自己破産

自己破産をすると学資保険は解約が必要なの?

自己破産は、抱えている負債をゼロにする債務整理方法ですが、財産を失うというデメリットがあります。子どもの将来のために学資保険を積み立てている場合、財産に含まれ解約しなければならないのでしょうか。

本記事では、自己破産をしたときの学資保険の扱いについて、対象になる場合や解約を免れる方法、手続きする上での注意点などを解説します。自己破産を考えていて、学資保険を契約している方はぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

自己破産における財産の取り扱い

自己破産にはネガティブなイメージがあり、借金を帳消しにする代わりに、一切の財産を失うと思いがちです。住宅や自動車、家具・家電、保険などあらゆる財産を失って一文無しなるのではなく、実際はすべての財産を失うわけではありません。住宅や自動車といった高額な財産は処分対象になる場合が多いですが、手元に残せる財産として「自由財産」が定められています。

自由財産には、新得財産・差押禁止財産・99万円以下の現金・自由財産の拡張を行った財産・破産財団が放棄した財産の5つがあります。新得財産とは、自己破産後に取得した財産のことで、自己破産の処分対象外です。差押禁止財産は、生活必需品などが該当し、生活する上で必要な家具・家電などは回収できないことになっています。また現金についても、99万円は手元に残せるので、一文無しにはなりません。破産財団が放棄した財産や自由財産の拡張が認められた財産も所有を続けられ、手元に残る財産があるとわかります。

学資保険や生命保険などを積み立てている場合は、どちらも財産に含まれます。本来であれば解約の対象になってしまいます。ただ、解約返戻金の額によって、自由財産に該当し没収を免れる可能性もあります。次の項目で、自己破産をした際の学資保険の取り扱いについて詳しく解説します。

自己破産をすると学資保険を解約しなければならないのか

学資保険は財産に含まれるので、自己破産における処分対象になります。問答無用で解約しなければいけないと思いがちですが、そうではなく学資保険を継続する方法もあります。自由財産をした時の学資保険の取り扱いや継続する方法を説明します。

20万円を超える解約返戻金があると対象に

学資保険は解約することで、解約返戻金が戻ってきます。支払った保険料に対して金利分が加算されていき、解約返戻金が決定されるので、数十万円・数百万円の解約返戻金が発生しているはずです。自己破産で財産と認められるのは、20万円を超える解約返戻金がある場合で、処分の対象となってしまいます。

一方、解約返戻金が20万円に満たないならば、学資保険を解約する必要はありません。解約返戻金の額は、契約者・保険者の条件、契約年数など状況によって様々なので、契約時の約款を元に計算する、保険会社に問い合わせするといった方法で算出しましょう。

20万円以内におさめるには契約者貸付制度を活用

解約返戻金を計算していて、20万円を超えていると、必ず没収されてしまうわけではありません。20万円以内におさめる方法として、契約者貸付制度があります。契約者貸付制度とは、学資保険を担保にして保険会社からお金を借りる制度です。契約者貸付制度を活用すれば、解約返戻金の範囲でお金を借りられ、差し引かれた分が解約した時に得られるお金となります。

例えば、解約返戻金が100万円になっていたとして、契約者貸付制度が90万円借りたとします。残りの解約返戻金は10万円になるので、この場合自己破産の処分の対象外です。学資保険を解約せずに残したい方は、制度の利用を検討してみましょう。

自由財産の拡張でも学資保険解約を免れられる

20万円以下の学資保険は自由財産に含まれますが、20万円以上の解約返戻金がある場合は自己破産時に解約を迫られます。契約者貸付制度を活用する以外に、自由財産を拡張することでも学資保険の解約を免れることができます。自由財産の拡張とは、本来自由財産に含まれない財産を例外的に自由財産として扱う制度です。自由財産の拡張が認められれば、20万円以上の解約返戻金がある学資保険でも維持できます。

自由財産の拡張は、自由財産拡張申立書を裁判所に提出し、申し立てを行う必要があります。自由財産拡張申立書では、財産目録へのチェックを行い、申し立てに必要な財産情報を提示します。

申し立てに対して、まず裁判所が破産管財人の意見を仰ぎ、自由財産の拡張を認めた場合管財人から意見書が提出され、自由財産の拡張が決定されます。あくまで裁判所の判断によるものなので、100%自由財産が拡張されるとは限らないことは理解しておきましょう。

学資保険の維持が認められる場合もある

自己破産の手続きは各裁判所によって、取り扱いが異なります。学資保険の取り扱いについても同様なので、自由財産の拡張や契約者貸付制度の活用を行わなくても、裁判所の判断で学資保険の維持が認められる場合もあるようです。

多額の解約返戻金がある場合は難しいかもしれませんが、99万円の範囲内であれば、学資保険の維持を認められる可能性があります。

自己破産による学資保険の取り扱いの注意点

自己破産をしても学資保険を守る方法がありますが、自己破産を進める上でいくつかの注意点があります。学資保険の名義や自由財産拡張の限度、裁判所ごとの対応など、注意点をおさえた上で、自己破産手続きを進めましょう。

子ども名義の学資保険も整理の対象になる

自己破産は債務者名義の財産に対して、処分が実施されるので、学資保険を子ども名義にしている場合解約を免れるのかという疑問があるでしょう。実際は、子ども名義の学資保険も自己破産者の財産と認められるので、自己破産の整理対象です。

子ども名義であっても、保険料を支払っているのは親であるため、名義に関わらず支払いを行っている人の財産として捉えられます。

自由財産の拡張には限度がある

自由財産の拡張は、財産の程度に関わらず許可されるものではありません。自由財産の拡張におけるラインは99万円で、99万円を超える自由財産の拡張には必要不可欠なものであるかを厳正に判断されます。維持しなくても問題ないと判断されれば、自由財産の拡張は認められません。

学資保険と同じように取り扱われる生命保険では、例えば99万円以上の解約返戻金があり、自己破産者が病に冒されていて、治療費を捻出できない可能性が認められれば拡張が行われるでしょう。学資保険においては、学資保険がないと子どもの将来にどうしても影響が出ると判断されれば認められるかもしれません。99万円以上の解約返戻金がある場合は、必ずしも拡張を認められないことを理解しておきましょう。

裁判所によって対応が異なる

学資保険を維持するか、自由財産の拡張を認めるかなどの対応は、裁判所によって異なります。他の裁判所で学資保険を維持できた事例があったとしても、手続きを行っている裁判所でも同じ結果が得られるとは限りません。

逆も然りで、一般的には認められない事例でも、寛容な裁判所なら学資保険を維持できる可能性もあります。100%裁判事例通りの結果を得られないので、過信せずに自由財産の拡張や契約者貸付制度の活用などを検討することが大切です。

契約者貸付制度を活用する場合には合理的な理由・証拠が必要

契約者貸付制度を活用する場合には、学資保険の維持のために活用したという合理的な理由・証拠が自己破産手続き上必要になります。目的が明示されなければ、学資保険の維持ができないおそれもあるでしょう。他の返済に契約者貸付制度で得たお金を使うといった勝手な行為はもってのほかです。

確実に学資保険の維持を目指すならば、弁護士に相談するのが得策でしょう。なぜ契約者貸付制度を利用したのかについて、弁護士の力を借りて裁判所に説明責任を果たすことができるので、間違いない方法です。

もう1点注意したいのが、契約者貸付制度はすべての学資保険に付帯されているとは限らないことです。契約者貸付制度のない学資保険であれば、制度の活用はできないので、自由財産の拡張といった別の方法を取る必要があります。加入している学資保険の内容をあらかじめ確認しておきましょう。

まとめ

今回は、自己破産をした場合の学資保険の取り扱いについて詳しく解説しました。

学資保険は財産に含まれ処分対象になりますが、解約返戻金が20万円以下であれば処分を免れることができます。20万円以上の解約返戻金があっても、自由財産の拡張申請や契約者貸付制度の活用、裁判所の判断などで学資保険を守ることが可能です。

注意点として、子ども名義でも財産として扱われることや自由財産の拡張には限度があること、裁判所によって対応が異なることは理解しておきましょう。自己破産における学資保険の取り扱いをおさえて、学資保険の維持を実現してくださいね。

弁護士法人きわみ事務所
代表弁護士 増山晋哉
登録番号:43737

昭和59年大阪府豊中市生まれ。平成21年神戸大学法科大学院卒業後、大阪市内の法律事務所で交通事故、個別労働紛争事件、債務整理事件、慰謝料請求事件などの経験を積み、平成29年2月独立開業。

きわみ事務所では全国から月3,500件以上の過払い・借金問題に関する相談をいただいております。過払い金請求に強い弁護士が累計7億円以上の過払い金返還実績を上げていますので、少しでもお困りのことがあれば無料相談をご利用ください。

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