自己破産

家族が作った借金を返済する義務はある? 支払う必要はない?

家族が作った借金の返済義務が気になりますね。

両親や妻、夫、子供、兄弟が借金を重ねても、基本的に返済義務はありません。

しかし例外的に返済が必要なケースがあるので詳しく説明します。

特に両親の遺産を相続する場合は注意が必要です。借金も相続の対象になるからです。

また、表面的な借金解決ではなく、根本から解決するために必要な情報も合わせてお伝えしますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

目次

家族の借金を返す必要があるの?

家族(両親、配偶者、子供、兄弟)が作った借金の返済義務はあるのでしょうか?

「家族なんだから返す必要がある」と思うかもしれませんが、基本的に返済する必要はありません。

銀行カードローン、クレカキャッシング、消費者金融、どの借り入れも同じです。

家族が友人からお金を借りていても、あなたが返す必要はありません。

自主的な肩代わりは出来ますが、「法的な返済義務はない」ということです。

妻の借金を肩代わりする際の注意点

それでも「家族の借金を代わりに返済しよう」と考える場合は注意して下さい。

借金の肩代わりが、必ずしも家族のためになるとは限りません。

たとえば妻に100万円(銀行系カードローン)の借金があり、夫が消費者金融から借りて返済するケースを考えてみましょう。

その場合、当然ながら夫名義の借金が残りますし、妻の借金が100万円のみとは限りません。

他に借入れがあるかもしれませんし、カードローンだけでなく、友人・知人から借りている可能性もあります。

「多くの人間は借金の存在を隠す」と言われていますから、「肩代わりしたから安心」と夫が思っていても、その後に新たな借金が判明することもあるのです。

もし新たな借金が分かり、「なぜ隠していたんだ!」となれば、離婚問題に発展するかもしれません。

実際にそのようなケースは多いのではないでしょうか。

その場合、離婚後も夫は返済を続ける必要がありますが、急なリストラで仕事を失い、病気や怪我で長期入院となれば、借金滞納の危険があります。

他にも、借金を肩代わりしてすぐに妻が借入れることもありますね。借金依存が強ければ、借金を自分のお金と勘違いしやすいので。

今はインターネットで簡単に借りれる時代ですから、「100万円まで借入可能」とログイン後の会員ページに表示されていれば、「まだお金が手に入る」と申し込むかもしれません。

後述しますが、借金問題を根本から解決するには、本人の自覚が必要です。

自覚がない状態で肩代わりしても、上記のような事態にならないとは限らないのです。

子供の借金問題

「子供に借金があるから債務整理したい」と弁護士や司法書士に相談する親御さんが多いそうです。

子供が成人していれば、借金問題も子供の責任なので、親が肩代わりする必要はありません。

しかし子供かわいさのあまり、つい「親の自分が何とかしよう」と考えてしまうのでしょうか。

一人っ子ならまだしも、他に子供がいれば、兄弟姉妹間がギクシャクすることもあります。

実際、3人兄弟の末っ子を可愛がっている親が、その子の借金を肩代わりした結果、他の兄弟から恨まれてしまった、という実例を知っています。

結局、借金を肩代わりしてもらったその末っ子は、完済後も借金を重ねたそうです。

「自分が困れば親が何とかしてくれるだろう」という意識があると、根本的な借金解決には繋がりません。いつまで経っても自立できませんからね。

子供のためを思った行動が、状況をさらに悪化させることもありますよ。

「弁護士費用は自分が出すので何とかして下さい」と言う親もいますが、それも本人に出させる方が良いでしょう。

自分のお金で借金問題を解決するという経験が大切です。

弁護士事務所によっては、分割払いに対応し、初期費用無料の所がありますので、本人に探させてみてはどうでしょうか。

家族の借金返済が必要なこともある

冒頭で「基本的に家族の借金は返す必要がない」とお伝えしましたが、いくつか例外もあります。

詳しく見ていきましょう。

例外1「家族の連帯保証人になっているケース」

家族が借金する際に、あなたが連帯保証人になっていれば、返済する義務があります。

連帯保証というシステムには、「催告の抗弁権」も「検索の抗弁権」もないからです。

催告の抗弁権とは、「まずは借り主(あなたの家族)に支払うように言ってくれ」と主張することです。

検索の抗弁権とは、「まずは借り主(あなたの家族)の財産を調べてくれ」と主張することです。

連帯保証人になると、その両方がないため、返済を求められると拒否できません。

つまり連帯保証人になると、「家族と同じように返済義務があり、どちらに請求されてもおかしくない」ということになります。

もちろん家族の方がしっかり返済していれば、連帯保証人(あなた)に請求されるケースはまずないでしょう。

しかし滞納すれば請求が来ますし、拒否することはできません。

尚、家族が自己破産を行っても、保証人の返済義務は残ります。

その場合、同じように自己破産を考えることになるかもしれません。

自己破産以外の整理方法(個人再生や任意整理)を選んでも、連帯保証人の返済義務は残るので注意して下さいね。

家族が印鑑、印鑑証明書、本人確認書類などを勝手に持ち出し、「知らない間に連帯保証人にされていた」という場合は、最終的に裁判で争うことになるでしょう。

例外2「未成年の子供の借金」

未成年の子供の借金は法定代理人(親権者)の責任になります。

通常、貸金業者(消費者金融や信販会社)や銀行は、未成年への貸し付けを行わないので、「未成年者が借金を背負う」というケースは少ないと言えます。

ただし学生ローンを未成年者が利用する際に親権者が同意した場合は別で、親権者も返済義務を負うことになります。

例外3「配偶者の借金で生活に必要なもの」

家庭生活に必要な借金は、配偶者にも返済義務が生じます(日常家事債務と言います)。

家庭生活に必要な借金とは、食費、光熱費、保険料、医療費などの費用ですね。

住宅ローン、教育ローン、自動車ローンがそうですし、「フリーローンやキャッシングの全てを生活費に充てれば返済義務がある」とも言われています。

基本的に配偶者に対して返済は求められませんが、裁判になると別なので注意して下さい。

裁判では「日常家事債務だから夫婦双方に返済義務がある」と主張されることが多いようです。

例外4「家族の借金を相続した場合」

借金を相続した場合も返済義務が発生します。

遺言書がなければ遺産は相続人(家族)が相続しますが、預金や不動産のようなプラスの遺産だけとは限りません。

借金のようなマイナスの遺産に関しても、相続の対象になるのです。

その場合、相続人が代わりに借金を背負いますが、明らかにマイナスの遺産が多い場合は、相続放棄を考えると良いでしょう。

相続放棄とは、すべての相続を放棄する行為です。

プラスの遺産を相続する権利も失いますが、借金を背負うこともありません。

また、プラスとマイナスでどちらが多いか分からない場合は、限定承認という方法もあります。

限定承認とは、プラスの遺産からマイナスの遺産を差し引いて相続する方法です(借金の方が多ければ支払いが免除されるというメリットもあります)。

プラスの遺産が明らかに多い場合は、全ての遺産を単純相続すると良いでしょう。借金を背負い込んでも「相続した現金から返済できる」などのケースですね。

尚、相続放棄や限定承認は、3ヶ月以内に行う必要があります。

家族が亡くなってからではなく、自分が相続人と知った日から3ヶ月以内です。

相続放棄は自分ひとりで決められますが、限定承認に関しては、相続人全員の同意が必要になるので注意して下さい。

また、3ヶ月以内に相続放棄や限定承認を行わなかった場合は、全ての遺産を相続することになります。

「相続の件でどうすれば良いか分からない」という場合は、弁護士事務所に相談すると良いでしょう。

自分でも手続きは出来ますが、弁護士のような専門家に依頼する方が安心できますね。

家族の借金問題を解決するには?

一部例外はあっても、借金を肩代わりする必要がないことはご理解いただけたでしょうか。

しかし家族の問題ですから、「何とか立ち直ってほしい」と考えるのは自然です。

特に同居の家族に借金があれば、自身の生活にも影響がありますし、手を差し伸べることも大切ですね。

では、どのように支援すれば良いのでしょうか。

家族の借金の状況を把握する

まずは借金の実態を把握して下さい。

あなたの配偶者(妻、夫)や子供、両親にどのくらい借金があるのか、ですね。

多重債務に陥っていると「正確な借金総額が分からない」というケースが多いです。

借り入れが多すぎて、「どこからどれだけ借りているか分からない」ということもありますし、借金から目を背けるため、「あえて総額を確認していない」というケースもあります。

どちらにしても、まずは以下の借金総額を確認しましょう。

  • カードローン
  • キャッシング
  • 消費者金融

他にも借入れ先があれば正確に思い出し、その後に総額をチェックすると良いですね。

すでに借入れ先が分からない場合や、家族本人が隠している可能性があれば、信用情報機関に開示請求を行いましょう。

信用情報機関に問い合わせることで、銀行、クレジットカード、消費者金融の借り入れ額が分かります。

主な信用情報機関に以下がありますね。

  • 日本信用情報機構(JICC)
  • CIC
  • 全銀協(全国銀行信用情報センター)

日本信用情報機構(JICC)とCICは、スマートフォン、郵送、窓口で開示請求できます。全銀協(全国銀行信用情報センター)は郵送のみです。

たとえ家族でも、本人以外の請求は必要書類が増えて煩雑になりますので、可能な限り、本人に確認してもらいましょう。

開示結果を確認すれば「どこから借りているのか? どのくらい借金があるのか?」が分かります。

尚、個人間や会社からの借金、自治体、闇金のような非正規業社の記録はありません。

債務整理を検討する

借金総額を把握した後、「どのように返済するか?」を一緒に考えると良いですね。

節約が必要かもしれませんし、収入アップが重要になるかもしれません。

「借金で生活が圧迫されて完済の見込みがない」という状況なら、弁護士や司法書士に相談して、債務整理を検討する必要があるでしょう。

主な債務整理に「任意整理」「個人再生(民事再生)」「自己破産」がありますが、どの方法がベストかは状況によります。

利息カットや返済金額を見直した後、3年~5年で完済できるなら任意整理が良いかもしれません。

大幅に減額された借金を(原則)3年で返せるなら個人再生、それも厳しければ自己破産という流れが一般的です。

その辺りは相談先の弁護士事務所によっても変わりますので、指示に従って下さい。

大切なのは、何がなんでも自力で完済する、という意識を捨てることです。

すでに収支のバランスが崩れ、借金で借金を返す状況が続いていれば、何かしらの債務整理が必要になりますから、よくよく家族と話し合いましょう。

どのような決断にも共通していますが、本人の自覚がなければ、事態は前に進みません。

納得できないまま進めても、やがてどこかのタイミングで反発するものですから、一緒に借金解決に向けて進んでみてはどうでしょうか。

経験豊富な弁護士事務所なら、状況を総合的に判断した上で、解決方法を提示してもらえるはずです。

貸付自粛制度を利用する

日本貸金業協会には貸付自粛制度があります。「以後5年間、貸金業者からの借入れをできなくする」という制度で、主に消費者金融やクレジットカード会社に対応しています。

本人以外が手続きを行うと、やはり必要書類が増えて複雑になるので、可能な限り本人が手続きを行いましょう。

注意点として、銀行からの借金は含まれないので、銀行系のカードローンは対象外です(個人間や闇金も対象外)。

また、手続き後3ヶ月を経過すると、本人が自分で貸付自粛制度を取り消すことが出来ます。

そのため、せっかく貸付自粛制度を利用したのに取り消された、というケースも考えられますね。

繰り返しになりますが、大切なのは家族本人の自覚です。

「借金問題を解決して人生をやり直す」

「お金の問題に真正面から真剣に取り組む」

そのような意識があれば、貸付自粛制度を上手に利用できるのではないでしょうか。

逆に言うと、あなたが強制的に申し込ませても「元の状態に戻る可能性がある」ということです。

依存症の場合は専門治療も考える

ギャンブル依存や浪費グセがある場合は、どれだけ説得しても難しいことがあります。

その場合はクリニックなどの機関で、専門治療が必要になるかもしれません。

普段は大丈夫でも、「パチンコや競馬のことを考えると目付きが変わる、自身の行動を抑えることが出来ない」というケースもありますからね。

本人が「もう止めたい」と思っているのに、気付けば朝からパチンコ屋に並んでいた、日曜は競馬場に足が向いていた…ということが実際にあるのです。

その場合は貸付自粛制度を利用しても難しいかもしれません。

弁護士の体験談として、「自己破産の依頼者に電話したら競馬場にいた」という話しを聞いたことがありますし、依存症の問題は根深いと言えるでしょう。

まとめ

以上、家族の借金と返済義務についてお伝えしました。

家族が作った借金の返済義務はありませんが、「連帯保証」「家庭生活に必要な借金」「未成年の子供」「相続」の場合は支払いが必要なことがあります。

借金問題を解決するには、総額を把握した後、「債務整理」や「貸付自粛制度」を利用すると良いでしょう。

借金理由がギャンブル依存症の場合は、専門的な治療も検討して下さい。

単純な肩代わりは本人のためにならないことが多いので、慎重に借金問題に取り組むと良いですね。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

自己破産で気になる項目を徹底解説!へ戻る

自己破産で気になる項目を徹底解説!

借金問題の解決方法