが制限されるのはいつまで?
    1. 6.1. ①自己破産による職業・資格制限
    2. 6.2. ②自己破産による住居制限
    3. 6.3. ②自己破産による海外旅行の制限
  7. 7. 自己破産で自宅を手放す場合、いつまで住んでいられる?
  8. 8. 2回目以降の自己破産の手続きができないのはいつまで?
  9. 9. 自己破産後、10年程度は信用情報などへの影響があるので注意

自己破産する流れと手続きにかかる期間

自己破産をすると借金の返済義務をなくせますが、すぐに手続きできるわけではありません。

大まかな手順としては、書類作成など自己破産をするための準備を行い、裁判所に対して申し立てをし、免責(返済義務を免除してもらう許可)を得るという流れになります。

自己破産による影響が発生するのは、早くても申し立てをした後からです。中には申し立てをして免責許可が下りるまでの間だけ影響することもありますし、免責されてもしばらくは影響が残るものもあります。

また、実際の自己破産の流れは本人の資産状況、管轄の裁判所の運用などによって変わるため注意してください。

①「同時廃止」と「管財事件」で流れは違う

自己破産にかかる期間は、手続きが「同時廃止」になるか、「管財事件」になるのかによって変わります。

自己破産の多くは同時廃止という手続きで、破産手続きの開始決定と同時に免責許可がおります。同時廃止になるのは、債務者が債権者に分配できるような資産を持っていないケースです。この場合には、資産を詳しく調査する必要がありません。

一方、持ち家などの不動産、借金の返済に充てられるような資産を持っている、または資産状況を詳細に調査する必要があると裁判所が判断したなら、管財事件になります。

弁護士などの専門家に相談をして、資産や債務状況などの事前調査をすれば同時廃止、管財事件のどちらになるのかの予想は可能です。

しかし、最終的な判断は裁判所が下すため、「同時廃止で手続きが終わると思っていたのに、管財事件になってしまった!」というケースもあります。

管財事件では「破産管財人」という資産の調査・管理などを行う人物が選出されます。

その後、破産管財人は資産の調査を行い、一定額以上の価値がある財産は換価処分(差し押さえた財産をお金に換えること)されるのです。換価された資産は債権者集会を通して分配されることになるため、同時廃止よりも時間がかかります。

②自己破産の一般的な流れと期間

同時廃止であれば3ヶ月、管財事件だと半年〜1年というのが期間の目安です。

前述の通り、同時廃止と管財事件で自己破産の流れは変わってきますが、一般的には次のような流れで手続きが進んでいきます。

①法律事務所で相談をする

自己破産の申し立ては自分でも行えますが、弁護士を代理人にする方法が一般的です。そのため、自己破産を考えている場合には法律事務所で相談をしましょう。

借金や資産の状況を整理した上で相談をすれば、自己破産以外の解決策がないかも含めて相談に乗ってくれます。

②自己破産の手続きを依頼する

法律事務所で相談をした結果、自己破産をすると決めたら正式に手続きを依頼します。

③担当弁護士が債権者に「受任通知」を発送する

弁護士が自己破産の手続きを引き受けると、債権者に対して「受任通知」という書類を送ります。

金融機関などの債権者は受任通知が届いた後に取り立てをすることはできないため、早ければ即日で取り立てはストップします。

ただし、債権者に銀行が含まれる場合には、口座凍結の可能性もあるので注意が必要です。受任通知が届いた後に入金されたお金を債務と相殺することはできませんが、その時点の口座残高はローンの借入残高と相殺されるでしょう。

いつまで口座凍結になるかは状況によるため、給与などの振込先は事前に変更しておくと良いです。

④申し立てをする準備を行う

指示のあった書類を集め、自己破産の申し立てをする準備を行います。このときに金融機関から取引履歴を取り寄せるので、準備するのに早くても1ヶ月、遅いと3ヶ月程度はかかるでしょう。

⑤裁判所へ自己破産の申し立てをする

書類の準備が整ったら管轄の裁判所に自己破産の申し立てをします。

⑥破産手続きが開始される

裁判所で申し立ての受け付けが行われると、免責審尋(裁判官が免責を決める手続き)などの日程が決まり、破産手続きが開始されます。

⑦免責許可決定が下る

同時廃止の場合、免責審尋から1週間ほどで免責の許可決定があります。

一方、管財事件として扱われる場合、管財人の選出、管財人面接、債権者集会を経て次の工程に進むため、免責許可が決定されるまでに時間がかかるのです。

⑦自己破産するのに必要な書類

自己破産は弁護士に依頼をすると、弁護士が代理人として申し立てを進めます。そのため、破産者本人が裁判所に赴いたり、裁判官と話をしたりという機会はかなり少ないです。

管轄の裁判所によって運用が異なるため、実際の流れについては自己破産の相談をする際に確認しておくと良いでしょう。

ただし、依頼をすれば弁護士がすべて行ってくれるわけではありません。自己破産をするための書類作成は弁護士が進めてくれますが、必要な書類集めなどは自分自身で行うことになります。

自己破産の申し立てを準備するためには、財産や家計の状況が分かる次のような書類を集めることになります。

【自己破産のために用意する書類の一例】

  • 住民票
  • 戸籍謄本
  • 給与明細書
  • 預金通帳コピー
  • 源泉徴収票
  • 課税証明書
  • 不動産に関する資料
  • 退職金に関する資料
  • その他の資産に関する資料(車検証、保険証券など)
  • 家計収支表(家計簿) など

弁護士が必要な書類の一覧を作成してくれるため、それに従って書類集めをしてください。

住民票などであれば最新のものを提出すれば良いですが、預金通帳コピー、家計収支表(家計簿)といったものは過去のものも必要です。

例えば、預金通帳コピーは過去1〜2年分、家計収支表(家計簿)は過去1〜3ヶ月分を提出することになるでしょう。

また、状況に応じて追加での書類集めを依頼されることもあります。これらの書類は自分で用意しないといけないため、入手方法などに不明点があれば確認しながら準備を進めてください。

自己破産をスムーズに行うためのコツ

自己破産による影響をいつまでも受けないためには、できるだけスムーズに手続きを完了させることも重要です。

そのためには、次の3点がポイントになります。

【自己破産をスムーズに行うためのコツ】

  • 弁護士に依頼をする
  • 必要な書類はすぐに提出する
  • 即日面接制度を利用する

①弁護士に依頼をする

自己破産は弁護士に依頼する以外にも、自分で手続きしたり、司法書士に依頼したりも可能です。

しかし、自己破産の申し立ては簡単ではありません。自分で手続きをする場合、十分な知識がないと申し立てをするのにも時間がかかるでしょう。

また、司法書士は書類の作成が主な業務になるため、弁護士のように代理人にはなれません。

スピーディに問題の解決を図るのであれば弁護士に依頼することをおすすめします。

②必要な書類はすぐに提出する

用意する書類に不備があるとスムーズに手続きが進みません。資産を少なく見せるために、意図的に書類を提出しなかったり、嘘の書類を提出したりすると免責が認められない可能性が高いです。

また、弁護士に指示された書類を集めるのが遅れれば、申し立ても遅くなってしまいます。

弁護士に作成してもらった必要書類一覧をもとに、速やかに必要な書類をすべて用意してください。

③即日面接制度を利用する

裁判所によって運用が異なりますが、東京地裁の場合には「即日面接制度」が導入されています。

即日面接では自己破産の申し立て後、速やかに裁判所と代理人弁護士の面接が行われ、破産手続きが開始されるのです。

これは弁護士が代理人として申し立てをする前に資産などの事前調査を十分に行っているからこそできます。そのため、弁護士に依頼していない場合には利用できません。

また、管轄の裁判所によっては即日面接の制度がないこともあるので覚えておきましょう。

自己破産のデメリットには手続き後も残るものがある!

自己破産は免責という大きなメリットがある一方で、様々なデメリットもあります。

例えば、自己破産をすると自宅などの不動産、一定の価値がある財産は差し押さえられます。

ただし、資産が差し押さえられ、債権者に分配されるのは管財事件になった場合です。20万円を超えるような財産を所有していない方は、分配できる資産がないため、同時廃止になるのは前述の通りです。

加えて、破産手続きの開始後に新たに取得した財産については差し押さえの対象にはなりません。
このような財産を「新得財産」といいます。

他にも99万円以下の現金、生活必需品なども残すことが可能です。

つまり、自己破産による財産への影響はいつまでも続くものではないのです。

一方で、自己破産の手続き中、手続き後まで影響が残るものもあるので注意してください。

自己破産による信用情報への影響はいつまで?

「自己破産をするとローンが組めなくなる」という話を聞いたことはないでしょうか?これは、自己破産をすると信用情報に記録が残るのが理由です。

自己破産の記録は、一定期間登録され続けるため、その期間は新たにローンを組んだり、クレジットカードを発行したりはできません。

一定期間が経過すれば記録は自動的に削除されますが、短い期間ではないため注意が必要です。

いつまで信用情報への影響が残るのかは、どの信用情報機関に登録されている記録かにもよりますが、自己破産の場合には10年が目安になります。

①JICC・CICに自己破産が登録される期間

消費者金融やクレジットカード会社は、日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)という信用情報機関に加盟しています。

自己破産の記録が上記の2社に登録される場合、その登録期間は最長5年です。免責を受けてから5年間が経過すれば、上記2社からは自己破産の記録は消えます。

②KSCに自己破産が登録される期間

銀行などが加盟している全国銀行個人信用情報センター(KSC)のみ、自己破産をすると記録が最長10年間残ります。

これは官報情報については10年間、保存する決まりになっているためです。
詳しくは後述しますが、自己破産をすると破産者の情報が官報と呼ばれる国が発行する新聞のようなものに載ります。

以前はCICにおいても官報情報を記録していましたが、現在はKSCのみとなっています。

これら3つの信用情報機関は提携関係にあるため、自己破産をすると信用情報への影響は10年間残ると考えて良いでしょう。

自己破産をすると官報にはいつまで掲載される?

初めてにいっておきますが、官報を一般の人が目にする機会はほぼありません。そのため、自己破産をして官報に掲載されたからといって、会社や近所に破産したことがばれるという可能性は低いです。

では、自己破産をするといつまで官報に掲載されてしまうのでしょうか?

官報に破産者の情報が掲載されるのは、裁判所に申し立てをして、破産手続きの開始が決定されてからになります。

また、免責許可が下りた後にも官報に掲載されるため、何かしらの影響があるとすればこの辺りのタイミングです。

官報は過去のものも閲覧できるため、正確にいつまで影響があるかは断定できません。

しかし、前述の通り、官報に掲載されても周りに知られる可能性は低いので、過度な心配は不要でしょう。

自己破産で職業・住居などが制限されるのはいつまで?

あまり知られていませんが、自己破産の手続き中のみ職業や住居にも影響があります。同時廃止であればすぐに免責の判断になるため影響はほぼないですが、管財事件だと免責の許可が下りるまで影響が出るため注意が必要です。

①自己破産による職業・資格制限

自己破産の手続き中は、お金に関係するような資格が一時的に停止になります。主な職業や資格は弁護士、司法書士、税理士などの士業、警備員などです。

他にも制限を受ける職業・資格はありますが、影響があるのは一部の人だけで、免責が認められるまでのことです。

免責の許可が下りれば復権(失った権利・資格を取り戻すこと)するため、大きな影響にはならないケースが多いでしょう。

②自己破産による住居制限

自己破産の手続き中は、自由に引っ越しができなくなります。自由に住居を変更できると連絡が取れなくなる可能性があるため、引っ越しをする場合には事前に裁判所の許可が必要です。

ただし、申請が却下されるという可能性は低いため、手続きさえすれば自由に引っ越しができます。

②自己破産による海外旅行の制限

引っ越しと同じように自己破産の手続き中は、海外旅行についても制限されます。管財事件でも破産の申し立てをしてから、免責許可が出るまでの数ヶ月のことなので影響は少ないでしょう。

また、パスポートに破産したという情報が記載されるわけではないため、免責後であれば制限は一切ありません。

自己破産で自宅を手放す場合、いつまで住んでいられる?

自己破産をする際に、持ち家がある場合にはその家に住み続けることはできません。

いつまで今の家に住んでいられるかはケースバイケースですが、目安としては破産の申し立て後6ヶ月〜1年ほどです。

住宅ローンが残っているケースでは、金融機関に抵当権があるため、競売にかけられ残債務の返済に充てられます。また、住宅ローンがなくても、自宅は破産管財人によって差し押さえられ、換価処分される可能性が高いです。

自己破産で手元に残せる財産の目安は20万円なので、持ち家などの不動産は換価された上で、債権者に分配されることになるでしょう。

ただし、自己破産の申し立てをしても、自宅を退去するまでには猶予があります。
競売によって買い手が決まり、登記移転が行われるまでは住み続けることが可能です。

その間に新しい家を探して、引っ越しの準備をしてください。

2回目以降の自己破産の手続きができないのはいつまで?

多いケースではありませんが、自己破産をした後にまた借金を作ってしまい、2回目の自己破産をするという場合もあります。

自己破産の回数自体に制限はありませんが、前回の自己破産から一定年数を空けないと手続きできません。

2回目以降の自己破産は、前回の免責許可から最低でも7年経過していることが必須条件です。

加えて、1回目よりも自己破産の条件が厳しくなります。前回と同じような理由で破産の申し立てをしても、免責許可は下りないでしょう。

再度、破産の申し立てをするにいたった理由が納得できるものでないといけないのです。

何回でも自己破産できると甘く考えずに、免責許可後は生活の立て直しを第一に考えましょう。

自己破産後、10年程度は信用情報などへの影響があるので注意

自己破産をすると様々な影響が生活に出ますが、免責許可までの影響もあれば、免責許可が下りてからも続く影響もあります。

中でも重要なのは、信用情報への影響でしょう。
自己破産をするとその記録が信用情報に記載されます。

官報情報も記録するKSCの場合には10年が経過しないと情報は消えません。
自己破産が記録されている期間はローンやクレジットカードの利用はできないです。

審査をするのは金融機関ですが、信用情報に自己破産の記録があると審査に通ることはほぼないでしょう。

自己破産の流れを確認して、どのような影響が、いつまであるのかを把握した上で手続きを進めることが重要です。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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