自己破産

自己破産をすると親名義の家も差し押さえられる?

自己破産は借金の返済義務を免除してもらう代わりに、必要最低限のものを残してすべての財産が差し押さえの対象になります。
そのため、賃貸ではなく、持ち家に住んでいるなら自宅も差し押さえられ、借金の返済に充てられる可能性が高いです。

では、住んでいるのが親名義の家というケースではどうなるのでしょうか?

この記事では、親名義の家に住んでいる場合、自己破産をするとどうなるのかについて説明していきます。

また、家族の所有する財産への影響についてもまとめているので、自己破産後の住まいや、家族への影響を心配している方はぜひ参考にしてください。

目次

自己破産をすると家族の財産も没収される?

自己破産をするとすべての財産を失い、一文無しになるというイメージを持っているかもしれませんが、そのイメージは間違いです。

自己破産をしても99万円までの現金、生活に必要なものなどは残しておけます。
ただし、持ち家などの不動産がある場合には、競売などで売却され、売却代金が借金の返済に回されることになるでしょう。

実際にどのようなものを残しておけるかは裁判所の判断にもよりますが、自己破産をしたからといって生活がいっきに苦しくなるわけではありません。
自己破産は生活の再建が目的でもあるので、思っている以上にものを残しておけるのです。

また、差し押さえられる可能性があるのは、自分自身の資産だけです。

自己破産をしたとしても家族の財産が強制的に没収されるということはないので安心してください。

親名義の家に住んでいる場合、自己破産をするとどうなる?

この記事のテーマである「親名義の家」であれば、自己破産をしても差し押さえを受けることはありません。

「自己破産をすると両親にも迷惑をかけてしまう…」と不安に思っているかもしれませんが、その心配はいらないのです。

つまり、親名義の家に住んでいるなら、自己破産をしても家が他者の手に渡り、立ち退きを要求されるということにはならないのです。

親名義の家は差し押さえの対象外

繰り返しになりますが、没収される可能性があるのは破産者の持ち物だけです。
自宅などの不動産であれば、誰の名義になっているかがとても重要になります。

親名義の家に両親と一緒に暮らしている、親名義の家を借りて暮らしているというケースであれ、自己破産をした後でもそのまま同じ家に住み続けられるのです。

住んでいる家の名義は不動産登記簿を見れば分かり、インターネット、法務局などで確認できます。

親名義の家に変更するのはNG

「自分名義の家も自己破産をする前に名義を変更すれば競売を回避できる?」と考えたかもしれませんが、このような行為は免責不許可事由に該当するためNGです。

確かに、自分以外の名義になっている家であれば自己破産をしても差し押さえの対象にはなりません。
初めから親名義の家なら良いのに、なぜ名義変更は駄目かというと、手続きの直前に名義を変更するのは財産隠しにあたるためです。

持ち家などの資産がある方が自己破産をすると、所有している資産を調査され、必要最低限のものを除いては換価処分(売却することで現金に換えること)した上で、お金を債権者へ分配を行います。

そのため、意図的に換価処分を免れようとするのは、債権者に不利益を与える行為といえるのです。

不動産の名義変更には登記移転という手続きが必要になりますが、登記の記録は残るため調べればいつ変更されたかはすぐに分かります。

財産隠しは免責不許可事由なので、自己破産の申し立てをしても、借金の返済義務が残ってしまうという可能性があるのです。

親名義の家があるなら自己破産を回避できる可能性も

親名義の家に住んでいる方は、もしかしたら自己破産を回避できるかもしれません。

自己破産をすることで借金を帳消しにできますが、手続き後も一定期間は信用情報などに影響がでます。

自己破産は減額効果が大きい分、デメリット、生活への影響も多くあります。
そのため、親名義の家に無料で住んでいる、親族からの経済的なサポートを受けられるというのであれば、自己破産以外の債務整理も検討してみた方が良いでしょう。

また、多額の借金があっても、客観的にみて支払いを継続していける場合には自己破産が認められないケースもあります。

自己破産が妥当かどうかは自分自身で判断するのは難しいため、専門家に相談してください。

債務整理には個人再生、任意整理という方法もあり、それらの方法で解決できるのであれば生活への影響を小さくできるかもしれません。

個人再生が向いている人

個人再生は自己破産とは違い自分名義の資産でも没収されることはありません。

個人再生が裁判で認められると、現在の債務総額が大幅に減額され、減額後の借金を原則3年間で完済します。

借金の返済義務は残りますが、自分名義の財産が換価処分されない点が特徴です。

ただし、基本的にローンが残っている自宅、自動車などは金融機関によって没収されることになるでしょう。

住宅ローン特則を利用することで、住宅ローンの支払いを継続することもできるため、自分名義の自宅がありどうしても残したいという方は弁護士などに相談してみると良いです。

親名義の家に住んでいて減額してもらえれば十分に返済できるという方は、自己破産だけではなく、個人再生も検討してください。

任意整理が向いている人

任意整理は利息のカット、返済スケジュールを債権者と裁判所を通さずに交渉する債務整理です。

どんどん利息が膨れ上がってしまったというケースでは、任意整理をすることで元金だけの返済になり、返済期間についても猶予してもらえる可能性が高いです。

どのような条件で折り合うかは交渉次第ですが、元金そのものを大きく減額してもらうことは期待できません。

しかし、裁判所を通さないため手続きがスピーディで、債権者1社あたりの費用も安めです。

任意整理をする対象も指定できるため、一部の債権者のみ交渉をするということもできます。

借金の状況にもよりますが、親名義の家に住んでいて、収入も安定しているのであれば任意整理で解決できるかもしれません。

親名義の家だと思っていても自己破産による影響が出るケース

「親名義の家だから自己破産をしても住居への影響なし!」と思っていても、住まいに影響が出てしまうというケースも0ではありません。

次のような場合には自宅に影響が出ることも考えられるため、念の為、確認してみてください。

亡くなった方名義の自宅を相続している場合

例えば、父親名義の家に、母、自分、自分の家族の2世帯で住んでいたとします。
その状態で父親が亡くなった場合、登記簿上の名義がそのままであれば、母、子ども(自分+兄弟)に相続される形になるのです。

親名義の家と思っていても、法律上は自分も家の一部を所有していることになります。

先ほど説明したように、自己破産の直前だと名義変更をしようと思っても財産隠しが疑われる可能性があります。
このようなケースでは、残りの相続者が破産者の持分を買い取る必要があるので注意してください。

親名義の家が担保になっている場合

名義は親のものでも、その家を担保に破産者が借り入れをしていた場合には注意が必要です。

親名義の家でも担保提供を受けていると、自己破産による影響を受けます。

このような契約では担保提供者が連帯保証人になっているケースが多いです。
つまり、借金の返済が行き詰まると保証人である親にも督促が行き、返済できないようであれば担保にした家を差し押さえられることになります。

家が親や配偶者と共有名義になっている場合

家が共有名義であるというケースもありますが、この場合には片方が自己破産をするとその家は競売にかけられる可能性が高いです。

住宅ローンを組む際に、配偶者や両親が連帯債務者になっているのであれば注意してください。

住宅ローンが残っているケース

住宅ローンの支払いが残っている場合、金融機関によって抵当権が設定されています。
つまり、自宅が担保に入っている状態ということです。

抵当権は相続のように一人ずつ持分があるわけではありません。
そのため、住宅ローンが残っている状態で自己破産をすると、共有名義であっても自宅は競売にかけられてしまうのです。

抵当権は自己破産による換価処分よりも優先され、これを「別除権」といいます。

競売に自宅がかけられると入札によって買い手が募集されます。
そして、売却代金は住宅ローンの残債務の返済に充てられ、余った場合に他の債権者に分配されるのです。

競売を行うには裁判所に申し立てをする必要があり、だいたい半年〜1年程度はそのまま住み続けられます。

しかし、買い手が決まり、登記移転によって所有権が移動した段階で引き渡しをしないといけません。

自宅を残すことはできませんが、債権者である金融機関の許可を得れば、任意売却という方法で住宅ローンが残っている自宅を売りに出すことは可能です。
任意売却では交渉次第で、売却代金の一部を引っ越し費用、滞納している税金の支払いに充てることもできます。

競売を避けたい方は、任意売却も検討してみてください。

住宅ローンを支払い終えているケース

自己破産をする段階で住宅ローンを支払い終えている場合、抵当権は抹消されているため、金融機関による競売は行われません。
しかし、前述の通り、一定以上の価値がある財産は換価処分されることになります。

換価処分の基準は20万円を超えるかどうかなので、一般的な不動産であれば換価処分され、債権者に分配される可能性が高いです。

ただ、住宅ローンが残っているケースとは異なり、換価処分されるのは持分のみです。
自己破産で没収されるのは破産者の財産だけなので、住宅ローンの支払いが終わっている住宅であれば、配偶者や親族の持分については換価処分の対象にはなりません。

この場合には、相続のときと同様に持分を買い取ることで換価処分を回避できます。

一方で、住宅ローンの支払いが終わった自宅を所有していると、自己破産が同時廃止にはならない可能性が高いです。

自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、換価処分などが実施されるのは管財事件です。
同時廃止になるのは債権者に分配するような資産を持っていないケースなので、自宅などの不動産があるなら、管財事件になると思ってください。

管財事件では破産管財人が資産の調査・分配をするため時間がかかり、管財人への報酬も必要になります。

自己破産をした場合の家族への影響

最後に自己破産をした場合、配偶者、子ども、両親への影響はないのかについても説明します。

この記事でも説明した通り、自己破産をしても家族の財産が換価処分されることはありません。

ただし、自分名義の自宅や自動車は没収されるため、引っ越しや中古車の購入を迫られるなど間接的な影響を受けるケースは多いです。

加えて、自己破産をすると信用情報に傷がつくため、免責決定から5年間〜10年間は新たにローンを組めなくなります。

そのため、自分の名義で住宅ローンや教育ローンを組むということはしばらくできないでしょう。
また、奨学金などの保証人になれないため注意してください。
親名義の家で暮らしているなら生活への影響は小さくて済みますが、細かい部分では様々な影響があるのです。

親名義の家は自己破産しても差し押さえられない!

自己破産によって換価処分されるのは自分の資産だけなので、親名義の家、家族の所有物に関しては心配不要です。

自己破産をする以上、生活への影響がまったくないということはありませんが、家族の財産まで没収されることはありません。

ただし、換価処分を回避することを目的とした名義変更はしてはいけません。
意図的に行なった場合には悪質な財産隠しと見なされ、自己破産の申し立てをしても、借金の返済義務が免除される免責許可は下りないでしょう。

自宅などの不動産だけでなく、様々な資産の状況は弁護士や破産管財人によってチェックされるため隠しても無駄です。

また、親名義の家に住むことができるのであれば、自己破産以外の債務整理で借金問題を解決できる見込みもあります。

親族から経済的なサポートを受けられるなら、よりデメリットの少ない債務整理の方法も検討してみてください。

借金に関する相談は無料で受け付けてくれる法律事務所も多いので、メール、電話などで相談してみましょう。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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