自己破産

自己破産ができない3つのケースとは?免責されない理由って何?

借金の返済に困ったときは、自己破産をすれば返済義務を免除してもらえます。
しかし、誰でも自己破産ができるわけではなく、人によっては自己破産できないこともあるのです。

加えて、自己破産の手続きをしても、借金の返済義務が残るケースもあります。
どのような場合に自己破産できないのか、もし自己破産が認められなかったらどうすれば良いのかについてまとめました。

借金の返済に困り、自己破産を検討している方は、自己破産できないケースに該当していないかをチェックしましょう。

目次

自己破産できない!自己破産の条件とは?

法律によって認められた方法で借金を減らしたり、返済義務を免除してもらったりする手続きを「債務整理」といいます。

自己破産は債務整理の中でも、最終手段といって良いでしょう。

自己破産をすれば借金を0にできるため、安易に誰でもできるものではありません。

自己破産によって借金の返済義務をなくすためには、客観的に見ても借金の返済が不可能な状態だといえる必要があるのです。

自分自身で判断するのは難しいケースもあるので、「自己破産ができないケース」について確認しておくと良いでしょう。
最終的には弁護士などの専門家に相談をするのが確実ですが、次に説明する自己破産ができないケースに該当しなければ手続きできる可能性が高いです。

自己破産ができない3つのケース

自己破産ができないケースには、次の3つがあります。

【自己破産できない3つのケース】

  • 「支払不能」の状態とはいえない
  • 費用を用意できないなど個別の事情がある
  • 免責不許可事由に該当する
  • 「支払不能」の状態とはいえない

自己破産できるかどうかは「支払不能」状態にあるかどうかが1つのポイントです。

破産法 第2条 11項では次のように記載されています。

この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。

破産法 第2条 11項

支払不能の定義の中には「弁済期にあるもの」とあるため、いくら多額の借金があっても返済期日を迎えていなければ支払不能とはいえません。
そのため、返済は苦しいものの、何とか毎月支払いができているのであれば自己破産はできないのです。

客観的に見てまだ返済していける状態なのであれば、自己破産をするにはまだ早いといえます。

自己破産などの債務整理は弁護士に依頼するケースが多いですが、支払不能といえない状態なら、弁護士に手続きを断られてしまうでしょう。

②費用を用意できないなど個別の事情がある

自己破産は裁判所に申し立てをすることで手続きを進めますが、裁判費用を支払えない場合などには自己破産はできません。

破産法 第30条には次のように記載されています。

裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。

  • 破産手続の費用の予納がないとき。
  • 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

破産法 第30条

自己破産するような事実がしっかりとあれば、裁判所へ申し立てをすれば破産手続きが開始されますが、費用が払えない、手続きが本来の目的ではない場合には自己破産は認められないのです。

自己破産をするためには、主に裁判所に支払う費用、弁護士などに支払う費用(弁護士に依頼をする場合のみ)の2つが必要です。
このうち、裁判所に支払う費用を予納金といいます。

予納金がいくらかかるかは、破産の申立人に資産がどの程度あるのかによって変わります。

債権者に分配するほどの資産がないケースでは「同時廃止」という手続きになり予納金は数万円です。

一方、不動産や20万円を超えるような資産を持っている場合、それらをお金に換えた上で債権者に分配をする「管財事件」になります。

管財事件には「破産管財人」という資産の調査をする人物が必要で予納金には管財人への報酬も含まれるため、20万円以上かかるのが一般的です。

③免責不許可事由に該当する

自己破産は、手続きが開始されれば確実に借金がなくなるわけではありません。
自己破産は申し立てをした後に、裁判所によって免責が認められないと借金はなくならないのです。

免責とは借金の返済義務をなくしてもらうことをいいます。

この免責許可が得られないような理由を「免責不許可事由」といい、それらに該当する場合には、自己破産の手続きをしても借金の返済義務は残るのです。

例えば、自己破産の理由がギャンブルであるというのは代表的な免責不許可事由になります。

ただし、免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の判断によって免責が得られるケースもあります。
これを「裁量免責」といい、破産法 第252条 第2項に記載されています。

前項の規定(免責不許可事由)にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

破産法 第252条 第2項

たとえ免責不許可事由に該当していても、裁判所にしっかりと自己破産の手続きをするに至った経緯を説明して、納得してもらえれば免責を受けられる可能性があるのです。

自己破産ができない年収・借金の基準はいくら?

支払不能といえない場合には自己破産できませんが、いったいどの程度の年収があると自己破産ができないのか、借金はいくらから自己破産できるのか気になりますよね。

しかし、自己破産ができない年収や借金の額に明確な基準があるわけではありません。

自己破産できるかどうかは一人ひとりの状況によるため、年収がいくらあると自己破産できない、借金がいくら以上あると自己破産ができるとは断言できないのです。

十分な年収や資産がある場合

十分な年収があり借金の返済を継続できる、売却することで借金を返済できるような資産を持っているというケースでは自己破産はできません。

十分な年収があるのであれば、自己破産をせずに返済を継続する方法を検討する必要があります。
ただし、年収が多くても、借金が多額であれば自己破産が認められるでしょう。

また、自己破産をすると一定以上の価値が認められる財産は処分され、債権者への配当に回されます。
もし不動産など高額な資産を持っているなら、まずは売却することによって借金を返せないかを検討した方が良いでしょう。

借金が少額の場合

借金が少額の場合にも、自己破産の必要はないと判断される可能性が高いです。
少額であっても本人に一切収入がなければ返済できませんので、年収との兼ね合いもあるでしょう。

1つの目安としては、今の借金を2年〜3年間で完済できるかどうかです。
もし3年程度で完済できるのであれば自己破産は認められません。

繰り返しになりますが、自己破産は最終手段です。
債務整理には他の方法もあるため、3年程度で完済できるのであれば別の方法を優先すべきでしょう。

自己破産をしても免責許可を得られない理由(免責不許可事由)とは?

先ほど説明した通り、自己破産の申し立てをしても免責許可が下りないケースもあります。

免責不許可事由については破産法 第252条に記載されていますが、主に次のようなケースでは免責されない可能性が高いです。

【主な免責不許可事由】

  • 財産の隠匿・損壊をした
  • クレジットカードの現金化・闇金からの借り入れをした
  • 特定の債権者のみへの返済(偏頗弁済)をした
  • 破産の理由がギャンブルや浪費である
  • 自己破産すると分かっていながらお金を借りた
  • 裁判所に虚偽の説明をした・調査への協力をしなかった
  • 7年以内に自己破産をしている

それでは、1つずつ確認していきましょう。

①財産の隠匿・損壊をした

自己破産は同時廃止、または管財事件として手続きが進められますが、その振り分けには財産を持っているかどうかが重要になります。

財産があるのであれば債権者への返済に充てられるため、中には財産を隠すことで同時廃止にしたり、差し押さえを回避したりしようと思うかもしれません。

しかし、このような意図的に債権者へ分配されるはずの財産を減らす行為は免責不許可事由になるのです。

自己破産を弁護士に依頼するのであれば、破産申立の準備をする段階で資産に関する事前調査が行われます。
指示された書類などはすべて用意して、申し立ての準備をする弁護士に渡しましょう。

また、注意したいのは不動産、自動車などの名義変更です。
自己破産によって差し押さえられるのは自分名義のものだけで、配偶者、子どもの所有物に関しては対象外になります。
そのため、差し押さえを回避する目的で所有権を移す行為は禁止されているのです。

加えて、自己破産の直前に所有している資産を相場よりも安く売却してしまうのも免責不許可事由に該当する可能性があるので注意してください。

②クレジットカードの現金化・闇金からの借り入れをした

クレジットカードの現金化も免責不許可事由の1つになります。

クレジットカードの現金化とはカードで買い物をしたものを売却することによって、ショッピング枠を現金へと換えるなどの行為を指します。
他にも専門の業者を利用する場合には、指定商品を購入し、その商品に応じたキャッシュバックを受けるという方法もあります。

クレジットカードのショッピング枠を現金に換える行為自体は法律上グレーです。
しかし、クレジットカード会社の規約では禁止されています。

自己破産をするとクレジットカードのショッピング枠も免責対象になるため、クレジットカードの現金化も債権者に不利益を与える行為になるのです。

ただし、クレジットカードで購入した商品を常識の範囲内で、正当な価格によって売却することに問題はありません。

また、法定利息を超えた貸し付けを受けるのも免責不許可事由の1つです。
闇金からの借り入れは法律によって決められている利息を大幅に超えているケースが多いため、闇金からの借金があると免責されにくくなります。

③特定の債権者のみへの返済(偏頗弁済)をした

資産がある場合、自己破産をするとすべての債権者に換価処分された配当が公平に分配されます。

そのため、特定の債権者のみに返済をすることはできないのです。
このような公平性に欠ける返済を「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といいます。

例えば、自宅を手放したくないからといって住宅ローンのみ返済を継続する、個人的にお世話になっている人の借金だけ先に返してしまうということはできません。

④破産の理由がギャンブルや浪費である

自己破産に至った理由がギャンブル、浪費、投資などの場合には、免責されないケースがあります。

これは単純にギャンブルや投資などの負債があるという意味ではなく、それらによって大きく資産を減少させた、莫大な借金を背負ったという場合です。

ギャンブルは依存性があるため、ギャンブルのためにお金を借りてしまったというケースもあるでしょう。
また、借金を返すために投資・投機をしたという人もいるかもしれません。

しかし、ギャンブル、浪費、投資などが自己破産の主な原因であれば、破産の申し立てをしても免責されない可能性があるので注意してください。

ただし、前述の通り、裁判所の判断によって免責が認められるケースもあります。

裁判官に事情を丁寧に説明し、生活を立て直そうと真剣に考えていることを示さないと免責許可は下りないでしょう。

⑤自己破産すると分かっていながら嘘をついてお金を借りた

自己破産をする1年以内に、自己破産するような原因はないと嘘をついてお金を借りた場合には免責不許可事由にあたります。

嘘をつかずにお金を借りたのであれば、まったく問題はありません。

免責不許可事由に該当するかどうかに関わらず、嘘をついて借り入れをすると詐欺罪となるケースもあるので注意しましょう。

⑥裁判所に虚偽の説明した・調査への協力をしなかった

自己破産の申し立てをすると、破産管財人が資産の状況を調査したり、裁判官との面接が行われたりします。

これらは免責許可を与えても良いのかを判断するために重要なものので、裁判所に対して嘘をついたり、調査への協力を拒んだりすると免責は与えられません。

また、裁判所には債権者一覧表を提出しますが、債権者を意図的に申告しなかったケースも免責不許可事由になるため注意が必要です。

⑦7年以内に自己破産をしている

実は自己破産に回数の制限はなく、2回目の自己破産をすることも法律上、認められています。

ただ、前回の自己破産の申し立てから7年間が経過していることが必須条件です。
もし7年以内に自己破産をしているのであれば、支払不能の状態であっても免責は受けられません。

加えて、2回目以降の自己破産は、1回目よりも理由が重要になります。
同じような理由で借金を繰り返してしまった場合、反省が見られないとして免責されない可能性もあるのです。

自己破産ができない場合はどうするべき?

自己破産ができないケースについて説明してきましたが、それらに該当する場合はどうするべきなのでしょうか?

自己破産ができないからといって、何もしなければ事態は悪化していくだけです。

もし自己破産ができなそうであれば、他の債務整理の方法も含めてどうするべきかを専門家に相談すると良いでしょう。

個人再生や任意整理の手続きを検討する

債務整理には自己破産以外にも、個人再生や任意整理といった方法もあります。

自己破産は最終手段であるため、支払不能とはいえない場合、免責不許可事由に該当しそうな場合には別の債務整理を検討すると良いです。

①個人再生とは?

個人再生は借金を大幅に減額してもらった後、残額を3年間を目処に完済する債務整理の方法です。

どのくらい借金が減るかは債務額に応じて異なり、最大で1

/10まで圧縮することもできます。

そこまでの減額になるのは債務自体が莫大な場合に限られますが、債務額が100万円以上、500万円未満であれば、100万円まで借金を減額してもらうことが可能です。

また、自己破産とは異なり、ローンの支払いが残る自宅を残したままの手続きもできます。

ただし、個人再生をするためには再生計画案を裁判で認可してもらわないといけません。

減額後の借金は原則として3年で完済する必要があるので、現在の収入、周りからのサポートを考慮して期間内の返済が困難だと判断されれば個人再生できないので注意しましょう。

加えて、途中で返済が行き詰ってしまった場合にも個人再生は失敗となります。

②任意整理とは?

任意整理は債権者と利息カット、返済スケジュールの調整などを話し合いによって交渉する債務整理です。

債務自体が大きく減額されるわけではありませんが、裁判所を通さずに行う手続きであるため、かかる期間が短く、手間も少ないのが特徴です。

元金だけであれば3年程度で返済できるというケースは任意整理が良いでしょう。

個人再生や自己破産ほど厳しい条件はないため、多くの方が利用している債務整理の方法になります。

借金問題を専門とする弁護士に相談する

自己破産ができるのか、別の債務整理の方法が良いのかを自分で判断するのは難しいです。
そのため、債務整理については借金問題を専門とする弁護士に相談をすると良いでしょう。

収入や資産、債務の状況を確認し、希望も聞きながら適切なアドバイスを貰えます。

また、法律事務所、弁護士によって得意とする分野が異なります。
自己破産などの債務整理を考えているなら、借金問題を専門に扱っているような弁護士を探しましょう。

免責不許可事由に該当するケースでも、裁量免責によって借金の返済義務がなくなるケースもあります。
借金問題に強い弁護士に相談をした方が、自己破産が上手くいく可能性は高いです。

自己破産をしても帳消しにできない「非免責債権」とは?

自己破産の申し立てをして免責許可が下りても、一部の債務では支払い義務が残る場合があります。

このような性質を持つ債権のことを「非免責債権」といいます。

例えば、滞納している税金や保険料、損害賠償の請求権、子どもの養育費、罰金などは自己破産をしてもなくなりません。

自己破産を考えるほど債務が多いのであれば、税金や保険料なども滞納しているケースが多いです。

自己破産をすれば金融機関や個人間での借金は帳消しにできますが、非免責債権の支払いは必要であると覚えておきましょう。

どうしてもそれらの支払いが難しいというケースでは、支払いの猶予、分割払いなどの制度がないかを確認してください。

督促状などが届いている場合には、その書類に相談先が記載されていることが多いです。

自己破産後、しっかりと生活を立て直せるように免責されない債権についても確認しておくことが重要になります。

自己破産をするとできない職業があるって本当?

自己破産ができない職業というのはありませんが、職業によっては破産の手続き中は資格が停止になることもあります。

その職業にずっと就けなくなるというわけではなく、職業・資格に制限があるのは破産を申し立ててから免責許可の決定があるまでです。
免責許可が決定されれば復権するため、職業・資格への制限はなくなります。

職業や資格に制限があると、その間はこれまでと同様の業務が行えない可能性が高いです。

そのため、職業によっては実質的に自己破産をしにくいということはあるでしょう。

自己破産によって制限を受けるのは、士業(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、行政書士など)、生命保険募集人、警備員などです。

自己破産をするからといって職場を解雇されるということはないでしょうが、制限される職業や資格に該当する方は注意してください。

「支払不能」と「免責不許可事由」が自己破産できるかのポイント!

自己破産は支払能力がなく、返済日を迎えている借金を返せる見込みがないと客観的に認められないと手続きできません。
また、自己破産は申し立てをすれば完了というわけではなく、免責許可が下りないと借金の返済義務はなくならないので注意が必要です。

ただし、免責不許可事由に該当していても、裁量免責が認められる可能性はあります。
例えば、ギャンブルが自己破産の理由であってもすぐに諦める必要はないです。
借金問題を専門に扱う弁護士に相談をして、どうするのが良いかアドバイスを貰いましょう。
自己破産をする理由や、就いている職業によっては自己破産以外の方法が良いケースもあります。

まずは、法律事務所の無料相談などを利用して、どうするべきかを聞いてみてください。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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