自己破産

自己破産をすると債務者はどうなる?

「自己破産」という単語を聞いたことがない人はあまりいないでしょうが、自己破産についてきちんと理解している人が少ないのもまた事実です。

きっと借金返済に困っている方の多くは、自己破産をすると債務者がどうなってしまうのか気になっているのではないでしょうか。

そこで今回は、自己破産後に債務者の身に起こることをお伝えした後で、自己破産のデメリットやよくある誤解、そしてメリットなどについてまとめてみました。

自己破産についてマイナスのイメージしか抱いていないというあなた、ぜひ一読してみてくださいね。

目次

自己破産後に債務者の身に起こることとは

自己破産をすると、あらゆる債務が免除となる代わりに、債務者はさまざまな制限を負うことになります。

具体的には次のようなことが起こります。

  • 官報に氏名や住所が記載される
  • ブラックリストに載る
  • 価値のある財産を失う
  • 一定の職業に制限がかかる

ひとつずつ、詳しく見ていきましょう。

官報に氏名や住所が記載される

「官報」という単語を耳にしたことはあるでしょうか。

おそらく、普通に生活をしている限りはあまり聞き馴染みのない単語ですよね。

官報というのは政府がほぼ毎日発行している機関誌のことで、自己破産をするとこの官報に氏名や住所といった情報が記載されることになります。

債務者が自己破産をする上で、すべての債権者に対し自己破産手続きに入ったことを報告する義務があり、万が一漏れがあった際に官報に記載することでトラブルに発展することを防ぐ役割があります。

そのため、自己破産をした場合には官報に載ることを避けることができません。

とはいえ、官報は普段みなさんが利用するコンビニや書店では閲覧することができず、閲覧場所が限られていることから周りの人に知られてしまうことはほぼないといえるでしょう。

ブラックリストに載る

自己破産をすると、官報以外に信用情報機関が管理しているリストにあなたの情報が掲載されます。

「ブラックリストに載る」というのは、このことを指しています。

銀行や消費者金融を始めとした信用情報機関は、各種審査の際にこのリストを参考にし、あなたが信用に値する人物かどうかを判断しています。

そのため、あなたの情報がリストから削除されるまでの間(目安として7年以上)は新たに借り入れをおこなうことが難しくなるでしょう。

ただし、借り入れを行ったりクレジットカードが作りにくくなったりするのはあなたに限ったことであって、配偶者や子どもに影響が及ぶことはありません。

価値のある財産を失う

自己破産をして、免責が認められると価値のある財産はすべて没収されてしまいます。

とはいえ、あくまで没収されるのは換価価値のあるものに限られ、必要最低限の生活を送るために必要な預貯金や日用品、家具が没収されることはありません。

具体的には99万円を超える現金や、時価20万円以上の不動産や財産に限られます。

自己破産における車の扱いについて

自己破産をしたら車も没収されてしまうのだろうか、と心配になる人も多いですよね。

結論から言えば、車も財産であることから没収されてしまうというのが前提です。

ですが車の現存価値、つまり査定額が20万円以下の場合には手元に残せる可能性が高くなります。

ただし、購入時のローン返済が終わっていない場合には、ローンを完済するまで車の所有者はローン会社であるとみなされます。

そのため、自己破産を行った時点で残りのローンの支払いも難しいと判断されることから、ローン会社に車が持っていかれてしまうでしょう。

一定の職業に制限がかかる

自己破産の申し立てが認められ、自己破産の手続きが開始されると、一定の職業に関して制限がかかります。

職業の一例としては、保険の外交員や宅建士、行政書士などといった資格が必要な職種が挙げられます。

とはいえ、裁判所によって免責許可決定がなされれば、再度仕事を行うことが可能です。

そのため、自己破産の手続き期間中だけ資格が必要のない業務を行うか、一定の間休職をするなどといった措置が必要となるので注意してください。

自己破産をしても支払い義務が残る債務もある

自己破産の申し立てを行い、免責許可が下りても全ての債務がなくなるわけではありません。ここでは、免責が認められない債権についてお伝えします。

非免責債権に注意しよう

原則として免責が認められるとすべての借金の支払いが帳消しになりますが、債務の中でも免責を与えるべきではないと判断された債権については、そのまま存続することになります。

このように、免責後も変わらずに支払い義務が残る債権のことを「非免責債権(ひめんさきさいけん)」といいます。

主な非免責債権とは

非免責債権に該当する主な例は以下のとおりです。

  • 税金や国民保険料など
  • 相手に悪意を持って損害を与えたときの損害賠償金
  • 明らかな不注意によって他者の命を奪った際の損害賠償金
  • 従業員に対する支払い給与
  • 子どもの養育費や婚姻に関する費用
  • 自己破産時に虚偽の事実を述べて、債権者名簿に載せなかった債務等
  • 罰金

自己破産に関してよくある誤解について

世間一般の方が抱いている自己破産のイメージとして、自己破産をするとまるで人生が終わってしまうかのように思っている方も多いかもしれません。

しかし、自己破産は債務者を追い込むための制度ではなく、債務者が一からやり直せるように再出発の機会を与えるための制度です。

ここでは、自己破産でよくある誤解についてまとめてみました。

仕事をクビになってしまう

基本的にあなたが自己破産をした事実が会社に知られることはありませんが、万が一会社があなたの自己破産を理由に解雇を告げた場合、それは「不当解雇」に当たります。

そのため、もし不当解雇を宣告されるようなことがあれば、あなたは裁判所に対して不当解雇の取り下げを訴えることができます。

無一文になってしまう

自己破産をすると、手元の財産を没収されることになりますが、だからといって全ての財産を持って行かれてしまうわけではありません。

破産手続において差し出す必要がある財産は時価20万円以上のものに限定されており、それ以下の価値しかないものについては差し出さなくて大丈夫です。

そのため、先述したようにたとえ車であっても時価20万円を下回るようであれば、没収されることなく手元に残すことができるので安心してください。

また、自己破産には「自由財産」といって、仮に時価20万円以上であったとしても裁判所が認めたものについては手元に残すことができます。

そして現金に限っては99万円まで自由財産として取り扱われるほか、裁判所が認めればそれ以上の現金を手元に置いておくこともできるでしょう。

他にも「新得財産」と呼ばれるものがあります。

これは、破産手続が開始した後に取得した財産のことで、新得財産についても自由財産として保有することが認められています。

一例を挙げると、破産手続開始後に相続が発生し相続人として一部の財産を手にすることになっても、それが必ずしも破産手続きによって没収されてしまうようなことはありません。

戸籍に自己破産をした事実が載ってしまう

結論から言えば、戸籍謄本に破産をした事実が載ることはありません。

基本的に自己破産をした場合には、官報にだけ氏名や住所が記載されることとなります。

そのため、子どもがいる場合に、子どもの就職に影響を及ぼすこともありません。

自己破産後も執拗な取り立てが続く

よくある勘違いのひとつではありますが、自己破産後も執拗な取り立てが続くのではないかと考える人は決して少なくありません。

ですが、自己破産をした場合において債権者は債務者に対して取り立てを行うことはできません。

法律に違反することに加え、最悪の場合は業務停止処分に追い込まれることも。

そのため、自己破産後の取り立てについては何も心配しなくて大丈夫です。

携帯やスマートフォンを持つことができない

現代社会において、携帯やスマートフォンは無くてはならないアイテムの一つです。

そのため、携帯やスマートフォンの所持に制限がかかることがありません。

ただし、携帯の機種台を分割払いで購入している場合には注意しましょう。

定まった見解はまだないものの、分割払いの支払いが滞ってしまうようであれば、近い将来に解約されてしまうことに加え新たな端末を手にすることができなくなります。

そのため、スマートフォン等の機種代金を分割で支払っている場合には、一括で買うことができるものに変更するなどといった対策をとっておくことをおすすめします。

自己破産後は生活保護を受けられない

自己破産をしたことを理由として、生活保護の支給が停止になるなどといった決まりはありません。

そのため、自己破産の申し出を行った後に生活保護申請を行うことは当然ながら可能となります。

自己破産のメリットとは

ここまで、自己破産時におけるデメリットやよくある勘違いについてお伝えしましたが、はたして自己破産におけるメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。

さっそく見ていきましょう。

借金の支払いが免除される

なんといっても自己破産における最大のメリットはこの、借金の支払いが免除されることに尽きます。

それまで返済に追われていた生活から開放され、また一からやり直すことが可能です。

なお、養育費や国民健康保険料など一部免除されないものもありますので、注意しましょう。

強制執行される恐れがなくなる

一般的に借金の支払いが完全に滞ってしまうと、債権者から強制執行という形で財産や給料を差し押さえられるリスクが高くなります。

その反面、自己破産が認められれば強制執行が行われることはなく、債権者は破産手続の開始を待たなければ債権回収を行うことができません。

必要最低限の生活に必要なものは残る

よくある誤解のところで少し触れましたが、自己破産をしたからといって全ての財産が没収されるわけではありません。

最低限の生活を送る上で必要な日用品や家財道具、電化製品などは手元に残すことができます。

また、現金についても一定額は手元に残しておくことができるので安心してくださいね。

自己破産手続きと免責手続きについて

自己破産の手続きにおいて、自己破産手続が裁判所に認められれば債務を返さなくてよくなると考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際は自己破産の手続きに加えて免責許可決定をもらわなければ、債務が帳消しになることはありません。

そこで、自己破産手続きと免責手続きについて違いを抑えておきましょう。

破産手続きと免責手続きの違いとは

自己破産とは借金の返済が困難になってしまった債務者が、裁判所に対して債務の免除を願い出る債務整理方法のことを指します。

対する免責手続きとは、その名の通り裁判所から債務を免除してもらうための手続きになります。

従来はそれぞれ別々に手続きを行っていましたが、最近では同じタイミングで手続きを行うのが一般的です。

自己破産手続き〜免責までの流れについて

自己破産を裁判所に申し出てから、免責が認められるまでにかかる期間は平均して半年ほど(早くても3ヶ月程度)となっています。

実際に申し立てを行ってから、借金が帳消しになるまでの流れは次の通り。

1.裁判所に自己破産の申し立てを行う
2.破産に関して尋問を受ける
3.破産手続が開始される(1回目の官報掲載)
4.免責を認めるか否かの尋問を受ける
5.免責が決定される
6.免責が確定する(2回目の官報掲載)

いずれも、一個人で最初から最後まで済ませようとするのはとても骨の折れる話であることから、弁護士等の専門家に相談した上で進めるとよいでしょう。

また、上記からもわかるように自己破産手続きから免責が確定するまでの間に、2回官報に掲載されることとなります。

一度自己破産をすると7年間は免責を受けることができない

あまり考えたくないことではありますが、一度自己破産をしたあとに再度自己破産をする場合、申し立て自体は可能です。

ただし、免責許可申請をした場合において、そこから遡って7年以内に免責許可を受けていた際は免責が認められないと判断するのが通例となっています。

しかし、裁判所の裁量によって7年以内での再免責申請が認められるケースもゼロではありません。

とはいえ、1度目の自己破産で多くの方に迷惑をかけていることは事実であることから、2度目、3度目の申請が決して望ましいことだとはいえないでしょう。

自己破産は決して悪いことではない

自己破産について、多くの方が誤解していることもあり根強いマイナスイメージが残っているのは事実かもしれません。

ですが自己破産は決して悪いことではありません。法で定められた権利のひとつです。

自己破産をしたら人生が終わるなどという方がいますが、むしろ人生を終わらせないために自己破産という選択肢があるのだと考えてください。

一度失敗してしまったからと言って、なにもすべてを諦める必要はないのです。

あなたらしく再スタートを切るためにも、自己破産について前向きに検討してみることが大切です。

まとめ

今回は自己破産をした際に債務者はどうなるのかといったことを中心に、お伝えしてきました。

誤解が多い自己破産だからこそ、いまいちど正しい知識を身につけることが大切です。

専門家を交えた上で、なにがあなたにとって最良の選択肢となるのか今一度考えてみてください。

この記事が少しでも役に立てていたら、幸いです。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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